言い忘れておりました。
この世界には、まだ『幻想郷』と言う名前は、ありません。
この世界には、名前なんてありません。
そして同様に、八雲紫に現在能力は、ございません。
はい。八話。
どうぞ。
「…じゃあ電気消すよ。」
電灯の紐を掴み、言った。
紫ちゃんは、布団に入り、「いいですよ。」と言った。
電気を消して布団の中に入った。
少し…暑いな…
周りが暗闇で全く見えない。
「…狂夜さん。」
紫ちゃんが話しかけてきた。
「何?」と返事を返す。
「狂夜さんは、何処から来たんですか?」
…何処から来た?
…あの世界に…名前なんてあったか?
「此処とは違う世界…かな?」
紫ちゃんは、少し遅れてから聞いた
「外の世界…ですか?」
紫ちゃんは、少し声音が変わっていた。
顔つきは分からないが、先ほどまでとは少し変わっていた。
「この世界から言えば外の世界だろう…どうした?紫ちゃん?」
「実は…噂で聞いただけなのですが…2年前…外の世界から来た人がいるそうです。」
外の世界から…転生者?
「黒い髪の毛で赤い瞳、顔立ちがよく、低めの声…だそうです。そして来たのが、10月1日です。」
神妙な声音で話している紫ちゃんの話に疑問を覚えた。
…10月1日…今日も、10月1日…黒い髪の毛?赤い瞳?
まさか…な…
「そしてもう一つ。」
紫ちゃんは、変わらず神妙な声で話す。
「銀の十字架のペンダントをしていたそうです。」
「!?」
驚愕した。そして失った左腕が痛んだ。
「その人の名前は…確か…」
紫ちゃんが思い出そうとしていた名前を言った。
「新月《しんげつ》」
紫ちゃんは、起き上がったようだ。
「きょ…狂夜さん!?」
「う…うぅ…あぁ…ぐぅぅぅぅぅッ!!」
腕の痛みが止まらない。
「…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…」
やっと…治まった…
「狂夜さん…その人と…何か…関係があるんですか?」
紫ちゃんは、心配して聞いてきた。
「新月…慶利は…俺の…父親だ…」
紫ちゃんが絶句したのがわかる。
「新月慶利…は、俺の…妹と…母親を…殺した…」
紫ちゃんは、静かに息を飲む
「この左腕は…そいつに切断された…」
思い出した…あの時を…
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16才のころ。
「妹と母親を助けられなかったのは、お前が弱いからだ。」
男は、冷たい声音で言った。
一軒家の二階。
一つの部屋
部屋の中は、血で赤一色に塗りつぶされている。
母親と妹の死体は、無惨にも原型をとどめていない。
狂夜は、無力だった。
そして慶利は、腕を一本失い、傷だらけの狂夜の頭を掴んだ。
そして、加減をせずに何度も何度も壁に打ち付けた。
ガン。
一回目は、重く痛かった。
ガン。
二回目は、額から血が溢れてきた。
ガン。
三回目は、もう痛みを感じなかった。
そのあと何回うちつけられたのかは、分からない。
狂夜は、母と妹の無惨な死体を見て、泣いた。
しかし、泣いてもどうにかなるものではない。
その時、慶利は、窓を開けた。
何をするのかは、もうわかっていた。
―もう…いいや。
少年は、諦めた。
慶利は、再び少年の頭を掴み、笑い、言った。
「お前は、本当に可哀想だ。同情するぜ。…来世は運に、恵まれると良いな。」
慶利は、少年を窓から投げた。
少年には、慶利がそのあとどうなったかは、知らない。
幸運…いや…不幸な事に、狂夜は、生きていた。
救急車に運ばれて、一命をとりとめた。
腕は、直せなかった。
狂夜は、その日から施設に入れられた。
その施設では、狂夜は、一度も笑わなかった。
そして時は二年後、狂夜は、トラックに轢かれて死んだ。
そして転生した。
父親を倒すために。
…母と妹の仇を…とるために。
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狂夜は、涙を流し、泣いた。
「俺が…強ければ…」
そんな狂夜を見て紫は、狂夜を抱きしめた。
「狂夜さん。笑って…下さい。狂夜さんは、仇を…取れます。狂夜さん。自分を責めないで下さい。お母さんも、妹さんも、狂夜さんのそんな顔は、見たく…ありませんよ。」
紫は、温かく狂夜を受け入れた。
狂夜は、受け入れてくれた紫に向かい、笑顔で言った。
「ありがとう。」
その夜、狂夜と紫の手は、固く繋がれていた。
大変だった…
また最終回っぽくなってるし…
では、また次回。
次回は、シリアス終了のお知らせ。