ドラゴンクエストFUTURE~王室護衛係セイラン班~ 作:岬 実
静けさが戻り、戦の爪痕がそこかしこに残された街の中で、ルハル達はまだ警戒しながら一塊になる。
「戦いは終わったのか……?」
ドロップが警戒しながらルハルに訊く。
「あたしもそう思うけど……、一応油断しないで。セイランが戻るまで、あたしが指揮を取る。各員、まずは怪我人の回収に当たる様に!」
『了解!』
と、その時、空気を切り裂く鈍い轟音が辺りに響き渡った。
誰もが身構えて音がする方向、上空を見る。そこには、王室のマークが記された巨大な輸送機があった。
「あれって……」
グィネヴィアが安堵しながら大鋏をしまうと、滞空する輸送機の格納庫が開き、護衛係の制服を着込んだサイクロプスが飛び出した。
サイクロプスは地面を揺るがせて着地すると、近くにパラシュート付きのケースが投下されたのを確認して、輸送機が去る中、敬礼をする。
「『ダイチ=ノーゲッシ』、只今到着しましたッ!! ドラゴン共とセイラン班長はどこでありますかッ!!」
ダイチの大声での着任報告で、周囲の建物は振動する。ミョウコウ達は耳を塞いだ。
「あの馬鹿が……」
ドロップが苦々しく顔を背けるが、グィネヴィアは「元気で良いじゃない」と言いつつダイチに手を振った。
ルハルが手でメガホンを作って叫ぶ。
「ダイチー!? わざわざ、ここまで御苦労様ー! そんなデカい声じゃなくても聞こえるからー! 後、セイランとガーデンはバシルーラで飛んでったから、今から探すとこー! 取り敢えずアンタは救助活動に回ってー!」
「おお、そうでしたか! では早速作業に移りますッ!!」
「お願いー! あたし達はちょっと報告と作戦会議をしてるからー!」
「了解でありますッ!!」
ダイチがケースを拾っていそいそと消防屯所に向かうのを見送って、ルハルはミョウコウ達への
「騒がしい奴だけど、良い所に来てくれて凄く助かる……。予定変更。救助はあいつに任せて、あたし達は詰所でこれからの事を話し合おう?」
『異議無し!』
ドロップとグィネヴィアが快諾し、公民館へ向かう。ルハルは「セイラン!? ガーデン!? 応答して!」と呼び掛け続けるが連絡が付かない。「位置情報もダメか……」と溢す。
その道すがらドロップが、リッヂが武器を投げて空いた地面の穴を通り過ぎた直後、バックでその穴の地点に戻る。
「あーん……?」
ドロップは、地面に空いた筒状の穴をのぞきこむ。グィネヴィアも、「どしたの?」と一緒に穴を見る。
「この中に何かがあるみたいだ。一瞬光ってさ」
「そう? ちょっと掘ってみよ」
グィネヴィアは大鋏を180度開いて、それをスコップ代わりに使って地面を掘る。ルハルと馬達もその様子を見守る。
「おお、これは!」
グィネヴィアが掘り出した物は、一振のメタルキングの槍であった。
「こりゃ良いモン拾ったな。身近に槍使いは居ねーけど」
「アイツの忘れ物かぁ……。お巡りさんに見せて、許可が降りたら王室に献上、かな」
グィネヴィアがアシガラにメタルキングの槍をくくりつけ、一行は改めて詰所に向かった。
「王室か……。あーあ、また上から怒鳴られるよ、こっちの苦労も知らないで……」
ルハルはぼやいた。
────―
『大馬鹿野郎ーッ! お前達が居ながら何たる失態だ!』
「すいません、すいません! 勘弁して下さい『メギラ』主事!」
詰所に戻って戦況報告をしたルハルは、画面の中で怒鳴るメイジキメラに平謝りに謝っていた。
ルハルの後ろでは「『キモい』って言われた~」と嘆くトローリを、「こんなに可愛いのにねぇ?」とグィネヴィアが頭を撫でて慰めている。
その様子を見てメギラは一瞬哀れんだ表情をし、叱責を続ける。
『セイランとガーデンが行方不明のみならず、大切な国民までさらわれやがって! せめて行き先は見当が付いてるんだろうな!?』
「はい、大丈夫です! 敵はセイランを連れて行くつもりで、それもバシルーラで飛ばしましたし、通信が繋がらないのは今時有り得ないので、その二つの手掛かりですぐに見付かる筈です!」
『ふん、良いだろう……。次の報告は良い結果しか聞きたくないから、そのつもりで居ろ。分かったら早く任務に戻れ。切るぞ……』
「はい! 一刻も早く彼等、彼女等を連れ戻しま……、いや、させて頂きます!」
ルハルが深々頭を下げ、メギラの側から通信が切れた。
テレビ電話が切れて数秒後、ルハルは晴れ晴れとした表情の顔を上げた。
「ふー、やっと終わった……」
「お疲れ」
ドロップが軽く労うと、部屋のドアがノックされ、「失礼します……」とラインが姿を現した。
「この度はこちらの力が足りず、何度も何度も助けられてばかりで、その上そちらに被害まで……、本当に申し訳有りません……!」
ラインは地べたに頭を擦り付けて土下座した。
「いやいやいや! 大丈夫ですよ、任務の内ですから!」
ルハルが慌ててフォローすると、ラインは頭を上げて、持参した菓子折りを手渡した。
「後で王室に正式な謝罪とお礼をしますが、今日の所はこれをお納め下さい……」
「あ、これは有り難う御座います」
それを手渡しても頭を上げないラインに、ルハルは話題を変えた。
「……そうだ、あたし達はさっき、敵のメタルキングの槍を拾いまして。そちらで保管して欲しいのですが」
ラインは顔を上げた。
「おお……、自動で回収する宝箱に入っていた物ですね。メカニズムの手掛かりになるか調べさせます……!」
「槍は表の馬に持たせてますので。王室に献上したいので、出来れば後で返して下さいね。それと……、ウチのセイランとガーデンに電話が繋がらないので、電波障害か何かが起こっている所に、誘拐された人達も居ると思います」
「はい。御協力、感謝します。それでは今日は失礼させて頂きます……!」
ラインは立ち上がると再び深く頭を下げると、その場を後にした。
入れ替わる形で、ネツヤナヤの母でありツタァグの妻であるアリアがやって来た。
静かに涙を流しながら、ルハル達に頭を下げた。
「あの娘ったら、皆さんにまた手間を取らせて……、本当に申し訳有りません……」
「いえいえ、大丈夫ですよ。寧ろ謝るのは力が足りない私達の方です。どうか御容赦を……。貴女は旦那さんと娘さんの心配だけしていて下さい」
「ただ、あの娘の自業自得とは言え、どうか娘と夫を助けて下さい……! お願いします……!」
「何としても無事にお帰しします。期待していて下さい……!」
ルハルはアリアの肩を掴んだ後、自らの胸を拳で叩き、元気付けた。アリアは涙を拭って頷くと、「お願い、します……」とその場から去った。
それを見送ると、ルハルは足を崩して座った。
「やれやれ。謝っても謝られても疲れる……」
「形式上の事だろ」
突っ込んだドロップは、グィネヴィアに頭を小突かれている。
いがみ合いを始めた二人を、ルハルは手を叩いて制止させた。
「はいはい、ケンカは敵とやって。取り敢えず今後の目的は、セイラン達との合流と人質の奪還。とは言え、持ち場を離れられないし捜査権も無いから、警察の情報を待って、それに伴って上の指示を受けての行動とする。異議は?」
『異議無し』
掴み合うドロップとグィネヴィアは同時に返事し、ルハルは彼等を順次指差し、指示する。
「良し……。トローリさん、皆にお茶。少し休んだらギネは怪我人の治療。ドロップはあたしと、怪我人の救助に当たる様に。トローリさんは炊き出しとかの求人が有ったら手助けして」
『了解っ……』
「了解~」
覇気有る二人の返事に、トローリの伸びた声が続いた。
設定集
ドラグ式洗濯機
種族:ドラゴン
呪文:無し
特技:ヘヴィチャージ、薙ぎ払い、特定物分解液(1撃目で守備力を0にする。2撃目以降は大ダメージ)
追記:リッヂの実子
ドラム式洗濯機によく似ている
ヘヴィチャージは重力と質量を2倍にする
特定物分解液は、発射前に「溶かす」と意識した物しか溶かせない
ク
種族:ドラゴン
呪文:メラ系
特技:体当たり(自身はノーダメ)、眩しい光、ソニックブレス(バギ系の範囲攻撃)
追記:リッヂの実子
クーペ車に酷似
光速に近いスピードで走り、ソニックブーム等も発生しない。重力を振り切る事も無い
種族:ドラゴン
呪文:無し
特技:甘い息、凍える吹雪、輝く息
追記:肋骨がカゴの様に変化している
捕まった者は、力とMPが0になる
小柄でも、骨の隙間から出る事は不可能
ゲングイトの実子の、サポート役のシリーズ。ACは、『アシスタント・クリーチャー』の略
王室の職員の階級
特に護衛係の役職名は、係員、班長、主事、主任、主査、主幹、主務、参事、係長の順にランクアップする