「──魔理沙アンタね……。いきなり弾幕ごっこなんて無理に決まってるでしょ。」
「なんだよー。霊力の扱いに慣れたいなら実戦が一番だろ?」
「それは魔理沙の話でしょ、人間それぞれその人に合ったペースとやり方があるの。界人さんはまだ弾幕の出し方も今覚えたばっかだし空の飛び方だって何も教えてないのよ?」
二人は何やら討論をしているが"弾幕ごっこ"とやらが何なのか分からないオレは話に入れず置いてけぼりを食らっていた。
「あー悪い、弾幕ごっこってのは何なのか聞いてもいいか?」
「弾幕や能力、スペルカードを駆使して戦う幻想郷特有の決闘法よ。『弾幕を決められた回数分相手に当てる』『事前に決めた枚数分のスペルカードを全て攻略する』『相手を降参させる』のいずれかの条件で勝敗を決めるわ。何か意見が割れたときの決闘だったり単純な力比べに用いられるわ。」
「ちなみにスペルカードっていうのは所謂必殺技とか切り札みたいなものだぜ。そしてスペルカードを使用するときはしっかり声に出して宣言しなきゃいけないっていうルールがあるんだぜ。」
「成程……ありがとうある程度は理解出来たよ。んじゃあそれやろうか魔理沙。」
「おっ。」
「え?」
オレの発言を聞いた二人は気の抜けた声を出して反応する。特に霊夢は目を丸くして不思議そうな表情でこちらを見ている。
「……界人さん、魔理沙はこう見えても弾幕ごっこにおいては幻想郷の中でも相当の実力を。悪いけど今の界人さんじゃ話にならないわよ。」
「別に勝てるとは思ってないよ。幻想郷の戦い方を早めに体験しておきたいだけだ。それにオレもどっちかと言えば体を動かしながらの方が物覚えがいいタイプだしな。」
「……分かったわよ。ただし、ルールは私が決めさせて貰うわよ。──まず、制限時間は10分。魔理沙が使用していいスペルカードは二枚まで。そしてその間に攻撃を一回当てることの出来た方の勝ち。もしくは魔理沙の攻撃を10分間凌ぎきることが出来たら界人さんの勝ち──。それでいいわね?」
「あぁ、それでオーケーだ。心配してくれたのにワガママ言って悪いな霊夢。」
オレはそう言いながら手を伸ばし、優しく霊夢の頭を撫でた。
すると彼女は顔を真っ赤に染め上げ、オレの手を振りほどいて慌てて後ろに跳び下がった。
「なっ!?いきなり何すんのよッッ!!?」
「あー……いやスマン。普段よく妹の頭撫でてやってるからそれが癖になっててな。」
「アハハ!!リンゴみたいに真っ赤なんだぜ霊夢!!」
「~~~ッッうるッッさい魔理沙!!笑ってないでさっさと始めなさいよもう!!」
霊夢はふくれっ面のまま後ろを振り返り、そそくさとこの場から離れていった。悪いことをしたな……。
霊夢が遠くまで行ったのを確認したオレは、魔理沙と十数メートル分の距離を取って足元の小石を拾い上げた。
「さて、このくらい離れとけばいいか……。──魔理沙。オレがこの石を投げるから、これが地面に落ちたタイミングで開始な。」
「あぁ!いつでもオーケーなんだぜ!!」
「先に言っておくが、オレはちゃんと勝つ気で挑むからな。魔理沙も一切手は抜かずに本気で戦ってくれよ。」
「──!」
どうやらオレの指摘は正しかったようだ。魔理沙はオレが弾幕ごっこの初心者ということで手加減しようと考えていたようだ。が、まさかそれを悟られるとは思っていなかったようで目を大きく見開いていた。
そして少しの間オレの顔を見つめ……
「──そっか……よし分かった!お前がそう言うなら正々堂々真剣勝負といくぜ!」
魔理沙はオレの意思を汲み、手加減抜きで相手をしてくれるようだ。
オレは拾った小石を握って軽く振りかぶり、下投げで上空に向かって放り投げた。小石は放物線を描きながら宙を舞い、そしてコツンと小さな音を立てて地面に落ちた──。
──それと同時にオレは右手を前に突き出し、数十発の弾幕を一気に撃ち込んでいく。
(まずは小手調べだ……。これで魔理沙の動きを見る。)
弾幕たちは強い勢いでまっすぐ魔理沙に向かって飛んでいく。が、当の本人は全く微動だにせずそのまま次々と弾幕が着弾して行った。
その衝撃で辺りには小さな白煙が立ち起こり、魔理沙の姿はたちまち煙幕に包み込まれてしまった。
(こんな安直な攻撃で被弾はねぇよな。直撃する寸前で弾幕に弾幕をぶつけて相殺したか、上手いな。──さて……ん、上か。)
グッと空を見上げると、藁箒に跨り煙幕の中から飛び出す魔理沙の姿を視認できた。
「いきなり大量に撃ち込んでくるとはなかなかのご挨拶じゃないか!!」
「ま、あんなんで倒れられちゃ拍子抜けも良いとこだしな。」
「へっ!そんならお返しに弾幕の雨をお見舞いしてやるぜ!!」
魔理沙はパチンと指を鳴らし、星の形をしたカラフルな弾幕を周囲に発生させた。その数はパッと見でも先程のオレと比べておおよそ三倍といった所だろうか。
彼女は左手を勢いよく振り下ろし、その大量の弾幕を一斉に発射し出した。
「ったくッッ……これじゃ雨じゃなくて流星群だってのッッ──。」
オレは能力で弾幕ひとつひとつの軌道と着弾地点を感知し、直撃する一歩手前で後方にジャンプして初弾を回避する。そこから更に、地上を蛇行するように走り回って次々と降り注ぐ弾幕の中を掻い潜っていく。それでも捌ききれない弾幕は、先程の魔理沙を真似して弾幕をぶつけて相殺する。
その様子を上空から眺めていた魔理沙は感心の声を上げている。
「ほぉ、なかなか良い動きをするじゃないか!」
「そりゃどうも!」
オレは走り続けながら左手を銃の形にし、魔理沙に向けて構える。そして指先に霊力を集中させ、魔理沙をよく狙って霊力の弾丸を撃ち出した。
「──?何が狙いか分からないがそんなちゃっちい弾幕、私には通用しないぜ──ってえっ!?ッどわぁ危なっ!?」
魔理沙はまたもや余裕そうに弾幕で対処しようとしたが、弾丸はそれを紙切れのように貫通して行った。意表をつかれた魔理沙はバランスを崩し、体勢を揺らつかせながら慌てて回避した。
「びっくりしたぁ…!なんだいまの…!?」
「霊力を圧縮した弾幕に回転と加速を加えて貫通力を高めたんだ。上手くいくかは分からなかったけど……霊力の操作もなかなか板についてきたな。」
「今思いついて今実践したのかよ……。大した行動力なんだぜ。」
「思い付きと工夫は得意分野なんでな。──ほら、のんびりしてて良いのか?そろそろ4分経過……このままじゃオレの余裕勝ちだぞ?」
「げ!そうだ10分以内に一発当てないといけないんだった!!ぃよっしゃガンガン行くぜ!!」
オレ達は再び構え直し、お互いに牽制しながら弾幕を撃ち合った。両者ともに互角の試合展開のまま3分が経過した──。
第7話を閲覧頂きありがとうございました。
戦闘描写を表現するの難しい……。これから少しずつ上達していけたらいいな。
次話の閲覧も是非ともよろしくお願い致します。