なんで俺の縁談相手が勇者のヒロインなんだよ   作:荒北龍

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海の母(リヴァイアサン)の好きな食べ物、魚 、勇者

 

 

 

 

「なにこれうっま!」

「こちらは水牛魚の肉厚ステーキサンドです」

 

水牛魚(すいぎゅうぎょ)

水深400メートル付近に生息する牛のような二本角が特徴的な魚。

体長2mから3mの魔魚で、普段は温厚だが、繁殖期になると産卵のため、卵を取られないようにするため、獰猛化する。

 

水牛魚の肉厚ステーキサンド

肉はサーモンのような脂身と、牛のようなジューシーな味わいとなる

下味は醤油のみ。

パンには水牛魚の骨の髄をトロトロになるまで焼いた髄液と、水牛魚の半熟の煮卵とマヨネーズなどを使ったタルタルソースを軽く塗る。

そして肉とパンの間には炎鳥(えんちょう)の君の部分だけを挟み、炎鳥独特の甘辛い卵の濃厚な味わいが水牛魚のステーキサンドを最高に引き立てる。

 

「私、好きなんです。水魚牛。特に脳髄や腸とか」

「シスターって普通に肉食うの?」

「いえ、私はシスターじゃないの。これはこすぷれだから」

「コスプレなんだ、それ」

 

リヴァイアサンは自慢げにしているが、普通にそれ確か職務妨害に引っかかる気がするんだが、まいっか。

 

「そう言えばこの前食べた異界の勇者の肉も美味しかったですね」

「へぇ、勇者の肉か。あんまり聞かない肉だな」

「肉はジューシーで、歯ごたえが特に良かったですよ」

「へぇ、そうなんですか」

 

え?こいつ今勇者の肉っつった?勇者の肉って言ったよね?聞き間違いかな?

でも確か海の国で勇者を異界から召喚してその1年後に消息を断ったて聞いたけどこいつが食べたからちゃうよな?いやいやさすがに勇者の肉食べるやつなんている訳ねぇだろ。

ほらあれだ、勇者っていう高級ブランド牛の名前だろ。

酒だって鬼ころしとかそういう名前つけるんだ、牛にもそう言う特別な名前付けたっておかしく───

 

「やはり異界の人間の肉だからでしょうか」

「あ、はい」

 

どうしよう、今すぐ逃げたい。

 

「ちなみになんで勇者を食べたんですか?」

「私にプロポーズしてきたので」

「あ、すみません、用事思い出したんで帰っていいっすか?」

「あら、宴は始まったばかりですよ?」

「いやぁちょっと今から大事な任務がありまして」

「おかしいですね、国王からここ当分は任務がないと聞いていますが?」

 

あ、この女俺を逃がさない気だ。

 

「あの、ちなみになぜ俺と見合いを?」

「····················分からないかしら?」

 

するとギラリとリヴァイアサンの口の隙間から鋭い牙をギラつかせた。

その後の行動は速かった。

とりあえずさっきっからガソリン飲みまくってる二十八号を担いで店の窓を破ってそのまま外に逃げた。

 

「おい!ガソリンがかかっちまったろうが!!」

「こっちは生命の危機感だよ!」

 

俺は恐る恐る後ろを見る。

 

「あら、逃げるなんて酷いですね」

 

しかし既にリヴァイアサンは俺の後ろにおり、それどころか密着して俺の顎を撫で回していた。

 

「ヒイイィィィィアアアァァァアアアッッッ!!!!」

 

俺は思わずリヴァイアサンの顔面を力いっぱい殴り飛ばした。

俺の全身全霊渾身の一撃。

はっきりいって首なんて吹っ飛ばす勢いで思いっきり殴り飛ばした、はずなのだが、リヴァイアサンは

 

「ハエでも止まったのかしら?」

 

俺の渾身の一撃がハエと同等らしい。

やーだ、つっよ。

 

「仕方ねぇな。こういう時は『【リミッター解除】【制限解除】【携帯変形】【電磁パルス解放】【鉄鋼電磁龍槍棍"射突型"装填完了】』超電磁砲(笑)発射ッ」

 

そう言って二十八号の右腕は元の少女の面影が全て消えうせ、代わりに重装甲を纏った超電磁砲となり、蒼色の稲妻が爆ぜると同時に蒼色の稲妻を帯びた徹甲弾が目で捕えることが不可能な程のスピードで発射される。

これが噂に名高い伝説の龍も一撃で屠って見せたという超電磁砲(笑)。

二十八号の出せる最強の技と言っても過言ではない。

 

「あ、ハエ」

 

が、リヴァイアサンにはハエと変わらないらしい。

 

「すまん、私には荷が重すぎるようだ」

「絶望すんのが早すぎたろっ!それでも超絶美少女完璧デウス・エクスマキナ様かよォ!!」

 

俺は戦意喪失した二十八号をどうにか元気づけるが、ダメだ、こいつ完全に明日の方向眺めてやがる。

と言うか目が完全に生きることを諦めてる目をしてやがる。

 

「待ってください、食べませんから」

「無理です信用できません」

「何故ですか」

「今日初めてあった女性を信用しろというのは····················」

「そんな···············」

 

俺は当たり前のことを言ったつもりなんだが、なぜそんなにガッカリするのか意味がわからん。

やめろ泣くな泣くな、完全に俺が悪者じゃねぇか。

と言うかあの愚王マジでまともなやつ寄越さねぇな。

なんで俺の嫁にアンドロイドと勇者喰った化け物よこすんだよ頭いってんじゃねぇの?

いやイってんのかあの愚王。

 

「捕まえました」

「お願いです食べないでください。食べても絶対不味いっすよ俺」

「あら、本当に食べる気はありませんよ?」

「勇者食った口でほざかれても信用できません」

「契でも交わしますか?」

「そう言って俺の事食べる気だァ」

「本当に信用ないわね」

 

リヴァイアサンはため息を吐きながらズルズルと元のレストランへ戻っていく。

 

「おい離せ。私は家に帰る」

「まぉまぁ待てよ、未来を誓い合った仲だろうが」

「こういう時ばかり都合のいいこと言うな。惚れちまうだろ」

「惚れる要素あったか?それにしても、なんでこう美人で可愛い娘は最強の生物だったり殺戮兵器だったりなんだよ。普通の人間に生まれてこいよ」

「あら、私が人間だったら結婚してくださるの」

「結婚どころか即ベッドに連れてっちゃうよ」

「あら、嬉しいことを言ってくれますね」

 

あぁ、どうしましょう。

食べないとは言いましたが、こんなに面白い人間は何百年ぶりかしら。

 

今すぐ食べてしまいたいですね。

 

「···············今俺の事食べようとした?」

「あら、勘がいいんですね」

「誰かっ!! 誰か助けてえええぇぇぇッッ!!! 食われるッ! 物理的に食われるうううぅぅぅッッ!!!」

「諦めろ。相手はリヴァイアサンだ。誰もお前が弱いなどと思わん。相手が悪かったんだ」

「縁談に来たのに縁談相手に食われるとかシャレになってねぇんだよ!」

 

ヴァルバラの抵抗は虚しく、結局2人はレストランに連れ戻された。

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