AI: ソムニウム ファイル THE futurity Decker 作:ガンダムラザーニャ
「…にしても、ここはどこなんだろ?」
俺は、クロトさんに言われてとある森林に来ていた。
「クロトさん、ここにその電波があるんですか?」
『間違いない、この近くに奇妙な電磁波が感知されてるからね』
通信機越しにクロトさんからそう聞いた。
「でも、何も見当たらないですね」
『確かに……!
待て、君の近くに生体反応を確認した!』
「えっ!?」
周りに誰かいるのかと見回すと、少し遠目だが、そこには誰かがいた。
あれは確か…。
「…みずきちゃん?」
間違いない、シャルモンの常連客の伊達みずきちゃんだ。
どうして彼女がここに。
「みずきちゃん!」
「んっ?
あれ、彼方!?
どうしてあんたがここに!?」
「それはこっちのセリフだよ。
みずきちゃんこそどうしてこんな森の中に」
「…あーその、ちょっと、ジョギング?」
「こんな森の中でジョギングしたら、服がボロボロになっちゃうよ。
せめて体操服でして」
「えーいいじゃん一々着替えるの面倒くさいし、こっちのほうが色々と動きやすいの!
…というか、彼方こそどうしてここに?
シャルモンの仕事は休みなの?」
「まぁそんなところかな。
それでちょっとこの森の中で自然な空気を吸おうかと」
「でもここ、陰気臭いよ?
するなら伊久米神社に行ったら?」
「まぁ、それはそうだけど。
あそこはまた今度行ってくるよ。
それじゃ」
俺はみずきちゃんと別れて、森の奥へと向かう。
『それにしても、彼女が伊達みずきか。
更識簪とは同じ高校に通っているんだったな。
だが、彼女は6年前までは沖浦という苗字だったらしいな』
「…らしいですよ?
俺も詳しいことは知らないですけど、第2サイクロプス殺人事件で親が死んだからって、戸籍変えたっぽいみたいですけど」
『第2サイクロプス殺人事件か…、ふむ。
実に興味深いが、それはまたの機会にしようか…!
彼方、周囲を警戒しろ!
君はもうすでに、奇妙な電波の反応のある場所に入っている!
何か変わった所はないか!?』
「えっ、何か変わったところ、ですか!?」
クロトさんに言われて、周りを見渡す。
特に変わったところがなく、見渡す限り森の中にいるだけだ。
しかし、しばらく歩いたとはいえ、みずきちゃんの姿が見当たらない。
代わりに、十歳くらいの女の子が、おどおどした様子で木の影に隠れながらこっちを見ていたのが見えた。
…?
あの子のあの髪色にあの眼鏡、どこかで見覚えがあるな。
とりあえず、話しかけてみよう。
「…君、そんな所で何をやってるの?」
「…っ!」
すると女の子が怯えながら逃げ出した。
しかし、すぐに転けてしまって倒れてしまう。
「あっ、おい大丈夫か!」
俺はすぐに駆け寄り女の子を介抱する。
「うっ、うぅ…っ!」
足を擦りむいてしまって、今にも泣き出しそうだったので、持ち歩いていた絆創膏を貼る。
「…よし、これでもう大丈夫なはずだ」
「ありがとう……」
「ところで君はどうしてこんなところにいるんだい?」
「えっとね、わたしね、ちかくにおねぇちゃんたちと遊びに来たんだけど、はぐれちゃって…」
「そうなんだ…。
じゃあ早くそのお姉さんたちの所に連れて行ってあげないとな。
…君、名前は?
俺は明日見 彼方っていうんだ」
「か、かんざし。
さらしき かんざしだよ」
「…え?」
今この子、何て言った?
さらしき かんざし…?
確かに俺の知ってる子に更識 簪はいるけど…。
『…彼方、落ち着いて聞いてくれ。
彼女は、紛れもなく君が知ってる更識 簪だ、同一人物なんだ』
「ま、待ってください。
でも簪ちゃんは高校生ですよ!?
今目の前にいる女の子は、明らかに小学生で…」
俺はこの子に怪しまれないように、クロトさんと会話をする。
確かにこの子には、簪ちゃんと似通った所がある。
この内気な雰囲気に、内側に跳ねた水色の髪にメガネ。
まるで、簪ちゃんが幼くなったような…?
…まさか。
『…そうだ。
君も察している通りだ。
君は今、過去の世界に飛んでいるんだ』
「俺が、過去に…!?」
俺は、その衝撃の事実を聞かされ、ただただ呆然とするしかなかった。