かりちゅまより吸血鬼らしい爵銀龍の幻想入り 作:クロマ・グロ
~地底~『勇儀の自宅』
ヌシ・アオアシラの1日は早い。
アオアシラは勇儀の自宅に用意して貰った寝床から出てくるとまずは毛繕いを始める。
幻想郷にはあまりノミやダニのような虫はそんなに居ないのだが、元々居たところでずっとやっていた事なのでもうすっかり習慣になっているのだ。
とはいえ部屋の中でやってしまうと抜け毛とかが大量に床に落ちるのでいつも庭で毛繕いを行っている。
毛繕いが終わった後は勇儀から貰っている大きめの鞄におこづかいを入れて買い物に出かける。
勇儀は今日はお酒の飲み過ぎでしばらく起きないので朝ごはんを買いにいくのだ。
地底に唯一ある魚屋、ここは地底の外、つまり地上で仕入れた魚を主に扱っており、海のある断裂群島が地底から繋がっているのもあって新鮮な魚を仕入れやすくなっていた。
そして魚屋に着くと八つ目の顔を持った妖怪のおじさんが向かえていた。
「おや?アオアシラじゃねぇべか。
今日も活きのええ脂の乗っとるサシミウオを仕入れてるだべよ。」
アオアシラは実はこの魚屋の常連であり、断裂群島の幻想入り前は鮭をメインに、幻想入り後は海と一緒に幻想入りしてきたサシミウオを中心に買って自分のご飯にしていた。
特にアオアシラは魚を食べる時はとても幸せそうな顔をして食べるのもあり、可愛いと地底の女性妖怪からかなりの人気となっていた。
「おぉそうじゃ、アオアシラ!
今日もここで食べてくか?もう一匹旨そうな鮭も仕入れててな、お前さんにやるよ。」
「ぐぉ!」
ヌシ・アオアシラは凄く目を輝かせており、店の横に座って足の上に乗せた魚の入った袋からサシミウオを取り出してむしゃむしゃと幸せそうな顔をして食べ始める。
やがて魚屋に妖怪が集まっていき、一緒に魚を食べたり子供の妖怪にもふもふされながら食事を済ませる。
食べ終わった後は口回りと手に付いたサシミウオや鮭の脂を舐め取っていく。
この姿も可愛いと評判になっていた。
すると魚屋のおじさんがアオアシラの元へとやってきて話しかける。
「いやあー、助かったべ。
お前さんが魚食べてる所が可愛いって評判になってての。
案の定お前さんの噂を聞いてやってきた妖怪がちゃんと客としてこっちの魚を買ってくれるもんだべからオラとしても商売繁盛して助かったべ」
そう言うと店から蜂蜜の入ったツボを持ってきてアオアシラへと手渡す。
「ほれ、今日はお前さんのお陰ですぐに売り切れたからお礼に蜂蜜をやるだべ。
お前さんが蜂蜜が特に好きって聞いたから仕入れといたんだべ。」
するとアオアシラは魚以上に目を輝かせて魚屋のおじさんへと頬擦りして感謝する。
「おお、よしよし。
そんなに嬉しいだべか?それなら良かっただべよ。」
アオアシラの毛並みを堪能しながら魚屋は嬉しそうにしていた。
そしてアオアシラは手を振って魚屋から離れて行き、勇儀がこの間酒飲んで暴れて壊してしまった家まで歩いて行き、工事の現場へと向かう。
「おお?アオアシラか、今日も手伝ってくれんのかい?」
アオアシラを向かえてくれたのは鬼の青年で、勇儀が壊した所等はいつもこの青年を中心とした鬼達によってすぐに直していた。
今回の修繕は柱すらダメになっており、一度解体してから建築しなおす形となっていた。
「ちょうどいい、アオアシラ。
お前さんにはこの家に一度解体するの手伝って貰ってもいいかい?」
「ぐぉ!」
そして解体が始まり、鬼達はその力によりスムーズな解体が進んでいく。
アオアシラはその自慢の爪と腕力によってどんどん家解体されて更地へと姿を変えて建築が始まる。
「手伝ってくれてあんがとな!
こいつは今日の駄賃だ、また今度手伝ってくれよー!!」
相違って駄賃としていくらかのお金と蜂蜜のツボをまた貰ってアオアシラは勇儀の家へと帰っていく。
途中地底の子供達の相手をしたり、女性の妖怪に撫でられたりしていて少し時間がかかってしまっていたが、アオアシラは無事に家に帰ってきた。
すると家からかなりの酒の臭いが漂ってくる。
どうやら勇儀が起きて酒盛りしているようだ。
「ぐぉぉぉおお!!」
アオアシラは玄関を開けてその声をあげる。
すると勇儀がこちらに気付いたのか玄関までやってくる。
「おや?アオアシラじゃないか。
今日の買い物と散歩は終わったのかい?」
「ぐぉ!」
「そうかいそうかい。
それに蜂蜜のツボが二つってことはどこかしらを手伝って来てくれたみたいだね。
地底の皆もお前さんが手伝ってくれると凄くありがたいって誉めてたよ?」
「ぐぉお?」
鬼のリーダー格である勇儀の元へは様々な声がかかっており、アオアシラへの感謝も勇儀に伝える人物も結構多かったりするのだ。
そしてアオアシラが可愛らしく首を傾げていると勇儀が何かを思い付いたようだ。
「そうだ!今日はさとりとかも来ているんだしまた皆で酒を飲もうじゃないか!
またその蜂蜜を使った蜂蜜酒を出しといてあげるよ。」
「ぐぉぉぉおお♪」
アオアシラはとても嬉しそうに声をあげる。
アオアシラはすっかり地底の人気者となっていたのだった。