仮面ライダージェイナス外伝 Cの邂逅/二人は捜査官   作:地水

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第4話:Cの邂逅/勝利のクロスロード

 

 研究所内に響き渡る大爆発。

ディー博士の変貌した歪な超人――コントラティッドCが繰り出す猛攻に、レオンハルトとクロイスはなんとか回避しながら逃げていた。

決して軽くはない怪我とダメージを負ったクロイスこと輝人を抱えて、外の玄関へとたどり着くレオンハルト。

だが、成人した男性を抱えながらの移動はすぐに追いつかれた。

 

「何処に行こうというのだ? この場所は二つの世界に狭間にある……逃げ場などどこにもない!」

 

コントラティッドCの周囲から生み出された結晶体が槍状の突起物となって飛んでいく。

空を切って奇怪な音を放ちながら、逃げようとする二人へと迫る。

当たれば簡単に胴体を貫くであろうとするその一撃が届く寸前、レオンハルトの手に持っていたライドブラスターの銃口が向けられた。

 

「Bang!」

 

引き金の指を引いて、銃口から何発をも光弾が放たれた。

ライドブラスターから発射された光弾は襲い掛かった結晶体の槍を粉砕。

全て相殺すると、粉々に砕け散った結晶体が余波の爆風に巻きあがった土塵と共にその場の視界を覆う。

視界を奪われたコントラティッドCは疎ましそうに言葉を吐いた。

 

「くっ、無駄な足掻きを……!」

 

コントラティッドCは目の前を塞ぐ土塵と結晶体を払うように片腕を振り回す。

常人離れした腕力で起こした突風により視界を覆う邪魔なものは吹き飛ばされて一気に開かれた。

そして、目に飛び込んできたのは……こちらへと向かってくる、一陣の赤い閃光だった。

 

「なんだ……!?」

 

驚くのもつかの間、目にも止まらぬ凄まじい速度で瞬く間に距離をつめてきた赤い閃光――XF-ZはコントラティッドCへと向かって突っ込んでいく。

当たれば怪人と言えど一溜まりもない馬力と速度を誇る突撃に嫌な予感を悟ったコントラティッドCは咄嗟に横へと転がりこんで、突撃攻撃を避けようとする。

XF-Zの突撃攻撃が決まるその寸前、咄嗟に回避して地面へと転がりこむ。

自身に土をつけた事に虫唾が走る思いを迸りながら、先程放った槍の突起物による反撃の一撃を放とうとする。

だが、そこへXF-Zの側車の方に乗っていたクロイスがライドブラスターを構えた(・・・・・・・・・・・)姿が目に映った。

 

「ハァ!!」

 

「ぐあぁぁぁ!?」

 

ライドブラスターの銃口から何発も光弾が発射され、コントラティッドCの胴体に炸裂して火花が散った。

予想外の不意打ちを受けてしまい、驚愕しているコントラティッドCに対し、距離を取りながら駆け抜けるXF-Z。

モンスターマシンを駆っているレオンハルトと、その隣に立ちライドブラスターとクロイスリッターをそれぞれ片手で構えるクロイス。

銃と剣、二つの武器を持ったクロイスはライドブラスターの標準を合わせ、引き金を引く。

放たれた光弾は吸い込まれるようにコントラティッドCの体へと直撃した。

被弾した痛みに苦しむ声を上げて、コントラティッドCは睨み付ける。

 

「その武器、もしや……!?」

 

コントラティッドC――ディー博士が自身の天才的な頭脳によって導きだした答えに歯軋りした。

何故なら、この完成した完全なる自分自身を唯一"撃ち砕ける"組み合わせをあの二人が有しているからだ。

その一方で、先程の余裕ぶりを壊した敵の反応を見たレオンハルトはニヤリと口元を釣りあがらせた。

 

「へっ、どうやら奴さんの弱点は当たったようだな!」

 

「ミネラリオンとドーパント、異なる二つの力を有している怪人だからこそ、強みも弱みもある……お前の今の弱点は……!!」

 

クロイスはクロイスドライバーに備え付けられたトリガー部分に指をかけ、思いっきり引いた。

鳴り響くのは必殺の一撃を決めるために響き渡るガイアスィーパーの電子音声。

 

【CROIS/MAXIMUM DRIVE】

 

「弾丸はコイツだ……!」

 

【BLASTER-BURST】

 

クロイスドライバーから迸るクロイスメモリに内包された『十字架の記憶』がクロイスのボディを伝って、ライドブラスターへとエネルギーが溜まっていく。

 

――何故、ライドブラスターにガイアメモリの力を宿すことができるのかわからない。

元からこの武器が他のライダーの力を集められるように設計されているのかはわからない。

謎は深まるばかりだが、今の自分にとっては好都合だった。

 

銃口の先にある光弾が最大まで集まったとき、クロイスは叫んだ。

 

 

「クロイス・コンビネーションバレット!!」

 

 

ライダーブラスターから放たれた光の銃弾が瞬く間に戦場を駆け巡る。

眼前まで迫ったそれをコントラティッドCは咄嗟に巨大な結晶の壁を生み出して防ごうとするが、派手な音を立てながら削って進んでいく。

やがて削り切ると、光の弾丸『クロイス・コンビネーションバレット』はコントラティッドCの胸部へ突き刺さり、背中を抜けて貫通した。

 

「ぐぅぅ……馬鹿、な!? 私の頭脳が導き出した最強最高の怪人が……!?」

 

クロイスの放った一撃によってコントラティッドCの硬質な肉体は崩れ去っていく。

頭部を覆っていた結晶が顔半分となって消え去り、ディー博士の驚愕した顔が露になる。

仮にも仮面ライダーを凌駕する怪人が敗れた事に信じられない彼……それに対し、レオンハルトはXF-Zを停車させ、答えた。

 

「―――そりゃ、お前は独りよがりで完璧になろうとしたからじゃねえのか?」

 

「なん、だと……?」

 

「俺達は誰しも一人っていう未完成だ。だから無理して完璧になろうとしても何処かで綻びが出てしまう……お前の場合、ドーパントとミネラリオンっていう『二つの特性を持った怪人』の性質を無理矢理一つにまとめて持ったから攻撃が通用しなかった。だがそれは、『相手が同じ条件なら通じる』って懸念がなければの話だ」

 

「なっ……!?」

 

「ガイアメモリとライドクリスタル、それぞれ二つの力をぶち壊せる力があったこそ勝てたんだよ。それに、今の俺達はいわば『ダブルライダー』ってヤツさ。勝利への道はこれで決まりさ」

 

レオンハルトの告げた答えを聞いて、ディー博士は目を細めた。

 

――その目の先に浮かべているのは、かつての怨敵の光景。

二人の改造人間・仮面ライダー……そして、彼らを慕い共に戦った戦友たち。

改造人間に劣る力しかない歯牙にもかけないはずの存在が彼らの力になり、そして数々の強豪怪人達を打ち倒してきた。

孤高の存在の自分にはわからぬ、憎き彼らにとってはかけがえのない人物達。

 

そんな存在と共に戦っていた仮面ライダーに倒された事実を認識したディー博士は……ニヤリと口角を上げ、レオンハルトを見据えた。

 

「ライダーだけではなかったな、忌々しい存在は……貴様、名前は」

 

「……俺の名は―――」

 

崩れ去っていく結晶の体を気にも留めず、名前を訊ねてきたディー博士に首を傾げるレオンハルト。

少し考えた後、レオンハルトは自身の名を口にした……彼の本名を耳にすると、納得したような表情を浮かべる。

 

「なるほどな。どうりで怪人相手でも生身一つで立ち向かうというわけだ」

 

「あん? どういう意味だ、それは?」

 

「それは、貴様がよく知っているはずだ……さらば、仮面ライダー諸君。あの世で待っているぞ」

 

狂気の笑みにも見える憎たらしい笑みを向けながら、ディー博士は結晶の粒子となって消えていった。

後に残されたのはコントラティッドCの体を構成していた結晶の一部と、砕け散ったガイアメモリだけであった。

 

 

ふと二人が上を見上げれば、目に映ったのは少しずつ崩れ去っていく研究所を覆っていた大きなバリア。

まるで水滴が落ちた水面が戻っていくような光景を見ながら、レオンハルトは変身を解いた輝人と話し合っていた。

 

「長かったようで短かった付き合いもここまでとはなぁ」

 

「ええ、実際短かったのは確かですが僕達にとっては長かったと感じますよね」

 

「まあなぁ……たっく、面倒な事に巻き込まれたもんだぜ。特にドーパントって話だけでも聞いただけでも厄介なもんだよ」

 

「僕にとってはもはや日常茶飯事ですよ」

 

つい先程まで起きた"ドーパント絡みの事件"に対し愚痴を零すレオンハルトに、輝人は苦笑いを浮かべる。

 

改造人間を相手取る自分にとって、闇を抱えた一般人が超人へと姿を変えたドーパントは厄介そのものだと思えたからだ。

もう後戻りができない改造人間と比べ、ドーパントはあくまで人間が変わった超人であり救える手立てがあるが、裏を返せば容赦なく倒せないという弱点もある。

レオンハルトはその手加減の具合に神経使うんだろうなと内心思い、力の源であるガイアメモリを粉砕する『メモリブレイク』ができるクロイス達の仮面ライダーは凄いと感じた。

 

そんな中、輝人はあることに気づく。

自分とレオンハルト、互いの体が透けている事に。

 

「レオンハルトさん、その体……」

 

「げっ!? お前も体が透けてるぞ!? 気持ち悪ぃ!?」

 

「もしかして……ディー博士を倒した原因で歪んだ時空間が戻ってるのか?」

 

輝人の推察通りなら、空間変異装置を作ったディー博士を倒した結果、二つの世界が重なっていた歪んだ空間が元に戻っていると察した。

事実、空を覆っていたバリアはほぼ崩れ去っており、二人の目にはそれぞれ別の景色が映っていた。

輝人には東京の街並みの景色と、遠くの方にある"回る巨大な風車のような塔(風都タワー)"。

レオンハルトには遥か水平線の彼方に聳え立っている軌道エレベーター・望月。

それぞれ馴染み深く、戻るべき世界へ帰ろうとしている今、二人は別れの言葉を交わすことにした。

 

「……じゃあな輝人、いやライダー。また会えるか分からないが元気でな」

 

「ええまぁ、レオンハルトさん、さよなら。でもまた出会えたら、その時はよろしくお願いします」

 

一緒に戦ってきた仲にしては短いやり取りを済ませた後、―――相手の姿が消えたように見えた。

実際にはお互いの戻るべき世界に戻り、そのように見えたのだが、二人にとっては些細な事。

後に残されたのは、既に人がいなくなった研究所だけだった。

 

 

一つの事件が終わった、そう安堵した輝人は外へ向かおうと体を向けた。

そこへ、一つの人影が近づいてきた。

白衣を思わせる白いコートを纏い、その下には黒を基調としたタイトスカートタイプのスーツ、そして靡く金髪の長い髪に優れた容姿を持ったその若い女性は、輝人の名を呼んだ。

 

「テルヒト!」

 

「アリシア?」

 

「やっと入る事ができた! 研究所に入って今まで何をしていたの!?」

 

「ああ、例の研究所に起きていた不可思議現象についてなら解決できた」

 

「ええ? ホントに? だってあなた一人で向かったはずよね? 一体どうやって?」

 

駆け寄ってきた金髪の若い女性――アリシアの問いに、輝人はニヤリと口角を上げる。

隣にいるレオンハルトの方を横目で見た後、楽しそうに口を開いた。

 

「そこでね、頼もしい人と会って即席バディを組んだんだ。ドーパント相手にも立ち向かう勇気ある人がね」

 

「バディ? あなた以外にも研究所に入った人間がいたっていうことなの?」

 

「まあね、ちょっと遠いとこにいる、僕らと同じ人さ」

 

眉間を狭めるアリシアに対し、輝人はにこやかな笑みで答える。

バリアで覆われた研究所で起きた事を離しながら、彼ら二人は元の日常へど戻っていく。

ガイアメモリによる超常犯罪は終わることはない……だが、輝人にとっての束の間の平穏はここから始まり、再び事件へ挑むまで休むことになるのであった。

 

 

一方、レオンハルトの方はというと……。

輝人の姿が消えたのを見届けた後、XF-Zに跨って門へと向かおうとする。

だが、そこでとある存在が目に映った。

緑色を基調とした体躯と、真紅の瞳を持った仮面ライダーによく似た戦士。

 

――ライドキラー、以前ジェイナスと遭遇し、また自分を助けた謎多き戦士達。

 

レオンハルトの前に現れたライドキラーは表情を隠したまま声をかけた。

 

「遅くなってしまったが、どうやら無事だったようだな」

 

「アンタは、ライドキラー……どうしてここに?」

 

「お前ひとりでは不安だったのでな、遅れてやって来たのだが……どうやら杞憂だったみたいだ」

 

レオンハルトの案外無事な様子を見ると、ライドキラーは背を向けて去ろうとする。

その背姿を見てレオンハルトはある事を思い出し、声を張って訊ねた。

 

「なぁ、アンタ……もしかして、俺の事知ってるんじゃないのか?」

 

「それを聞いてどうする?」

 

「俺を助けたって理由でもあるのか、と思ってな」

 

「理由か。……俺は今までそうやって誰かを助けてきた。何度もな」

 

「何度も?」

 

ライドキラーの答えを耳にしたレオンハルトは首を傾げ、疑問符を浮かべる。

だが次の問いかけを言い出す前にライドキラーは大空へと高く跳躍し、そのまま消えていった。

呼び止める暇もなくライドキラーが消えた空を見つめた後、レオンハルトはハンドルを握る。

 

「さて、いくか」

 

ブォン、とエンジンを吹かし、レオンハルトはXF-Zを走らし始めた。

廃れた研究所の建物を背にして、XF-Zは道路を駆け抜けて頼打地区へと戻っていく。

ヘルメットの奥から覗くのは、不敵な笑みを浮かべたレオンハルトの顔。

 

 

 

――二人の正義を持った男は、それぞれの世界へと帰っていった。

 

 

――違う世界の違う道を向かう彼らが向かうのは、新たなる事件……。

 

 

 

仮面ライダージェイナス外伝

 

Cの邂逅/二人は捜査官

 

 






 レオンハルトと輝人、彼ら二人の捜査官の出会いはここで終わり。
彼ら二人は別々の世界で物語を紡いでいくでしょう。


輝人がいるであろう仮面ライダーWおよび風都探偵、今大人気でウキウキですね。
広がっていく風都の風が吹いていてワクワクが止まりませんね。


次回作も何処かで出会えたらまたよろしくお願いいたします。
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