かりちゅまより吸血鬼らしい爵銀龍の幻想入り   作:クロマ・グロ

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古竜の意地

 

~断裂群島~『対巨龍迎撃用決戦機動要塞キューカッパー内部』

 

 

 

「ギャガガガガガガガガガガガガッ!!!!

ギャガガガガァァアアアアアア!!!!!」

 

総攻撃を受けて全て直撃させられたガイアデルムは、肉体の修復に己が持つ膨大な力の大半を使いきっており、全身の鎧状の甲殻はボロボロに砕け散っており、龍へと戻している体も爪が折れ、鱗がひしゃげており、頭部を被う兜の面の部分も大きく割れて光を失っており、そこから流れ出す血がまるで涙を思わせる。

 

しかしガイアデルムは満身創痍とも言えるその状態ですら歩みを止めない。

自分はまだ死んでない、まだ負けてないと意地を張るようにその歪な声を上げる。

 

相対するメル・ゼナはもはや肉体の再生に使えるような力は残っておらず、その虹色の翼膜は無惨なまでにボロボロとなり飛行することすらままならない。

角は大きな亀裂が入っており全身の所々が黒いキュリアとなって、肉体に戻すことすら出来なくなっている。

 

だが己の全ての力を振り絞り、龍の力と妖気が混ざった黒いオーラを出して未だに戦う意思を見せている。

 

「ちょっとメル・ゼナ!あんたはもう下がっ」

「キュォォォオオオ!!!!!!」

 

あまりの様子に霊夢はメル・ゼナに対して下がるように言おうとするがメル・ゼナは咆哮を放ち、その翼の衝撃波で霊夢達を遠ざける。

 

「メル・ゼナは………1対1でやるつもりみたいですね。

これは本来ならメル・ゼナとガイアデルムのみでやるべき戦い、ですが私達は手を出しすぎている。

これ以上は彼らに任せるべきです。」

「…………妖力だけでも回復させる準備するわよ?」

 

ガイアデルムは半ば折れた太刀を変質させてハンマーを作り出す。

メル・ゼナは尻尾が殆どキュリアとなってしまっているためレーヴァテインもグングニルも使えない。

 

「キュォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

 

メル・ゼナはそのボロボロの翼を武器に戦う。

 

「ギャガァアァァァァアアァアアアアア!!!!!!」

 

ガイアデルムはその翼脚でつかんだハンマーでメル・ゼナに殴りかかる。 

 

「キュウヴ!?ォォオオオオ!!」

 

メル・ゼナは頭部に直撃して怯む。

だがメル・ゼナもその翼をガイアデルムに叩きつけてボロボロの甲殻を更に破壊していく。

 

「ギャガっ!?ガァァァアアァアァアアア!!」

 

ガイアデルムも負けじとハンマーでメル・ゼナを殴りその頭部に亀裂を入れさせる。

 

「ギッ!?ギュァアアアア!!!」

 

そこからメル・ゼナの血が流れ出すがメル・ゼナは気にしていないようにその翼の鉤爪でガイアデルムの露出した肉を切り裂く。

 

「ガァァアァアア!?」

 

ガイアデルムは肉に鉤爪を突き刺された後に引き裂かれ、その痛みに苦しむ。

 

メル・ゼナとガイアデルムが殴りあっているのだ。

 

 

「なんで………避けないのよ。」

「避けるだけの力すら残ってないのか………あるいは意地か。」

 

「…………恐らくそれは後者でしょうね。」

 

 

「ガァァアァアア!!!!」

 

ガイアデルムのハンマーがメル・ゼナの胸部を殴打する。

 

「ガキャ!?」

 

ついにメル・ゼナの頭部から生えていた角もぽっきりと折れてしまった。

だがメル・ゼナも負けじと美鈴の放つ拳ののようにその翼を使って突きを繰り出す。

 

ガイアデルムとメル・ゼナ、二頭の龍は避けるつもりなど無いと言わんばかりにお互いの攻撃をノーガードで受け続ける。

 

古龍にだって意地はある。

自然現象の化身とも言えるその肉体にはこれと言った天敵がほぼ存在しない。

だからこそ生態系の絶対強者となっており、それを脅かす者は全力をもって叩き潰す。

だかお互いに避ければ体制を崩し、そのままトドメを刺されかねない程衰弱しており、先に力尽きる者が敗者となるのはわかりきっていた。

 

メル・ゼナは確かに霊夢達の手を借りれば今の状態のガイアデルムを簡単に倒せるのはわかっている。

だが長年争い続けてきた決着がこんなもので良いのか。

 

否!!!

 

古龍にだって古龍の誇りが、意地がある。

勝負をこんな形で決めて良いわけがない。

ガイアデルムとて全てを捨て去る覚悟を持ってその満身創痍の体を動かしているのだ。

 

メル・ゼナは動く度に出血し力を失う度に肉体がさらに黒いキュリアとなる。

 

ガイアデルムはもはや肉体を戻す力すらない。

その歪な体で己を砕きながらでも殴り続ける。

 

 

そしてついにはメルゼナの左翼、右前足、尻尾がキュリアになりすぎてちぎれてしまい、その千切れた体すらもキュリアとなる。

だがキュリアとなった体も飛ぶことすら出来ずその場に落ちていく。

 

「キュォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

ガイアデルムはその千切れかけた翼脚に持ったハンマーを全力で叩きつける。

同時なメル・ゼナもその翼膜すらない翼を全力で叩きつけた。

 

 

「ギャガ………ァァアアア…………」

 

ガイアデルムは仰向けに倒れ、その翼脚で空を掴むような動作を見せる。

だが無惨にも翼脚は千切れ落ちてガイアデルムも力尽きた。

 

 

そしてメル・ゼナも目の紅い光を失い、その場に倒れたのだった。

 

 

 

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