「じゃあ、タキオンさんとバクシンオーさんは学園内の方を……」
「あぁ、お安い御用だとも」
「了解いたしましたっ!!! この委員長が!! 見事ウララさんを見つけてみせましょうとも!!」
「……メイオーさんは商店街の方を頼める?」
「あいよ、トレーニングついでに聞き込みしてくりゃいいんだろ」
キングヘイローは知り合いのウマ娘達にハルウララの行方を探す事を頼み込む。
大半が快く引き受けてくれたし、一部は外を探し回ってまで力を貸してくれるようだ。
行き違えにならないように、東京駅にはノボジャックのトレーナーが待機してくれている。
「け、警察の人に相談とかは……まだ早いですかね……」
「いなくなってまだ三時間くらいだから、捜索も請け負ってくれないんじゃないかなぁ」
ドラえもんとのび太、そして小春はハルウララが寮に戻ってきた時の為に、ハルウララとキングヘイローの寮室に残っていた。
「ウララちゃんって携帯持ってないの?」
「……ないです。ノボジャックさんも寮に置き忘れてたみたいで……」
「うーん、駅前なら電話ボックスあるだろうし、何かあったら電話掛けてくるはずなんだけど……」
小春とドラえもんとのび太、それぞれが知恵を振り絞りなんとかハルウララの居場所を導き出そうとする。
そこでふと、のび太が名案を思いついたようにポンと手を叩いた。
「そうだ! キングヘイローに会いに来た時みたいに、『ウララちゃんのところへ行きたい!』って思い浮かべながら『どこでもドア』を開けば……」
「そんな使い方が出来るんですか!? じゃあ早速やりましょう!!」
「やろうやろう!!」
のび太の名案に飛びついた小春は、お互いの手を取り合って二人で軽く小躍りする。
「……いや、それじゃあたぶん無理だよ」
ドラえもんが否定すると、のび太と小春は首を傾げた。
「なんで? キングヘイローの時は上手くいったじゃないか」
「このどこでもドアはね。ドアノブに『意志読み取りセンサー』っていうのがついてるの。つまり、開く人が『相手が何処にいるか』って事を無意識下でもいいから把握してないと使えない」
…………。
「ドラさん。のび太さんがどこでもドアでキングさんの場所へ移動した時、なんで喧嘩になったんでしたっけ?」
「キングさんが入浴中だったから」
ドラえもんと小春はススス、とのび太から距離を取った。二人とも軽蔑の眼差しをしている。
「ちょっと待ってよ! 静香ちゃんがいつもお風呂に入ってるタイミングだったから、勝手にそうなっちゃったんだよきっと!!」
「……それはそれでどうかと思います」
「ボクもそう思う」
ジト目でのび太を睨む小春とドラえもん。
のび太は二人に非難の目で見つめられ、それを誤魔化すように声を荒らげた。
「というか、未来のボクに会いに行った時は居場所が分からなくても使えたじゃないかっ!!!」*1
「その時はキミの為に最新型のどこでもドアをレンタルして使ってたあげたんだよ! いつも使ってる旧型じゃなくてね!!」
「じゃあ今からでも借りてくればいいじゃないか!!!!」
「無理だよそんなお金がない!! ボクのお小遣いは少ないんだ!!」
「この貧乏ロボットォ!!」
「なんだとこんにゃろめ!!! 元はといえばキミが貧乏なせいでセワシくんの代まで――」
ドラえもんとのび太が取っ組み合いを始めた所で、小春が止めに入る。
「やめなさーい!!!」
大人が諌めてどうにかこうにか。二人は渋々と拳を収めた。代わりに小声で罵り合う。
「……ったく。のび太くんが助平なせいでキングさんには怒られるし、小春さんにも怒られて散々な日だ」
「あぁーあ、そうですか。ドラえもんがスケベな道具ばっかり渡してくるからじゃない?」
「キミがそんな使い方ばっかり思いつくからだよ! どこでもドアでもそうだけど、『おくれカメラ』を使わせた時なんかは特にそうだ! 静香ちゃんがお風呂に入ってる時間帯をバッチリ把握してたじゃない!!」
「いや、静香ちゃん自身がお風呂好きすぎるんだから、それはボクのせいじゃ……」
――ん? 『おくれカメラ』?
のび太はピタッと黙り込んで、考え事を始めた。
「ほら見ろ! 言い返せなくなったじゃないか!」
ドラえもんは勝ち誇ったようにのび太の前で腕を組む。
しかしのび太はそれどころではないといった様子で考え事を続けている。
「どうしたんだい?」
「……ドラえもん。おくれカメラ出して」
「キングさんの入浴中の写真撮ろうってのか!? キミってヤツはやっぱりサイテーだ!!!!!」
「違うよ!! 過去を撮影出来る『おくれカメラ』があればウララちゃんが何処に行ったか探れるじゃないか!?」
のび太の言葉を聞いて、ドラえもんと小春はハッとした顔をする。
『おくれカメラ』:
過去を写すカメラ。レンズの周りのダイヤルで指定してシャッターを切ると、ダイヤルの数だけ過去に遡った映像を撮影した写真がすぐさま側部から出てくる。
「のび太くんの言う通りだ!! よし、やろう!!」
ドラえもんはのび太の考えに同意して、すぐにおくれカメラをポケットから取り出す。
まず撮影するのは三時間前の寮室。キングヘイローとハルウララが部屋で準備をしている光景が写っている。遠征の出発を始めている。
「ぜぇ……ぜぇ……学園中探し回っても、見つかりませんでした……トホホ……」
「同じくだねぇ。どうやら寮や学園には戻ってきていないみたいだよ?」
「商店街の奴らに聞いたら、駅の方にはちゃんと向かってたらしいぜ」
ウマ娘達の協力も併せて、おくれカメラで足取りを追うのはスムーズだ。
寮から駅の途中にあるパン屋で大量に菓子パンを買い込んでいるハルウララを激写する。
「…………あぁ、たぶん十円玉も残ってないですねコレ……」
「ウララちゃん、やっぱり食欲旺盛だなぁ……」
おくれカメラの写真を眺めて、大体の事情が分かってきた。
次に撮ったのは駅構内。誰かとぶつかって、手助けしている場面。
「あれ、これノボジャックさん……」
少し時間をズラして映っていたのは、ノボジャックがハルウララの手を勢い良くはたき落とす光景。
――え。
その写真を目に入れて、小春の胸の中が「ズキンッ!」と脈打つ。
「何が写ってたの? 小春さん」
「え、あぁ! えぇっと……なんでもないです!!」
のび太やドラえもんがそれを見ようとしたが、ハルウララがノボジャックを手助けしている場面だけを見せた。
「駅まで来ていたのは間違いないみたいだね」
ドラえもんが次に撮ったのはノボジャックやハルウララが駅のホームへ走っていく写真。
どうやらそのまま駆け込み乗車をしたようだ。
「うーん……ちゃんと電車にも乗ってるなぁ……」
のび太はその写真を見て当てが外れたような顔をしたが、ドラえもんと小春はすぐに気づいた。
その写真の中で、電車自体に装着された行き先を示す電光掲示板を指差し、大声で叫ぶ。
「コレ、東京駅と逆方向です!!」
『武蔵五日市行き』
ノボジャックのトレーナーは
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男性
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女性