かりちゅまより吸血鬼らしい爵銀龍の幻想入り   作:クロマ・グロ

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VS幻想を喰らうガイアデルム 最終形態  その2

~断裂群島~『上空』

 

 

「ギャガガガガガガガガガガガガッ!!!!」

 

狂ったような、それでいて嘲笑うかのような不快な笑い声が響き、音を置き去りにするかの如き速さでガイアデルムは接近する。

 

肉体が小さくなり飛行の際にかかる空気抵抗が大幅に減ったのもあり、ガイアデルムはとてつもない速度での飛行を可能としていた。

 

すれ違う度にメル・ゼナは切り裂かれるが、切られた肉体はキュリアとなった後に元に戻っているため一度も直撃していないようだ。

 

さらに尻尾で迎撃して刃を弾いたりもしているためガイアデルムの拙い太刀筋ではあまり傷を付けられそうに無かった。

 

だがガイアデルムは段々己を殺した者の動きを思い出しているのか両手で構え始め、どんどん動きが変化していく。

メル・ゼナは巨体を生かして翼を目眩ましに大量の弾幕を浴びせながら反撃をしたりしてガイアデルムを何度も吹き飛ばす。

 

「キュォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」

 

メル・ゼナが龍の力を全力で注いだ咆哮を放つ。

その咆哮は音の爆弾となり爆風を前方にのみ集中させて何もかもをなぎ倒す。

 

それは覇竜『アカムトルム』という翼の無い飛竜種が行う『ソニックブラスト』と呼ばれる技と酷似しており、ガイアデルムは突っ込む際に直撃して一気に地面にまで叩き落とされる。

 

だがガイアデルムはすぐに体勢を立て直し、瞬時に接近してメル・ゼナの前足を切り裂く。

今回はキュリア化していない為直撃したようだ。

メル・ゼナは顔を歪めながらもレーヴァテインを尻尾に発動してガイアデルムに反撃をする。

 

「ギャガガガガガガガガガガガガッ!!!!」

 

どうやら思ったように動けたようでガイアデルムははしゃぐように笑っている。

さらにその場でハンターの動きを真似するように太刀での動作を行う。

どうやらハンターの動きを自分に対して徐々に合わせているようだ。

 

メル・ゼナもハンターという化物の脅威は知っていた。

何よりも恐ろしいのがその小回りの良さだ。

ハンターは基本的にモンスターの攻撃を避けるか防ぐ、カウンターを合わせるなどして攻撃しており、モンスター側の攻撃が直撃するなんてのはたまにしかない。

 

確かにハンターを殺せるモンスターは多数存在する。

だがハンターを殺せばさらに強いハンターが送られてやがてモンスターは殺される。

何も被害を出さないようならモンスターは放置されるが人を襲うモンスター等は皆狩猟対象となるのだ。

 

そして真に恐ろしいのはハンターの中でも英雄とされるハンター、『我らが団』のハンター、『導きの青い星』、『猛き炎』、何人もいるがこれらはミラボレアスなどの禁忌とされるモンスターすら狩猟対象にするようなキチガイである。

 

彼らを前にしたモンスターは逃げることは出来ない、ただ狩られるのみなのだ。

 

だからこそハンターは狩人とされるのだ。

狩猟を生業とすし、獲物を確実に狩る絶対強者。

もはや人間を止めた化物達である。

 

 

だがハンターにモンスターの圧倒的な身体能力が加わればどうだろう。

それは…………モンスターにとっての悪夢に他ならない。

 

それを理解したメル・ゼナは内心恐怖を感じていた。

 

もしこのままガイアデルムがハンターの動きを吸収し続けて同じように動けるようになってしまえばどうなるかが分かっているからだ。

 

 

『もしそうなれば自分に勝ち目は完全に無い。』

 

 

だからこそそうなる前に己の全力を持って叩き潰す。

その覚悟を持って尻尾による刺突を行ったその時だった。

 

ガイアデルムがいきなり後ろへと滑るようにズレた。

 

そして横凪に強力な一撃を叩き込む。

 

『見切り斬り』

 

太刀をハンターの中で最強の武器とさせた最大の技である。

 

メル・ゼナはそれにあわてて尻尾で受けようと守る体勢に入ったが遅すぎた。

 

ガイアデルムの一太刀によってメル・ゼナの尻尾が斬り飛ばされた。

 

「キュォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?!?」

 

 

斬り飛ばされた尻尾の痛みによりメル・ゼナは一度落ちる。

だが空中ですぐに立て直し、地面に叩きつけられるのは回避した。

 

やがて斬り飛ばされた尻尾が黒いキュリアとなって切断面に張り付き、新たな尻尾として再生する。

 

追撃するために突撃してきたガイアデルムを龍の力を集中させた弾幕によって突き放し、一度メル・ゼナは距離を取った。

 

お互いに龍の力を弱点とし、龍の力を操るのにも長けている為に能力を封印されかねない量の龍雷を受けてもそれを大気中へと流して能力封印はなんとか防いでいた。

 

だが弱点である以上肉体への負担は計り知れない。

 

ガイアデルムは殆ど影響がないように見えてはいるが実際は骨が数本折れており、妖力、魔力、霊力によって無理矢理固定して再生をしながら戦っているのだ。

 

メル・ゼナはいくら再生するとは言え精神への負担が大きい。

肉体としての器を大半捨て去ったメル・ゼナに取って精神への消耗は致命傷に等しい。

 

その精神こそがメル・ゼナの本体とも言えるからだ。

 

龍は己の弱さを悟られぬように力を示す。

 

相手に負けるわけにはいかないのだ。

 

 

 

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