かりちゅまより吸血鬼らしい爵銀龍の幻想入り   作:クロマ・グロ

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今回の話から深淵の悪魔、ガイアデルムが本格的に動き出します。

どうぞお楽しみください。


動き出す冥淵龍

 

 

~断裂群島~『大穴最深部』

 

 

『レド…………』

 

生まれた龍は悲しそうに思念を飛ばす。

まるで長く付き添った友を亡くしたかのように。

 

「思念を飛ばした………まさかレドの残留思念を理解して自分で使えるようにしたというの………」

 

パチュリーはその声に対して驚く、復活という形とはいえタマゴから孵化したばかりの者がそれを容易く行ったという事実に対して。

 

『レド………君はいつの日か僕に話してくれていた"彼"の元へと行ったんだね………』

 

龍は天を仰ぎ亡き友との思い出を思い浮かべる。

そして龍は霊夢の持つ絆石へと視線を向けた。

 

『その絆石………レドが持っていた物だね…………

君がレドが言っていた僕といずれ絆を結ぶ者?』

 

「え、えぇ。

私の名前は霊夢、博霊霊夢よ。

この幻想郷の博霊神社で巫女をしてる者よ。」

 

『幻想郷………?博霊神社………?

それは………なに?

レドはそこの話をしてくれなかった。』

「あぁー、してくれなかったというよりは知らなかったのでしょうね。」

『知らなかった?レド、世界中の場所を旅して見たって言ってた。』

「ここはあのレドって人がいた世界じゃないのよ。」

『レドが………いた世界じゃない?

世界は………一つじゃないの?』

「えぇ、普通なら世界を渡るのは不可能だから本来は一つと考えていいわよ。

私達の世界を管理するやつが貴方のいるこの群島をこの世界に組み込んだのよ。」

 

まぁあいつがこの場所を引き込んだ目的がまだ達成出来ていないのだけれどね。

 

そして大穴からキュリアがやってきてパチュリの腕に止まった。

その後パチュリーはキュリアに対してなにかの魔法を使っている。

 

『あの紅いのは……なに?』

 

「キュリアっていう生き物よ。」

 

『キュリア………知ってる。

レドが話してくれたことがある。

あれがキュリアなんだ………ちっちゃい』

 

そしてパチュリーは魔法を使いながら何度も頷いている。

 

『あの紫の人の手から出ている丸いの……なに?』

「あれは魔法よ。

多分貴方の元いた世界に無かったものだと思うわよ?」

 

そして可愛らしくアルトゥーラは首を傾げる。

 

『魔法?』

「うーん、私は専門じゃないから詳しく説明するのは難しいわね。

後であいつから聞いてみる?」

『うん。』

 

そしてパチュリーは魔法を使い終えたようでキュリアは帰っていく。

 

「皆、朗報よ。

キュリアが目的の兵器を見つけたわ。

しかも4種類共一塊になってたわ。

対巨龍迎撃用の設備が建設途中で放棄されてたわ。」

 

「分かったわ。

アルトゥーラ、貴方も外に出てみないかしら?」

 

『外に?いいの?』

「えぇ、貴方は無差別に他の生き物とかを殺したりする必要はもう無いのでしょう?」

『うん、もう成体として復活したから栄養は要らないよ。あとは地脈の力だけで生きれる。』

 

「そう…………食費が要らないのは良いわね(ボソッ)」

 

霊夢は軽くゲスい笑みを浮かべるが気付いた者は居なかった。

 

「さて、一緒に外に行きましょうか。」

 

 

そして霊夢達は大穴から脱出して外に向かったのだった。。

 

 

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~マヨヒガ~

 

 

「ぐぅぅうううう……………こいつ!?いきなり………力がっ!?」

「グォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオ!!!!!!!」

 

そこではスキマを閉じようと自分のすべての力を込めて抵抗する八雲藍と、それをサポートする式となっているゴア・マガラ、さらに無理矢理入口をこじ開けようとしている深淵の悪魔、冥淵龍ガイアデルムの姿があった。

 

 

以前は爪くらいしかこの幻想郷に無理矢理入れられなかったが、今はそれをさらにこじ開けて頭部が入る程に広がってしまっている。

 

「不味い…………このままでは…………まだ兵器の量産も出来ていないと言うのに………」

 

そしてガイアデルムには本来紅色の結晶が体に付着しているのだがそれは紫色に染まり、膨大な妖気を発していた。

 

「まさか………幻想郷に送り込んだキュリアから…………妖気を吸収して半妖怪化するとは…………完全な妖怪よりも厄介な………」

 

冥淵龍ガイアデルムは本来、表向きには公表されておらず、伝承にのみその存在が記されていた龍であり、一般的にその龍の存在を知るものは殆どいない。

 

だからこそ人の恐怖を糧に存在し、認知によってその姿形を保つことが出来る妖怪という存在になってしまった場合は大幅に弱体化するはずだった。

 

しかしガイアデルムはその力を吸収し、自身を妖怪とするのではなく妖気を生成する器官を作り出して、生物として妖怪の力を用いる半妖の存在となったのだ。

 

この場合、自然の化身たる龍としての力が多少削がれてしまうが龍の肉体と妖怪の力の二つを持った最悪の存在となった今、何が起こるか分からなくなっていたのだ。

 

「グォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!」

 

 

「不味い………これ以上は長くは持たない!?

ゴア・マガラ!霊夢達に伝言を頼む!!!あと5日が限界だ!」

 

「シャァアアア!!!」

 

そしてゴア・マガラは飛び去り、紅魔館へと向かう。

 

「さて…………根気勝負といこうじゃないか…………」

 

 

 

 

 

…………結界が破られるまであと5日


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