かりちゅまより吸血鬼らしい爵銀龍の幻想入り 作:クロマ・グロ
~冥界~『裁判所』
「へぇ………この世界の弾幕とやら………威力こそ低いけど私達龍とはあまり相性良くない感じだなぁ………私達はホントに体が大きすぎるからなぁ………」
白き少女はその深紅の瞳で三匹の古龍を見つめ呟く。
「仕方ないなぁ………我が血族よ……我が血の呼び掛けに答えよ。
己の魂に混じりし我が欠片に答えよ!」
白き少女はその瞳を龍特有の瞳のように縦に開かれ三匹の古龍を見つめる。
ゾクッ!
「グォ!?」
「キシャ!?」
「キュォ!?」
この深紅の龍瞳に見つめられた三匹の古龍は非常に怯えた様子となっており、まるで恐怖によって支配されている様子だった。
「グ………グォォォォォォオオオオオオ!!!」
テオ・テスカトルは己の魂に混ざった己の始祖の欠片に答えるように、その恐怖に支配されるように己の力を引き出し始める。
己の周囲に粉塵が大量に舞い始めて何度も爆発を引き起こす。
「キシャァァァァァァアアアアアア!!!」
オオナズチ更に霧を吐き出して周囲の視界をかなり悪くして己の毒をさらに凝縮させ始める。
「キュォォォォォォオオオオオオ!!!」
クシャルダオラは己の風を操る力を限界まで引き出し、自らを守る第二の鎧でもあり、相手を吹き飛ばす矛ともなる黒き風、龍風圧を纏い始める。
「ッ!?様子が変わった………それに何かに怯えている………。
あの少女は………居ない?」
「…………フフフ………この世界の者の力……存分に見せて貰うとしましょうか。」
龍は応える。
己の始祖の期待に応えるために。
己を支配する恐怖を無くすために。
古龍達は死に物狂いで戦い始めるのだった。
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「四季様!?こいつらの魂の力が削れる速度が凄まじく速くなってますよ!?
この速度だと下手したら消滅しかねませんよ!?」
「そうなる前に私達が拘束します!
魂を消滅させてなるものですか!」
三匹の古龍は無理に生前の力を全て引き出そうとしているのもあり、かなり無茶をしている様子だ。
この影響もあり、魂の力が凄まじい速度で削られ、すぐに危険域にまですぐに達してしまっている。
だが三匹はまだ力を引き出そうとしている。
「このままでは不味いです。
すぐにでも拘束して引き出した力を魂に戻さねば!
小町!!」
「お任せを!!せぇぇい!!」
小町は己の能力を使い、まずはオオナズチのすぐ後ろへと一瞬のうちに移動してその鎌を用いて魂を刈り取る。
「キシャ!?」
死神の鎌は魂の殻となっている仮の肉体を完全に無視してそこに包まれていた魂のみを刈り取る。
だがだからといって殻を放置することも出来ない。
魂から力を引き出しすぎているのもあり、魂はこのままでは自然消滅してしまうのだ。
「仮初めの肉体よ!魂へと帰りなさい!
魂よ!我が審判を受けなさい!」
閻魔である映姫の顕現により、魂によって生成された殻を再び魂としての形に戻し、刈り取られた魂であるオオナズチへと戻していく。
魂を裁き、その魂へと命令を聞かせる権限を持つからこそ出来る芸当である。
だがオオナズチは身を守る鎧が無く、身を守る手段が物理的に擬態するという事しかなかった為に上手く行ったが他の2体はそうも行かない。
「グォォォォォォオオオオオオ!!!」
「ぐぅぅうう!?四季様!この爆発をどうにかしないととても近付けませんよ!?」
テオ・テスカトルは己の纏う豪火によってその身体から出る粉塵を爆発させ続けており、近付こうものならその豪火によって焼かれ、粉塵爆発によって吹き飛ばされてしまう。
四季は向こうの神から聞いたこの三体の古龍の関係性を思い出す。
クシャルダオラ、テオ・テスカトル、オオナズチの三匹は三竦みの関係となっており、お互いがお互いを抑制しあう関係となっているのだ。
これはそれぞれが力を持ちすぎるのを抑制する為とも言われている。
オオナズチの毒はクシャルダオラの暴風を抑制し、クシャルダオラの暴風はテオ・テスカトルの炎を吹き飛ばし、テオ・テスカトルの炎はオオナズチをあぶり出す。
この三匹がお互いを抑制しあうことによりバランスを取っているのだ。
テオ・テスカトルの豪火を吹き飛ばす事が出来るのはクシャルダオラ。
ならば…………
「小町!!クシャルダオラのブレスをテオ・テスカトルにぶつけさせなさい!」
「っ!わかりました!」
小町は能力を使っていきなりクシャルダオラの目の前に現れ、その鎌で軽く斬りつけてクシャルダオラの視線を自分に誘導する。
そしてテオ・テスカトルの方へと移動してクシャルダオラのブレスを誘発させる。
小町は能力を使って瞬時に離脱する。
目標を見失ったブレスはその目標の後ろにいたテオ・テスカトルへと激突してその粉塵と炎を吹き飛ばす。
「今です!」
これにより小町は瞬時に能力を使って無事に近付き、その魂を借りとる。
「オオナズチ!私の力を渡しますのでその毒を貸してください!」
映姫はオオナズチの魂へと指示を出して自分の力を渡してその分の毒を生成させる。
「くっ!?あれだけ渡したのにこの量………古龍を押さえるにはこれ程強い毒がないとダメなのですか!?
小町!」
映姫は生成された毒を小町の能力を使って直接クシャルダオラへと食らわせる。
「キュォ!?」
クシャルダオラは毒によって己の角へと力を回しにくくなり、その身に纏う風圧を弱めてしまう。
しかしそれでもなお強力な風圧を纏うクシャルダオラに小町は必死に近付く。
「くぅぅうううう!!このぉ!!!」
その風圧を掻い潜ってなんとかその鎌を使って魂を借りとる。
仮初めの肉体に阻まれていたのなら成功することは無かっただろう。
魂への命令権を持っていなければこの魂達は消滅していただろう。
死神への的確な指示と魂だけの存在への絶対優位性がなければ負けていたのはこちらだっただろう。
爆発によって破壊され、暴風によって吹き飛ばされ、その毒によって裁判所はしばらく機能停止せざるを得なくされていた。
映姫は三匹の魂を縛り、暴れられないようにして今後どうするべきか、そして先程の白い少女について考えるのであった。