起きたら金髪ケモ耳美少女だったんだが自分の記憶がとんとありません   作:裏白いきつね

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日常回が続きます……というかこの小説日常回しかやってないような?


第66話 やっと二人

 

 そういえばと、気になっていたことを思い出す。洗面所の水回りをぞうきんで拭き上げながら尋ねてみた。

 

「そういえばですよ、リズちゃん?」

「ん、なあに?」

「この後リズちゃんのお部屋も掃除するじゃないですか。リズちゃんの同室ってどんな方なんでしょう? 私が会ったことはないですよね?」

「ええとね、プライムシーズンっていう高等部2年の先輩だよ。ドーロちゃんはまだだね」

「ああ、プライムちゃんなんですねえ」

「ルジェさん、知ってるんですか?」

「はい。同じ教室ですからあ」

「そうだったんですね」

 

 リズちゃんが続けて言うにはあまり周りに頓着しない性格らしく、俺の部屋に入り浸っているリズちゃんを咎めるような様子は特にないらしい。

 

「……というか、入り浸っている自覚はあったんですね」

 

 そうツッコんでみると、リズちゃんの目が挙動不審に泳いでいった。分かっちゃいるけど止められないって事ですかね、これは。

 その様子を見て、彼女が俺の方にべったりくっついてしまっている事をプライム先輩に謝っておくべきかと、俺は真剣に考え始めた。

 

「それじゃあリズちゃんのお部屋を掃除しに参りましょうか」

 

 それから程なくして掃除も終わり、次はリズちゃんの部屋へおじゃまする段になった。ついでにシーツや枕カバーも洗ってしまおうと言うことになって、俺たちはそこそこ多めの荷物を抱えて移動する。

 

「リズちゃんもシーツ洗いますよねえ?」

「そうだね。あっ、プライム先輩に聞いておかないと。友達がお掃除しに入りますけど大丈夫ですかって」

 

 リズちゃんの荷物を俺が受け持って、彼女は歩きながらLANEを送る。すぐに返答が来た。

 

「お掃除はリズに任せるって」

 

 プライム先輩はどうやら朝から出かけたらしく、今は不在。掃除してくれるお返しに、機会があったら何かお礼するよと返事があった。

 

 §

 

 初めて訪れるリズちゃんの寮室は俺たちとは別の棟の3階にあった。他の部屋と変わりなく飾り気のないドアを開けると、目に飛び込んできたのは水色と黄色できれいに二分された室内。俺たち2人よりも先に入ったリズちゃんは迷うことなく黄色の方へと進んでいって、そのままの勢いでシーツをえいっと剥ぎ取った。

 その案外雑な行われように俺があっけにとられていると、彼女は隣のベッドにも手を伸ばし、あっという間に2組の枕カバーとシーツを手にしてこちらに寄ってきた。

 

「とりあえず、先にお洗濯しちゃった方が良いよね?」

「そうですねえ、大物洗いは数が限られますし」

 

 そんなわけで4人分のシーツと枕カバーを銘々に抱えて、リズちゃんの寮室から取って返すように階段を降りる俺たち。行く先は大浴場隣のランドリーコーナーで、先日入ることのなかった奥の方へと歩みを進める。こちらの方は脱衣室に近いエリアよりも二回りほど大きな洗濯機と乾燥機が並んでいた。

 

「よかった、まだ洗濯機空いてるね」

「そうですねえ、これなら早めにお洗濯を終われそうですねえ」

 

 ぽいぽいテキパキと慣れた手つきで洗濯機へ放り込まれるシーツたち。洗い上がりまで30分ちょっとと表示された。

 するといつの間にかそちらに行っていたリズちゃんが、洗濯室の更に奥の引き戸から顔を出す。

 

「乾燥室もまだ空いてるよ」

「そうですか、なら早く終われそうですねえ」

 

 シーツも枕カバーも乾燥機に掛けるとシワだらけになってしまうので、奥の乾燥室を使って干すのだそうだ。

 そうして洗濯している間にリズちゃんの寮室を掃除するため通路を戻る。

 

 掃除そのものは先ほど俺の寮室でやっていたことと変わりない。ここでもぞうきん片手に水回りを拭き上げ終えたところで、ルジェさんから声がかかった。

 

「もうそろそろお洗濯ができている頃合いですよう」

 

 リズちゃんはもうちょっと片付けを続けたいと言うので、俺とルジェさんだけでシーツの乾燥に赴いた。

 

 ルジェさんが前に出て、俺が斜め後ろを付いて歩く。

 はじめは無言で歩いていたのだが、階段を降り始めた辺りで彼女が不意にくすっと笑いを溢した。

 

「何がおかしいんです?」

 

 俺が声を掛けると行き足が止まった。

 

「いえ、ようやく二人きりになれたなあって。ちょっと嬉しくてですねえ」

 

 そう呟いて振り返った顔は喜色を見せ輝く。

 

「今週に入ってドーロちゃんは時の人になってしまいましたからねえ。絡んでくる人も急に増えてしまいましたし。

 それでなんだかわたしだけ置いて行かれてしまったような気持ちになってしまって……。そんな事はないのに、だめですねえ」

 

 嬉しそうな表情は崩さないまま、でもルジェさんの声色はなんとなく寂しそうに響いた。

 

「でも今日はこうやってドーロちゃんを独り占めです。少しだけ、ですけれど」

 

 そうして今度こそ満面の笑みが咲く。

 くるっと回れ右をして鼻歌も飛び出したルジェさんを先頭に、再び歩き始めた。

 

 耳と尻尾を揺らしながら歩くルジェさん。上機嫌が溢れて出ているようなその背中を追いながらゆったり歩いていると、なんだかこちらも気分がほぐれてくる。

 時折振られる会話に答えつつ進んでいくと、いつの間にかランドリーコーナーに到着した。

 

 「さて、ちゃっちゃと干してしまいましょうねえ」

 

 そうルジェさんが言って洗濯機から取り出されたシーツたち。

 4人分もあって水を吸って結構重いはずなのに思ったほど重さを感じないのはウマ娘パワーのせいか。

 

 パンパンと大きな音を立てて両手で叩かれ軽くシワを伸ばされたシーツが、ルジェさんの手で次々と物干し竿に掛けられていく。

 その手つきは慣れたもので、あっという間に4本の竿それぞれにシーツが並んだ。

 

「うふふ、カラフルでお花畑みたいですねえ」

「ピンクに白に、黄色、水色」

「チューリップのお歌みたいですねえ」

「あかしろきいろ、でしたっけ」

「そう、それですよう」

 

 無事に洗濯物を干し終わって満足げなルジェさんの表情だ。

 

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