仮面ライダージェイナス外伝 Cの邂逅/二人は捜査官 作:地水
レオンハルトの目の前に現れた謎の戦士・クロイス。
輝人が姿を変えたその戦士は自分自身の事を『仮面ライダー』と名乗ると、目の前にいるミネラリオンへ立ち向かっていった。
「トォ!」
クロイスの繰り出した拳がミネラリオンへ直撃し、ミネラリオンは壁まで軽く吹っ飛ばされる。
壁にめり込み、身動きが取れなくなるミネラリオン……壁にめり込んだ一体を他所に、他のミネラリオン達が襲い掛かる。
振り下ろされる腕を華麗に避けるクロイスの戦う光景に、レオンハルトは思わず呟いた。
「お、お前……仮面ライダー、なのか?」
「えっと、驚かせてすまみません。これが僕のもう一つの……そう、仕事着なんです!」
呆然としているレオンハルトに対して、クロイスはミネラリオンの腕を掴んで蹴りを叩き込む。
鋭い蹴りがミネラリオンへと炸裂し、床へと吹っ飛ばされる。
だが歪な音を鳴らしながらすぐに態勢を立て直すと、再びクロイスへ襲い掛かる。
いつもの
「攻撃が、通用していない!?」
「さっき言ったようにこいつら、硬さが売りなんだよ。クリスタルの力がなきゃライダー相手でも倒すのが難しいんだとさ」
「そんなっ、何か弱点ないんですか?」
「コイツの硬さはコイツら自身にも防ぎようがないんだよ!」
「なるほど、それがわかれば……!!」
すぐ傍でミネラリオンと取っ組み合うレオンハルトの助言を聞き、クロイスは新たなる武器を手元に生み出した。
柄の部分にスロット口が設けられた細剣『クロイスリッター』をその手に掴み、さらにドライバーに装填されているものとは違う『S』のイニシャルがデザインされた黒色のUSBメモリ……否、ガイアメモリを構えた。
【SINOBI】
【SINOBI/MAXIMUM DRIVE】
『忍者の記憶』を宿した"シノビメモリ"を装填すると、黒い風のような
やがて最高風力に達すると、クロイスは一気に地面を駆けだしてその姿を消した。
その直後、黒いエフェクトを纏ったクロイスが凄まじい速度で周囲にいたミネラリオンを一か所へ集めるように追い詰めていく。
まるで分身の術の如く残像を残しながら、クロイスはクロイスリッターを振るい翳した。
「トリャァァァァ!!」
クロイスリッターの斬撃を受けて、一か所へとぶっ飛ばされたミネラリオン達。
互いにぶつかり合うと身体を構成する"硬質結合物"同士がぶつかり合い、物の見事に砕け散っていく。
一瞬のうちにミネラリオンを倒したクロイスは超高速の世界から戻ってきた。
「ふぅ……」
目の前の脅威となる敵を撃破したクロイスは一息ついた。
自身の戦った事のない未知の敵との初戦だったが、何とかすることができた。
ミネラリオンを倒した今、安否を確かめるためにレオンハルトの方へ振り向く。
そこでは、――大型拳銃を構えており、引き金を引いた瞬間であった。
「動くなッ!」
「!!」
大型拳銃・ライドブラスターから発射された光弾はクロイスのいる方向へ向かっていく。
光弾はクロイスの顔横を通り過ぎて、彼の背後に回っていたミネラリオンへと直撃した。
着弾したミネラリオンの体は罅割れて、そのまま砕け散って消えていく……レオンハルトはライドブラスターを担ぐとため息をつく。
「最後まで気を抜くんじゃねえよ。謎のライダー」
「あはは……助けられたようですね」
ドライバーからガイアメモリを抜き、変身を解いた輝人は苦笑いを浮かべて謝った。
仮面ライダーと呼んだ姿となった彼に疑念を抱いているが、どうにも『敵には思えない』と直感で感じたレオンハルトは輝人の話を聞くことにした。
~~~~
同じ頃。
古めかしい機材が置かれた空間に佇むのは、一人の壮年の男性。
目の前に映る立体画像には二人のとこと……レオンハルトと輝人の姿があった。
二人の姿を見て、男性が一人呟く。
「ほう、私の実験場に鼠が二匹も迷い込んだようだな。しかも一人は……」
次に映ったのはミネラリオンと戦うクロイスの姿。
ベルトを巻いたその戦士の姿はまさに【仮面ライダー】そのもの。
無辜の人々に戦う彼らは男にとってそれは、忌まわしき存在であった。
「仮面ライダーか、またしても立ち塞がるということか。時代を超えて、人類の守護者として」
映像に映るクロイスへと向けて、鋭い眼光を飛ばす男は手元にあったとあるものを手に取る。
それはクロイス――輝人が持っていたような水晶色のガイアメモリ。
『C』の文字が刻まれたそれを見て、男は微笑む。
「これさえあれば、ライダーを倒すのもたやすい……我が怨念、我が執念、その身に味わうがいい。仮面ライダーよ」
ニヤリと口元を歪ませ、ギロリとした目でクロイスとレオンハルトを見据えた。
胸の内にあるのは悪魔の如き企みと、地獄よりなお燃える我が野望。
男の鋭い爪と牙が二人の身に付きつけられようとしていた……。
~~~~
「改めて聞くが輝人、お前は何者なんだよ? あの姿……仮面ライダーにもなっていたが」
「ええまあ、なんというか……インターポールの捜査官で、仮面ライダーと名乗ったのはその通りです」
西関東科学研究所・敷地内の通路。
二人が通路を歩く中、レオンハルトから問い詰められ、輝人は苦笑いを浮かべながら答える。
彼の変わらぬ答えに眉を顰めてレオンハルトは怪訝な表情を浮かべた。
「しっかし、まだインターポール所属の人間ならまだ信じられるが……まさか、仮面ライダーとはな」
「ええっと、そんなに驚かれる事なんですか?」
「まぁな……少なくとも二人も仮面ライダーが知り合いにいるからな。そこらへん気にするんだよ」
「……仮面ライダーの知り合い?」
渋い顔をしているレオンハルトの呟いた言葉が気になって輝人は聞き返す。
レオンハルトは懐から二枚の写真を取り出し、それを輝人の手へ渡した。
「仮面ライダージェイナス。二人で一人の仮面ライダーで、そこに映ってる夏川一登と飛鳥優奈が変身するんだよ」
「二人で一人の仮面ライダー、か。他にもいるんですね、そんなライダーが」
「えっ? おいおい嘘だろ……他にもいるのか? 二人で変身する仮面ライダーなんて……」
「いるんですよ。そんな仮面ライダーが他にも」
自分の言葉を聞いて驚く表情を浮かべるレオンハルトに輝人は子供のような笑顔を向けて答えた。
その脳裏には『とある街で今も罪を数え続けている彼ら』の姿が浮かんでおり、レオンハルトが紹介した二人は何処か彼らを彷彿としていた。
レオンハルトの知る仮面ライダーが気になった所で、輝人は窓のある通路へと出た。
そこで、窓の向こう側に何かに気づいたレオンハルトは驚きの声を上げた。
「あん……なんなんだよこれ!?」
レオンハルトの視線の先に、窓の向こうに広がる歪な【バリア】。
まるで研究所を覆うように展開するその薄い膜のような歪なバリア……その先の景色はまるで二つの街並みが入り混じってるように歪んでおり、に驚きの表情を浮かべていた。
「俺が施設内を探索している間に何があったんだ!?」
「時空間が歪んでるんです。文字通りの意味で」
「歪んでるだと?」
「何者かによってこの研究所は一種の異空間となっていて、迷い込んだ人間達を逃がさないようにしているんです」
「逃がさないって、なんのためにだ? 実験動物か何かか?」
「大方当たってるところでしょうね。もっとも、これから答え合わせでですが」
そう言いながられる人は鋭い眼つきで前方にいる存在を睨みつける。
レオンハルトは続いて前を向くと、そこにいたのは黒服の怪人達。
ムカデのような骨が顔に張り付いた頭部を持つその怪人達を見て、輝人はレオンハルトへと告げた。
「あれはドーパント、人間が地球の記憶を宿したガイアメモリで変貌した超人です」
「ガイアメモリにドーパント!? そんな奴らがいるのか!?」
「ええ、僕がいつも戦っている相手が彼らなんです!」
襲い掛かろうとする黒服の怪人達……『マスカレイド・ドーパント』は、輝人とレオンハルトへ向かって一斉に飛び掛かる。
レオンハルトは向かってきたマスカレイドの拳を避けると、お返しと言わんばかりに裏拳を叩きこむ。
蹴りかかってきた相手には両手で受け止め、そのまま投げ飛ばして別のマスカレイドへとぶつけた。
そして背後を狙ってきたマスカレイドを肘で鳩尾へと叩き込むと、すかさず回し蹴りを叩き込んだ。
「どっせぇい!!」
「ッッ!?」
丸太のように太い足による重たい一撃が首回りへとヒットし、二回転しながら近くにあった壁に叩きつけられる。
戦闘員クラスといえど怪人相手に張り合う彼の姿に、同じくマスカレイドと応戦している輝人は驚いた。
「レオンハルトさんあなた、どんな鍛え方をしたらそれほどになるんですか?」
「ああ? ええっとな……ちっさいときは喧嘩に明け暮れていたらこうなったんだよ!」
「そうか、天武の才という奴か……だったら僕も負けてられない!」
レオンハルトの凄みを感じ取った輝人は、襲い掛かるマスカレイドをあしらっていた。
殴り掛かってきた相手の懐へ掌底をお見舞いし、すかざず両手による連続パンチを叩き込む。
最後の一撃が決まって殴り飛ばした後、掴みかかろうとした腕を逆に掴み、そのまま相手の背中へ回して捕縛術を叩き込む。
「ハァ!」
「ッ!?」
見事な手捌きによって身動きが出来なるマスカレイド。
だが一人で集中している隙に倒せるのではと言わんばかりに向かってくるが、片手に持った銃を構えて発砲。
大きな火花を散らしながら射抜かれ、地面へと倒れ伏した。
輝人とレオンハルト、二人の捜査官は異なる戦い方を見せながら同じ敵のマスカレイド・ドーパントを撃破していく。
出会って間もないにもかかわらず、見事なコンビネーションを見せる二人にマスカレイド・ドーパント達は戸惑っていた。
その様子を悟ったレオンハルトは拳を構え、輝人は片腕を突き出す構えを見せた。
「どうした? 次は何処のどいつだ?」
「アナタ達に投降意志があるのなら今すぐ変身を解きなさい。さもなくば……」
マスカレイド・ドーパントへと迫っていくレオンハルトと輝人。
生身の人間でありながら怪人相手に奮闘する彼ら二人をマスカレイドたちは引き下がっていく。
再び人間達のタッグファイトがお見せされようとした瞬間、――突如、爆炎が巻き起こった。
その場にいたマスカレイド・ドーパントごと巻き込みながら、爆炎が二人へと向かっていく。
「「!?」」
咄嗟に真横へ転がり込み、火柱の如く舞い上がる爆炎を避ける二人。
だがその余力はレオンハルトの巨体すらかる吹き飛ばすものであり、二人は施設内の広場へと放り出されてしまう。
地面へと転がる二人は互いに安否を確かめるために声を掛け合った。
「大丈夫か? 輝人……」
「ええ、大丈夫です……しかし、さっきの攻撃は一体……!」
「おいおい、なんだありゃあ?」
突如自分達の前に現れたその存在に気づくと、目を見開いて驚いた。
それはは種々様々なドーパント達……。
マグマ・ドーパント、コックローチ・ドーパント、ジュエル・ドーパント、ビースト・ドーパント、スイーツ・ドーパント、アームズ・ドーパント。
その他にも何体ものドーパント達がおり、それらを率いている一人の男性が先導して立っていた。
目元が隠れるほどを長く伸ばした銀髪が特徴のその男は、静かな口調で語りだした。
「ようこそ、我が実験場のへ。我が怨敵・仮面ライダーの名を継ぐ者よ」
「仮面ライダーを知っているだって……?」
男性の言葉を聞いて輝人は何か引っかかるものを感じる。
恐らく目の前に立つ男は仮面ライダーと因縁浅からぬと感じる。
……その横ではレオンハルトが信じられない顔で男の顔を見ていた。
「チッ、何の冗談だ!? なんでテメェが
「レオンハルト……?」
「ほう、我が姿を知っている者がまだいるとはな」
レオンハルトの驚きように輝人は首を掲げ、男性はニヤリと不気味な笑みを浮かべる。
余裕綽々と態度の様子を浮かべるその男へ、レオンハルトはその名を口にした。
「ディー博士……数十年前、ゲルショッカーの悪事に加担していたお前が何故ここにいやがるんだ!?」
レオンハルトの叫ぶような声を聴いて、男性――『ディー博士』は変わらず不気味な笑みを絶やさず浮かべる。
数十年前に消えたはずの過去の悪魔が今、再び動き出そうとしていた。