起きたら金髪ケモ耳美少女だったんだが自分の記憶がとんとありません 作:裏白いきつね
稗田之蛙さんからまたもやドーロちゃんのファンアートいただいたので目次に貼り付けてます。どうぞご覧下さい。稗田之蛙さん、いつもありがとうございます。
寮に帰り着いたのは午後4時を15分ほど回ったあたり。6月の日差しと気温、そして未だ重くのしかかるような湿度のせいで、レース場から駆け足でやって来た俺たち3人の顔は玉の汗だ。
「リズ、早くお風呂に入りたいなぁ」
「寮のお風呂は5時オープンですからねえ」
「……そうだよね。うぅ~ん」
「このままだと制服が汗染みになってしまいますし、襟だけでも洗濯しましょうか、みんなで」
「この襟、外せたんですか?」
「夏服も冬服も、学園の制服は襟を外して洗えるようになってるんですよ。冬でも汗かきなウマ娘に対応しているんでしょうねえ」
とりあえずお風呂セットと制服の襟だけ持って、お風呂場の隣の洗濯室へ集合となった。もちろん服は部屋着に着替えた上でだ。
§
「外した襟の首元に洗剤の原液をかけてですねえ……」
ルジェさんが手際よく襟洗いの実演をしていく。
まずは首元の一番汗を吸っていた部分に液体洗剤の原液を塗りつけてしばらく放置。残る2人が同じように自分たちの襟に洗剤を塗るところを見届けてから、今度は持参した柄付きブラシで洗剤を塗った場所を軽く擦っていった。表裏と擦ったところで洗い桶に水を張って洗剤を
「漬け置きしている間にお風呂にしましょうか。上がってきてから襟洗いの続きをしますねえ」
ブラシをチャック袋にしまいながらルジェさんが言う。
そのまま脱衣所へと向かったが、すっかりおなじみの場所になった大浴場は、ほぼ一番風呂ということもあってかこれまでで一番空いていた。
§
お風呂場で3人輪になってしっぽを梳き合いながら会話する。
「今日はいつにも増して人が少ないですね」
「土曜日ですからねえ」
「土曜日だから?」
土曜日とお風呂場の空いていることに何の関係があるのか分からず押し黙っていると、リズちゃんが答えらしきものを出してきた。
「もしかして、レースがあることと関係してる?」
「そうですねえ、リズちゃん正解です。
毎週土曜日と日曜日はレースのある日なんですけれど、レースは東京だけじゃありません。少なくとも2カ所のレース場で行われるんですけど……」
「東京は近所ですけれど、他のレース場は遠いと?」
「ドーロちゃん、その通りです。トレセン学園の母体になっているURAは全国に10カ所のレース場を持っているのですけど、北は北海道の札幌から南は九州小倉まであるんですね」
「それじゃ、そんな遠くでレースがある人は泊まりがけだよね」
「その通りですねえ。しかも1日で行われるレースは12レースで、最小でも5人から。最大で18人出走します。そのうえ土日を連続出走する娘はいませんから――」
「平均で10人ずつ出走するとしても1レース場で1日120人、2日で240人……大移動ですね」
「そうなんです。しかも今週は東京と阪神、函館の3カ所開催なので合わせて700人以上のウマ娘が学園から
「美浦寮と栗東寮の二手に分かれているから、その半分としても350人……。それではお風呂場が閑散としているのも当たり前と」
トレセン学園に在籍している現役ウマ娘は2000人ほどいると聞いた。東京レース場での出走組は寮から通うとしても他の2カ所での出走組は泊まりがけだろうから、今現在500人近くが学園からいなくなっている勘定だ。だから寮にいる人数も普段の4分の3ほどとなるわけで、なんとなく寮全体が静かになっているのは決して気のせいではなかった。
そんな感じで話に花を咲かせていたらしっぽ梳きも終わって、いよいよ洗髪から身体洗い、しっぽ洗いへと続く時間がやって来た。
「耳は慣れましたけど、どうもしっぽ洗いはまだ苦手です……」
「今日はリズがしっぽ洗ってあげるね」
「ぅぇぇ……リズちゃんの手つきは絶妙すぎるんですよね……、思い出しただけでもう変な感じが戻ってきます」
毎日ルジェさんとリズちゃんが交互にしっぽ洗いをしてくれる。これでもう4回目になるわけだがリズちゃんが容赦ない。とにかく手つきが絶妙で、敏感なツボを押さえまくってくれるのだ。そんな心配をよそに、とうとうしっぽ洗いが始まってしまった。
「……ふゎ……ぁっ……!」
まだまだしっぽ洗いは序盤も序盤。本体からは遙か遠くの毛だけを洗ってもらっているのにどういう訳だか変な声が漏れてしまう。
「あれぇ? まだ先端を少しいじっただけなのに……ドーロちゃん、また敏感になってる?」
それと同時に俺の手が止まってしまうので、ルジェさんから激励の声が届く。
「ドーロちゃんっ、まだまだですよう! がんばって手を動かして下さいねえ」
いや、洗う手が止まってしまったのは申し訳ないけど、これは不可抗力ってヤツでっぇぇぇ~~。
言葉を返す
「ひゃぅっ!」
その瞬間にしっぽごと背中が仰け反った。そしてすぐに腰から力が抜けて、お風呂イスに座ったまま前にへにゃへにゃと崩れてしまった。
ところがそんな事になってもリズちゃんの攻めは止まるところを知らない。俺が動けなくなったことを幸いに、しっぽへの攻勢はさらに激しさを増してくるようだ。
しっぽの表から裏へとリズちゃんの指先が伸びる。柔らかくしっぽを包む泡の感触と共に滑る指先が時折しっぽ本体に触れるたび、そこを起点にしてじわんぐわんと感覚が上がってくる。しっぽにはもう力が入れられない。だからリズちゃんがあちらこちらへと遊ぶようにしっぽを摘まんで動かすのにも抵抗できずになすがままだ。それでも身体は無意識に抵抗するのかだんだん息が切れてくる。そこから先はもう記憶も曖昧だ。
結局それから大して時間を費やさないうちに俺はまたしても沈没してしまったようで、ルジェさんの優しい声で起こされた。
「うぇぇぇ……またリズちゃんにやられてしまいました……」
「あらあら。ドーロちゃんがしっぽ弱いのは重症ですねえ」
ルジェさんの膝によよよと泣きつく俺の頭を、彼女は優しく触れていてくれる。この先もリズちゃんの手に掛かったら最後、お風呂に入るたびに俺の尊厳は崩れ去ってしまうのかと思うとどうにもいたたまれない。それに最も恐れるべきは、この感覚を身体が覚えてしまうことだ。今はリズちゃん以外の手ではこんな事態は起こらないが、この先どうなるかは分からない。徐々に冷静さを取り戻してきた頭でそんな事を考えてしまうと、言いようのない恐怖感がこみ上げてくる。
「責任、取って下さいね。もし私がどうにかなっちゃったら」
思わずジト目でリズちゃんに文句を言ったら、返ってきたのは思いもよらない言葉だった。
「ドーロちゃんならいつでも大歓迎だよ?」
いやそれ、真顔で答えないでもらえますか。笑ってるより怖いから。ほら、ルジェさんからも妙な波動が出てる気がするし。
次回、しっぽ仕上げるよ。