ドラゴンクエストFUTURE~王室護衛係セイラン班~   作:岬 実

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リッヂの性根を垣間見る回です


悪意有る利他的行為

 

「何ボケッとしてんだ、戦いはまだ終わってないぞ!」

 

 放心するセイランの元に駆け付けたガーデンとナチ。そのガーデンがセイランの頭をはたいて気を入れ直してやる。ナチは、マホリーでマホトーンを解除してやる。

 

「あいっ……、そうっ、そうだった!」

「終わらせてやるよ、お前も連れてけばな」

 

 リッヂの宣告に、タイプCが言う。

 

「すいませんリッヂ様、もう重量の限界でして」

「そうか。じゃバシルーラに変更。お前はもう帰って良い」

「はい、失礼します」

 

 リッヂがタイプCを手で払って異空間に下がらせると、セイランは啖呵を切った。

 

「バシルーラでも何でもやれ! 行き先で暴れ回ってやる! でも特に、ドロップさんの仇とゲビガって奴を警察に突き出すまでは、終わらせてたまるか!」

「だったら蘇らせてやるよ」

 

 リッヂは両手の指先に光を纏わせた。

 

「ザオリク! そしてザオリーマだっ!」

 

 リッヂが集落のある方向に光を飛ばし、そしてグィネヴィア達が泣いて縋るドロップの亡骸も指差すと、一瞬ドロップの体が光に包まれ、それが晴れると中から無傷のドロップが現れた。

 

「っだぁ! な、生き返ったのか!? 俺!?」

 

 動揺しながら飛び起き、体の様子を確かめるドロップ。

 ややあって──。

 

「治っ、た。ああああ! 良かったよぉ~!」

 

 ドロップに全力で抱き付くグィネヴィア。

 

「おげげええ! ヒビ入ってる! 骨に!」

 

 ドロップの体内から骨が軋む音を聞いて、慌てて放すグィネヴィア。ルハル達も気が抜けた様に溜め息をついて、ミョウコウに至ってはより号泣する。

 

「あっ、ごめんね?」

「ああ、良い。でも奴等は許さねえ!」

 

 ドロップが魔法の準備をし始めたのを見るや、ルハルは「あ、馬鹿っ!」と制止した。が、時既に遅し。

 

「バルブンテ!」

 

 ドロップが叫んで、魔力を周囲に解き放った。

 

『ん?』

『!?』

 

 ドラゴン達は一斉にドロップを注視するが、何かが起こる様子は無い。

 しかしセイラン達は口々に愚痴りながら、そそくさと物陰に身を隠す。

 

「不発か……? それともハッタリ……?」

 

 ゲビガが呟くが、ボーアンは空の彼方を見て、目付きを鋭くした。

 

「おいお前達、一応俺の後ろに居ろ。その代わり攻撃は任せる」

 

 事態を察知し、ジヌバーン達は「任せろ」等と素直に従う。

 

「来るぞ!」

 

 ボーアンの警告を合図としてか、突如遠くの空に巨大な宇宙船が出現した。現れるや否や全砲門をボーアンに向ける。

 

「仁王立ち! そしてアストロン!」

 

 ボーアンの体が金属の彫像になるのと、宇宙船の光線が一点に集中発射されるのは、若干ボーアンの方が早かった。

 真夏の太陽より強く輝く光線は、ボーアンの胸元をドロドロに溶かして行く。

 

「わりぃなボーアン! すぐ終わらせる!」

「俺は一発でな!」

 

 ジヌバーンとリッヂが、(くち)に青白い光を纏わせ、ボーアンの背後から飛び出す。宇宙船は彼等も狙おうと砲身を向けるが、光線の軌道が曲がって、結局はボーアンに命中する。

 

『絶滅しやがれ!』

 

 ジヌバーンは隙間無い光の散弾、リッヂは極細の光をそれぞれ吐き出し、宇宙船を攻撃。

 宇宙船は光が命中した箇所が蒸発し、その直後に機体は爆裂四散した。

 残骸が燃え上がって降り注ぐ様子を見届けると、アストロン状態のボーアンは「ふ~っ」と溜め息をついて額を拭った。

 セイランはリッヂに問い掛ける。

 

「おい、今のは何だ?」

「うん? 今の技は幹部になる為に必要な『プラズマブレス』と言う技を、髪の毛位に細くして発射する『集束プラズマブレス』で、俺独自の工夫だ。因みにジヌバーンのは『絨毯プラズマブレス』な」

「……。訊いてない事を教えてくれて有り難う」

「あ、あっちか? あれは単なるリベンジ野郎共だ。武者修行がてら、お前等の本星を思って露払いした時のな。これからも色んな奴が現れるかもな」

「それだけ宇宙を荒らし回ったと言う訳か」

「……そうだ、大事な事を思い出した。さっきのザオリーマは先の集落に向けての物だが、火葬されてなければ生き返ってるぜ? 墓の下、棺桶の中で」

 

 間を置いてセイランは顔を青くし、連絡しようとする。

 

「すぐ向こうの人達に!」

「隙有り! バシルーラ!」

 

 ウェアラブル端末にすっかり気を向けていた為、セイランは反応も出来ずにリッヂのバネ状の魔力を受ける。彼の体が即座に宙に浮き始めた。

 だがセイランは、驚きこそすれ焦ってはいなかった。

 

「ガーデン、俺に掴まれ!」

「ん、おう!」

 

 言われるがまま、反射的にセイランの腕を掴むガーデン。そして二人揃って飛ばされて行った。

 それについて、頭を掻くリッヂ。

 

「あ~、要らねーヤツまで行ったか。ま……、良いか」

「構わん。これにて任務終了! 全員離脱せよ!」

 

 ボーアンが全員に撤収命令を出し、自身の背後に空間の歪みを作り出す。

 リッヂを乗せたヴィーヴライニングと、ゲビガ、ジヌバーンは勿論の事、生存しているリリグ・ヴヴエ達も、ゴヅガの体を回収してボーアンの元に向かう。

 

「じゃあな。まあまあ楽しかったぜ」

 

 リッヂが手を振り、空間の歪みは消滅した。




設定集

リッヂ=ゼーレー
種族:ドラゴン
呪文:ホイミ系、ザオリク、ザオリーマ、マヌーサ、マホトーン、ラリホーマ、メダパニーマ、バシルーラ
特技:仲間を呼ぶ、プラズマブレス、集束プラズマブレス
追記:人間型ドラゴン
通常攻撃が範囲攻撃
道具使用で全属性・範囲攻撃
マヌーサは敵味方全員への、あらゆるアプローチの成功率を下げる
マホトーンはMPの使用を封じる

ジヌバーン=ジャッジャ
種族:ドラゴン
呪文:ザキ、ザラキ(ザキの範囲攻撃)、ザラキーマ(ザキのマルチロック)
特技:痛恨の一撃、急所突き、死の踊り、猛毒の霧、焼け付く息、凍て付く波動、プラズマブレス、絨毯プラズマブレス
追記:ヤジロベエに似た姿
急所突きは飛び道具でも効果を発揮
ザキ系と焼け付く息はダメージ付き
猛毒の霧は即死も有り得る

プラズマブレス
ドラゴンの、幹部選定基準の技。

集束プラズマブレス
リッヂの派生技。プラズマブレスを髪の毛の細さにして放つ

絨毯プラズマブレス
ジヌバーンの派生技。プラズマブレスの弾幕を放つ
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