《キングヘイロー》
体力⇒■■■■
調子⇒■■
スピード⇒■■■■
スタミナ⇒■■
パワー⇒■■■■■
根性⇒■■■
賢さ⇒■■■■
キングヘイローはドラえもんとのび太から渡されたグラフ手帳を見て、引きつった笑顔を見せた。
「自分の無知を反省して私のレース記録でも調べたのかしら?」
それにはキングヘイローの能力や体調がグラフ式で書かれていた。見たところパワーが高く、スタミナが低く長距離向きでないと評価されていた。その内容に、クラシック期の思い出が蘇っている。
「ボク達がグラフを書いたわけじゃないんだ。この手帳は、未来のひみつ道具なんだ」
「……でしょうね。調子の良さや今どのくらい疲れてるかまで、小学生の子なんかに一朝一夕で見抜かれてはたまらないわ」
『正確グラフ』
どんなことでも正確に判断して棒グラフにするボード……の手帳版。
このグラフは《キングヘイロー》を題目として書き込んで、体力やパラメーターを測定しているようだ。
「これを使えば、楽にコンディションを管理する事が出来る。だからウララさんのトレーナーに渡したい」
「えぇ、その通りです」
ドラえもんが考えるに、ハルウララの現状を把握するには最適のアイテムである。もちろん、ハルウララのパラメーターを書き換えるといった事はこの手帳では出来ない。あくまでトレーナーの仕事を助けるための補助道具。
これ以外にも渡したいものはあるが……ひとまずトレーナーにソレを見せて説明してほしいとドラえもんはキングヘイローに頼み込んだ。
「そういうわけよ」
退院して、トレセン学園に戻ってきたハルウララの専属トレーナーに対して、手帳を無造作に渡した。
「未来からきた22世紀の猫型ロボットのひみつ道具……?」
「なによ。キングの言う事が信じられないわけ!?」
「いや、そういうわけでは……」
いきなり渡されたところで、与太話じみた事を信じられるかどうかでいえばNOだ。
しかしハルウララから電話で聞いた彼らの話はまるでSFそのものだった。ここに来るまでも、空を飛ぶ彼らの目撃証言を耳にしているし……。
トレーナーは試しに渡された手帳に自分を題目として、手帳に判断させてみた。
《宗石 小春》
トレーナー年数⇒■
おなかのすき具合⇒■■■■
給料⇒■■
身長⇒■
胸囲⇒■
体重
………
ある程度書いて、調べたい項目に対してグラフが適切な長さに伸び縮みするのを見て本物だと確信した。
「うん、わかりました。キングさんのお話は信じます。……夢を見ている気分ですけど」
「おあいにくさま、それは私もよ」
ともかくとして、この手帳があればウマ娘の体調管理はスムーズに行えるに違いない。それどころか題目や内容をうまく調整すれば、彼女達の能力やレースの適正を明確にも出来る。ウマ娘に関わる者にとっては垂涎の代物だ。
「……でも、私にこれは必要ないです。ハルウララさんの体調なら、この目で見れば分かりますから」
苦笑しつつキングヘイローに手帳を返そうとするが、そのトレーナーの顔を彼女は睨みつけていた。
「貴方が過労で倒れて、毎日見る事が適わなかったからウララさんが倒れたのでしょう!!?」
トレーナーの言い分にキングヘイローの怒りが爆発した。
彼女が感情を露わに怒りをぶつけてきた事に虚を突かれ、トレーナーは目を丸くする。……キングヘイローはそのまま諭すように話を続ける。
「……ドラさんやのび太さんは、『この道具がズルにあたるかどうかはボク達にハッキリ判断出来ないから、トレーナーさんやキングさんの判断に委ねたい』といってたわ。もちろん、使い方によっては卑怯な代物だとは私も思うけれど――」
それでも、と前置きして キングヘイローは真っすぐにトレーナーの目を見て告げる。
「貴女達はこれを使うべきだと思う。手帳と貴女自身によるダブルチェック……それに何かあった時に体調を知る為の御守りにもなる。なにより、貴女は卑怯な使い方なんてする人じゃないから」
そうハッキリ言い切ると、キングヘイローは正確グラフを返却を受け付けずにその場を去っていった。
「あ、トレーナー!!!」
トレーナーはハルウララと再会する。お互い入院生活を続けて面会出来ないような状態だったから、こうやって顔を合わせるのは久しぶりだ。
トレーナーは彼女の姿を見て心の底から喜び、彼女の様態を心配した。
「ウララが倒れちゃったって聞いて心配だったんだよ。大丈夫? まだ痛むところある?」
「ん~、ウララはもう全然平気だよ! 絶好調! だってトレーナーが帰ってきてくれたんだもん!」
ウララは満面の笑みでトレーナーの腕にしがみついた。その仕草は大変愛らしく、通りかかった他のウマ娘も「あらあら」と微笑ましそうに表情を崩していた。トレーナーはしがみついてきた彼女に笑顔を向ける。
……トレーナー側の笑顔は硬い。ハルウララの頭を撫でながら、もう片方の手で器用に手帳に題目を書き込む。
《ハルウララ》
タイリョク⇒■■
チョウシ⇒■
「…………」
『正確グラフ』が示してくれたグラフに、トレーナーは言葉を詰まらせた。
いくらトレセン学園のお医者さん達が頼りになるとはいえ、過労の病み上がりで絶好調なわけがないのだ。
「どうしたの、トレーナー?」
ハルウララが首を傾げて尋ねると、トレーナーは慌てて「なんでもない」と誤魔化した。
「ねぇ、トレーナー」
「な、なぁに。ウララ?」
ハルウララはやけに可愛らしい手帳を取り出し確認してから、言葉を続ける。
「ウララね、ウララは……トレーナーと遊びにいきたいな!」
突然そんな事を言われて、トレーナーは面食らってしまった。
「来週までトレーニングおやすみ!! 一緒にいっぱい遊んで、いっぱい休んでほしいなって思ったんだけど……」
「今週はトレーニング休むの?」
近頃は自分からトレーニングをやりたいと言い出すような子になっていたのに。トレーナーは彼女の変わりようを不思議に思った。
「だめかな……?」
ハルウララが上目遣いで、返答をうかがう。トレーナーは願ったり叶ったりとばかりに、硬かった笑顔を柔らかくして微笑んだ。
「ダメじゃないよ。そうだね、たまにはゆっくりしようか」
時間は少し遡る。
「トレーナーさんに正確グラフを渡すのとは別にもう一つ、ボクからキングヘイローにお願いしたい事があるんだ」
「……のび太さんからお願い?」
のび太からの申し出に、キングヘイローは少し身構えた。
「キングをグルメテーブルかけのご馳走に誘いたいというなら、受けて立つわよ!」
「いえ、ちがいます」
若干不服そうにするキングヘイローをよそに、のび太は可愛らしい手帳を取り出す。
「……それは?」
「正確グラフ。ドラえもんに、見た目の違うものを取り寄せてもらったんだ」
「ボードタイプのヤツなら手元にあるのに、のび太くんったらわざわざ新品を頼むんだから……」
なにやらドラえもんが恨めしそうにブツブツ言ってるが、それは今は気にしないでおこう。
「これもトレーナーさんに?」
「いや、ウララちゃんに渡してほしいんだ。トレーナーさんにはヒミツにするように」
キングヘイローは今までの話を思い返して、のび太が言わんとする事を理解した。
「なるほど、そういう事ね。分かったわ」
キングヘイローは力強く頷き、題目とグラフ内容を書き足した上でその手帳をハルウララへ渡す事を遂行した。
《宗石小春》
体力⇒■■
調子⇒■
「……ありがとうトレーナー! じゃあ今日から一週間休日デーだよ! お互い、体壊さないようにしっかり休まないとねぇ~」
ハルウララは手元の手帳を見てから、安心したように笑う。
キングヘイローとドラえもん達はその様子を遠巻きに眺め、そしてお互いに顔を見合わせて小さく笑った。
ドラえもん<ハルウララ育成記>で好きな主要キャラ
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のび太
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ドラえもん
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ハルウララ
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キングヘイロー
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トレーナー