なんで俺の縁談相手が勇者のヒロインなんだよ   作:荒北龍

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ちょっとした昔話(と言っても最近)

 

 

 

 

むかしむかし、七体の神に造られた神が世界を支配していました。

 

神の力を与え、神の体を与えられ、神としての権限を与えられた七体の神。

 

一番最初に造られた神は、愛を求めました。

 

二番目に造られた神は、人間を憎み、人間を滅ぼそうとしました。

 

三番目に造られた神は、自由でした。

 

四番目の神は、ただ静かに眠り続けられる場所を求めました。

 

五番目の神は、ただ破壊だけを求めました。

 

六番目の神は、二番目の神と対立し、今も争い続けています。

 

七番目の神は、自分がなんなのか、自分がどうして生まれたのか、"それ"を求めました。

 

そして七体の神々は、創作者である神にとある言いつけをされました

 

「孫の顔を見せてくれ」

 

そう言って神は、七体の神に一人一人、数年に一度、イケメン最強系異世界人連れてくるから、気に入ったやつと結婚して子供孕んで孫を見せてくれと、言いました。

どんなに長い時でも待とう。

 

だから、孫の顔のひとつくらい見せてくれ。

 

「特に二番目と六番目ぇッ!!年中儂の連れてきた異世界人使って魔王だの勇者だの呼ばせて戦わせて恥ずかしくないんかぁ!!いい歳した神がみっともない!!」

 

と怒鳴りつけましたが、全く言うことを聞いてくれませんでした。

しかし、二番目と六番目は言うことを聞かず、他の神たちも全く結婚する気がないので、神がとうとうブチ切れて

 

「もう知るかァ!!」

 

と不貞腐れてしまいました。

 

めでたしめでたし。

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

「という話なんだが」

「なぁ、それ今しなきゃダメな話か?」

「その後続きがあってな」

「もう一度聞くけど、それ今しなきゃダメな話なのかァ!?」

 

ただいまヴァルバラの状況。

 

「ぶっ殺せえぇッ!」

「よくも俺たちのリヴァイちゃんを誑かしやがってッ!」

「てめぇはロリコンだったんじゃねぇのか!」

「裏切りもんがあぁッ!」

「どんな催眠アプリ使いやがったッ!」

「俺にも教えろおぉッ!」

 

吊るされて火炙りにされそうです。

 

「何故だッ!?」

「みんな!私の為に争わないで!」

「こんなのは争いじゃねぇ!ただの一方的な集団猟奇殺人だよッ!つかそのアホみてぇな演技してねぇでたすけろや、この元凶がああぁぁああッ!!」

 

俺がこうなったのは数分前。

俺たちがレストランに戻ったあと、俺は睡眠薬入りのスープを飲まされ、三分ほど寝ていたらしい。

本当なら勇者の【女神の加護】でも意識不明の重体は免れないくらい強力な睡眠薬だったらしい。

とんでもねぇもん俺に飲ませやがって。

しかも俺がここに吊るされるまで何もせずにこいつらただ見ていただけらしい。

理由は「「面白そうだから」」とか、すっげぇいい笑顔で答えやがった。

 

今度覚えてろよてめぇら。

その上俺を縛っている鎖は魔吸鎖(まきゅうさ)。

魔力を永続的に吸い取り、魔力に関係する全ての力が封印されるうえ、魔術などは勿論、魔術のやどった武器防具も全てスキルなどが使用不能となる。

 

そんなわけで今吊るされてジャンヌ・ダルクみたいに火炙りにされて殺されそうです。

誰か助けて。

 

「いやだァァァァァァッ!死にたくなああああぁぁぁいッ!!」

 

なぜこうなった。

縁談しに来ただけなのに、何故俺は殺されそうになってんだ。

ふざけんな。

これも全部国王のせいだ。

あいつがまともな女を紹介しないせいだ。

そもそも説明書のある奴なんてろくな奴いねぇよ。

 

「みんな!聞いて!」

 

するとリヴァイアサンがまるでか弱い乙女みたいな声で俺の前に立つ。

 

「私と彼は愛し合ってるの!」

「おうまて何言っとんじゃ我」

「こんな私を好きだと言ってくれて、私はたとえ彼がほかの女と付き合っていても、最後は私を選んでくれるって信じてる」

「おい待て、なんで私が負けヒロイン見てぇになってんだ」

「だから、彼を許してあげて!彼は私に『結婚しよう』って言ってくれた!それに、それに!」

 

するとリヴァイアサンは腹部をさすった。

おい待て、お前まさか

 

「お腹に、赤ちゃんがいるの」

 

言いやがったよこいつ。

 

「な、そうだったのか」

「こいつはクズだ。クズだが、産まれてくる赤ん坊に罪はねぇ」

「ここで殺しちまったら赤ん坊が可哀想だ」

「··········なぁ皆、こいつにやり直すチャンスをやってもいいんじゃないか?」

「あぁ、誰しもやり直すチャンスはある」

 

ねぇ待って。

なんかいい感じで終わらせようとしてるけど全部全くの濡れ衣だからね?

突然俺を捕まえて袋叩きにした挙句吊るして火炙りにして殺そうとしてるサイコパスの君達、俺何も悪いことしてないからね?

何罪って、俺知らないんだけど。

やり直すやり直さないじゃなくて、俺そもそもなんにも悪いことしてねぇから。

お願いだからこのまま終わらせるのだけはやめて。

 

「··········仕方ねぇな」

「全く、リヴァイちゃんにここまで言われちゃ仕方ねぇ!」

「みんな!」

 

「みんな!」じゃねぇよ!

とめろ!面白半分でとんでもねぇことしてんじゃねぇよ!

 

「おい!リヴァイちゃんを泣かせたら承知しねぇからな!」

「ちゃんと幸せにしてやれよ!!」

「これが最後のチャンスだからな!」

 

そうして俺は何故か許された。

 

 

 

 

▽△▽▼▲▼

 

 

 

『という訳なので今からあなたを殺しに行きます。

───あなたの"元"騎士、ヴァルバラより』

 

という手紙が数分前に国王の元に届いた。

 

「···············どうしよう!」

 

国王は久々に焦ってる。

ヴァルバラはこの国で1、2を争う最強の騎士。

ヴァルバラはやると言ったら殺る男だ。

確実に自分を殺しにくるだろう。

今まで散々ヴァルバラをいじってきたが、さすがに今回はやりすぎたかもしれない。

いや待て、もしかしたらこれはなにかのドッキリで実は今までヴァルバラをいじってきた我に対する軽い嫌がらせてきな

 

「おう、殺しに来たぞ愚王」

「oh......」

 

目の前にはフル装備で大剣を持って激怒しているヴァルバラが居た。

 

「サ、サラハット!」

「今回はあなたが悪いかと」

「我が死んでもいいのか!?」

「アンタそう簡単に死なんでしょ」

「死に晒せ愚王ッ!!」

「ま、待て、まずは話し合おう!」

「問答無用ッ!!」

「ぎゃああああッ!!」

 

その日城には国王の断末魔が響き渡った。

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