かりちゅまより吸血鬼らしい爵銀龍の幻想入り   作:クロマ・グロ

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決着

 

 

~断裂群島~『対巨龍迎撃用決戦機動要塞キューカッパー内部』

 

 

勝負が付き、二頭の龍による決着が付く、勝敗としてはギリギリメル・ゼナの勝ちと言えるが1vs1であれば確実に負けていただろう。

それほどまでに今回のガイアデルムが吸収した力は大きく、その危険度は禁忌に届きかけていた。

 

だがメル・ゼナと幻想郷に住む人々、モンスターによってその脅威はついに倒れたのであった。

 

「ギャガ………ガ………アァアァアアア……………」

 

ガイアデルムは朦朧とする意識の中で満足そうな声を出す。

 

永琳がメル・ゼナの治療をしている間に霊夢は倒れたガイアデルムの元へと向かって問いかける。 

 

「ねぇ………あんたはもしかしてもう一度空を飛びたかったの?

地上をずっと目指していたのもその為?」

 

「ガァアアア………」

 

ガイアデルムはその言葉に肯定するように頷く。

幻想郷に無理矢理入ってきたのも自分が目覚めた際に見つけたスキマから青空が見えたことがきっかけだ。

さらにそのスキマが広げられる事に気付き、自分もここを通れれば昔見たあの青空の下へまた戻れるのではないかと考えたからだ。

 

ガイアデルムは八雲紫達による妨害で通れなくなっても諦めず、再び地上へと出るために全力を出していた。

 

だが力が足りないガイアデルムは足りない力を補うためにキュリアを幻想郷へと飛ばして力を回収したのだ。

 

 

これが今回の異変の始まりだ。

 

 

ガイアデルムは己に残った僅かな魔力によって文字を生み出してそれを伝える。

 

魔法使いの魔力を取り込むようになってから同時に魔法使いの知識も流れ込んでいた。

これは魔法書などから得られる魔力も含んでいた為、知識に宿る魔力も含めて吸収していたのだ。

これによりガイアデルムは言語を理解し、魔法を理解して操る事を可能としていた。

 

そう、ガイアデルムが魔法結界等を使えた理由もこれである。

 

「そう…………でも、それならそれを私達に伝えれば良かったじゃない。

確かに私達も先手を取るために攻撃したけど文字でそうやって伝えられるなら紫達にも伝えられるじゃない。」

 

ガイアデルムがそうしなかったのはスキマの先にいた人物を敵だと思っていたのもある。

ガイアデルムは地上に出ようとするといつも邪魔をされていた。メル・ゼナによって落とされ、人間によって落とされ、常に妨害されていたのだ。

 

途中から自分達を守るための行動だと言うのには気付いていた。

魔力から流れ込んだ人間の知識、霊力に込められた人の恐怖、妖力から流れ込むこの世界の仕組み。

 

だがガイアデルムは途中からメル・ゼナとの決着を優先したのだ。

 

『ソレハ………ヤツ……モ………オナジハズ………ワタシニモ………イジガアッタ』

 

ガイアデルムの意識は更に朦朧とする。

 

 

そして霊夢はガイアデルムから感じる気配がどんどん消えかけているのに気付く。

 

「永琳、こいつの治療もやるわよ。」

 

そう言い、霊夢は己に残った僅かな霊力をガイアデルムへと注ぎ始めた。

 

「霊夢ったら正気なの?」

 

「えぇ、正気よ。

忘れたの?幻想郷は……」

「全てを受け入れる、残酷なまでにね…………」

 

そして背後からここしばらく聞けてなかった胡散臭い声がする。

 

「紫……もう大丈夫なの?」

「そんな訳無いでしょう、ずっと寝たきりだったのだから体バキバキよ。

さっきゴア・マガラにじゃれつかれてぎっくり腰になりかけたわよ…………。」

「………………相変わらず最近のあんたは苦労してるわね。」

「えぇ………いやほんとに…………」

 

すると紫はガイアデルムへと妖力を注ぐ。

 

「私も正直少し悩んだわよ。

私の役目は幻想郷を守ること、当時はガイアデルムによる混乱で幻想郷が滅ぶと考えていたもの。

でも実際はただ青空のある地上に出たかっただけとはね。」

 

「誰かさんが起こしたアホな勘違いの異変と似てるわよねぇ………」

 

霊夢はニヤニヤと笑いながら輝夜や永琳を見る。

 

「な、なによ!?」

「あぁ………そう言われてしまうと返す言葉もありません。

追手が来ないのに追手対策で幻想郷を混乱させる異変起こしましたし。」

 

「まぁ兎に角ここじゃバカやって異変起こしても私とかがそれを解決するの。

割としょっちゅう異変起きるんだもの、困ったものよね。」

 

『ソレニシテハ………タノシソウナヒョウジョウダガ?』

 

「そう?

そうかもね、少なくとも退屈はしないわ。

それにね、幻想郷では異変が終わった後は宴を開いて一緒にお酒を飲んだりして忘れるのよ。

そして受け入れる、それは例えあんたでもね。」

 

『ソウカ…………

ナァ………マタワタシハ……コノソラヲ…トンデイイノカ?』

 

「えぇ、この空は………自由よ。」

 

『ソウカ…………ソウカ…………』

 

ガイアデルムの仮面から血ではなく涙と思われる物が溢れる。

 

『ワタシハ………ヤットモドレタノダナ………』

 

ガイアデルムの体へと黒いキュリアが一匹やってきた。

 

『オマエトコレイジョウタタカウリユウハナイ………カ』

 

「ギャガガガガガガガガガガガガッ!!!!………ギャガガガガガ!!」

 

ガイアデルムは笑う。

ようやく取り戻せたのだと。

 

 

 

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