ガランゴルムは少女にお花をあげる系モンスターなんだ!   作:Ωが来た!

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なんか赤くなってて草ぁ!?
すみません、2話め書いてそのまま満足して忘却してました。
あと最近左人差し指部位破壊されて大変だったのもあります。
後長いです


大地より出る

 

 

 少女がガランゴルムと出会ったあの日から、彼等彼女等は度々顔を合わせては、自然を満喫いていた。

 

「2日前はかなり遅れちゃったからバレるかと思ったけどなんとか誤魔化せたよ!それで会えなかったのは残念だけど。その分もっと遊ぼうね!」

 

ウゥ……

 

「どうしたの?ガラゴム。何か心配事?なら任せて!悩み相談ならどんとこいだよ!」

 

 いつもならもっとはっきりとした返事をくれるのだが、彼らしくもないその返事を聞き、胸を張ってそう答える少女。

 

シュぅ〜〜。 ウッ ウッ

 

「どうしたの?ガラゴム?何?帰れって事?まだ来たばっかりじゃん!確かに今日は遅れたせいでもう太陽はてっぺん過ぎちゃってるけど、遅いなんて事は全然無いよ!昨日やりたかった事もやろうよ!ほら、ドスヘラクロス捕まえてガレアスと、アルローびっくりさせよって約束したじゃん!昨日その事であいつ、『ドスヘラクロスはどうしたんだ?まっ、どうせお前に捕まえられるわけなかったか、見ろっ、この俺の完璧なドスヘラクロスを、俺はこいつに【将軍】と名付けた!』なんて言って煽ってきたんだよ!あのクソガキ許せねえよなぁ!?」

 

 唐突に早口になったかと思うと、変にうまい口調で煽り自慢を熱弁したあと勝手に自爆して怒り状態に突入する少女。

 

グゥ? ぅ う ぅ

 

「落ち着けって?…そうだよね、いない相手に何言っても無駄だった。だからこそ!今日ドスヘラクロスを見つけて見返してやるんだ!」

 

ウッ ウッ

 

「……どうしたの?、何かに、怯えてるの?」

 

 今までに、ガランゴルムからのからかいを受けた事もあり、それもその一環だと対して本気にしてはいなかったが、ここまで真剣に向き合って伝えられると、これは冗談では無いと感じた少女。

 

ゴウゥ ゴァゥ ウッ

 

「下?どうしたの?下が何かおかしいの?」

 

 仕切りに拳を軽く地面に叩きつけ、何かを伝えようと鳴き続けるガランゴルム。

 

「地中にモンスターがいるの?でもそんなの出来るのディアブロスとかモノブロスくらいだし、どちらもこんなところには来ないから…本当にどうしたの?」

 

〜〜〜〜ッ!

 

!?!?!?

 

 それは本当に遠く、遠く、小さな響き、もはや何か形容する事すら叶わないほどに小さな響き。しかし、野性を生きる者にとっては、捕食者の咆哮を耳元で食らったかのような衝撃的な響き。

 

「本当にどうしちゃったの!ガラゴム落ち着いて!お願い!」

 

ゴァ!ゴォゥ!ウッ!

 

 しかし、残念ながら、少女の耳には届かない。突然暴れ出すガランゴルムに対して、この小さな体ではどうしようも無い。

 すると、必死に宥めようとする少女の目の前に、巨大な拳が叩き落とされた。

 

ドスン!

 

「ひっ!……え?なんで?」

 

 あり得ないと思っていた。…あり得ないと信じていた。

 あまりの恐怖と衝撃で固まる少女。ここで腰を抜かさなかったのはここまでくぐり抜けてきた死線故か。

 

フ!………

 

 すると正気に戻ったのか、何処か申し訳なさそうに、もう片方の腕を差し出すガランゴルム。しかし、その手が取られる事はなかった。

 

「近づかないで!」

 

!!!!

 

「近づかないで…、信じてたのに……。もういい!ガランゴルムなんで知らない!」

 

 言い切ると同時に街へ駆け出す少女。

 

ウ………

 

 残された獣はただ一頭。自身を恐れて逃げていく友の背を眺めていることしかできなかった。

 

 

〜〜〜

 

 

「うぅ〜…、ガラゴムのばかぁ……。あれ?これってもしかして…」

 

グルル……

 

「は!」

(アオアシラ!ここはまだガラゴム縄張りのはず。格下のあいつがどうしてここに?それに何か様子が変。殺気立ってるの?)

 

 本来ならいるはずもないアオアシラ、さらにその様子も変だと成ればとある心配が頭をよぎる。

 

(街は大丈夫なのかな?早く帰らないと。胸騒ぎがする…。」

 

 一刻も早く帰らなくてはと、足を早める少女。しかし…。

 

(ラングロトラ!しかもさっきのアオアシラと同じだ…)

 

 

 

(ヤツカダキ亜種まで!?!?どうなってるの!)

 

 道を阻むかのように、今まで出会わずに済んだモンスター達に足止めをされてしまう少女。さらにその明らかに普通とは言い難い雰囲気に、胸のざわつきは治るどころか酷くなっていくようだった。

 

(もう少し、もう少し、)

 

「え?」

 

 その殆どをくぐり抜けた頃には、とうの昔に日は沈み、いつもより一段と紅い月が昇っていた。

 そして少女が見つめるその先は、まさに地獄と形容する他ない者であった。

 

 気でも狂った。いや、実際に狂ってしまったのだろう。我を忘れ、もはや暴れることしかできない怪物達が、城下を押し潰し、城壁を食い破らんと殺到していた。

 

「そんな…、どうして?」

 

 駆け出す少女。目に飛び込んでくる凄惨な惨状を受け止めつつも、彼女は冷静であろうとした。

 むやみに城下に行くのではなく、川へ流れ出る下水路から街への侵入を試みる。しかし、

 

「ひっ!?!?…ヴッ!」

 

 下水路の出口、そこは城下で流されたナニモノかの血肉と汚水で満たされていた。

 嫌が応でも城下の凄惨さを伝えてくるその地獄の入り口に、胃をひっくり返したくなる衝動に駆られるもの、何とかこれを我慢し、家族を、そして友達を、

 

「私が行ってどうなるの?」

 

 至極真っ当な考えであった。家族が、友が危険に晒されたとして、非力な自分が助けに行って何になる?助けられる人を増やすだけではないのではないか?今、街の中では必死に騎士達がモンスターの侵攻を食い止めようとしている筈だ。今自分が行っては彼等のお荷物になるだけではないのか?

 

「ああああっ!関係ない!私は!大切な人が命の危機にさらされて!じっとしていられる人間じゃないっ!!」

 

 迷いは自分で断ち切った。やる事は自分で打ち立てた。あとは行動するだけだ。

 いざ、地獄の入り口へと足を踏み入れた。

 

ア"ッ!!

 

誰がaッ!?!

 

ぐぞぉぉおおoッ

 

これ以上は守り抜けない!防衛線を下げるぞ!

 

 

 地上から聞こえてくるのはどれまあ悲惨なものばかり。誰かの断末魔。知ってる人の断末魔。騎士達の悲壮な覚悟のその最後。

 

 そしてそれだけではない。地上を蹂躙する怪物達の恐ろしい咆哮。だけではない、その咆哮も、ただ痛みに声を上げているだけであったり、まるで纏わりつく何かを振り解くような、そんな咆哮もあった。

 

 

「此処を出てすぐ右側が私の家、相変わらず地響きと咆哮はするけど待ってもいられない。」

 

………

 

「ふぅ〜、はぁ!」

 

 外に飛び出てまず目にしたのは死体だった。家を潰すようにして斃れた怪物の死体、踏み潰された住民の死体、鎧を穿たれた騎士の死体。

 

「熱い!燃えてしまっている…私達の街が…」

 

 そしてそれ等を糧に燃え盛る業火であった。

 

「家が!」

 

 そうして走り出し、我が家の元へ向かうと、そこは見るも無惨にひしゃげた石と木の残骸であった。

 幸いにも燃えてはいなかったが、それも時間の問題だ、現に隣家はもう半分以上燃えている。延焼するのももう間も無くだろう。

 

「お母さん!皆んな!何処なの!帰ってきたから!お願い返事して!」

 

 記憶を頼りに皆が使っていた部屋を探して、その残骸をどかす少女。

 

 そして初めに見つかったのは母であった。

 

「お母さん!?お願い目開けて!死んじゃダメ!」

 

「……、あぁ、逃げなさい…、もうこの街はダメよ。騎士様達を探して早く逃げなさい……。」

 

「お母さんは?お母さんも早く逃げないと!…………もんすたぁにたべられちゃうよぉ…………」

 

 母のその姿に、絶望的なその姿に涙が込み上げる少女、しかし、ここで大声で泣いては行けない。理性を保たなければ死んでしまう。

 

「貴方は賢いから、分かってるでしょ?もう私は持たないわ。忘れてるかもしれないけど、知ってる?私って病気なのよ?。」

 

「わすれてた、だってげんきなんだもん、だからこんぐらいのケガじゃお母さんはへこたれない!」

 

「…はぁ、いい?よく聴きなさい。」

 

「嫌!聴きたくない!」

 

「聴きなさい。いい?」

 

「………(コク)」

 

「いい子ね、貴方も知ってると思うけど、この事態に騎士様が我が身を顧みずに戦ってくださっているわ、それと同時に住民を避難所へ誘導もしてる。見つけるのは大変だわ、モンスターも彷徨いてる。でももう私は貴方に何もしてあげられないの。貴方が頑張るしかないの。こんなに早く苦労させちゃう事になって……。本当にごめんね?」

 

「うぐひっ…いいよ、お母さんは私達の為に頑張ってくれたから私も頑張る。下の子達は?」

 

「あの子達は、お友達と遊んだっきり、わからないわ、本当にごめんね…本当に………。守ってあげられなくて……こんなに非力で…ごめんね…。」

 

「全然非力じゃない!、お母さんはモンスターなんかよりも、騎士たちよりもずっとずっと強い!私ももっと頑張るし、みんな守るから!」

 

「うふふ………それを…き……まんぞ……く…よ…。」

 

「お母さん?まだダメ!まだ……おはなしおわってない、終わりたくないよぉ……。」

 

 母を亡くし、泣き崩れる少女。しかし時間は待ってくれない。事態は好転しやしない。

 

ズドォーーーーーンっ

 

 街を揺るがす大音量。それは、最後の砦が破られた、城壁の悲鳴であった。

 

「そんな…、モンスターが雪崩れ込んでいく…」

 

 遠目に見てもわかる惨状。巨大な槍に突き刺さった二体のモンスター。

 橋の下には落下死したモンスターにも折れた巨槍が突き刺さっている。

 

「は!ガレアス!アルロー!まだ城壁の中にいる!」

 

 事態の悪化とそれに伴う友の危機に、駆け出す少女。行先はまたもや下水路。全ての下水路は繋がっており、城壁内外も例外ではない。

 しかし、その不衛生さと、迷路のように張り巡らされたその造り、更にはモンスターが湧いていると言う噂により、皆近寄らず、また、その関心を向けてはいなかった。

 しかし少女は違った。友達二人を連れて何度も探検に繰り出した。その経験が、今生きているのだ。

 

「ひどい…。」

 

 城壁内は惨劇を極めていた。逃げ込み、後が内避難民と、それ等を必死に守る騎士達。そして互いを攻撃しながら暴れ回るモンスター達。

 

「!?!?!?」

 

 すると、凄まじい気配を感じ、思わず空を見上げるた、そしてそれは、逃げ惑う避難民から、暴れ回るモンスター達まで、皆が一様に空を、ある方向を見上げていた。

 

「メル・ゼナ…。」

 

 誰かが言ったその名前。伝承にのみ存在するとされてきた、『爵銀龍』の異名を冠するかの古龍。

 

…………

 

 

 その頭部はまるで髑髏のよう。その翼は気品を保ち、その風貌は高貴な佇まい。美しい白銀の外殻と、紅い、体毛のような物をもつ。三叉の尾を携え、こちらを見下げる超常の絶対者。

 

 紅き月を背に携え、悠々と降り立つメル・ゼナに、モンスター達は恐れ慄き逃げ去り、人間達はその場で固まってしまう。

 絶対者を目の前に、皆が死を覚悟したその瞬間。

 

うぉぉぉぉぉおおお!!!

 

 

 静寂を打ち破るは雄叫び、見れば一人の騎士がメル・ゼナにその一撃を浴びせた所だった。

 

「そんな、全然びくともしないなんて…。」

 

 見れば苛立ちを隠せない様子の爵銀龍。己に歯向かう愚か者を潰さんとその翼を叩きつけ潰さんとする。

 

「うお!?クソッ!早く逃げろ!俺が時間を稼ぐ!いいから早く逃げろ!」

 

 そうして、その勇敢な騎士は、一撃一撃が命取りかつ素早く、正確な攻撃を決死の覚悟で捌いていく。

 

 

 そして少女は、勇敢な騎士が声を掛けたそこに目を向けると、

 

「ガレアス!?生きてたんだ!」

 

 そこにはもう一人の騎士に抱えられる見知った友がいた。

 すぐに騎士に駆け寄る少女。

 

「ガレアス大丈夫!?怪我してるの!?」

 

「え? なんでここにお前がいる!?」

 

「助けに来たの!わからない!?」

 

「お嬢ちゃん、家族は?早く助けなければ!」

 

 走りながらそう問答する3人。既に皆恐怖と焦燥で散り散りになっていたのだ。

 

「お母さんは…、うぅ…でも弟と妹が何処行ったかわからないの!」

 

「っ!お母さんは…クソッ!なんて俺は無力なんだ!お嬢ちゃん!弟と妹。この騎士の名に掛けて、必ず助け出すと約束しよう!おいガレアス!抜けた腰は戻ったのか?」

 

「え?ガレアス腰抜けてたの?怪我じゃなくて?ふぅ〜ん。」

 

 そう騎士が聞き、少女が反応すると、ガレアスは顔をババコンガの如く真っ赤にさせて、騎士の腕から飛び出してそのまま先に進んでいってしまった。

 

「あ〜なんだ、何も触れないであげてくれないか?」

 

「わかりました。」

 

 

〜〜〜城壁内脱出〜〜〜

 

 

「待ってガレアス!先に行きすぎるのは危ないって!」

 

「そうだガレアス!ここで体力を使い果たしても生き残れん!…どうしたガレアス。急に止まって。」

 

「…なぁ、こいつ等って、お前んとこのじゃね?」

 

 見つけたのはたまたまだった。ちょうど、そこに朝日が差し込んで、

たまたまガレアスの視界に入っただけであった。

 

「え?」

 

「おい、君…もしや!」

 

 そうして騎士と少女が変えよったそこには、瓦礫の隙間に身を寄せ合う5人の子供達だった。

 

「みんな!?無事だったの!」

 

 そうして内3人か瓦礫から飛び出し姉である少女に泣きついていく。そして言葉下手に、今まで起きた恐ろしい出来事を、泣きながら話すのであった。それはまるで、恐ろしく、声を必死に堪えた分を吐き出すかの如く、それに釣られ残りの2人も騎士とガレアスに泣きついた。

 

「ちょ、俺に泣きつかれても無理だって!」

 

 

〜〜〜

 

 

 城下町を出るか出ないか、そこで奴は現れた。

 

「そんな、こんな時に【王域三公】がっ!」

 

 碧く冷たい鱗。恐ろしき唸り声をあげ、赤く染まった鋭く剛き爪を持つ。かの因縁の相手。

 

 突如現れた格好の獲物に、涎は止まるところを知らず、堪らず咆哮を上げる『氷狼竜』ルナガロン。

 

「クソ!ここは俺が引き受ける!お前等は早く逃げろ!」

 

「でもおっさんは!」

 

「俺はおっさんなんて言われる歳じゃない!とっとといけ!」

 

「ダメ。」

 

「何!?悔しいがおっさんの言う通りだ俺等には逃げるしかねぇ、早くいくぞ!」

 

「それじゃダメ!騎士さんが抜けたら誰がみんなを安全に送るの?」

 

「それは…でもここで死ぬよりは逃げたほうが「私が引き付ける」は?」

 

「私に当てがある。お願い騎士さんやらせて。」

 

「許可できるわけがないだろ!早く逃げろ!今あいつは様子を伺ってはいるがそれももう終わる。早く!」

 

「貴方はここで死んだらダメ!私が行く!」

 

「おい!ダメと言って、何してるやめろ!止めるんだ!」

 

「おーい、負け犬!私のこと覚えてるぅ?、そう食べ損ねたクソガキよ!また追いかけっこしない?ま、格下にまで負けるザコザコな負け犬さんにはつかまえられっこないかぁ!」

 

ブチッ

 

 はっきり聞こえたわけではない。しかし、その場の人間全員が確かにそう聞こえた。

 

ウォーーーーンッ!

 

 体は膨張し、碧き鱗は展開され、纒う冷気は実体となって身を包む鎧となり、後ろ足で立ち上がり、天に向かって吼えたてる。その姿は遠目に見れば狼男とも呼べるであろう姿に様変わりした。

 

「怒ってる怒ってる。あいつ絶対人の言葉知ってる!」

(あの肩の傷、やっぱりあの時のルナガロンだった。鼻がいいなら私の事も覚えてると思ったけどこれは予想以上ね。)

 

「じゃ後よろしく!」

 

「おい!お前!待て!」

 

「クソ、助けないと、しかし、幼な子を置いていくには…クソっ、死ぬなよ…。」

 

 

〜〜〜地獄の鬼ごっこ第二ラウンド〜〜〜

 

 

 狼の如く冷たい竜は激怒していた、かつて取り逃がしたあの獲物。己の矜持を踏み躙ったかの憎き肉。

 

 必ず殺す、必ず喰らう。己が本気を出せばすぐに追いつける。あのような鈍足でひ弱な生物程度に劣っている筈がない。なのに、だと言う筈なのに、何故、何故己はあいつに追いつけない?

 

 

 

 少女は地形を最大限利用していた、小さい事、小回りが効くこと、ここをこうしたらこうなると言う考え。前回よりも更に鍛えられた自信も利用し、なんとかルナガロンの追跡を逃れていた。

 

 が、しかし、そもそもの持久力に絶対的な差があるがために、もはや追い付かれるのは時間の問題だ。

 

「でも、それでいい、あそこまで行ければ。それで。」

(身勝手なのは分かってる。勝手に怖がって勝手に去っちゃった私が悪い。私を心配してくれてたのに、それを分かってあげられなかった私が悪い、だけど、許してくれるなら…)

 

「お願い!助けてガラゴム!!!!」

 

 

 

 

グルル………グル?

 

 

 

 

ガァ!!!

 

 

「来てくれた!!」

 

 かくして、少女の願いは聴き入れられた。巨大な獣は1人の友を護るため、宿敵に立ち向かう。筈だった……

 

 

グル?

 

 

???

 

 

!!!

 

 

!!!

 

 

 

 一方を見つめ驚愕する両者、無理もない、空より舞降りるは超常たる龍

 モンスター達を恐怖で従え街を滅ぼしたかの龍。『メル・ゼナ』だったのだから

 

 

 

 

グルルルルル…ウォーーーーンッ!

 

 先に仕掛けるはルナガロン、メル・ゼナすら反応するのも厳しい速度で間合いを積めるとすぐさま懐に潜り込む。

 

 しかしメル・ゼナもそれを易々と許すわけもなく、目の前の脅威に対して反撃を加えようとするも、次の瞬間、強烈な冷気を浴びてしまい思わずのけぞってしまった。

 

 冷気の息吹を吐きつけ、のけぞるメル・ゼナの首めがけて飛び込むルナガロン。そのまま噛み付くと飛び込んだ力を利用し反対側まで首を持っていきメル・ゼナを引き倒す事に成功する。そして前脚で押さえ付けると、勝利を確信して嬉々として首元に喰らいつく。

 

 初めは意表を突からてなすがままになってしまったメル・ゼナ。やられてばかりでは面白くない。首元に食らいつくルナガロンをあっという間に振り解くと、三叉の尾を突き刺し更に龍属性を注ぎ込み、更に尻尾の力のみでルナガロンを持ち上げてしまう!

 

 

キャゥン!?!?

 

 

 唐突な形勢逆転と、腹から感じる激痛と不快な感覚。それと同時に己の力が、凍てる力に蓋をされる感覚が身を襲う。

 

 

〜〜〜〜ッ

 

 

 そして、無礼にも力の差を弁えずに噛み付いてきた愚狼を掲げて睨みつけると、地面に何度も叩きつけ、引き摺り、そのまま飛び上がると空中で一回転、そして地面に叩き落とした!

 

 

…………

 

 

 叩き落とされ、もはや動きもしないそれに、一瞥もする事なく、次は少女と巨大な獣を、その双眼で見据える。

 

 

「いっ、一瞬で……、これが古龍……。」

 

…………

 

 

「え?ダメ!戦っちゃ死んじゃう!逃げれば見逃してくれるかもしれないでしょ!」

 

 

……………ゴゥ……

 

 

「逃げようよ、死んじゃうよ…貴方まで無くしたくないぃ……。」

 

 

…………〜〜〜…

 

 

 どれだけ逃げる事を提案してもガランゴルムは引かなかった。それは友の涙を持ってしても、決して引くことはできない。

 それは自然に生きるものの定め、自らの物は自らの力でのみ護り、維持することができる。それは、食糧であったり、縄張りであったり、番であったり、子であったり、……友であったり。

 逃げてはいけない。少なくとも、ガランゴルムという種族は、逃げる側ではなく、戦う側でありそれは、彼も同様であったのだ。

 

 

 

ゴゥッ ゴァァァァア!!

 

 左に大水苔を纏い、右に爆破岩を纏い、更に顔面にまでそれを纏う。

 手加減するような、出し惜しみするような相手ではないのは分かりきっている。だからこその本気。

 

 先に仕掛けるのはガランゴルム。両腕を振り上げ。前へ進みながら振り下ろす!

 

 メル・ゼナはそのしなやかな体を生かして、あっさりとそれを避け、反撃に三叉の尾を突き出す、が、それをガランゴルムは横から掴み取る!

 

 堪らず解こうと暴れるものの、両腕で掴まれてはいくら古龍といえど振り解く事は敵わず、そのまま地面に叩きつけられてしまう。

 

 ガランゴルムは更に二度目と振り下ろそうとするも、今度はメル・ゼナにまとわりつかれ、その恐ろしく頑丈で、無慈悲なまでに鋭い爪を立てられる!

 

ゴガァ!?!?!?

 

 凄まじい音と共に爪が貫通し、肉にまで到達すると、これに堪らず絶叫をあげなんとか振り解こうとするガランゴルム。そして振り払おうとするという事は、折角掴み取った尻尾を離してしまうという事。

 

 拘束を振り解いたメル・ゼナは、すぐさま飛び上がると龍属性の息吹を浴びせる!…しかしその様子にメル・ゼナは驚いた。

 

 今まで一度も食らったことのない未知の属性を浴びて驚くガランゴルムだが、落ち着いて見れば、全く自身に効果がないことが分かった。

 

 

???

 

 

 身体を軽く見回すも、突き立てられた傷以外に目立った損傷はない。

 

 この反応は予想していなかったのか、メル・ゼナ目の前の生物を明確な脅威と見做し、ここで初めて咆哮を上げる!

 

 

Rooooooooo!!!

 

 

グゥ…

 

「ぅぅ、なんて威圧、ルナガロンや他のモンスターとは比べ物にならない!」

 

 生きる次元が違うとはこの事であろう。ともあれ児戯はここまでだ。よく見ればあれだけ激しく叩きつけられていた筈なのに、その白い外殻には、ヒビひとつ付いておらず、メル・ゼナもたいしたダメージを負っていないように見えた。

 

 

〜〜〜

 

 

 戦いは一方的であった。ガランゴルムの攻撃はその悉くを回避され、逆にメル・ゼナの攻撃は確実にガランゴルムの身体を赤く血で染めていった。

 

 

グゥ…………

 

 

 流れるような連撃に、舞の如くその反撃を許さず、その動きは決して緩む事はなく疲れ知らずの連撃。

 

 対して、強力な一撃も当たらなければ意味がなく、回避は不可能、防御もその殆どを貫通され、身に蓄積された疲労は徐々に体を蝕んでいく。

 

 どう見ても勝ち目などありはしなかった。

 だがガランゴルムは動き続ける。自然に乗っ取り、自然に争う。

 

「ガラゴムぅ……、もう、もう良いから、…貴方を置いて逃げるだなんて、また失うなんて出来ないよぉ……。」

 

 それはひとえに友のため。自分のために泣いてくれる、ただ一人の、世界に一つだけの特別な繋がりのために、ガランゴルムは立ち上がる。決して勝利を諦めない。

 

 

〜〜〜

 

 

 かの龍は激しく苛ついていた。

 

 我が縄張りを侵され、気まぐれに着てみたら、取るに足らない存在一つ処理するのにすらもたつき、愚狼1匹には遅れを取り、更にはどんだけ痛め付けても斃れないデカブツに手間取っているこの状況に。

 

 かの龍は飽きていた。

 時間もない、忌々しい奴が来る。 

 大穴より出る前に、大地より出る前に、なんとしてでも叩き落とさなければならないのだ。

 

 もう終わらそう。

 

 三叉の尾を構え、満身創痍のデカブツの横っ腹を見据える。

 

 胸を貫けばいいか、頭は硬いから面倒くさい

 

 無防備にさらされた横っ腹目掛けて尾を構え、突き出す!

 

 

 

 

 

 

 は?

 

 

 赦さ無い

 

 

〜〜〜

 

 

「まずい!避けて!」

 

 絶死の一撃が繰り出される。しかしガランゴルムはそのままだ。

 

 

 グゥウ

 

 

「え?笑ってる?…の?」

 

 そう、ガランゴルムはこの時笑っていたのだ。まるで

 

 してやったり。

 

 とでも言うように…

 

 

 右腕を地面に叩きつけ起爆させ、そのまま大跳躍。突然のこのに理解が追いつかないメルゼナのど頭に右拳を叩きつける!

 

 

Ruuuuuu!!

 

 

 なんとか体をのけぞらせて避けたものの、今度は右手で顔面を鷲掴みにされてしまう。しかし、メル・ゼナもこれには例え竜の外殻ですら貫き通す鋭い牙を突き立て抵抗する。が、まったく怯む様子を見せないガランゴルム。

 

 鷲掴みにしたその頭を思いっきり地面に叩き、めり込ませる。するとめり込ませた場所を起点に、ひび割れた大地から熱と炎が噴き出してくる。更に間髪いれずに右の大量の水苔を纏わせた拳を叩きつける!

 

 

 赤熱した大地に大量の水をぶち込み、一瞬で蒸発させたらなら、何が起こるか…そう『水蒸気爆破』である。

 

 

 

「きぁっ!?……ガラゴム!?」

 

 

 凄まじい爆風と煙に思わず悲鳴をあげる少女。それも一瞬のことで、彼の名前を呼び、爆心地を心配そうに見つめる。そして出てきたのは…

 

 

Rooooooooo!!!

 

 

「あぁ…そんな!あれでも倒せないなんて!…ガラゴム!お願い返事をして!」

 

 煙が晴れるとそこには、ぐったりと座り込んでとてもではないが動けそうにはないガランゴルムがいた。しかし、その瞳は、しっかりと空を舞うメル・ゼナに向けられていた。

 

 メル・ゼナも、無傷というわけではなかった。その白く美しい頭部と、黄金の龍角は見るも無惨に折れ、傷付いていた。

 そして、それと同時に激しい怒りも感じられた。

 なんとしてでも殺すと言う意志を感じ取られたが、それが実行される事は終ぞなかった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!

 

 

「え?何これ、まるで地の底から、震えるような唸り声は…?」

 

 

 ………Ruuuuuu

 

 地を揺るがす唸り声を聞いた途端、メル・ゼナの意志はその主に向けられていた。まるで、先程までの殺意が、敵意が、激情が、ガランゴルムでは無い何かに、何倍にも膨れ上がってすり替えられたかのように。

 

 

「行っちゃた…。…はっ!ガラゴム大丈夫!?しっかりして!この程度で死ぬほどやわじゃ無いでしょ!ないでしょ…、置いてかないで…。お願い……。」

 

 

 グゥウ

 

 

「え?う、動かないで!傷が開いちゃう!私が薬草を…きゃっ!?」

 

 

 突然動き出したかと思うと、少女を優しく両手で包み込み、ゆっくりと歩き出すガランゴルム。

 

「動かないで!お願い…。」

 

 止められてもなお、その歩みは止まらなかった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

ルナガロン

 

なんやこのメスガキ!わからせたろ!

 

なんやこのガリガリ、食ったろwwwww

 

ぐぇーー、死んだンゴwww……………

 

 

メルゼナ

 

お前を殺す

 

…やっぱりお前を殺すわ

 

ラスボス

 

え?また邪魔されるん?

 

ガランゴルム

 

痛すぎ!!でも一発食わせたからええか、それと嬢ちゃん、いいもんあるからちょっと寄ってかんか?(強制)

 




1万字ってまじ!?!?
ま、お盆だしええか。
次回、最終回です。
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