かりちゅまより吸血鬼らしい爵銀龍の幻想入り   作:クロマ・グロ

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轟く咆哮と響く山彦

 

 

 

~命蓮寺~

 

人里の外側に存在する寺である命蓮寺、この寺では毘沙門天を祀られており、住職には元人間の魔法使い、毘沙門天の代理である虎の妖怪等、寺となってはいるがそこに人間の姿は無く、妖怪寺とも呼ばれている。

 

この寺は封印されていた魔法使いであり、仏教の住職としても知られている聖『聖 白蓮』の復活を境に新しく現れた物であり、今では修行僧なども何人か来ていたり弟子の受け入れをしてはいるが全員が妖怪であり、妙に古典的な妖怪が多く存在した。

 

そんな命蓮寺にまた人外の化物が増えようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

「~♪」

 

鼻歌を歌いながら箒を持って命蓮寺の入口付近を掃除する犬耳の少女は、これから来る友人をそれは楽しそうに待ちながら掃除をしていた。

 

「小傘ちゃんまだかな~?新しいお友達が出来たって言ってたしどんな子なんだろ?」

 

彼女の名前は『幽谷 響子』

最近命蓮寺に入門した妖怪であり、種族は山彦。

聞こえてきた声に対して、同じ言葉を大声で返事する妖怪であり、音を反射させる程度の能力を持った少女だ。

 

彼女は命蓮寺で掃き掃除や、炊事等を担当しており、命蓮寺によく遊びにくる『多々良 小傘』とはとても仲が良かったりする。

 

小傘は命蓮寺では準信者としての扱いを受けており(なお本人は否定している。)遊びにくる時はいつも歓迎されていた。

そんな彼女が新しく出来た友達を連れてくると言ってこの前命蓮寺に訪れており、今日はその友達を連れてくる日らしい。

 

そして小傘を待ちながら掃除をしていたのだが…………

 

「ほぇ?」

 

「Zzzzzzz…………」

 

 

掃き掃除で集めた落ち葉を捨てるため、近くの森の中に進んだのだが、大きな寝息が聞こえてきたのだ。

山彦としての本能により返事をしようと考えてしまうが、これが寝息であることに気が付いたのか首を横に振る。

 

そしてその寝息を立てている声のヌシに近付こうと森を進んでいく。

しばらく移動していくと森の木々が根こそぎ倒れた後が見つかる。

倒れた木々は円形になるように折られており、その中央には大きな影が見えた。

 

全身が血のように赤い甲殻や鱗に包まれており、さらにとてつもなく大きな体を持っていた。

そしてその翼は地面をしっかりと掴めるような爪と強靭で太い腕のような形状があり、飛ぶことは出来ても滑空が限界と思われた。

そしてその尻尾の先端には鋭く大きなトゲがありどことなく全身から力強さを感じさせる。

その赤い甲殻や鱗からは、時々赤い粉塵が出ており、時々粉塵が爆発して寝ている顔が軽く歪む。

 

だがそんな姿を見て山彦の本能が何故か刺激されていく。

何か繋がりのような物を感じ取っているのだ。

そして……………

 

 

「おっはよぉぉぉおおおございまぁぁぁぁぁあああす!!!!」

「グォォォオオオオ!?!?」

 

山彦としての能力を全開にして森の外の命蓮寺にすら響く程の大声でその赤い竜を起こす。

しかし赤い竜は今まで聞いたことが無いような爆音により目を覚ますどころか飛び起きていた。

 

「………………スゥゥゥゥゥゥゥゥウウウ」

 

そして起きた竜は響子を見て、犯人がこいつだと思ったのか勢いよく息を吸い込み………

 

 

「グギャァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

さらに大きな咆哮で返した

 

「きゃーーー♪」

 

響子は楽しそうにその咆哮を喰らって吹き飛ぶ。

山彦としての本能がこの咆哮による返事に対して歓喜をしているのだ。

自分の山彦をさらに大きな声で返してくるこの竜に対して。

 

そして赤い竜はそんな様子の響子を見て首を傾げる。

自分の咆哮は威嚇としてだけでなく、狩りでの攻撃手段としても使うほど威力が高いのだ。

 

そんな咆哮をまともに近くで喰らって吹き飛ばされているのに楽しそうにするその少女に興味をもった。

 

「うわぁ!?何々!?何が起きたの!?」

「星、落ち着きなさい。毘沙門天の化身である貴女がその調子では皆に示しがつきませんよ。」

 

命蓮寺方面から二人の声が聞こえる。

こちらに急接近しており、その気配に気が付いた竜………

 

 

『大轟竜ティガレックス希少種』は警戒して響子の服に噛みつき、自分の背中に放り投げる。

 

 

「あれ?聖と星だ、声が大き過ぎたかnってうわぁ!?」

 

「響子!怒らないから出ていらっしゃ…………ッ!?」

「聖?どうしたの………ッ!?」

 

そして二人は響子を背中に乗せたその竜を見つける。

 

起き上がった竜のその姿からは、以前紅魔館で見た『メル・ゼナ』という龍よりもとてつもない力を感じさせた。

 

ただそこにいるというだけで凄まじい威圧感があるのだ。

 

だが聖は警戒するティガレックスにも星にも予想外な行動に出る。

 

「おや?もしかして後から聞こえたもうひとつの大声は貴方ですか?

響子、珍しいお友達が出来たみたいね。

貴方も命蓮寺にいらっしゃい、響子のお友達なら歓迎しますよ。」

 

そして笑顔でティガレックスを迎え入れようとする。

その様子にティガレックスは困惑しているが一瞬で響子の首根っこを掴んで戻ってきた。

それに気が付いたティガレックスは………

 

「グギャッ!?」

 

背中に首を回して響子が居なくなっているのを見て驚いていた。

 

「それはそうと響子………貴女には少しOHANASHIがあります。」

 

聖に筋骨隆々な人の幻影が重なっているように見えたが、気のせいだと皆は無理やり納得する。

 

 

 

「たすけてぇぇぇぇぇえええええ!!!!」

 

 

 

そして響子は引きずられていくのだった。

 

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