かりちゅまより吸血鬼らしい爵銀龍の幻想入り 作:クロマ・グロ
呼び出されたるは爵銀龍
誘いに導かれし者は
疾風にさらわれ その風が闇の化身と知る
贄は避けられぬ闇に覆われしまま
精果てるまで吸い付くされ
給仕はひたすらに主への緑酒を注ぎ続ける
贅を尽くし満を持して 闇は月光の下 姿を現す
~朱に染むる夜宴~
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幻想郷
忘れられた者達の住む最後の地
この地に住まう吸血鬼の館、目が痛いくらいに紅い館
紅魔館と呼ばれるこの館の地下に住まう紫のパジャマのような服に身を包む一人の魔法使い(紫モヤシ)
七曜の魔法使いことパチュリー・ノーレッジ
なにを思ったのか吸血鬼関連の書物が保管されている本棚を見ていた所
見覚えのない一つの召喚魔法の書物を見つけた
「『~朱に染むる夜宴~』?一見吟遊詩人の歌の書物にも見えるけどこれは偽装……いえ、召喚する生物の特徴を捉えた歌と言った所かしら?でもなぜこんなものがこのエリアの本棚から?」
明らかに見覚えがない書物ね、私は常にここに居たのもあって基本的にこの図書館にある書物は全て把握してるはずだった。
しかし、新しい書物がこの図書館に呼び出された気配は無かったのだけど実際に新しい書物がこの本棚にあった。
恐らくつい最近幻想入りしたもののようね。
でもなぜ吸血鬼関連の本棚に仕分けされたのかが謎ね、明らかこの表紙に描かれている物は吸血鬼ではなくドラゴン、それに使えて周囲には蝶のような生き物も居るように見える。
「明らか吸血鬼とは関係無さそうだけど召喚魔法の魔法書であることに代わりは無いわね、これは白黒が来る前に封印しておく必要がありそうね、さすがに何が呼び出されるか分かったものじゃないわ」
そう思った矢先に後ろから小さな羽としっぽを持ち、紅い髪を持つ女性が話しかけて来た
「パチュリー様~、何を読んでいらっしゃるのです?」
「小悪魔、貴女これに見覚えはあるかしら?」
この女性の名は小悪魔、種族名と言うのが正しいかも知れないが私が使役する使い魔である
「『~朱に染むる夜宴~』ですか?私には見覚えのない書物ですね~、昨日確認した時点では無かったと思うのですが」
小悪魔はこの図書館の本全ての整理等もしている、何せこの図書館はその性質上常に何かしらの書物を呼び寄せるという特徴がある。
だからこそ常に整理する人員が必要であり
下僕としてこき使える使い魔である小悪魔にはその役割が適しており、小悪魔自身も何があるかはある程度把握している
「そう、貴女が見たこと無いとなるとやはりこれは今日この図書館に呼び出された物と考えるのが妥当でしょうけどまだ呼び出される気配はしてないから恐らく幻想入りした書物でしょうね」
「見たところ召喚魔法の魔法書のようですがどのエリアから見つけられたのですか?」
「これは吸血鬼関連の本棚から見つかったわ、表紙見る限り多分違う気がするのだけれど中に書かれてる歌の内容を見る限り完全に無関係とは言い難いような気がするのよね」
そうして小悪魔はその表紙を見て何か思いあたる節があったのか少し疑問を感じた
「んー、この本とは関係あるか分からないのですが確か私が召喚される前にこのドラゴンが描かれていると思われる何かを見たような気がするのですよねぇ。ですがすみません、それが何かまでは思い出せそうにありません」
「使えないわね、でもそうなるともしかしたら悪魔に関係あるものなのかも知れないわね」
「ひどいですよパチュリー様ーー!?!?」
そうしていつも通りの会話をしている所またいつも通りに本泥棒こと白黒の魔法使いが扉を破壊して堂々と侵入してきた
「邪魔するぜー!今日も本を借りに来たぜー」
「はぁ………あのね、いつもいつもドアを壊すのはやめてくれないかしら?埃が舞って本に悪いし修理にも手間がかかるのよ。それに貴女は借りに来たと言いながら一度も返した事が無いじゃないの!」
そう、この白黒魔法使いは借りに来たと言いながらいつも無断で盗んで行き返しに来た試しがない
「ちゃんと返すっての、私が死ぬまで借りるだけだぜ?」
「それは世間一般で借りに来るとは言わないのよ」
そう言いつついつも通りに呆れていると魔理沙が私が手に持ってる魔法書に気が付いてしまった
「お?なんだこの魔法書、ずいぶんと古いタイプだなぁ」
しまった、呆れている間にいつの間にか盗られてしまっていた、毎回毎回来る旅に盗みの技術を上げてるわね………
「『~朱に染むる夜宴~』?なんだこの召喚書、何が呼び出されるか全く分からないじゃないか、試しに呼び出して見るか」
「なっ!?待ちなさい、何が出るかも分からないままそんな物呼び出したら何が起こるか!?」
「あ、もう召喚魔法陣なら起動したぜ」
「なにやってるのよ!?」
何を考えてるのやら、もしこれで召喚される物が私達の手に余るものだったらどうするつもりなのかしら!?
そう考えてる矢先に召喚魔法陣が光を放ち一匹の巨大なドラゴンがその姿を徐々に現す
その体は白銀の美しい鱗や甲殻に覆われており翼や首から生えている羽毛のような部分等には血を思わせる紅い色合いがあり、さらにそこからは一見蝶にも見えるが赤く、羽の生えた蛭(ヒル)のような不気味な生物が止まっていた。
さらにその頭部は硬い甲殻で覆われておりその姿は見ようによっては竜の頭蓋骨のようにも見える。
そしてその紅い翼がゆっくりと開かれ、その美しい姿がさらけ出される
呼び出されたのは一匹の巨大なドラゴン、ある世界にて古龍と呼ばれる超常を操る生ける災害とさえ言われる生態系の絶対者
その名は
メル・ゼナ
爵銀龍の名を与えられた最強の一角である