仮面ライダージェイナス外伝 Cの邂逅/二人は捜査官   作:地水

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第3話:Cの邂逅/否定の融合怪人

 レオンハルトと輝人の前に現れた謎の男・ディー博士。

かつて悪魔の軍団に手を貸していたというな悪魔の天才科学者……そんな強大すぎる敵を目の前にしている今、輝人はレオンハルトへ聞き返した。

 

「ディー博士だって?」

 

「ああ、俺の知ってる限りだとアイツは数十年前にゲルショッカーの悪事に加担して暗躍してたマッドサイエンティストだよ」

 

「僕も知っていますよ。ゲルショッカーの悪行やディー博士の存在は……だけどおかしい、彼が本物のディー博士ならありえないことがあります」

 

輝人はレオンハルトの言葉に反応して冷静に状況を見据える。

――目の前にいるディー博士はゲルショッカーに加担していた頃と変わらぬ姿をしていた。

だが、レオンハルトの言う通り当の昔にゲルショッカーは"壊滅した"。

数十年経った現代まで容姿が変わっていない理由がわからないのだ。

ゲルショッカーが壊滅した後、自らの天才的な頭脳を以て自分自身を人ならざる何かにしたのか、そして新たなる力を求めて復活したのか、それは自分達にとっては計り知れない事。

風の噂で『とある戦士達』が時を超えてやってきたディー博士と戦い、彼の野望を打ち破ったと輝人は耳にした事があったが、今気になるのはそこではない。

今目の前にいるこの男がドーパントを率いて現れたのが問題だ。

 

「何故、あの人は昔の姿のままなんだ?」

 

「さてな……だが、俺達がいくら推測しようがああいう奴は自分からネタ晴らしをしたがるもんだぜ」

 

眉を顰める輝人に対し、レオンハルトは変わらず敵対心を露にしたまま相手の出方を伺っている。

二人の様子と言葉を機言って一瞥したディー博士は不気味な笑みを浮かべて口を開いた。

 

「ほう、私の素性をそこまで調べているとはな。だったら冥土の土産に教えよう」

 

「「……ッ!」」

 

「事の発端はゲルショッカー壊滅後の事、人知れず研究者として戻った私はとある研究をしていた。その中で、空間変異装置を完成させた私は試行実験を行ったのだ」

 

まるで嘲笑うかのように不気味な笑みを絶やさずにディー博士は二人に自身の経緯を語りかけた。

 

――それは、数十年前の事。

ゲルショッカーの壊滅から逃れて西関東科学研究所の研究者として身を隠したディー博士は世界征服の意思を継いで、とある研究をしていた。

その実験の最中、不十分な要因のせいで失敗に終わり、後に研究所は封鎖された。

当の本人であるディー博士は実験の失敗によって起きた事故により時空間の間を彷徨う事になった……そこで目撃したのは、『様々な時空での戦いの歴史』だった。

 

自分のよく知る仇敵達と、その彼ら二人に続く伝説の英雄達。

改造人間とは異なる存在を相手に戦う未来の戦士達。

そしてアイテム一つで人間から超人へと変わった存在にぶつかる新しい戦士達。

 

種々様々な英雄達を目の当たりにする中で、ディー博士はとある考えに思い至った。

『世界征服の野望を果たすにはあのアイテムが必要なのでは』、と。

その考えに至ったディー博士は歪んた時空間を根城にして暗躍することにした。

 

気が遠くなるほど時間の中で待ち続け、そして手に入れたのは地球の記憶を宿した"魔性の小箱"。

風都という街にて出回っている『ガイアメモリ』と呼ばれる人を超人に変える代物であり、これによりいくつもの事件が起きたという悪魔の力。

いくつものガイアメモリを入手したディー博士は独自に研究、改良をして着々に軍団を作り上げた。

研究の最中、接触してきた『とある人物』の提供によって異次元結晶体・クリスタルを入手すると、ディー博士の研究は完成に至った。

 

そして今、ディー博士は二人の前にとあるガイアメモリを見せた。

そこに描かれているのは、二つの記憶を露にした『C』が刻まれた。

一つは『CRUSHER(破砕の記憶)』、もう一つは『CRYSTAL(結晶の記憶)』。

二つの記憶を宿しているガイアメモリを見て、輝人は驚いた。

 

「ガイアメモリ!? しかもそのメモリ……」

 

「とくと見よ。ガイアメモリとクリスタル、二つの力を宿した我が研究の成果を!」

 

【CRUSHER/CRYSTAL】

 

ディー博士はガイアメモリのスイッチを押し、ガイアスィーパーに鳴らす。

するとディー博士の手からガイアメモリが一人でに浮かびだし、ディー博士の額へと突き刺さって体内へと入り込む。

その瞬間、ディー博士の姿を別の姿へと変えていく。

痩躯の本体の上から結晶の外装を身に纏い、般若にも似た顔が備え付けられているその姿……ドーパントにもミネラリオンにも見えるその異形の姿に、レオンハルトと輝人は驚いた。

 

「ミネラリオン……いや、違う?」

 

「ドーパント、なのか?」

 

「どちらでもあり、どちらでもない……これが融合超人、コントラティッドC」

 

二人の言葉を否定するように名乗り上げた融合怪人『コントラティッドC』。

ディー博士が変貌を遂げた後、それが合図と共に他のドーパント達が襲い掛かろうと動き出す。

目の前に迫るドーパント達にレオンハルトはライドブラスターを構えた。

 

「輝人! こいつらを倒さなければ、外に漏れ出すんじゃねえのか!?」

 

こちらへと向かってくるマグマ・ドーパントへ目掛けて銃撃していくレオンハルト。

それに対して輝人はアームズ・ドーパントが振り下ろした腕の大剣を蹴り飛ばし、応戦を図りながら言葉を返した。

 

「ええ、このまま放っておけばディー博士の野望は叶えられるでしょうね……でも、その前に!」

 

背中へ回って手持ちの大剣を奪い取り、代わりに強烈な一撃をアームズ・ドーパントへ叩き込むと、レオンハルトに投げ渡して別のものを取り出す。

それは、十字架のデザインがあしらったバックルであり、変身ベルト"クロイスドライバー"へ腰に当てるとベルトが巻かれ自動的に装着された。

次に取り出したのは、レオンハルトが最初に出会ったあの時取り出したUSBメモリ型アイテム……"クロイスメモリ"だった。

輝人はクロイスメモリを構えると、そのスイッチを押した。

 

【CROIS】

 

「さぁ、行こうか……変身!」

 

【CROIS】

 

クロイスメモリのガイアスィーパーを鳴らした後、クロイスドライバーの装填する。

電子音声が鳴り響いた後、輝人の周囲に十字架のエフェクトが展開し、粒子となって体に纏わりついて装甲と変わる。

やがて、変身を終えると純白の戦士――"仮面ライダークロイス"が再び現れた。

 

 

「さぁ、罪過を語る時だ」

 

 

クロイスは愛剣・クロイスリッターを構え、ドーパントへ立ち向かっていく。

まず殴り掛かってきたジュエル・ドーパントの攻撃を避けると、鋭い突きをお見舞いし、背後を回ってきたスイーツ・ドーパントには横へと薙ぎ払う。

 

「タァ、ヤァ、トリャァァ!!」

 

二人かかりで襲い掛かるドーパント達を圧倒している所へ、コックローチ・ドーパントが迫る。

素早い身のこなしで駆け抜けて、クロイスへと襲い掛かろうとした。

その刹那、レオンハルトが叫んだ。

 

「伏せろ! ライダー!」

 

「ッ! よっと!」

 

レオンハルトに言われた通りにレオンハルトしゃがむと、ライドブラスターから放たれた光弾が襲い掛かろうとしたコックローチ・ドーパントへと直撃し、軽く吹き飛ばされる。

ニヤリと口角を上げるレオンハルトに対し、クロイスは振り向いた。

 

「レオンハルトさん……」

 

「俺も力になるぜ、ライダー。何処まで通じるかわからないが、手数は多い方が都合いいだろ?」

 

「ええ、頼みます!」

 

激励の言葉を聞いて仮面の下で笑みを浮かべたクロイスは新たなるガイアメモリを取り出す。

『M』のイニシャルが刻まれた群青色のガイアメモリのスイッチを押した。

 

【MAGIC】

 

【MAGIC/MAXIMUM DRIVE】

 

クロイスは『魔法の記憶』を宿したマジックメモリをクロイスリッターへと装填し、再び構える。

するといくつもの魔法陣がドーパント達の周囲に展開されていく。

最後にレオンハルトの目の前に魔法陣が現れると、クロイスの意図を察したレオンハルトは一つの赤いライドクリスタルを取り出す。

それは、先の戦いで手元にやってきたハートクリスタルであった。

 

「なるほど、そういうことか」

 

【HEART/RIDER-BULLED】

 

【BLASTER-BURST】

 

「この魔法陣目掛けて、撃てばいいんだな!」

 

銃口に集まりつつあるエネルギー光弾を狙いを定め、ライドブラスターの引き金を引いた。

勢いよく撃ちだされたブラスターバーストによる赤い閃光は魔法陣を潜り抜けると、ドーパントの近くに展開された別の魔法陣から出てきた。

傍にいたマグマ・ドーパントの体を貫き、閃光は別の魔法陣を潜り抜けて再びまた別の魔法陣を潜り抜けて、近くのスイーツ・ドーパントやコックローチ・ドーパントといったドーパント達を貫いてく。

二人の連携によって5体のドーパント達が撃破され、残されたのは生き残ったディー博士が変身したコントラティッドCただ一体。

だが、当の本人は先程のドーパントと交戦する光景を静観した後、静かに歩みを進める。

 

「従来のドーパント達を倒したか。ならば見せてあげよう……選びに選んだガイアメモリと異次元技術の融合した力を!」

 

コントラティッドCが指を鳴らすと、突如虚空から巨大な結晶の柱が出現し、クロイスとレオンハルトへと突き放たれた。

咄嗟に避けた二人だが、避けた結晶の柱から放たれた結晶の突起物が襲来。

間髪入れず放たれたそれがレオンハルトに迫るが、クロイスが強引に突き飛ばした。

レオンハルトを庇ったクロイスの体を無数の結晶の突起物が引き裂いた。

 

「ぐああああああ!?」

 

「ライダー!?」

 

「フッ、まだまだこんなものではないぞ……ハァ!」

 

レオンハルトが驚くのもつかの間、コントラティッドCが上へ手を掲げると掌から巨大な結晶の刃が生まれる。

まるで石器時代の黒曜の武器のような荒く削られた形状の刃……それに直撃したられたら一溜まりもないと思ったレオンハルトはライドブラスターによる銃撃をお見舞いしようとする。

だが放たれた光弾は結晶の刃に直撃するが刃こぼれ一つせず、効果が薄いように見えた。

 

「あんだ!? どうして攻撃が……!?」

 

「今の私はドーパントとミネラリオン、どちらでもありどちらでもない……故に貴様らの攻撃など無意味だ!」

 

振り下ろされた刃が二人に襲い掛かる。

何とか直撃は免れたが、その余波がクロイスとレオンハルトへと襲い掛かる。

地面に叩きつけられ砕け散った結晶の欠片がレオンハルトの腕へと突き刺さり、一筋の赤い血を流していく。

レオンハルトに担がれたクロイスはその事に気づき、悲痛な声を上げた。

 

「レオンハルトさん、その怪我!」

 

「俺の事はまだいい、それよりアイツをどうにかしないと共倒れになるぞ!」

 

「先程の刃を見る限り、体に身に纏う結晶の装甲は相当堅牢とお見受けしますよ……アレをどうやって攻略すればいいか」

 

未だに見つからない危機の打破をどうにかしたいクロイスとレオンハルトだが、肝心のコントラティッドCは周囲に円形の盾状の結晶の塊し、鉄壁の防御を張りつつある。

ライドブラスターによる銃撃も効果が薄い中、どうやって突破するか頭を悩ませていた。

何か、ヒントになるようなものは残してなかったのか……。

 

そこで、レオンハルトは気付いた。

 

ディー博士が変貌したコントラティッドCが呟いた言葉、――『どちらでもあり、どちらでもない』。

ミネラリオンでもないドーパントでもない自分自身が変貌した姿から来た陶酔の言葉かと思ったが、もしやあの言葉が文字通りどちらの特性を有する事の表れだったのなら。

その考えに至ったとき、レオンハルトは思わず呟いた。

 

「閃いた、アイツの傲慢の塊を打ち砕く秘策がな」

 

「ほ、本当ですか?」

 

「半信半疑だがな……だが、やるしかねえ!」

 

クロイスに聞かれて覚悟を決めたレオンハルトはライドブラスターを握りしめ、コントラティッドCへ向けようとする。

だが、銃口を下げるようにクロイスが手を翳した。

 

「待ってください、レオンハルトさん」

 

「ライダー? 一体何を……」

 

「――――やるのだったら、作戦を立てましょう。できうる限りの手持ちの駒で」

 

クロイスはそう言うと、再び立ち上がってコントラティッドCを見据える。

依然余裕の態度を揺るがぬ態度を見せる強敵に、二人の捜査官は立ち向かう。

 

決戦の時は、近い。

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