ガランゴルムは少女にお花をあげる系モンスターなんだ!   作:Ωが来た!

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こんちゃ、ガラン好きです。
メルゼナ三回討伐しても重牙が出ずに、宝玉が出てなんとも言えなくなりました。

ちょと長め
そう言えばデカゴリラに対してぶつけるのは勿論、お分かりですよね?


ガランゴルムは優しいんだ!

 

「あいたっ!」

 

 ここは城下から少し離れた寂れた家。

 外に響くほどの乾いた音が鳴り響いた。

 

「なんて事をしているのッ!人様にあんなに迷惑かけてッ!」

 

「ヒヒィッ、ご、ごめんなさいっ!私がなんとかしないとって思っちゃってて……、で、でもっ!こんなに立派なジオードとコパールを手に入れたんだよっ!これで少しはッ」

 

ズドンッ!

 

「ヒヒィッ!?」

 

(ヤバイヤバイやばいやばいって!机割れちゃってるよ!?あれ?ママって病人だよね?あれ?。)

 

 弁解の言葉を遮る母の怒りの台パンに恐れ慄く少女。

 目の前の人は本当に病人か?いつも咳をして弱々しかったあの母親か?

 その母の表情とそのオーラの凄まじさたるや、一番近くで看病して来た長女である自分ですら、目の前の、まるでガレアス少年と共に図鑑で見た『雪鬼獣』 ゴシャハギばりの怖さだった。

 

「誰がモンスターだって?」

 

「いえっ!決してお母様をモンスターの様だなど思っておりません!」

 

「…………はぁ〜、……無事に帰って来たからいいけれど、番兵さんに気を失った状態で運ばれた時は本当に心臓が止まるかと思ったわ。」

 

「ごめんなさぃ…」

 

 そう、実はこの少女、門前までついたものはいいものの、顔見知りの番兵を見た瞬間、安心しきった事で力尽き、早急に手当され、そして親の元へ運ばれた次第であった。

 母の心の底からの心配と、自身の蛮勇によりこの様な事態を招いた事が相当来ている様で、あっという間に萎れていく少女。

 

「……今回の件、お母さんは許しません。……外に出る事自体を責めてる訳では無いわ、そんなに奥地に行って、命を晒すのは、それだけはやめてちょうだいね?、貴女も、大切な家族で、あの人との大切な宝物なのよ?、コパールやめやジオードなんかよりもずっと大切な……。」

 

そうして、ゆっくりと娘を包み込む。

 

「ん…!」

 

「本当に帰って来てくれてありがとう…。」

 

「ううっ。怖かったよぉ〜っ!」

 

 母の抱擁に、そしてその優しい声色により、一気に決壊したその感情を止める事など、少女にできるわけもなく。涙は勿論、鼻水から涎まで、気にする事なく垂れ流して泣き続けるのだった。

 

 

……………

 

 

 

「それでどうしましょうね?私は物を見る目は持ち合わせちゃいないから、これがいい物だと言うのは解るけど、値段なんてそんな……。」

 

「そうだった。こう言うのって、誰に売れば良いんだろう。そこらで売っても意味ないよね?ちゃんとしたところに出さなくちゃだよね?全然考えてなかった。」

 

「………」

 

 

 思わず目頭を抑える母親。我が子の無鉄砲振りに誰の遺伝だと考えた瞬間あの人の事が脳裏を横切りそして、考えるのをやめた。

 それに、先程からそこで盗み聞きをしている不届き物達にもしっかりと言わなければ行けないだろう。無言で扉の前に行くと、勢いよくドアを引いた、

 

「「「うわっ!?」」」

 

 ごろごろと部屋に転がり込む子供達。

 

「何をしているのかな?、お母さん、お姉ちゃんとお話があるから待っててねって言ってたはずなんだけど。」

 

 その声色は確かに優しい。しかしなぜだろう、どうにも言葉の裏に、有無を言わせぬ恐ろしい気配を感じるのは。

 

「えっえっえっ、えっとね?あのね?にいちゃんが心配だから見ないかって、言ってたから仕方なくついて行ったの!」

 

「は?何言ってんだよ!?」

 

「そうだよ!」

 

「えぇ…(困惑)」

 

 

 速攻で兄を裏切る弟、そしてそれを秒で肯定する妹に唖然とする兄。

 

 

「はぁ……。」

 

 

 本日何度目かのため息を吐く母親。

 

 

「もう良いわ、過ぎたことだし、今を乗り切らなくちゃ。ひとまずは、これをどうするかね。」

 

 そうして机に置いてあるジオードとコパールを交互に見やる母親。

 弟妹達が机の上の珍品を不思議そうに見上げてて、手を伸ばすも姉に抱えられて机から剥がされて描くのを眺める。

 

(あっ。)

 

 そしてあることを思いつく。

 古今東西よりこう言う時は知人に聞けと言われている(彼女の中では)

 

「番兵さんに聞いてらしっしゃい、あの人なら何か知ってるでしょう。聞くのも勉強、あなた一人で行ってらしゃい。」

 

「え?あっうん、分かった!じゃあ早速行って来ます!」

 

 そうしてジオードとコパールをバックに入れて家から飛び出す娘を見遣りながら、自分も行きたいとさせがむ下の子達を宥めるのであった。

 

(私、本当に早死にしそうね)

 

 縁起でもない。

 

 

…………

 

 

「ん?おい!どこに行くんだ?無鉄砲。」

 

「おやおやおや?こんな可憐な少女に向かって無鉄砲なんて会いもしない呼び方をするのはどこの誰かな? ガ レ オ ス 少年?」

 

「ならお前もその呼び方やめろ!俺の名前はガレアスだ!それじゃ俺が、まるで小物みたいだからやめろって言ってるじゃないか!」

 

 まさに売り言葉に買い言葉。あるひょんなことで友達となった少年と少女、自身の親友が遊べない時はよくここまで来て少女と遊ぶのが習慣だった。

 

「ふふん!」

 

「何にやついたんだよ、変な奴。」

 

「ふふぅーん!今日より私は君とは“格”が出来てしまったのだよ。あっ勿論私が格上ね。」

 

「はぁ?」

 

 突然トンチンカンな事を言い出す少女を、新種を見つけたかの様な目で見るガレアス少年。

 

「なんと私!外へ出てこんな物を持って帰りました!それに!これはママが心配するから言わなかったけどそれにもっと怒られちゃうし「おい。」そ れ に!モンスターとお友達にもなっちゃたんだよ!」

 

「…………はぁっ!?!?」

 

 突然のカミングアウトの数々と、共に出される証拠により脳が止まるガレアス少年。

 

「いやいやいや、百歩譲ってこの街から出た事は何も言わない、それみれば解るからな、だが、モンスターとお友達にってどう言う事だ?絵本の読み過ぎで、頭メルヘンになっちまったか?」

 

「いやいやいやいやいや、頭メルヘンになった訳じゃないし、本当だよ?、ガランゴルムは優しいんだよ!」

 

「ガランゴルム!?」

 

「そう、ルナガロンとの地獄の鬼ごっこを中断してくれた救世主!」

 

「ルナガロンに追われた!?ガランゴルムに助けられた!?……もんなにがなんだか、ふぅ……」

 

 聞いた話の断片だけでもうお腹いっぱいになるガレアス少年。要点を抑えるために改めて質問する。

 

「お前、勝手に出て行った訳じゃないよな?」

 

「うっ、…てへっ?」

 

「全部察した。信じるわけでもないが、お前が途方もない馬鹿だと言うことはよぉ〜く理解した。」

 

「嘘じゃないもん!本当だもん!ガランゴルムは優しいんだよ!」

 

「あ〜〜そうだな、それは世紀の大発見だ。研究者が聞いたら目の色を変えるだろうな。」

 

「適当に流してるでしょ…あっそうだ。」

 

 もう既に自身の体験した大冒険の、その殆どを語る事なく流されている事に不服になりつつも、母親からの言い付けを思い出し、ガレアス少年に話してみる事にする少女。

 

「何だ?急に呆けた顔して。」

 

「急でごめんだけど、このジオードとコパールをいい感じに売り飛ばせる所知らない?、そこらの雑貨屋にこれを見せても困るだけでしょ?良いとこ育ちのガレオス少年なら、何か良いとこ知ってるでしょ?」

 

「知らないよ、子供に何期待してんだよ、そもそも、そうやってハンターでも無いのに無断で外に出て物を取って来るのは密猟扱いで死刑だぞ。」

 

「え"っ!?死刑!?」

 

「嘘だ、「は?(殺意)」……。だが、禁止されていることは事実だ、そんなの認めてたら貴重な物や生物が取り尽くされちゃうし、第一沢山の人が死んじまう。今更戻すのも土台無理な話、それは諦めて家宝にでもするんだな。」

 

「そっそんなぁ、無駄骨じゃん……、でもお母さんそんなこと言ってなかったよ?番兵さんも何も言ってなかったみたいだし。」

 

「街の外の方はそこんとこ緩いからな、そこで暮らしてる奴もそれが普通だと思ってる節もあるし、番兵も目を瞑ってくれたんだろ。さっ、これに懲りたなら、さっさと帰れ帰れ。俺も暇じゃ無いからな。もうそろそろ訓練だ。」

 

「あれ?そう言えば今日はずっと騎士になるための訓練じゃ無いの?こんなとこにいて大丈夫?」

 

 何気ない切り返しが、少年の突かれて痛いところを突き刺す。

 

「うっ、ひ、昼休みだからな、もうこんな時間だ、俺は戻らないと行けないから、ではこれで。」

 

「あっ、バイバイ…、言っちゃった。…はぁ、無駄骨か…。」

 

 風の様に立ち去るガレアス少年を背に、いつもの活発な様は何処へやら、トボトボと帰路に着く少女であった。

 

 

……………

 

 

「え?そうなの?出る人は普通に出ちゃうから知らなかったわ。」

 

 娘からの報告にそう反応する母親。別に学がある訳でもなく、此処に住み着いてからそう言ったことも聞かず、街の外の(と言っても今回ほど遠くはないが)にでることも、まぁ珍しくはない。

 

「まぁ、貴女が取って来たなら貴女がどうにかしなさい、私はもう知らないわ。それよりあんまり迷惑かけないでちょうだい。」

 

 そう言う母親の言葉を聞きつけたちびっ子達が騒ぎ始める。

 

「え?自分で手に入れたら自分でどうしてもいいの?なら僕も行きたい!」

 

「お兄ちゃんだけずるい!僕も!」

 

「私も!」

 

 裕福ではないため、基本的に子供間でのおもちゃは家族共有だ。彼、彼女らに対して「自分だけの物」と言う言葉は、それはそれはとても特別な意味を持つのだ。しかし、だからと言ってその身を危険に晒すなど許すはずもなく。

 

「私は迷惑をかけるなと言ったんだよ?」

 

「「「はぃ。」」」

 

 優しく、そう言い聞かせると大人しく引いていくのであった。

 

 

 

 そして夜がやってきた。あの日の夜とは全く違う、『日常』の夜。

 文字通りの命懸け、自然の元で開かれた、命と命の真剣勝負。何もかもが真逆で違うたった一晩の記憶。そう、まだ一日しか経っていないのに、一ヶ月、いや、一年か、少女の中ではそれ程までに懐かしく、そしてこれ以上なく安心できる夜である事は、確定された事実であった。

 

 そんな少女の思考は、とあるモンスターについての事で支配されていた。

 

「もう一度、会ってみたいな、もっとちゃんと話してみたいな。」

 

 とあるモンスターとは勿論、ガランゴルムであり、ジオードとコパールの件がひと段落すると、次に湧いて出て来るのはガランゴルムとの交流だ。

 

(あの瞳、あの穏やかな表情。図鑑で見たのとは全然違う。他のモンスターも違うのかな?少なくともルナガロンは図鑑よりもっと怖かったなぁ。ルナガロンはどんな子育てをするのかな?やっぱり厳しいのかな?)

 

 この一件は、少女の中で、外に対して、モンスターに対しての知見を変えさせるのには十分であり、燻っていた好奇心を一気に焚き付け、若く、激しく燃え上がる焔となろうとしているのであった。

 

 

 

……………

 

 

 次の日、少女の姿は街には無かった。

 

「すごい、街って外から見るとあんなんだったんだ……。」

 

 ちょっとした小山に登り、街の城壁と教会、そしてその足元に広がる城下町。自分の家が何処にあるか、友達の家すら分からない。

 街の中心をぐるりと覆う外壁の中にはどの様な光景が広がっているのか。

 

「あそこは余裕のある人しか住めないって、ママが言ってたなぁ、ガレオス少年も入れてくれなかったし。なによ、「お前じゃ無理、世界が違うからな。」って、なんだか腹立ってきたっ。」

 

 そう言い捨てると、足下の小石を蹴り飛ばし、街に背を向け記憶を頼りに気になる恩者を探しに行く。

 

「うへぇ、こんなにだっけ?よくたどり着いたわ、やっぱり私って凄かったりして!?」

 

 自画自賛しながら足を運んでいると、大きな通りに出た。

 

「わぁ、街の中心へと続く道と同じくらい広い……。しっかりと踏み固められてる、図鑑で見た通りだ。間違いなくモンスターの徘徊道。」

 

 徘徊道…。それは獣道の上位互換とも言える自然にできた道だ。力強く、強大なモンスターが使うものともなると、草を潰し、木を薙ぎ倒し、岩をも砕いて突き進み、更にその道を使い続ければ、それは人が作った道と大差ないものとなる。これらは、かなりの数のハンターがお世話になっているのではないだろうか?

 

「足跡が一方に続いてる…、そしてこれはおそらくガランゴルムの物。もうすぐ会える!」

 

 そう辿り着くや否や、駆け足で足跡を辿る少女。そして…

 

「いた!寝てる……。」

 

 

ゴゥ…シィ………

 

 

 一際目立つ、巨大な苔むした岩石の上で、木漏れ日を受けながら、腕を枕とし静かに、しかし強大な威圧感を与えながら、ただ、無垢なるままにそれは眠り続けていた。

 

(起こしちゃ悪いよね?ちょっと観察しよ。)

 

 いい感じの場所に座り込むと、気持ちよさそうに眠り続けるガランゴルムを見上げ興味深そうに眺めながら、いつの間にか居たエンエンクと共に時間を過ごす。

 

「zzzzz……?」

 

 どれほど眠り続けただろうか、急に視線を感じて目を開ければ、そこには此方を興味深そうに見つめるガランゴルムの姿があった。

 

「ッ!?!?いつの間に!?てか落ち着け私…慌てちゃ相手を刺激しちゃう、ここはクールにいくわよ…。」

 

 急に百面相を繰り広げる謎の生物に更に興味を持ったガランゴルム。

 何せ自然に置いて、ここまで表情がはっきりわかるものなど多くなく、「いたずら」を知っている『奇猿狐』 ケチャワチャや、『天狗獣』 ビシュテンゴくらいだろう。何より、この生物はそれらよりももっと分かりやすい。

 

「……こんにちわ、元気してた?」

 

 取り敢えず、右手を控えめに振りながら挨拶をしてみる少女。

 

 

………?

 

 

「あっ、挙げた。」

 

 その表情はよく読み取れないものの、どこか首を傾げている様にも感じた。しかし、その堅牢な右腕は、少女の様に少し控えめになりながらも、確かに挙げていた。そしてその現実は少女を激しく興奮させた。

 

「真似した!通じてるの?そんなわけないか、でもでもこれはすごい!すごい事よ!!やっぱりあの時のあなたで、私の幻覚でも無かったって事だわ!じゃあこれも!」

 

 

…………!

 

 

 突然はしゃぎ回る謎生物に少し驚くものの、その様子から見るにとてもいいことがあった様で、どこか気分が上がってきたガランゴルム。その後に出されるジェスチャーの数々を、今までに無かった全く新しい発見をガランゴルムは楽しみ始めていた。

 そうまるで、全てが眩しかった幼体の頃に戻ったかの様に、その目は気持ち細められ、その強固な口角は、目の前の少女の顔を真似る様に吊り上がっている様だった。

 

 

 

…………………

 

 

 時は経ち数日後、彼女たちは、人同士で言う友達にまで発展していた。

 

 

「高い!高い!いいなぁ〜、こんなにすごい目線からの世界は楽しいんだろうなぁ!」

 

 そんなことを言う少女の姿は、ガランゴルムのその頑強な肩の上にあった。

 

「でも乗り心地は良くないわね。わっ!ちょと今わざと揺らしたでしょ!」

 

……………?

 

 まるで知らないとでも言う様な気配を放つガランゴルム。言葉が通じているわけではないが、少女は、ガランゴルムの目と、後は勝手な脳内補完で、ガランゴルムは野生の感とも言うべきもので相手の大まかな伝えたい事を把握していた。

 

「ごめんって、でもこんなに高い視界を持ってるのは凄いよ!だから機嫌直して?」

 

 褒めて機嫌をなおそうとする少女。しかし既にガランゴルムの興味はそこに行ってはおらず、目の前の足跡に注がれていた。

 

 

……シュゥンッ!

 

 

「この鼻息は!…多分不機嫌な証。てことはこの足跡はよそ者ってことか。誰だろう?ガランゴルムの縄張りを争うとする命知らずなすっとこどっこいは?」

 

 足跡を見つめながらそう考えていると、突然、ガランゴルムが興奮した様に、いや、実際に興奮してある方向を見ながら、胸を叩き軽く咆哮をし始めた。

 

「え?なに!そこにいるの!?うわっ!ちょとちょっと!?危ないよ!先に下させて!」

 

 そしてこれにたまらないのは肩に乗っている少女。ただでさえ乗り心地が終わっているのに、こんな事されては黙ったものではない。しかしながら、既に肩に乗せた小さな友人の存在を忘れて、全神経を此方に向かってくる侵入者に向ける。

 

 そして今。森の中から凄まじい破片を撒き散らしながら、そいつは現れた。

 

 

ゴァッ!? フシュンッ、グッ

 

 

 薄い赤色をした体表に、黒い毛皮と2本の強靭かつ巨大な後ろ足。鱗が少なく甲殻すら持ち合わせないのは強者の証。そして一際目に着く発達したその顎門、そしてその巨大。高さという面ではガランゴルムに匹敵するその巨躯か、自身の倍近く飛び上がって突っ込んで来たのだ!

 

 狙った獲物は必ず仕留める、流したとしても、例え地平線の彼方へ逃げようとも、その血を嗅ぎつけ何処までも追い詰める。獲物を腹に送るまで、最後の最後まで追い続ける。

 

 『蛮顎竜』 アンジャナフだった。

 

 

ギュァァァアッーーー

 

 

 よく耳に響く高音の咆哮を放ちながら、ガランゴルムに躍りかかる。

 

 

ゴゥッ!? フシュン!

 

 

 アンジャナフはガランゴルムの左腕にその顎門を食い付かせると、全身の凄まじい力を持ってして引きずり倒そうとする。

 が、そうはさせなと右腕でアンジャナフの顔をぶん殴り、無理矢理外したガランゴルム。アンジャナフは頭を振りながらもすぐさま体制を立て直し、いつでもとびかかれる姿勢を保つ。

 

 睨み合う両者、先に仕掛けるのはアンジャナフ。頭部目掛けて上半身を起こし上から噛み掛かる。

 

 

ゴァッ!!フシューッ、オォッ!

 

 

 が、それをわざと左腕に噛ませ、そのまま組み伏せようとする。

 が、が、しかし、全身を鞭の様にしならせ拘束を解くアンジャナフ。

 

「が、頑張れ!ガラゴム!ああ!もうっ!なにもできないの!私は!何か、何か…」

 

 ガラゴム。この数日間で少女がガランゴルムに対してつけた愛称、色々あった様だが…。その話は今するべきではないだろう。

 何はともあれ、目の前で起こるは命と命のせめぎ合い。獣も竜も、己の生存圏を賭けて勝負をする。膨大な生命力のぶつかり合いに、最早人間一人が介入する間もなく、応援しかできない状況に焦りを感じる少女。

 

 そうこうしているうちにも縄張り争いは続いている。

 

ギャォッ、ギァオォォォオオッ!

 

ゴァッ、グゴァッ!!

 

 

 互いに牽制しながら吠え立てる。先に攻めたのはまたしてもアンジャナフ。横から噛み掛かれば、ガランゴルムは頭をすり潰そうと拳を地面に振り下ろし、更にそれを察知したアンジャナフは急いで頭を引っ込める。そこから体当たりをかますものの。重量で勝るガランゴルムに対し、有効打を与えられずに逆にぶっ飛ばされる。防御力においてもガランゴルムに軍配が上がり、この勝負はガランゴルム優勢で終わると思われた。

 

 …話は変わるが、生き物は学ぶものである。一見力任せな脳筋に見えていても、策は考えているものだ。

 

 機転は突如として訪れる。

 

 

 アンジャナフが性懲りも無く首を狙って噛み掛かる。それをガランゴルムは左腕で受け止め右腕を振り払うその瞬間、左腕が押し込まれたのだ。

 

グォ!?!?

 

 引いてダメなら押してみろ。突然掛かった予想外の力を受け止めれずにバランスを崩すガランゴルム。そしてそれの、致命的な隙を許す程自然は甘くは無い。

 

グォッ!?

 

 

 しかしながら隙を隙として晒すほど自然は甘くは無い。すぐさま体制を整えアンジャナフの噛みつきを払い除ける。

 

 アンジャナフの武器は、発達した顎や脚だけではない。アンジャナフには、気を払うべき武器がまだ存在している。それは尻尾であった。逆立つ鋭い棘、身体のバランスから自重まで支える筋肉までキツキツに詰め込まれたその靭尾は、一振りするだけで途轍もない破壊力を宿すのだ。

 無理なバランス修正を行った直後にこの一撃。ガランゴルムが倒れ込むのは必然であった。

 

 すぐさま首元に食らいつくアンジャナフ。ガッチリとホールドして離さない。こうなってはもうダメだ。

 

 

 ここでアンジャナフのスペックについて少し語ろう。アンジャナフは生粋の捕食者である。筋肉の成長を阻害する外殻をほとんど持たず、それゆえの身軽さも相まっての防御度外視超絶アタッカー。それがアンジャナフだ。

 その筋力はあの無双の狩人として知られる、『雷狼竜』 ジンオウガでさえも振り回し、挙句の果てには砂漠の暴君『角竜』 ディアブロスでさえも、振り回し、一時的に押さえつけてしまう程だ。

 

 幾らガランゴルムと言えどマウントを取られた状態では、

 

 

ズドンッ!

 

 

 こうなってしまうのも無理はない。

 

「やめてッ!、ガラゴムを傷付けないでッ!このストーカー獣竜変態モンスター!さっさと離してよ!」

 

 引き摺られ、掲げられたと思ったら振り落とされる、その牙が通らぬならば、無理矢理にでも食い込ませよう。その命が強大ならば、存分に痛めつけよう。もはや振り解くことも出来ずに成すがままのガランゴルム。

 その様子を見ていながらも何もできない自分を少女は呪った。が、呪う程度誰でもできる。問題といえば、呪っても死なないくらいだ。呪うくらいなら、それ程までに悔しいならば考えろ。非力な人間ならば、だからこそ考えろ。道具を使って、格上にすら一泡吹かせてみろ!それこそが人類の歴史そのものだ。

 

 少女は周りをつぶさに観察した、そして見つけた、打開策を。

 

「いた!慎重に捕まえて、石に巻き付けて、と。…スゥッ。」

 

 そうして息を吸う。

 

「ガラゴム!弾いて!」

 

…………?…………!

 

 すっかり弱り果てたガランゴルムにも、友人のその声はしっかりとその耳に届いた様だ。投げられたものを見るや否や、少女からの突然の大声に動きが止まった隙を見て、それを弾き砕く。

 

 

ギュォッ!?!?

 

 

 放たれるは眩いばかりの閃光。目を焼かれたアンジャナフは堪らずガランゴルムを投げ捨てると、見当違いなところに攻撃を始める。

 その隙に体制を整えたガランゴルム。怒りに燃えるその双眼で敵を見据え、右腕に爆破岩を、左腕に水苔塊を纏わせ、更に顔面にまで、その両方を纏わせ、今までで一番の咆哮を放つ。

 

 

 一方閃光から回復したアンジャナフ、その様子を見るや否や、咆哮を放ちながら喉元に膨大な熱を蓄積し、背中の格納できる膜を広げて熱の排熱を促しつつ、威嚇の意も込めて展開。更にこれまた格納できる巨大な鼻も展開。例え逃げても追い詰める。その決意のもと、敵にその双眼見据える。

 

「………っ!頑張れ……。」

 

 先に仕掛けたのはガランゴルムだ、仕返しと言わんばかりに右腕を地面に叩きつけ起爆、跳ね上がる巨体はその質量を伴い、左腕を振りかぶって叩きつける、しかしそんな大雑把な攻撃が当たるわけもなく、着地狩りと言わんばかりに莫大な量の炎を吐きつけるアンジャナフ。それらを水苔塊を纏った左腕で受け止め、吐き終わったと同時に右腕をアンジャナフの頭部左側面を殴り飛ばす!

 

 ぶっ飛ばされるアンジャナフ。更に趣旨返しのいま込めて、マウントポジションを取ると巨大なまで顎を上から押さえつけ、左腕を思いっきり叩きつける!

 

 

ッグ!?!?

 

 

 アンジャナフの喉元は膨大な熱が蓄積されているが、それ故にデリケートであり、そこに水と衝撃のダブルコンボが決まればそれは、致命的な内部起爆を引き起こしてしまうのだ。

 さらに今回は無理やり口が締められてしまった為に、本来吐き出される物が吐き出されずに、考えるのも悍ましい苦痛が約束されてしまった。

 

 

 押さえつけ付けられていたアンジャナフは、その衝撃によりリミッターが外れた様で、それはもう凄まじい力でガランゴルムの怪力を振り解き、すぐさま背を向けて走り去ってしまった。

 

 

「そうだそうだ!どっかいっちまえ!変態!追撃は勿論…しないよね。それでこそガラゴムだわ!」

 

 …………

 

 

 手負いの生物が一番危険だと、その身の命で身を持って知っている。故に絶対に追撃は行わないガランゴルム。それは恐ろしさもあるのだろうが、その根幹にあるのは……次も勝てるという自信だろうか?

 

 

 

 何はともあれ危機はさった。日を見ればもう既に夕暮れ時、少女は森のはずれまで運んでもらうとお礼を言い、元気よく街に向かって駆け始めた。

 

 その背を見送るガランゴルム。

 ガランゴルムは感じていた。あの愉快な生き物は、自身の変わりない、殺伐とした生き方を変えた、特別な存在だと。命を助け、助けられた、それも異種族間で。本来なら決して起こり得ない事象。それ故に、あの生物は特別であり、また、自身も特別だと感じられた。顎よりも、爆破蟲よりも、うざい奴よりも、冷たい奴よりも。…そしてあの、紅い超常よりも…

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

少女

 

性懲りも無くガランゴルムに会いに行った。本人は危険な事だと思っていない。父親譲りの無鉄砲

 

ガレアス少年

若き日のオリジナルガレアス。親友の性格的によく親友が捌かれるせいで連帯責任により遊べなくなる事が多い。

 

母親

現実世界で罹ると割と洒落にならない状態ではあるが、モンハン世界の住人は頑丈なので、まだこの程度で済ましている。タイムリミットは…

 

 

今の城塞高地

 

ガランゴルム

こいつからは邪な気配は感じない。あとなんか面白そう。

 

 

アンジャナフ

トロイだけのゴリラなんざ俺様の敵じゃねえぜ!

 




いゃぁ、長くなった気がしないでもないが、んなことはどうでもいいさ、これでガランゴルムの事が好きになってくれればそれで良いんだ!
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