かりちゅまより吸血鬼らしい爵銀龍の幻想入り 作:クロマ・グロ
~地底~『萃香の家』
ぐぉぉぉおおお…………
ぐがぁぁぁあ…………
ボリボリ……………
巨大なイビキを立てながら腹を掻いて寝ている音が響く……
普通は音の大きさが大きいことから人や鬼等ではなくモンスターの寝ている時のイビキだと思うだろう………。
しかしその音を実際に出していたのは…………
ぐぉぉぉおおお………
ぐがぁぁぁあ………
ぐぉぉぉおおお………
ぐがぁぁぁあ………
ボリボリ………
横に延びる巨大な角が特徴の力強い存在、ラージャン………
に見えなくもない『伊吹 萃香』であった。
そしてイビキを出して腹を掻きながら寝相が悪く、片手には酒。
その姿はもはや休日のオッサンにしか見えないのであった。
カンカンカンカン!
「んぁ?」
フライパンとお玉を叩くことによって甲高い金属音が鳴り響きその煩さから萃香は思わず目を覚ます。
今の萃香には同居人………というか同居するモンスターがおり、そのモンスターは先端がふさふさとした尻尾を揺らしながら片手には大きめの中華鍋、もう片方にはお玉を手に持ち黒い体毛と可愛らしいフリフリのフリルが付いているピンク色のハートエプロンに身を包んだ萃香より大きな角が特徴のモンスター…………
ラージャン(家事の姿)であった。
「ぐぉぉおおお!」
「んんんぅぅぅ…………おはようラージャン……ぐびっ」
萃香はここ最近はずっとラージャンによって起こして貰っていた。
いつもならこの自宅にはあまり帰らないのだが新しく同居人としてラージャンが来てからと言うもののちょくちょく自宅の方で眠るようにしていたのだ。
しかし萃香の眠る=泥酔な為にいつもラージャンが起こしにいかないと昼頃まで眠っているのだ。
そして萃香は寝起きに一杯酒を飲む。
鬼というのは確かに酒好きだが、四六時中ずっと飲んでいるのは萃香と勇儀くらいだったのだ。
とはいえ勇儀はちゃんと迷惑を"たまに"しかかけない飲み方をしているので良いのだが、萃香は基本的に24時間酔っぱらっているのがデフォルトなので基本的に迷惑を"頻繁に"かけていた。
とはいえ家事をするようになったラージャンはもはやいつもの事と割りきっており、最近になって目覚めた趣味の料理に力を注ぐのであった。
ラージャンは味覚としては一応人間に近い感覚を持っており、萃香から飯として木の実や生の肉とか出はなく料理を出された時はどうやって食べるのか分からず軽く戸惑ったのだがいざ食べてみると今まで食べてきたどんな物よりも複雑な味に軽く感動していたりしたのだ。
それからと言うものラージャンはたまに紅魔館に通って美鈴に気功を教えて貰うついでに咲夜に料理を教わっていた。
ちなみに今日の朝御飯はラージャンが地底の市場で仕入れた"サシミウオの塩焼き"。
ワカメに豆腐、ネギの入ったオーソドックスな"味噌汁"。
土鍋でラージャンが炊いた"玄米"。
ラージャンが自分で作った特製の"ぬか漬け"。
最後に"冷奴"。
というかなり健康的なメニューとなっていた。
「おぉお……今日も美味そうじゃないか!
ほら、ラージャンも座って食べようじゃないか。」
萃香はテーブルの前に座って日本酒を取り出す。
ラージャンは自分で緑茶を入れてきていた。
「いただきまーす!」
「ぐぉぉおおお!」
ラージャンはモンスターなので言葉こそ話せないがちゃんと合掌をしてから食べており、すっかり日本文化に馴染んでいたのだった。
「あ、ラージャン~今日は勇儀が遊びに来るからどうせ宴会になるだろうしおつまみ作っといて~」
「ぐぉう…………」
ラージャンはまたか………という表情になっているが、割と毎日の事なのもあって割と慣れていたのだった。
「んんんぅぅぅ♪美味~♪
サシミウオっていったっけか?お前の所の世界の食材ってホントにただ齧るだけとか軽く焼いたりしただけでめちゃくちゃ美味いのが多いよなぁ。」
「ぐぉうぐおう。」
そう、龍世界の食材はかなり奇妙な食材も多いのだがそのどれもが日本の高級食材に全く負けないほどのとてつもないポテンシャルを持っているのだ。
ハンターにこんがり肉やこんがり魚といったただ焼いただけの物が好まれる理由もこの圧倒的な旨みにより調味料の類いが殆どいらないからというのがある。
ちなみにサシミウオなのだが地底の池に普通に生息するようになっていた。
これも異変の影響が強く、植物や鉱石、魚等が龍世界の物が多く入ってくるようになっていたのだ。
ちなみにラージャンが好きな料理は唐揚げだったりするので冷蔵庫にはつまみ用以外にも自分で食べるように下味として調味液に浸けている鶏もも肉がいくつかあったりするのだが…………だいたい毎日の宴会で全部無くなってはその日の夜にラージャン新しく漬け込んでいたのだった。
「ごちそーさまー、今日も美味かったよ~♪あ、皿洗いお願いね~」
「…………ぐお。」
もはや萃香の家の家政婦となっていたラージャンだったが、もはやこの生活にかなり慣れてしまっていたのだった。