アクセル・ワールド ベストマッチな加速能力者   作:ナツ・ドラグニル

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どうも、ナツ・ドラグニルです。


初めましての方と、元の作品『アクセル・ビルド』から来てくれた方が居ると思います。


この作品は、私の作品の1つ『アクセル・ビルド』を作り直した作品です。


アクセル・ワールドと仮面ライダービルドのクロスオーバー作品になります。


小説を新規投稿する際に、間違えて投稿してしまいました。


申し訳御座いません。


では、作品をどうぞ。


第1章 黒雪姫の帰還
第1話


「5年前、我が国の有人探査機が初めて火星の着陸に成功。そこで謎の箱、パンドラボックスを発見した」

 

 

目の前に居る記者に向けて話す少女、梅里中学校の風紀委員長にして東都政府首相補佐官『氷室(ひむろ)(まほろ)』。

 

 

「それが悪夢の始まりだった、スカイウォールの惨劇。あの日の恐怖は今も鮮明に覚えてるわ」

 

 

幻は窓の外に見える巨大な壁、スカイウォールを見ながら当時の事を語る。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「宇宙に眠る謎、人類が長年夢見て追い続けてきたその答えに至る可能性がここにあります」

 

 

探査機の帰還セレモニーに参加する者の中には国を代表する首相が2人と、当時10歳だった幻の姿があった。

 

 

「我々極プロジェクトは本日、大きな成果をご報告致します」

 

 

極プロジェクトの責任者が発表する中、1人の中学生と思われる女子生徒が妙な動きを見せた。

 

 

突如、責任者に向けて女子生徒が走り出した。

 

 

「ある種の文明が作ったと思われるオブジェクトを火星からここ日本に...」

 

 

話している途中の責任者に、掴みかかる女子生徒。

 

 

突然掴みかけられた事に困惑する責任者を、女子生徒は突き飛ばす。

 

 

思わぬ出来事に、困惑する会場。

 

 

「止まってください!!」

 

「待ちなさい!!」

 

 

取り押さえようとする警備員だったが、女子生徒とは思えぬ力のせいで数人がかりでも止める事が出来なかった。

 

 

引き留める警備員を無視し、女子生徒はケースに覆われたパンドラボックスに手を掛ける。

 

 

すると、ケースを外してパンドラボックスに女子生徒の手が触れた。

 

 

女子生徒の手が触れた瞬間、パンドラボックスが直視できないほどの眩い光を放った。

 

 

突然の出来事に、会場はパニックになり参列していた一般人や記者の人達は一目散に逃げて行った。

 

 

しかし、謎の現象はそれだけですまなかった。

 

 

突如、パンドラボックスを中心に紅い光が地面に走った。

 

 

逃げていた人間やテント等が宙に浮きだし、赤い光から巨大な壁が現れてその場は阿鼻叫喚の地獄へと変化した。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「火星探査機の帰還セレモニーで謎の光が放出され、突如巨大な壁が出現した。その壁、《スカイウォール》は国を3つに分けてそれぞれの首都が生まれた」

 

 

日本列島はスカイウォールにより、東都、西都、北都と呼ばれる3つの国家に分断された。

 

 

「社会福祉の充実を図る北都、経済の復興を目指す西都、平和主義を掲げる東都、互いに対立を深め我が国はバラバラになったわ。今がチャンスとばかりに、諸外国はそれぞれの首都を吸収しようと目論んでいる。その前に、何としてもあの箱の謎を解明しなければならない」

 

 

そう言って、幻は吹き抜けになっている3階の窓ガラスから1階に厳重警戒されている中、保管されているパンドラボックスを見つめる。

 

 

「あの...最後に仮面ライダーをどう思われますか?」

 

 

今まで話を聞いていた記者、《滝川紗羽(たきがわさわ)》が質問する。

 

 

「最近東都の街では、スマッシュと呼ばれる未確認生命体に市民が襲われる事件が相次いでいますよね?」

 

 

紗羽は明らかに人間ではない怪物が映った写真を、幻に見せる。

 

 

「それを救っているのが、仮面ライダーと呼ばれる謎のヒーローだと言われています」

 

「それは興味深いですね、私も学園の風紀を守る生徒の1人。どなたの犯行か分かりませんが、我が学園の生徒が何の不安もなく登校出来るよう仮面ライダーさんには頑張って貰わなければ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

取材を終えた紗羽は、1人夜の防波堤を歩いていた。

 

 

「まったく、編集長ったら無茶振り過ぎるでしょ。え?相手は中学生だし何か特ダネゲットできると思った?って!!何考えてるんですか編集長!!」

 

 

紗羽は怒鳴り声を上げた後、通話を切ってカバンの中を漁り始める。

 

 

しかし、前を見ずに歩いていたせいか、人にぶつかってしまった。

 

 

「すみませ...」

 

 

反射的に謝る紗羽だったが、ぶつかった相手を視認した瞬間に言葉を失ってしまう。

 

 

なにせぶつかった相手とは、先程自身が話題に出した存在、未確認生命体のスマッシュだったからだ。

 

 

「スマッシュ...」

 

 

紗羽は直ぐに写真に収めようと、ニューロリンカーの視界スクショで撮ろうとしたが、スマッシュに弾き飛ばされてしまう。

 

 

「きゃっ!!!」

 

 

紗羽は飛ばされた衝撃で、気を失ってしまう。

 

 

スマッシュが紗羽に止めを刺そうとした、その時。

 

 

「ちょっと待った!!」

 

 

スマッシュの腕を1人の人物が止めた。

 

 

「はぁ!はっ!!」

 

 

スマッシュは自身を止めた相手に攻撃しようとするが、その人物が持っていた武器の攻撃によって逆に阻まれてしまう。

 

 

「うぅ!!」

 

「はぁ!!」

 

 

全ての攻撃をいなされ、スマッシュは手も足も出なかった。

 

 

「Ready Go!!」

 

 

その人物は、持っていたドリルのような武器に1本のボトルを挿した。

 

 

「ボルテックブレイク!!」

 

 

ボトルが装填され、武器のトリガー部分を押す事でドリルの部分が回転する。

 

 

「うがぁぁぁぁっ!!」

 

 

雄叫びを上げながら、スマッシュは相手に突進して突っ込んだ。

 

 

「はぁぁぁぁぁ!!はぁ!!」

 

 

突っ込んでくるスマッシュに対して、その人物は慌てる事無くすれ違いざまに武器を横薙ぎに振るった。

 

 

「ぐ...ぐぁぁぁぁ!!」

 

 

攻撃を受けたスマッシュは、バチバチと火花を散らせドガァァァンと爆発を起こし地面に倒れる。

 

 

「よっ!」

 

 

スマッシュにボトルを向けると、スマッシュから光の粒子が現れてボトルに吸収される。

 

 

粒子が全て吸収されると、先程までスマッシュが居た所に1人の男性が倒れていた。

 

 

「よし!」

 

 

目を覚ました紗羽は、何とか起き上がり先程までスマッシュと戦っていた人物を見る。

 

 

起きたばかりでぼやける視界の中、紗羽が見たのは赤と青の装甲纏った謎の戦士。

 

 

その人物こそが、今東都を守るヒーロー。

 

 

その名は...

 

 

「仮面ライダー...」

 

 

その後、紗羽はそのまま意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

紗羽が意識を失ったのを確認すると、仮面ライダーは腰のドライバーからボトルを抜き、変身を解除する。

 

 

先程まで赤と青の装甲を纏っていた仮面ライダーは、1人の少女へと姿を変える。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

そこに、ぽっちゃりとした少年が心配そうに声を掛ける。

 

 

「誰に向かって言ってんのよ。このて~んさいな私がへまする訳ないでしょうが」

 

「わ、分からないだろ!そんなの!」

 

 

からかわれた少年は、興奮気味に言い返す。

 

 

「ふふふ、ごめんごめん。心配してくれてありがとう」

 

「たくっ、最初からそう言えよな」

 

 

少女は少年に謝罪と同時にお礼を言い、それに対して少年は悪態をつく。

 

 

「さて、手がかりも無かったし帰りましょうか」

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

あるマンションの一室。

 

 

そこでは1人の少女『有田(ありた) 兎美(うみ)』が椅子に座ったまま眠っていた。

 

 

「はっ!」

 

 

近くに置いてあったトースターからパンが出て、その音で兎美は目を覚ます。

 

 

悪い夢でも見ていたのか、兎美は顔の汗を拭った。

 

 

しかし、目の前にわざとらしく置かれた鏡を見て、兎美の眠気は一瞬で吹き飛んだ。

 

 

鏡には『みてみて~LOOK!!』とマジックで書かれており、その鏡に映る兎美の顔には同じようにマジックでヒゲ等の落書きが施されていた。

 

 

「最悪ね...」

 

 

兎美はトースターから出たパンを齧り、そう呟いた。

 

 

ブー!! チーン!!

 

 

部屋を出ようとした兎美だったが、部屋の大半を占めている装置からブザーが鳴り、装置についている小さな扉が開いた。

 

 

「お!おおー!!」

 

 

兎美は直ぐに扉に近づき、中に入っている白いボトルを取り出す。

 

 

「最高ね!!」

 

 

そう叫ぶ兎美は、髪をわしゃわしゃと掻き乱した。

 

 

兎美のテンションに呼応するように、ぴょこんと髪が跳ね上がる。

 

 

すると、扉がスライドして中から1人の少女『有田(ありた)美空(みそら)』が出てきた。

 

「はぁ...」

 

「はい、お疲れ!」

 

 

兎美は美空とハイタッチしようとしたが、空ぶってしまった。

 

 

「ねぇ何これ?ハリネズミ?」

 

「知らないし、興味ないし、疲れたし、眠たいし」

 

 

だるそうにそう言うと、美空は機械の前にあるベッドにダイブした。

 

 

「今度はどんな技が使えるんだろう!早く試したい!」

 

 

兎美は、興奮気味に美空が出てきた装置に近づく。

 

 

「けどやっぱり最高ね!!私の発!明!品!ただの怪物の成分がビルドに使えるパワーアップアイテムになっちゃうんだから!!」

 

 

興奮しっぱなしの兎美は、その装置について熱く語りだす。

 

 

「もちろん美空の能力があってこそだけど、それを最大限に活かした私の技術はもっと評価されてもいいと...」

 

 

熱弁する兎美だったが、ベッドの方からぐぅぅぅぅといびきが聞こえてきて話すのをやめる。

 

 

兎美がベッドに駆け寄ると、そこにはベッドの上ではいびきを掻いて寝てる美空の姿があった。

 

 

「にゃろう」

 

 

そこで兎美はテーブルの上に、美空が使ったであろうマジックが置いてあることに気付いた。

 

 

兎美は部屋を出る際、怪しい笑みを浮かべながら出て行った。

 

 

残された美空の顔には、兎美の顔に書かれたようなヒゲ等に加えていつくもの数式も落書きされていた。

 

 

 

 

 

部屋を出た兎美はまず、キッチンがあるリビングへと向かった。

 

 

先ほどトーストを食べた兎美だったが、目玉焼きやベーコン等の本格的な朝食を作っていた。

 

 

「♪~」

 

 

兎美が朝食を作っていると、誰かがリビングに入ってきたのに気付いた。

 

 

「おはよう、兎美」

 

「おはよう、ハル」

 

 

入ってきた少年、『有田(ありた)春雪(はるゆき)』は、部屋に充満している匂いから料理している事に気付いてキッチンに入ってくる。

 

 

「おっ!旨そうな匂い!」

 

「まったく...朝から食い意地が張ってるわね」

 

 

起きたばかりにも関わらず、食い意地が張っているハルユキに兎美は呆れる。

 

 

「しょうがないだろ、兎美の作る料理はどれも美味しいんだから」

 

「はいはい、ありがとう」

 

 

兎美は適当に返事をして、朝食を作り終える。

 

 

「ほら、早く食べたいなら持っていくの手伝って!」

 

「あいよ!」

 

 

盛り付けた朝食をテーブルに持っていき、2人で食べ始める。

 

 

はへ(あれ)ほふひへは(そういえば)ひほはふぁ(美空は)?」

 

 

食べ物を口に入れながら喋るハルユキの行為に、兎美は不快に思って顔をしかめる。

 

 

「口に物を含みながら喋るんじゃないわよ、美空だったら浄化に疲れてさっきに寝たわよ」

 

 

指摘された事で、ハルユキは食べている物を飲み込んだ。

 

 

「あぁ、昨日のスマッシュから取り出した奴か。今回は何のボトルだったんだ?」

 

「ふふん!これよ!」

 

 

兎美は机に、『ハリネズミフルボトル』を置く。

 

 

「おー!!今回はハリネズミなんだな!!」

 

 

新しいアイテムを手に入った事に、ハルユキもテンションが上がる。

 

 

「で?少しは思い出したのかよ」

 

 

落ち着いたハルユキは、兎美に質問する。

 

 

「何を?」

 

「記憶だよ!!お前の失われた13年間のき!お!く!」

 

 

兎美は少し考え、自身が覚えている記憶を思い出す。

 

 

「ガスマスクの科学者、人体実験、コウモリ男...」

 

 

そこで話が止まった事で、ハルユキはがくっと肩を落とす。

 

 

「なんだ進展なしかよ!!お前そのコウモリ男探すためにビルドやってるんだろ!?」

 

「しょうがないでしょ!!スマッシュにされた奴らは戻しても何も覚えてないんだから!!」

 

 

その兎美の言葉に、ハルユキはハァとため息をつく。

 

 

「それよりハル、ゆっくりしてるけど学校大丈夫なの?」

 

 

ハルユキが急いで時計を確認すると、いつも家を出ている時間を当に過ぎていた。

 

 

「やばっ!!なんでもっと早く言ってくれなかったんだよ!!」

 

 

悪態をつきながら、ハルユキは急いで学校に向かおうとする。

 

 

「そんな急いでいるあなたにこれ!」

 

 

兎美が取り出したのは、『ライオンフルボトル』と発明品の1つ『ビルドフォン』だった。

 

 

「スマホ?この時代に?遅刻の連絡でもするのか?」

 

「そうそうそう!もしもし?ってそんな訳ないでしょ!これは私の発!明!品!」

 

 

兎美はビルドフォンにボトルを装填し、上に放り投げる。

 

 

『ビルドチェンジ!!』

 

 

変形しながら巨大化したビルドフォンは、1台のバイク『マシンビルダー』へと変形する。

 

 

「うおー!!かっこいい!!」

 

 

ハルユキは目を輝かせながら、バイクに駆け寄った。

 

 

「ねぇ!!すごいでしょ!!最高でしょ!!天才でしょ!!」

 

 

兎美はスマホだったパネル部分の、ヘルメットのマークをしたアイコンを押す。

 

 

すると、ヘルメットが2つ出てきた。

 

 

「すげー!!何もない所からヘルメットが出てきた!!」

 

 

興奮するハルユキにヘルメットを被せた兎美は、自身もヘルメットを被ってマシンビルダーに跨る。

 

 

「さぁ!!いざ学校へ!レッツ「ゴーするなよ!!家の中だし、ここ23階だから!!」あっ...」

 

 

今にも飛び出そうとする兎美を、ハルユキは慌てて止める。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

兎美が運転するマシンビルダーで、学校に向かうハルユキ。

 

 

『そういえばハル、気を付けた方がいいわよ』

 

 

ヘルメットにマイクとヘッドホンの機能が搭載されているのか、兎美の声が聞こえてくる。

 

 

『気を付けるって何を?』

 

『この前あんたの学校から無断欠席の生徒が出たみたいで、原因がいじめだったらしいわよ』

 

『......え?』

 

 

思わぬ言葉に、ハルユキは反応が遅れる。

 

 

『あんたも標的にされないよう、気をつけなさいよ』

 

『う、うん...分かった』

 

 

忠告を聞いたハルユキだったが、この時に本当の事を兎美に告げる事が出来なかった。

 

 

既に、自分が標的になっていることを。

 

 

 

 

 

 

しばらくして、ハルユキは学校の近くで降ろしてもらった。

 

 

「本当にここでいいの?校門の前でもいいのよ?」

 

「良いよここで、バイクの二傑での目立つ登校なんて俺には出来ないよ」

 

「まぁ、ハルがそれでいいなら別にいいけど」

 

「じゃあ、行ってくる」

 

 

踵を返し、学校に向かおうとするハルユキ。

 

 

「あっ!待ってハル!」

 

 

そんなハルユキを、兎美が止める。

 

 

「はいこれ!」

 

 

兎美が取り出したのは、お弁当だった。

 

 

「あ、ありがとう」

 

 

自分のお弁当を作っていたとは思わず、ハルユキは驚いた。

 

 

「うん!じゃあ、いってらっしゃい!」

 

「いってきます!」

 

 

家族みたいなやり取りに、ハルユキは嬉しくなり駆け足で学校に向かった。

 

 

駆け足で向かうハルユキの後ろ姿を、兎美が悲しそうな目で見つめているとも知らずに。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

仮想黒板の右上に、黄色い手紙マークが点滅した。

 

 

授業中ぼんやりしていたハルユキは、思わず首を縮めながら、両眼の焦点を移動させた。

 

 

どうやら受信したメールは、教師が宿題の詰まった圧縮ファイルを配布したものではなさそうだ。

 

 

となれば、グローバルネットから隔離されている現在、送り主は同じ学校の生徒ということになる。

 

 

女子の誰かが、校則を破って好意的メッセージを送ってきたのかも、などという期待は、中学校に入学してからのこの半年間でとうに捨てた。

 

 

メールをそのまま、視界左下すみのゴミ箱にドロップしてしまいたいとハルユキは心底思ったが、そんなことすれば後でどんな目に遭うか知れない。

 

 

嫌々ながら、教師が背中を向けたスキを覗い、右手を宙に(この動作は仮想ではなく現実のものだ)メールアイコンを指先でクリックする。

 

 

瞬間、ぶびばぼるぶびる!という品性の欠片もないサウンドと、原色の洪水のようなグラフィックがハルユキの聴覚と視覚にぶちまけられ驚いてバランスを崩し、危うく椅子から転がり落ち掛けた。

 

 

続いて、文字ではなく音声でメッセージ本文が再生される。

 

 

【ブタくんに今日のコマンドを命令する!(バックにぎゃははははという複数の笑い声)焼きそばパン2個と、クリームメロンパン1個と、いちごヨーグルト3個を昼休み開始から5分以内に屋上まで持って来い!遅刻したら肉まんの刑!チクッたらチャーシューの刑だかんな!(再び爆笑)】

 

 

左頬に感じる粘つくような視線の方向を見るまい、とハルユキは意志力を振り絞って首を固定した。

 

 

見れば間違いなく荒谷とその手下A、Bの嘲笑にさらなる屈辱を与えられるからだ。

 

 

授業中にこんなメールを録音したり視聴覚エフェクトを掛けたりすることは勿論できないので、これは事前に作成しておいたものだろう。

 

 

何という暇な連中か、おまけに何だよ『コマンドを命令』って、意味ダブってんだよバーカバーカ!!

 

 

と、脳内では罵れるものの、それを声に出す事は勿論、メールで返信することすらハルユキにはできない。

 

 

荒谷が、いかに時代が進もうと絶滅しないゴキブリ級の馬鹿だとすれば、そいつにいじめられるままになっている自分は輪をかけた愚か者だからだ。

 

 

実際、このメールを含めて保存しておいた数10件の『証拠品』を学校に提出して、連中を処罰させることは容易いだろう。

 

 

しかし、ハルユキはどうしてもその先を想像してしまう。

 

 

いかにニューロリンカーが国民1人に1台と言われるまでに普及し、生活の半分が仮想ネットワークで行われるようになったと言っても、所詮人間は『生身の肉体』という枷によってローレベルに規定され続ける存在でしかない。

 

 

三度三度お腹も空くしトイレにも行く、そして―殴られれば痛いし、痛くて泣くのは死ぬほど惨めだ。

 

 

人間の価値を決めるのは結局、外見や腕力といった原始的なパラメータだけだ。

 

 

それが、小学5年生のときに体重60kgを超え、50メートル走で10秒を切ったことのないハルユキが13歳にして行き着いた結論だった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「ハル...相変わらずいじめられてるんだね」

 

「そうね...」

 

 

兎美達は、自分達の部屋でひとつの映像を見ていた。

 

 

兎美はハルユキのニューロリンカーに細工しており、ハルユキの視界情報等を見ることができる為、先程のやり取りは確認している。

 

 

「てかハルもスマッシュと戦えるんだから、あんな奴らやっつけちゃえばいいのに」

 

「ハルは人の為ならスマッシュにも立ち向かえるけど、自分の事になると消極的になっちゃうから...」

 

「まあ、ハルらしいけど」

 

「朝私がそれとなく聞いてみたけど、やっぱり教えてくれなかったし」

 

「あんな奴らの所為でハルが辛い目に合うなんて...」

 

 

美空は悔しそうに、手を強く握り締める。

 

 

「一応私がお弁当渡したから、昼を抜くなんて事はないと思うけど」

 

「余計な事をしてハルに嫌われたくないしね...」

 

「いつまでこんな事が続くんだろう...」

 

 

兎美自身も何も出来ない事に、苛立ちを感じる。

 

 

「いざとなったら"あれ"を使って、あいつらを社会的に消してやる!」

 

 

美空は立ち上がり、意気込んでいる。

 

 

「それは最終手段よ、今は取りあえずハルの居場所を私達で作らないと」

 

「そうね」

 

 

兎美達は、再びハルユキの視界情報を見る。

 

 

自分達の恩人であり、家族でもあるハルユキを守る為に。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

朝、母親にニューロリンカーへチャージしてもらった昼食代の500円は、荒谷達にパンとジュースを奢らされて完全に足が出てしまった。

 

 

小遣いを貯めた全財産の7千円ちょっとが残っているが、これを使ってしまうと今月出るリンカー用ゲームソフトが買えない。

 

 

ハルユキの巨体は燃費が異常に悪く、一食でも抜こうものなら空腹で眩暈がして来るほどだが、今日は兎美から貰ったお弁当がある為その心配はいらない。

 

 

人気の無いところで、貰ったお弁当を早速頂く。

 

 

「うわぁ!」

 

 

ミニハンバーグやミートボールと肉系は勿論、ほうれん草のおひたしや野菜も入っており全て自分の好物ばかりだった。

 

 

あまりにも豪華なお弁当に、思わず嬉しくなり声を出してしまった。

 

 

「いただきます!」

 

 

ハルユキは美味しすぎて、すぐ食べ切ってしまった。

 

 

―余談だが、視覚情報で見ていた兎美は嬉しそうにし、料理が出来ない美空は悔しがっていた。

 

 

お弁当を食べた後、丸い体を限界まで縮め、ハルユキが向かったのは専門教室ばかり並ぶ第2校舎だった。

 

 

現在では、理科の実験から家庭科の調理実習までが仮想授業で行われている為、この棟は用無しになりつつあり、近寄る者は少ない。

 

 

特に、昼休みには生徒の姿はまったくない。

 

 

埃っぽい廊下の隅にある男子トイレが、ハルユキの専用隠れ家だ。

 

 

とぼとぼと逃げ込んだ先で、ため息と共に足を止め、ハルユキは洗面台の上の鏡を見やった。

 

 

曇ったガラスの向こうから見逃すのは、もしこれがテレビドラマなら、あまりにもベタすぎるだろうと突っ込みたくなるような『太ったいじめられっ子』。

 

 

癖の強い髪はあちこちに跳ね上がり、両頬の曲線にシャープさは欠片もない。

 

 

だぶついた首周りに、制服のネクタイと銀色のニューロリンカーが食い込む様はまるで絞首刑だ。

 

 

この外見を何とかしようと、ほぼ絶食及び無茶な走り込みにまい進した時期もある。

 

 

しかしその結果、昼休み中に貧血で倒れ、女子生徒数人の弁当を巻き添えにするという最悪な伝説を作ってしまった。

 

 

以来、ハルユキは現実の自分を捨てる―少なくとも学生の間は―ことに決めたのだ。

 

 

鏡からはコンマ1秒で目を離し、トイレのさらに奥に進むと、端っこの個室に入る。

 

 

しっかり鍵をかけ、蓋を下ろしたままの便器に腰を下ろす。

 

 

背中を水洗タンクに預け、力を抜くと、目をつぶる。

 

 

唱えるのは、重苦しい体から魂のみを解き放つ魔法の呪文―。

 

 

「ダイレクト・リンク」

 

 

音声コマンドを受け取ったニューロリンカーが、量子接続レベルを視聴覚モードから全感覚モードへと引き上げ、ハルユキの体から重さが消えた。

 

 

完全(フル)ダイブ』。

 

 

重力感覚すらも切断され、ハルユキは暗闇の中を落下した。

 

 

しかしすぐに、柔らかな浮遊感と虹色の光が全身を包んだ。

 

 

両手と両足の先端から、フルダイブ時に用いられる『仮想体(アバター)』が生成されていく。

 

 

黒い蹄状の手足。

 

 

ぷっくりした四肢と、ボールのような胴体は鮮やかな桃色。

 

 

見る事はできないが、顔の中央には平らな鼻が突き出し、大きな耳が垂れ下がっているはずだ。

 

 

つまり、一言で形容すれば、ピンクのブタである。

 

 

コミカルなアバター姿で、すとん、と降り立った先は、いかにも文部科学者推薦といったデザインのメルヘンチックな森の中だった。

 

 

巨大なきのこがそこかしこに生え、ひときわ眩しく陽がさす円形の草地の中央には、水晶のような泉が湧き出ている。

 

 

この仮想空間が、東京都杉並区に存在する私立梅里中学校の学内ローカルネットワークだ。

 

 

森を行き交ったり三々五々固まって笑い声を上げているのは、これもほとんどが人間ではなかった。

 

 

二足歩行するコミカルな動物が半数、あとは羽を生やした(と言っても飛べはしないが)妖精あり、ブリキのロボットあり、ローブの魔法使いあり。

 

 

全て、ローカルネットにダイブしている梅里中の生徒・教師のアバターである。

 

 

現実サイドと同様、丸っこい体を懸命に縮めたハルユキは、小走りで一本の樹を目指した。

 

 

と、中央の泉のほとりに、一際大きな人だかりが出来ているのに気づいた。

 

 

走りながら視線を送ったハルユキは、思わず足の進みを緩みた。

 

 

生徒の輪の中央に、中々目撃する事のできないレアアバターが見えたのだ。

 

 

デフォルトセットにあるものではない。

 

 

透明な宝石が散りばめられた、漆黒のドレス。

 

 

手には畳んだ黒い日傘。

 

 

背中には、虹色のラインが走る黒揚羽蝶の翅。

 

 

長いストレートの髪に縁取られた、雪のように白い顔は、これが自作とは信じられない完璧な美しさだ。

 

 

ハルユキも到底敵わない、プロとして通用しそうなデザインスキルである。

 

 

華奢な体をしどけなく巨大キノコにもたれさせ、物憂げな表情で周囲のアバターたちの言葉を聴いている彼女が、生徒会で副会長を務める2年生の女子生徒であることをハルユキは知っていた。

 

 

驚くべき事にその美貌は、現実の容姿をほぼ完璧に再現したものであり、ゆえに献ぜられた通り名が―。

 

 

『スノーブラック』。

 

 

『黒雪姫』。

 

 

あのような存在と自分が、梅里中の生徒であるという共通項をひとつにせよ持っている事すらハルユキには嘘っぽく思える。

 

 

と、昔の自分だったら考えていただろうが、今は兎美達のお陰でそこまで気にしなくなった。

 

 

ずっと見てるのも失礼だなと考え先を急ぐ、その後辿り着いた先はレクリエーションルームが設置されている大樹の1本だった。

 

 

簡単に言えばゲームコーナーだが、もちろん市販ソフトのようなRPGや戦争ゲーム等は一切無い。

 

 

クイズやパズル等の知育系、または健全なスポーツゲームばかりだが、それでも多くの生徒達が各コーナーに群がり、歓声を上げている。

 

 

彼らは皆、教室の自分の机や学食から完全(フル)ダイブしている。

 

 

その間、生身の体は無防備に放置されているわけだが、ダイブ中の人間に悪戯するのはマナー違反なので、気にする者はハルユキ以外いない。

 

 

樹の幹に刻まれた階段を駆け上がる。

 

 

上に行けば行くほど、設置されたゲームは人気のないものになっていく。

 

 

野球、バスケ、ゴルフ、テニスと通り過ぎ、卓球のフロアも無視して辿り着いたのは、『バーチャル・スカッシュ・ゲーム』のコーナーだった。

 

 

生徒は1人も居ない。

 

 

人気がない理由は明らかだ。

 

 

スカッシュというのは、テニスに似てはいるが、ラケットでボールを打ち込む先は上下左右正面が硬い壁に囲まれた空間であり、跳ね返ってきた球を黙々と1人でリターンし続ける、とことん孤独なスポーツだからだ。

 

 

がらんとしたコートの右端に歩み寄り、操作パネルに片手をかざす。

 

 

ハルユキの生徒IDが入力され、セーブされているレベルとハイスコアが読み出される。

 

 

ハルユキは、1学期の中ほどから昼休みはひたすらこのゲームで時間を潰してきた。

 

 

結果、スコアは呆れるような数字に達しつつある。

 

 

流石に飽きてきた気もするが、ここ以外に行く場所があるわけでもない。

 

 

パネルから湧き上がったラケットを、黒い蹄のついた桃色の右手でしっかりと握る。

 

 

ゲームスタート、の文字に続いて、どこからともなくボールが降ってくる。

 

 

それを、今日一日の鬱屈を込めたラケットで思い切り叩く。

 

 

ちかっ、と一瞬の閃きを残して、レーザーのようにボールがすっ飛び、床と正面の壁にぶつかって戻ってきた。

 

 

ほとんど視覚以上の反射で補足し、脳が自動的に導く最適解に従って、1歩左に動きながらバックハンドで打ち返す。

 

 

ある程度プレイしていると突然の声が、ハルユキの神聖な隠れ家を震わせたのは、その時だった。

 

 

「あーーーっ!!こんなとこに籠ってたのね!!」

 

 

耳が、というより脳がキーンと痺れる程の甲高い叫び声。

 

 

叫び声の所為でボールを取りこぼしたがハルユキはそれ所ではなかった。

 

 

ぎくり、と背中を強張らせながら振り向いたハルユキが見たのは、同じく動物型の生徒アバターだった。

 

 

と言っても、ハルユキのブタのような滑稽さは微塵も無い。

 

 

しなやかな細身を、紫がかった銀の毛皮に包んだ猫だ。

 

 

片方の耳と尻尾の先に、濃いブルーのリボンを結んでいる。

 

 

ポリゴンを1から組んだものではないが、相当に各所のパラメータをいじり込んである。

 

 

金色の虹彩を持つ瞳に怒りの色を浮かべ、猫は小さな牙の生えた口を大きく開けてもう一度叫んだ。

 

 

「ハルが最近、昼休みの間ずーっと居ないから探し回ってたのよ!ゲームはいいけど、何もこんなマイナーなのやらなくても、下でみんなとやればいいじゃない!」

 

「......俺の勝手だろ、ほっとけよ」

 

 

どうにかそれだけ言い返して、ハルユキはコートに向き直ろうとした。

 

 

しかし銀の猫はひょいっと首を伸ばし、ゲームオーバー表示を一瞥すると、さらに高い声で喚いた。

 

 

「えーっ、何よこれ......レベル152、スコア263万!?あんた......」

 

 

―すごいじゃない!

 

 

などという台詞を浅ましくも一瞬期待したハルユキを、猫はあっさりと裏切った。

 

 

「バカじゃないの!?昼休みずっと何やってんのよ!今すぐ落ちなさい!!」

 

「......やだよ、まだ昼休み30分もあるじゃないか。お前こそどっかいけよ」

 

「あーそう、そういう態度とるんだったら、あたしも実力を行使するからね」

 

「やれるもんならやってみろ」

 

 

ぼそぼそと言い返し、ハルユキはラケットを握り直した。

 

 

学内ネットのアバターに、『当たり判定』はない。

 

 

不適切な行為を防止するという名目で、生徒は他の生徒のアバターを触れないのだ。

 

 

もちろん、他人を無理やりログアウトさせるなど論外だ。

 

 

猫型アバターは、細い舌を限界まで突き出しべーっとやってから、一声叫んだ。

 

 

「リンク・アウト!」

 

 

即座に、光の渦と鈴に似た音を残して姿がかき消える。

 

 

ようやく煩いのが消えたと、僅かな寂しさを短い鼻息で吹き散らした、その瞬間。

 

 

がつん!と、少々洒落にならない衝撃が頭を襲い、周囲の光景何もかもが消え去った。

 

 

暗闇の向こうから、点状の光が引き伸ばされるように、現実の風景が戻ってくる。

 

 

ずしりと圧し掛かる自重を感じながら、ハルユキは懸命に瞬きし、目の焦点を合わせた。

 

 

元の、男子トイレの個室だ。

 

 

しかし、眼前にあるべきブルーグレーのドアの代わりに、ハルユキは思わぬものを見た。

 

 

「おま......なん......!?」

 

 

お前なんでここに!と言おうとしたが、驚きすぎてハルユキは言葉が詰まってしまった。

 

 

直ぐ目の前で仁王立ちになっているのは、ひとりの女子生徒だった。

 

 

ブレザーのリボンの色は、同じ1年生であることを示す緑。

 

 

ハルユキとは、重量比が3:1を切ると思われる程に小柄だ。

 

 

ショートカットの前髪を右横に持ち上げ、青のピンで留めている。

 

 

猫科めいた小さな輪郭に、不釣合いに大きな瞳が、怒りに燃えてハルユキを睨んでいる。

 

 

そして右手はまっすぐハルユキの頭上まで伸ばされ、小さな拳を固く握っていた。

 

 

それを見て、ハルユキはようやく自分がなぜフルダイブから突如切断されたのか理解した。

 

 

女子生徒があのゲンコツでハルユキの頭をどつき、その衝撃でニューロリンカーの安全装置が働いて自動リンクアウトしたのだ。

 

 

「秘技!強制リンクアウト!」

 

「お....お前なあ!!」

 

 

驚き呆れつつ、ハルユキはこの学校で唯一パ二クらずに会話できる女子に向かって叫んだ。

 

 

「何やってんだよ!ここ男子トイレだぞ!鍵がかかってんのに.....バカじゃねぇの!!」

 

「バカはお前じゃ」

 

 

ハルユキの幼馴染にしてスカートのまま男子トイレの仕切り壁を乗り越える剛の者、倉嶋千百合は、ぶすっとした声で言い返すと右手を戻し、後ろ手にドアの鍵を開けた。

 

 

身軽な動作でぴょん、と個室から飛び出る。

 

 

栗色の髪にすべる日光に思わず目を細めるハルユキを、チユリはようやく僅かに見せた笑顔と共に促した。

 

 

「ほら、とっとと出てきなさいよ」

 

「......わーったよ」

 

 

ため息を呑み込み、ハルユキは便座の蓋を軋ませながら体を起こした。

 

 

出入口に向かうチユリを追いながら、もう1つの疑問について尋ねる。

 

 

「なんでここが判ったんだ」

 

答えはすぐには返ってこなかった。

 

 

男子トイレから首だけを出して外の様子を確認したチユリは、するりと廊下に出てから、短く言った。

 

 

「あたしも屋上にいたの。だから後つけた」

 

 

ということは―。

 

 

「......見てたのか」

 

 

廊下に1歩踏み出しかけた足を止め、ハルユキは低く呟いた。

 

 

チユリは言葉を探すように俯き、背中を奥の壁に預けてから、ようやくこくりと頷いた。

 

 

「......あたし、あいつらの事にはもう口出ししない。ハルがそれでいいって決めたんなら......しょうがないから」

 

 

その時、チユリはどこか無理したような笑みを浮かべていた。

 

 

「ねえ、私も1つハルに質問があるんだけど」

 

 

そう質問するチユリだが、先程と同じ笑みにも拘らず、ハルユキは何処か恐ろしさを感じた。

 

 

「ハル、あんた朝バイクで送って貰った人って誰なの?」

 

 

チユリの質問を理解した瞬間、俺は背筋が凍った。

 

 

「な、なんでお前がその事を!だってお前あの時間部活の朝練中じゃん!」

 

 

思わず声を上げて驚いてしまうハルユキ、何故なら彼女は陸上部に所属しており、その時間は朝練中だったからだ。

 

 

「今日は朝練が無い日で何時もより遅く出たのよ。そしたら見た事ある後姿が見えて、女の人からお弁当貰ってる誰かさんを見つけた訳」

 

 

ハルユキはすぐにここから逃げ出したかったが、怖すぎて足が動かなかった。

 

 

まるで、肉食獣に睨みつけられているかのようだった。

 

 

「ねぇ、あの人って誰なの?」

 

「えーっと...それは...」

 

 

恐怖で言い淀むハルユキに、チユリは更に目を細めて睨めつける。

 

 

「なーに?私には言えないって事?」

 

「そ、そういうわけじゃあ...」

 

 

詰め寄られたハルユキは、堪忍して話す事を決めた。

 

 

「あれは...家で居候してる人です」

 

「居候?いつから?」

 

「1年前からです!」

 

 

ハルユキは恐る恐る、チユリの質問に対して回答する。

 

 

「へぇ....1年前ねぇ....」

 

 

今まで聞いた事も無かったチユリは、なぜ教えてくれなかったのかと再度質問する。

 

 

「理由が理由だったので話せませんでした!」

 

 

仮面ライダーの事や、ハルユキが協力者だという事をチユリに話せる筈が無かった。

 

 

「まあいいわ。今度その人に会わせなさいよ」

 

「え?何で?」

 

 

ハルユキはいきなりの事で、つい訊き返してしまった。

 

 

「何よ?何か問題でもある訳?」

 

「いえ滅相もございません!」

 

「取りあえず、この後その女に話しつけといてよ」

 

 

そう言って、チユリは教室に戻っていた。

 

 

ハルユキの視界から、チユリの姿が消えた途端にハルユキはバクバクと五月蠅い心臓を押えながら、ずるずると壁を滑るように座り込んでしまった。




如何だったでしょうか?


今回の話は、仮面ライダービルドの第1話を元に作品を作りました。


アクセル・ビルドを見てる人は分かると思いますが、本来の1話はもう少し話が続いていましたが思いのほか長くなってしまったので、ここで区切らせてもらいます。


原作では、ハルユキはトイレでチユリのお弁当を撒き散らしますが、この話では既に兎美からお弁当を貰っていたためにその話を省きました。


チユリがかわいそうだったからというのも、ありますが...


それでは次回、第2話もしくはLOVE TAIL第6話でお会いしましょう!!
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