ドラゴンクエストFUTURE~王室護衛係セイラン班~   作:岬 実

7 / 17
体格や形態が様々な者が居る世界で、どうやったら共存出来るか昔から気になってました


ドロップ合流

 セイラン達が護衛するトラック隊は、リッヂの襲撃後は特にトラブルも無く進み、『北緯67度、東経139度の街(仮称)』と書かれた標識を通り過ぎて目的の街に到着した。

 建設ラッシュの街中を抜け、他のトラックが次第にバラけて行く中、セイラン達が守る車両は公民館にやって来た。

 一般人達は続々とトラックから降り、タンの姿も有る警官隊の指示に従って大部屋に移されていく。

 その中に、ネツヤナヤ家もあった。

 ネツヤナヤはセイランとグィネヴィアを見付けると、両親が止める間も無くセイラン達に駆け寄って来た。

 

「さっきもたたかって、おつかれさま! どっかいたくない? ホイミするから!」

「おいネツヤナヤ、仕事の邪魔になるから……!」

 

 魔族の父親が少々語気を強めて注意し、母親はペコペコ頭を下げるが、グィネヴィアは笑った。

 

「いえいえ、良いんですよ。お手伝いしたい年頃なんでしょう」

「うん!」

 

 ネツヤナヤは勢い良く頷いた。

 

「わたしも、わるいひとやっつけるのを、おてつだいしたい!」

「え? そうだな……、手伝いか……」

 

 セイランは少し考えて、指パッチンをした。

 

「じゃあ、この辺の地図を描いてくれるか? 俺はこの街に初めて来るし、工事ばっかりで持ってるマップが当てにならないから」

「はーい!」

 

 ネツヤナヤは手を挙げ、グィネヴィアも「あっ、それは良いかもね」と賛成した。

 

「じゃわたし、かいてくるね!」

「その前に、荷物を片付けないとな」

「ホントすいません……」

 

 父親はネツヤナヤを促し、母親は苦笑しながら謝る。そこへタンがやって来て、「避難民の方はこちらへどうぞ」と一家を案内し、セイラン達もそれに続いた。

 施設の廊下をスキップで進むネツヤナヤの後に付いて行きながら、グィネヴィアはセイランに耳打ちする。

 

「でもま、手伝わせちゃって良いのかな?」

「ん……? ただ、テイ良く断るよりは、子供の扱いとしてマシかと思ったんで……」

「ああ、ガーデンに言われた事か……」

 

 ネツヤナヤ達避難民が通されたのは、複数有る大部屋の内の一つだった。既に避難民達はシートで床を、段ボール等で壁を成し、各々のスペースを確保している。

 

「ここがネツヤナヤのおうちかぁ……。おねえちゃんたちも、おうちにかえるの?」

「うん。じゃ、またね?」

 

 グィネヴィアは手を振ると、おもむろに隣室のドアを開けて、「ただいま~」と中に挨拶し、セイランと二人で入室。

 その様子を見て、「きゃはははは!?」と爆笑するネツヤナヤ。両親も意表を突かれた様である。

 室内は広めの座敷になっており、二人は靴を脱いで上がる。着替え用の仕切り、部屋の片隅には簡素な調理スペースもあり、そこで料理中の者が二人に気付くと振り向いた。

 それは、ドロルであった。

 

「あ~、お帰り~。向こうでえらい目に遭ったって~?」

 

 ドロルは男とも女ともつかない声の、間延びした喋り方をした。

 

「ドロル……」

「ドロルじゃない。『トローリ』だ~」

 

 セイランの呟きにトローリは反論するが、セイランは顔を背けて「ドロルだろ……」と小声で突っ込んだ。

 

「初めて会うっけ? 王室の調理師のトローリさん。大丈夫。ご飯は上手だから」

「…………、はあ」

 

 セイランとトローリはどちらからともなく手を差し出し、握手した。グィネヴィアは質問する。

 

「それはそれとして……、ドロップさんは? またパチンコ?」

「多分ね~。ちょっと前に出てったから、まだその辺に居るかもね~」

「そっか。じゃあセイラン、会いに行こ? 一応、私服に着替えて」

 

 グィネヴィアは良いながらアイテムボックスから自分のとセイランの平服を取り出す。

 セイランは額のカメラを、グィネヴィアは肩のタンクを外す事を含めてお互い着替えも済ませ、公民館の外に出ると、ネツヤナヤが父親と、スケッチブックを片手にクレヨンで地図を描いていた。

 父親が会釈をし、セイラン達もそれに応える。

 ネツヤナヤがセイラン達に気付くと、元気良く手を振った。

 

「おにいちゃんたち、おでかけ?」

「うん、ちょっと仲間に会いに」

「そっか、いってらっしゃーい!」

「行って来まーす」

 

 舗装がされてないので砂埃が多少舞う大通り。二人は軽く咳き込みながらそこを抜け、商店が建ち並ぶ脇道を少し進むと、雑居ビルの一階にパチンコ屋は在った。

 その店先、護衛係の制服を着た黄色いプクリポが今まさに入店しようとしている。

 

「居た……!」

 

 その姿を見るやグィネヴィアは駆け出し、プクリポを抱え上げると足早に路地に駆け込んだ。セイランも後を追う。

 

「ちょっとグィネヴィアさん……」

 

 セイランが追い付くと、グィネヴィアがプクリポに説教している真っ最中であった。

 

「だから言われてるでしょ!? 『制服着たままギャンブルをするな』って!」

「おおそうだったな。体の一部同然だからつい、な」

「全くもう……! モシャスも出来るでしょドロップさんは……」

 

 グィネヴィアが踵で地面を一撃すると、ドロップはセイランの姿を認めた。

 

「ようセイラン、久し振りだな! 班長就任、おめでと! 噂になってるぜ? 『宙人(そらびと)で、第二王子のお気に入りだから班長になれた』って」

「ど、どうも……」

 

 セイランを揶揄した為、ドロップはグィネヴィアに頭を小突かれている。

 その患部を押さえながら、ドロップは続ける。

 

「一緒にパチンコ打つか? ん?」

「いや、博打の類いは俺は……」

「良いから良いから。立ち話もなんだからよ。就任祝いに勝ち金は全部やる」

 

 ドロップは往来の人々に目をやると、魔力を溜める。

 

「モシャス……!」

 

 ドロップがモシャスを唱えるや否や、三人の姿は当たり障りの無い人間に変身した。

 

「これでメンが割れない。さ、行こ!」

 

 セイランはドロップに手を引かれ、半ば強引に入店させられ、グィネヴィアも仕方無く後に付いて行った。

 店内はパチンコや特有の、電子音の楽曲、玉が流れる音が織り成す騒音に満ち溢れていた。

 

「ああうるさい……」

「ほら耳栓。俺の予備だ」

 

 すかさずドロップは未開封の耳栓をセイランとグィネヴィアに手渡し、自らも装着する。

 三人は入り口で靴を脱ぎ、それを下駄箱に入れると、ドロップは靴下も脱いで靴に突っ込んだ。

 店内は畳張りとなっており、椅子は全てが座椅子。種々雑多な人種や魔物が、ある者はつまらなそうに、ある者は缶の飲料を傾けながら遊技している。

 

「さて、と……。仕事と行くか」

「あんまりやり過ぎないでよ? 王様からも言われてるでしょ?」

「分かってる分かってる」

 

 意気込むドロップはセイランに向き直り、訊く。

 

「で、セイラン、いや班長。俺が打つ台を選べ」

「え……、じゃあコレで」

 

 セイランは傍らの、当たり確率が319分の1のデジパチを指差す。

 

「良し、良いだろ」

 

 ドロップは勢い良く腰掛けると、手元の高さの入金機に紙幣を入れ、上皿に満たされた玉から一玉取り出すと、他を全てパーソナル計数機に流す。

 

「玉は一発有れば良い」

 

 打ち出された玉は盤面を舞い、釘に弾かれ、風車に放られ、ステージと呼ばれる箇所を何往復かした後、中央の溝で止まり、始動口に入った。

 その瞬間、「ジャキーン!」とでも形容すべき音が鳴って保留が虹色に変化し、金色の文字でキャラクター達が会話しながら戦い始め、そして撃破。勝利ポーズを取るキャラクターと一緒に、画面にはスリーセブンが表示された。

 ドロップは席を立つ。

 

「はい当たり。班長、打ってて良いぜ」

「……。これ本当に偶然なのか……?」

 

 着席しつつも怪しむセイランに、ドロップは笑う。

 

「偶然だよ。たまに負けるから」

 

 ドロップは「ハハハ」とその場から離れ、改めて羽根物のパチンコを打ち始めた。その台も、座って間も無く当たりが掛かった。

 

「相変わらず、凄いと言うか不気味と言うか……。魔法も使ってないし。あ、あたし外でお茶飲んで待ってるから。任務中だし」

 

 グィネヴィアはその場から去り、外に出た所で(れい)の洗礼でモシャスを打ち消す。セイランは何となく打ち続ける。

 

 

 

 数十分後。セイランとドロップの両名は、それぞれ10数枚前後の最高額紙幣を手に店から現れた。

 向かいの、座敷の席しかない喫茶店でそれに気付いたグィネヴィアは、手招きして二人を呼ぶ。

 モシャスを解除し、セイランとドロップも入店。グィネヴィアの席にあぐらをかく。

 

「どうだった? 博打は?」

「何と言うか、嬉しい様な、訳分かんなかった様な……」

「そんなもんで良いの。ドロップさんだから勝ち続けられるんだし。ドロップさんも、あんまセイランを悪の道に引き込まないでよ?」

 

 ジト目でドロップを見るグィネヴィアだが、ドロップは気にせず注文を取り、水を飲んで弁明する。

 

「なあ、グィネヴィア。セイランにお前が魔法を、ガーデンが剣術を教えた様に、『世間を教えてやれ』と第二王子から言われてる。これもその一環ってワケ」

「ほどほどにね……」

「それと、今だから言うけどさ……、俺は護衛係に勧誘された時、『タダ働きする』と条件を出したんだ」

『え』

 

 セイランとグィネヴィアは、呆気に取られた。

 

「セイラン、班長ならじっくり考えてみな。無給で働くヤツが部下に居たら、一体どうなるのか」

「うーん……」

 

 腕組みをして考え込むが、セイランからは答えが出ない。

 

「ま、分かんねーのも無理はねえ。フツーそこまで教えないからね。その内分かれば良いさ」

「ええ……。すいません」

 

 一行は、暫しの休息を楽しんだ後、公民館へ戻った。




このドラクエ世界は、別に日本文化圏ではありません。椅子が要らなければ、まだバリアフリーに近いかと思っただけなんです……。しかし手足の無いヤツはどうしているのか……

設定集

ガーデン=バッシュ
種族:ガーディアン(デビルアーマー属)
職業:バトルマスター
呪文:各種バフ
特技:各種剣技、各種特効剣技、各種格闘技
追記:2回行動可能

グィネヴィア=エーズィー
種族:オーガ
職業:賢者
呪文:各種回復呪文、メラ系、ドルマ系、イオ系、ヒャド系
特技:各種ブーメラン技、各種格闘技、魔力覚醒、暴走魔法陣、凍て付く波動、(れい)の洗礼
追記:2回行動可能

隼の大剣
ガーデンのメインウェポン。隼の剣の大剣版。ガーデンは二刀流で使用出来る

魔力の源泉
触れている者の魔力を貯蔵する。味付け可能。グィネヴィアはサイボーグ手術をする事で機械の性能を上げている

与知のアンテナ
装着者の戦闘経験を逐次バックアップする。ガーデンはサイボーグ手術をする事で機械の性能を上げている
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。