アクセル・ワールド ベストマッチな加速能力者   作:ナツ・ドラグニル

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兎美「天才物理学者の有田兎美がいる東都の街で、スマッシュと呼ばれる謎の怪人が市民を脅かしていた。そこに現れたのは、我らがヒーロー『仮面ライダー』...」

チユリ「自分で天才とかヒーローとか痛いのよ、只の記憶喪失のガキでしょうが」

兎美「うるさいわよ、そういうこいつはハルユキの幼馴染の倉嶋千百合、ハルに弁当渡せなかったり、スマッシュに襲われてワンワン泣いてすがるもんだから、一時的にヒロインの座を渡したのでありました。さて、どうなる第2話」

チユリ「泣いてないし!!」

兎美「突っ込み遅いのよ...」


第2話

兎美の事がばれたのを気にしてしまい、午後の授業とホームルームを聞き流してしまうハルユキ。

 

 

早く帰って兎美に話さないといけないがその前に気分転換にスカッシュゲームをやる為、もう1つの隠れ家である図書室へと赴く。

 

 

本来、図書室などという空間はとうにその役目を終えている。

 

 

しかし、大人の中には学校そのものと同じようにペーパーメディアの本も子供の教育に必要だと考える連中がいて、資源と空間の無駄としか思えない真新しい背表紙が書架に並べられているのだ。

 

 

もっとも、そのおかげで学校内に貴重なパーソナルスペースが確保できるのだから文句は言えない。

 

 

カモフラージュにハードカバーを2,3冊抱えて壁際の閲覧ブースに閉じ籠ったハルユキは、狭い椅子に体を押し込むと、リンカーが認識できるギリギリの音量でフルダイブを命じた。

 

 

授業が終わってから数分しか経っていないだけあって、学内ネットは閑散としていた。

 

 

今のうちにいつもの場所に引き籠るべく、高速で草地を横切り樹の幹を登る。

 

 

バーチャル・スカッシュコーナーも当然無人だった。

 

 

そのまま操作パネルに右手をかざし、ログインする。

 

 

ラケットを掴み、体の向きを変え、コートに正対した。

 

 

落下してくるボールを打ち返そうとして―。

 

 

ハルユキは、全身を凍りつかせた。

 

 

コートの中央に表示されている原色の立体フォントが、記憶と異なる数字を表示されていた。

 

 

「レベル......166!?」

 

 

ハルユキがつい数時間前に更新したレベルを、10以上も上回っている。

 

 

一体何故、スコアは生徒IDごとに管理されているはず、と一瞬思ってから、すぐに悟った。

 

 

あの時、チユリのゲンコツによってハルユキは強制ログアウトさせられた為、ゲームがそのまま保持されたのだ。

 

 

だから、誰かがその続きでプレイを再開し、スコアを塗り替えることは可能だ。

 

 

しかし。

 

 

自分以外の誰がこんなとんでもない点を!?

 

 

ハルユキはフルダイブのVRゲームでは誰にも負けない自信があった。

 

 

あの自称天才の兎美にも、勝った程だ。

 

 

勿論、頭の良さが勝敗を左右するクイズやボードゲームでは勝った事はないが、反射速度がものを言うガンシューティングやアクション、レースゲームなら、この学校で自分に勝てる奴はいないという自負がハルユキにあった。

 

 

それをひらけかした事はない。

 

 

自分が目立ってもろくな事がないのは、小学校の頃から厭と言うほど学習している。

 

 

あえて確認するまでもないとこれまでは思っていたのだが――この、スカッシュゲームの恐るべき得点は......。

 

 

その時。

 

 

背後で、声がした。

 

 

チユリではない。

 

 

勿論、兎美や美空でもない。

 

 

女性だが、もっと低く、絹のような滑らかな響き。

 

 

「あの馬鹿げたスコアを出したのは君か」

 

 

おそるおそる振り向いたハルユキの目の前に立っていたのは。

 

 

闇に銀をちりばめたドレス。

 

 

杖、あるいは剣のように床に突かれた傘。

 

 

純白の肌と漆黒の瞳 ――『黒雪姫』。

 

 

アバターでありながらデジタル臭さの欠片もない、一種凄絶な美貌を僅かに傾け、学校一の有名人は音も無く前に進み出た。

 

 

全身でそこにだけ色彩のある紅い唇にかすかな微笑を浮かべ、黒雪姫は続けて言った。

 

 

「もっと先へ.....『加速』したくはないか、少年」

 

 

その気があるなら、明日の昼休みにラウンジに来い。

 

 

たったそれだけを言い残して、黒雪姫はあっけなくログアウトした。

 

 

ハルユキはその後ぼんやりとしていたが、すぐに正気に戻り自分もログアウトし図書室から出る。

 

 

校門から外に出ようとした時、バイクに寄りかかりながらニューロリンカーを操作する兎美を見つけた。

 

 

「兎美!」

 

 

驚いた声で俺が来たことに気がついた兎美は、バイクをそのままに駆け寄ってきた。

 

 

「お疲れハル、今日は遅かったのね」

 

 

「いや、何でお前がここにいるんだよ!?」

 

 

「なんでって、ハルを待ってたからに決まってんでしょ」

 

 

そう言って兎美は、ハルユキにヘルメットを投げ渡してきた。

 

 

「ほら帰るよ」

 

「おう...」

 

 

ハルユキは、ヘルメットを被って兎美の後ろに乗る。

 

 

「始動!」

 

 

兎美のボイスコマンドに反応し、マシンビルダーが起動する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

『ハル、今日なにかあったの?』

 

 

しばらく走っていると、兎美が質問してきた。

 

 

『え?何で?』

 

『なんか元気ないようだったから』

 

 

兎美には隠し事が出来ないなと考えながら、ハルユキは今日あった事を話した。

 

 

『実は、朝送って貰ったところをチユに見られてたみたいで、お前を紹介しろって言われた』

 

『チユって、ハルの幼馴染の倉嶋千百合ちゃん?』

 

『ああ、内緒にしてたのが気に食わなかったみたいで凄く怒ってた』

 

『はあ...』

 

『なんでため息つくんだよ』

 

 

ため息をつかれた意味が分からず、ハルユキは質問する。

 

 

『別に...取り敢えずチユリちゃんのことだけど』

 

 

その時、兎美にボイスチャットが飛んできた。

 

 

『兎美!スマッシュの目撃情報よ!』

 

 

スマッシュが出たと聞いて、兎美の顔つきが変わる。

 

 

『場所は?』

 

『梅里中学校よ!』

 

『梅里中学にスマッシュが!?』

 

『嘘だろ!?』

 

 

兎美の話を聞いていたハルユキも、驚きの声を上げる。

 

 

『急いで引き返すわよ!!』

 

 

兎美はその場でUターンし、来た道を引き返した。

 

 

梅里中学が見えてくるころには、ハルユキ達の眼にも所々で煙が上がっているのが見えた。

 

 

『美空状況は?』

 

『ほとんどの生徒は避難したみたいだけど、一人だけ逃げ遅れた生徒がいるみたい』

 

『その逃げ遅れた生徒の名前は?』

 

『少し待って、今調べるわ』

 

 

兎美の耳に、カタカタとキーボードを打つ音が聞こえる。

 

 

恐らく、兎美のパソコンを使って調べ物をしているのだろう。

 

 

『え?これって...』

 

 

兎美のニューロリンカーから、美空の戸惑う声が聞こえた。

 

 

『どうしたのよ?』

 

『見たら分かるわ、今送るわね...』

 

 

そう言った後、美空が送ったであろう情報が送られてくる。

 

 

兎美だけでなく、ハルユキにも。

 

 

『!?』

 

『嘘だろ!?』

 

 

なぜ自分にも送られたか分からなかったハルユキだが、美空から送られた情報を見た瞬間に疑問が晴れた。

 

 

なぜなら、美空から送られた情報によれば、取り残された生徒というのがハルユキの幼馴染『倉嶋 千百合』だったからだ。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

時間は少し遡り、陸上部の女子更衣室。

 

 

「じゃあねー、チユ」

 

「うん、また明日―」

 

 

同じ部活の仲間に挨拶するチユリだったが、直ぐに表情は暗いものに変わってしまう。

 

 

千百合は今、幼馴染の1人のハルユキについて悩んでいた。

 

 

ついこの間、たまたまいじめられているのを目撃し助けたかったが、もしそれがハルユキからしたら余計な事だったら嫌われるかもしれないと思い、怖くて行動することが出来なかった。

 

 

今日はいじめられている所為で、お昼を食べる事が出来ないとチユリはハルユキの為にお弁当を作ってきた。

 

 

しかし、今日の朝たまたま見かけてしまった。

 

 

ハルと知らない女性が仲良く話しており、女性がお弁当を渡している所を。

 

 

それを見てしまったチユリは、自分が作ったお弁当を渡す事が出来なかった。

 

 

今もチユリのカバンの横には、ハルユキに渡すはずだったサンドイッチが入ったバスケットが置かれていた。

 

 

部活を終えたチユリだったが、帰る気が起きず更衣室のベンチで座り込んでいた。

 

 

「うぅぅぅぅぅ.....」

 

 

その時、不気味な唸り声が聞こえた。

 

 

「誰...」

 

 

チユリは立ち上がり、声がする方に目を向ける。

 

 

そして...次の瞬間。

 

 

ドガァァァァァン!!

 

 

更衣室の壁が破壊され、そこから1体の怪物『ストロングスマッシュ』が現れた。

 

 

「うぅぅぅぅぅぅ......」

 

「ひぃ!」

 

 

いきなりの事で、チユリは腰を抜かしてしまった。

 

 

「うぅぅぅぅおおおおおお!!」

 

 

スマッシュは、両腕を振り上げ思いっきりチユリがいたベンチを叩きつけた。

 

 

ドガァァァァァン!!!

 

 

「きゃあああああ!!」

 

 

チユリはスマッシュの攻撃を、無理矢理体を動かせることで避ける。

 

 

直撃を避けたチユリだったが、衝撃までは避ける事が出来なかった。

 

 

今の一撃で、チユリがいつも使っていた更衣室は床が陥没し、壁にまで罅が走っていた。

 

 

起き上がるチユリの目に、ハルユキに渡そうとしたバスケットが目に入った。

 

 

「うぅぅぅぅぅ!!」

 

 

パワーはあるが俊敏性がないのか、ストロングスマッシュの動作は遅かった。

 

 

チユリは直ぐに目の前にあるバスケットを抱えて、ストロングスマッシュが壊した所から逃げ出す。

 

 

「何なのよ、あいつ!」

 

 

チユリは悪態をつきながらも、スマッシュから逃げる為に正門を目指して走り出す。

 

 

「うぅぅぅぅ」

 

 

後ろを見ると、スマッシュがチユリを追いかけてきていた。

 

 

しかし、速度も遅く陸上部に所属するチユリに追いつける速度でもなかった。

 

 

「(これならいける!)」

 

 

このまま走れば逃げ切れると考えたチユリは、一心不乱に走り出す。

 

 

しかし、その油断が命取りとなった。

 

 

「ふん!!」

 

 

ドガァァァァァン!!

 

 

追いつけないと判断したスマッシュは、足元を攻撃して地響きを起こす。

 

 

「きゃあ!!」

 

 

スマッシュが起こした地響きに、チユリは足を取られ転倒してしまう。

 

 

「うぅぅぅぅ」

 

「ひぃ!」

 

 

転倒した際に、バスケットを庇って転んだ所為か足を痛めてしまった。

 

 

「うぅぅぅぅ」

 

 

どんどん近づいてくるスマッシュに、チユリは恐怖する。

 

 

「いや!」

 

 

動けなくなったチユリに、スマッシュが襲い掛かる。

 

 

「うぅぅおおおおお!!」

 

 

先程と同じように、スマッシュは大きく両腕を振り上げる。

 

 

チユリは殺されると思い、バスケットを抱きかかえて目を瞑る。

 

 

「チユ!」

 

 

もう駄目だと思ったチユだったが、聞き覚えのある声と共に、体が横に持っていかれるのを感じた。

 

 

恐る恐る目を開けると、目の前に息を切らすハルユキの姿があった。

 

 

「はぁ、はぁ、間一髪だったな」

 

「ハル...」

 

 

ハルユキが助けてくれた事に、チユリは安堵して目からじわっと涙が出る。

 

 

「まったく、生身なのに無茶するんじゃないわよ」

 

 

そんな2人の後ろから、チユリの知らない女性の声が聞こえた。

 

 

「あなたは...」

 

「初めましてチユリちゃん、私は有田兎美よ。宜しく」

 

 

兎美が自己紹介してる中、突然獲物が居なくなった事で唸り声が上げるスマッシュ。

 

 

「挨拶は後にするとして、まずはあいつを片付けるわよ」

 

 

そう言って、兎美はスマッシュと戦う為に『ビルドドライバー』を取り出し腰に装着する。

 

 

「なんなのよ、あの怪物」

 

「あれはスマッシュだ」

 

「スマッシュ?それって今東都で噂になってるあの!?作り話じゃなかったの!?」

 

 

噂になっていた怪物が実在に存在する事に、チユリは驚愕する。

 

 

「人間が姿を変えて狂暴化した怪人だ。倒すまで何を言っても通じない」

 

「そんな...」

 

 

ハルユキから聞いた話を理解したチユリは、ハルユキ達に逃げるように叫ぶ。

 

 

「私の事はいいから、ハルはあの人を連れて逃げて!!」

 

「ばーか、そんな状態のお前を放っていけるわけないだろ。それに大丈夫だ、あいつに任せておけばな」

 

 

そう言って、ハルユキは兎美に視線を向ける。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「さぁ、実験を始めようか」

 

 

兎美は『ラビットフルボトル』と『タンクフルボトル』を取り出し、シャカシャカと振り出した。

 

 

兎美がボトルを振ることによって、周りに幾つもの数式が現れた。

 

 

『ラビット!!タンク!!ベストマッチ!!』

 

 

兎美はドライバーについているレバーを回すと、ビルドドライバーから伸びたパイプによって高速ファクトリー『スナップライドビルダー』と呼ばれるフレームが兎美の周りに構成される。

 

 

フルボトル内の物質が、そのパイプ内を移動し兎美の前に『ラビットハーフボディ』が、後ろに『タンクハーフボディ』が生成される。

 

 

『Are You Ready?』

 

「変身!」

 

 

ハーフボディが兎美を挟み込むように結合され、変身が完了する。

 

 

『鋼のムーンサルト!!ラビットタンク!!イェーイ!!』

 

 

そこにいたのは、東都を守る謎の戦士『仮面ライダービルド ラビットタンクフォーム』だった。

 

 

「なんなのよ...」

 

 

チユリは目の前で、兎美が変身した事に驚いていた。

 

 

「勝利の法則は、決まった!!」

 

 

ビルドはラビットの力を使って、一瞬で距離を詰めた。

 

 

「はぁ!」

 

 

ビルドは右パンチを繰り出し、スマッシュを怯ませる。

 

 

「はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!」

 

 

スマッシュもただやられるだけでなく、反撃はしているのだがリーチが短すぎてビルドまで攻撃が届かなかった。

 

 

すると、ビルドは専用武器であるドリルクラッシャーを召喚する。

 

 

「はっ!はぁ!」

 

「うぅぅぅ」

 

 

ドリルクラッシャーを振るい、怒涛のラッシュでスマッシュを追い詰める。

 

 

ある程度、追い詰めたビルドは別のボトルを取り出した。

 

 

それは白いフルボトル、『ハリネズミフルボトル』を取り出し、ラビットフルボトルを抜いてハリネズミフルボトルを挿す。

 

 

ドライバーのレバーを回すと、ビルドの前にハリネズミのハーフボディが生成される。

 

 

「ビルドアップ!」

 

 

ハリネズミのハーフボディがラビットのハーフボディに重なり、ハリネズミとタンクが結合する。

 

 

トライアルフォーム、ハリネズミタンクへと変身する。

 

 

「うぁぁぁぁ!!」

 

 

スマッシュはビルドに向かって、襲い掛かる。

 

 

「ほい!」

 

 

ビルドは、ハリネズミ由来のトゲ付き球状グローブのトゲを更に鋭くさせ、スマッシュの攻撃を防ぐ。

 

 

「ほい、ほい」

 

 

攻撃を防いだビルドは、スマッシュの装甲の薄い部分にトゲを刺し、痛撃を与えた。

 

 

「はい!」

 

 

スマッシュの裏拳を予測していたビルドは、スパイクを鋭くさせ再度防ぐ。

 

 

「はぁ!!」

 

 

大ぶりのパンチがスマッシュに決まり、吹っ飛ばされたスマッシュは地面を転がった。

 

 

「これで、フィニッシュよ」

 

 

ビルドはもう一度ラビットフルボトルを取り出し、ラビットタンクへと戻る。

 

 

ドライバーのレバーを再度回す。

 

 

「ちょっと待って」

 

 

ビルドはそう言うと、スマッシュに背中を向けて走り出す。

 

 

そして、ビルドがジャンプし、タンクの脚で着地する。

 

 

すると地面に穴が開き、ビルドは地中の中へと姿を消す。

 

 

そしてそれと同時に、グラフ型の標的固定装置がスマッシュの両側に展開される。

 

 

その固定装置がスマッシュを挟むように、1つになった。

 

 

穴から地面が盛り上がり、ビルドを空中へと飛ばした。

 

 

『Ready Go!』

 

 

ビルドがグラフの滑走路向けて跳躍し、滑走路に沿って右脚でのキックを叩きこむ。

 

 

『ボルテックフィニッシュ!』

 

 

「はぁ!!」

 

 

ビルドの必殺キックが命中し、スマッシュが爆発に包まれた。

 

 

ドガァァァァァン!!

 

 

スマッシュが倒した事を確認すると、ビルドは空のボトルを取り出し、スマッシュに向ける。

 

 

すると、空のボトルにスマッシュから怪物の成分である粒子が吸収され、先程までスマッシュが居た場所には1人の男子生徒が倒れていた。

 

 

「凄い...」

 

 

チユリは、ビルドの戦いを見て驚いていた。

 

 

「2人とも大丈夫?」

 

「俺は大丈夫だが、チユは足を怪我したみたいだな」

 

ハルユキの話を聞いて、変身を解除した兎美が心配そうに駆け寄ってくる。

 

 

「私は仮面ライダービルド、創る、形成するって意味のBuildよ」

 

「仮面ライダービルド...」

 

「それより、めんどくさい事になる前に、ここから離れましょう」

 

「そうだな」

 

 

ハルユキは動けなくなったチユリをおんぶしようと近づいた時、初めてチユリがバスケットを抱えている事に気付いた。

 

 

「ん?何もってんだそれ」

 

「あっ...」

 

 

そこでチユも、バスケットの存在を思い出した。

 

 

「これは...いじめられてるハルの為に作ってきたサンドイッチ」

 

「え...」

 

 

まさか兎美だけでなく、チユリまでも自分の為にお弁当を作っていたとは思わず、言葉を失う。

 

 

兎美自身も、良かれと思った行動がチユリを傷つけてしまった思い、言葉を失う。

 

 

「別にいいわよ、後で私が食べれば良いだけの話だし」

 

 

強がってそう言うチユリに、ハルユキはバスケットを奪う。

 

 

「ちょ、ちょっと何を」

 

 

驚くチユリだったが、そんなチユリを無視してハルユキは中身のサンドイッチを食べ始める。

 

 

「うめぇ」

 

 

バクバクと食べ始めるハルユキは、バスケットの中に入っていたサンドイッチを全て完食した。

 

 

「知らなかったのかよチユ、俺はあれだけじゃ食べた内に入らねぇよ」

 

 

手に着いたパンくずをペロリと舐めながら、ハルユキはそう言った。

 

 

「バカ...」

 

 

涙目で、チユリはハルユキを罵倒する。

 

 

 

 

 

そんなやり取りを、学校の屋上から一部始終見ている人物がいた。

 

 

その人物は、胸にコウモリの装甲を持った怪人だった。

 

 

「戦争の始まりね」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

3人いる為、チユリはハルユキが送っていくと言い、兎美には先に帰ってもらった。

 

 

ハルユキはチユリをおんぶしながら、自宅であるマンションに向かっていた。

 

 

「ねぇ、ハル」

 

 

しばらく歩いていると、今まで黙っていたチユリが話しかけてきた。

 

 

「2人はいつもあんなことしてるの?」

 

「...あぁ」

 

「兎美さんを紹介出来なかった理由って、仮面ライダーのことがあるから?」

 

「...あぁ」

 

「なんでそんな事してるの?」

 

 

話しながら歩いていたハルユキ達は、ある場所に辿り着いた。

 

 

そこは、ある路地裏だった。

 

 

「1年前、ここで俺は兎美達を見つけたんだ」

 

「見つけた?ここで?」

 

 

何もない路地裏で見つけたと聞いて、チユリは疑問符を浮かべる。

 

 

「そう、ここで記憶喪失になった兎美を見つけたんだ」

 

「え?」

 

 

記憶喪失という言葉に、チユリは驚く。

 

 

「スマッシュと戦ってるのも、記憶を取り戻す手がかりを探すためなんだ」

 

「そうなんだ」

 

 

そう言うと、マンションに着くまでチユリはひと言も喋らなかった。




はい、如何だったでしょうか?


今回、アクセル・ビルドでは無かった描写をいくつか書き加えました。


バスケットを守るシーンと、ハルユキが食べるシーン。


そして、帰る途中でハルユキが兎美を拾った場所に訪れた事です。


今後も、ビルドの話を加えながら書いていこうと思います。


アクセル・ワールドの話は、まだ黒雪姫登場する所までしか書けていませんが。


それでは次回、第3話でお会いしましょう!!
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