本編とは異なる短編用の章。不定期で本編の息抜きにたまに投稿されるかも。
『三倍時計ペタンコ』
「レースと関係ない時くらいアタシらウマ娘にもっとひみつ道具使わせたり、披露してみせたりしろよ」
のび太達がウマ娘と一緒に遊んでいる時の事である。ウマ娘の一人であるメイオーがそんな事を言った。
「唐突だなぁ」
ドラえもんはメイオーの注文に唇を突き出して『3』の形にする。
「普段はレースで卑怯な事したくねぇっていうテメェらの心遣いはわかる。わかるがな……」
メイオーはハルウララと顔を見合わせた。
「私達も、ドラちゃんのひみつ道具の事もっと知りたいよね!」
ハルウララの言葉にメイオーは大きくうなずいた。
ウマ娘達にとってはドラえもんのひみつ道具は未来技術である。どんなものがあるか知りたい気持ちも強い。
「そういえば、前にジャックちゃんと『秘密道具使えばのび太くんや小春トレーナーと模擬レース出来るかもしれないね』って話をしたなぁ」
「おう、いいじゃねぇか。ウマ娘対人間。笹針だとか怪しい施術無しで張り合える」
「やろーやろー!」
ハルウララとメイオーはニヤリと笑った。この二人、好奇心旺盛である。未来技術とウマ娘のパワーどっちが凄いか競い合いたいらしい。
「うーん、じゃあそういう道具もあるにはあるけど」
『三倍時計ペタンコーー!!』
三倍時計ペタンコ:これを体にはると、人の3倍のはやさでなんでもできるようになり、1日が3日分の長さになる。
「と、いうわけで」
空いていたトレセンの練習レース場を借りて、ウマ娘VSドラえもんの2対2の1000mレースが行われる事になった。
「……なんで無関係な少年少女が堂々とトレセンに入ってきてるんです?」
ウマ娘側陣営として参戦する事になったノボジャック。
別に、のび太達が嫌いというわけではない。ただこういう練習施設を勝手に使ってよいものか。
「許可ッ!! 怪我はしないようにな!!」
観客席で見物をしていた秋川理事長が快活に笑いながら、ドラえもん達に施設使用許可を出してる。
「……理事長、前から思ってたけどなんかのび太くんに甘くないです……?」
困惑しながら呟くノボジャック。まぁ、いちいち問い詰めるのも野暮だからここは置いておこう。
実況の源静香と解説のハルウララは実況席からマイクを取って、それっぽく読み上げていく。
『1番っ、エーブドラエモン!』
『まんまるな体からちょうしがいいことがうかがえますっ!』
「おい同名のウマ娘いるけどいいのか」
ドラえもんの登録名にメイオーが苦言を呈する。
「……いいんじゃないですか。この場にいないし」
『2番っ、ノビジャック!』
『のび太くん、じしんありげに笑っておりますっ!』
「……は?」
明らかにノボジャックを意識した登録名を使いやがるのび太。ジャックの瞳に漆黒の闘志が宿る。
「あー……殴り合うなよ。絶対」
「殴ったりしないけど潰す」
全員スタンディグゲートに入り、準備完了。
スタートの合図と共にメイオーは甘めのスタートダッシュ。すると、ドラえもんの方もそれにちゃんと追いついてきた。
「おー、さすが未来ロボットの三倍速。ウチらに張り合ってくる……」
「――カ――ネ!!」
「いや言葉も三倍速だから早送りになってて何言ってんのかわかんねぇ」
一方で野比のび太の方を見る。三倍速といえど、小学生がウマ娘に追いつけるとは思えない。しかものび太はとんとのろまだと聞く。
しかし違った。ジャックは本気でスタートダッシュをかましたが、その横ののび太がまさしく弾丸のような速度で飛び出していた。
『のび太くんっ、圧倒的リードー!』
「おい200kmくらいねぇかアレ。三倍どころじゃねぇだろ」
あの野比のび太がウマ娘を上回る光景を見て、とんでもない速度を出して、目をキラキラとさせるハルウララ。
メイオーは素直に驚きの声を上げて、ジャックは潰そうとしていた相手に圧倒的差をつけられて絶句する。
だが100mくらい走ったところで、のび太は物凄い勢いで倒れた。皆が驚いて、すぐにレースを取りやめる。
気絶しているのび太の様子を見て、ドラえもんは自分の三倍ぺたんこを剥がしながらヤレヤレと頭を抱えていた。
「のび太くんったら、三倍ぺたんこを何枚も貼り付けたまま気絶してる。時速200kmで走れるったって、走りきれる距離が延びるわけじゃないのになぁ……」
「のび太くん、だいじょーぶ? にんじんジュース飲む?」
「のび太さんったら、張り切りすぎはよくないわよ」
ハルウララと源静香に介抱されるのび太の姿を見ながら、メイオーは思った。
「……こりゃー、のび太がアタシ達とまともにレース出来そうな日は遠いなー」
ひみつ道具主題の一話完結形式
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良(ドラえもんにもっとスポットライトを)
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可(バランス。たまになら)
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悪(本編優先してほしい)