ドラゴンクエストFUTURE~王室護衛係セイラン班~ 作:岬 実
翌朝の昼過ぎ、ガーデンとルハル、ルハルの馬達や馬車をも乗せた避難民の輸送トラック第2便は、つつがなくセイラン達の元に到着した。
ガーデンとルハルに頭を下げて出迎えるセイラン。
「皆さん、お疲れ様です。そして、『ミョウコウ』ちゃん、『ナチ』さん、『アシガラ』姐さん、ハグロ君も」
労いは、ルハルの4頭の牝馬達にも欠かさない。それぞれの頭を撫でて回る。馬達も嬉しそうな素振りを見せた。
ガーデン達も、各々に会話を始める。
「よう、ガーデン。相変わらず服が似合わないな」
「グィネヴィアにも言われたよ、それ」
「ギネ、こっちに来る途中で襲われたって? え? 『スポーツカーみたいなドラゴン?』 ダッサ!」
「またハッちゃんったら、敵を侮って……」
それ等が一段落した所を見計らって、セイランは軽く「あーあー」と喉を整え、話し出した。
「さて、俺達の当面の活動目的を確認──」
「俺達と遊ぶ事だろ?」
どこからともなくリッヂの声が響き、民衆はざわめき立ち、ガーデン達班員はセイランの背後の空を見上げた。
ガーデンは歯を食い縛り、グィネヴィアは嘆きムーン的な顔、ドロップは
セイランは眉間に皺を寄せて目を強く瞑り、歯を剥き出しにした。顔を落ち着けて、振り返る。
空が、以前と同様歪んでいる。そこからドラゴン達が現れた。
浮遊する椅子型ドラゴンに座ったリッヂ、窮屈そうに無理矢理空間を押し拡げて、地響きを立てて着地したボーアン。最後にジヌバーンが勢い良くジャンプして着地。
ジヌバーンはセイランを一目見ると、一人ごちる。
「コイツか……。
「とは言っても……、観察に長けてない俺でも分かる。ゲングイトが研究したがる訳だ」
ボーアンがジヌバーンに続いた所で、セイランが質問した。
「誰だよそれは……」
「会いたきゃサンプルとして捕まりな。ゲングイトから借りたコイツに!」
リッヂは歪んだ空間を見ながら手を叩く。すると、肋骨が檻の様に発達した、飛行するドラゴンが現れた。
加えて、ボーアンが口笛を吹く。
「さて、予定通り露払いと行くか。『リリグ・ヴヴエ』達、仕事だ!」
ボーアンは高らかに呼びつける。すると、小型肉食恐竜・ヴェロキラプトルに似た生物の大群が現れた。
腕の代わりにドラゴンの翼が生えた姿の恐竜は、隊列を組んで行進し、ボーアンの前で止まる。
「命令。警官を殺せ。歯向かう者もだ。行け!」
ボーアンの指令を受け、リリグ・ヴヴエ達は雄叫びを上げ、各自散開して警官を探し始めた。
セイランも班員に指示を下す。
「皆、戦闘開始だ! ガーデンとドロップはサソリみたいなのと恐竜達を! グィネヴィアとルハルは一本脚を頼む! 俺はリッヂをやるっ!」
『了解!』
ガーデン達は指示に従い、それぞれの相手の元に向かった。
セイランと相対したリッヂは「ギャオッホッホッ……!」と笑った。
「俺を御指名たぁ嬉しいな。で、ネツヤナヤ、だかはどこだ?」
「知らない! 何故こんな事をする!」
「喋ったらお前達は本気にならないだろうし、他力本願なトコが有るのが人類ってもんだしなぁ」
「折角、会話が出来るのに……。何で戦わないといけないのか……!」
「青いなぁ。行くぞ!」
三組ずつに別れた両陣営は、交戦状態に入った。
────―
ガーデンとドロップ達が警察署に辿り着いた頃には、既にそこは戦場となっていた。
ある者は手足や頭を噛み砕かれ、またある者はジャンプして踏み潰され、またある者は激しい炎で燃やされる。
それでも、警官達は果敢に立ち向かって行く。タンの姿もその中に有った。
「くそ! 倒しても倒しても!」
ショットガンを撃ちまくるタン達の周囲には、多数のリリグ・ヴヴエの死骸が横たわっているが、後から後から増援が現れている。
「ドロップ!」
ガーデンはドロップに目配せする。ドロップも察し、「ああ、任しとけ!」と魔力を溜める。
一拍置いて、ドロップはリリグ・ヴヴエの大群を指差し、指先から光を放った。
「パルプンテ! 雑魚敵は止まる!」
その光はリリグ・ヴヴエ以外の者にも当たっているのだが、宣言通り、リリグ・ヴヴエだけが動きを止めた。
『おお!』
「何だと……?」
タン達は喜び、ボーアンは身を乗り出した。敵が止まっている隙にガーデンがピオラを加えた爆裂斬で、リリグ・ヴヴエ達の首を全て落として回った。直後にパルプンテの時間停止が切れ、切り口から噴水の様に血が噴き出て、痙攣しながら首から下は倒れ伏す。
ボーアンは眉間に人差し指を押し当てた。
「『雑魚敵は』と言ったな? ならば……」
ボーアンは、自分の足元に空間の歪みを出現させた。
「『ゴヅガ』!」
「出番だな!」
呼び出しに応じて何かが疾走して飛び出した。
土煙を上げつつブレーキして出現したのは、ダチョウの様なドラゴン。
詳しい姿は、ドラゴンの首から脚と翼が生え、口吻が伸びた先にダチョウの頭に似たクチバシが有る、と言う物。
「『ゲビガ』!」
「俺か? あーダル……」
「ゲビガ」と呼ばれてノソノソ現れたのは、例の象型ドラゴンである。
「この、階級『ボライズ』達ではどうかな?」
ボーアンの問いにゲビガとゴヅガは吠え、ガーデンとドロップのコンビは身構えた。
設定集
リリグ・ヴヴエ
特技:激しい炎、高く跳び上がる
備考:ボーアンの子供達の一種。自我は然程無く、簡単な命令をこなす程度の知能しか無い
ヴヴエ
ボーアンが産んだ子供の中で、最弱ランクの階級である
ボライズ
ボーアン直属の階級の一つ。所属者はボーアンとの血縁は無く、幹部格ではないが1万年前から生き延びている者達である