白鳥歌野は農業王になる   作:amorphous

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 拙稿ですがよろしくお願いします。

前回のあらすじ(?)

水都「ねぇうたのん。うたのんの目的って四国へ行って神樹様の恵みをもらうことだよね?」
歌野「そうね。神樹様の恵みでいろんな作物の種とか手に入れて農業を営むの♪」
水都「でも、四国には乃木さんをはじめとする勇者が待ち受けてる。……うたのんは、彼女たちと戦うの?」
歌野「場合によってはそうなるかも。乃木さんたちが私の行手を阻むなら、倒して進むっ!」
水都「逞しいこと言ってるけど、うたのん知ってる?」
歌野「……?」

水都「原作ではそういう奴らのこと、バーテックスっていうんだよ?」

歌野「!!!?」



第四話 対決! 歌野VS進化体

 歌野を見送る水都は不安でいっぱいだった。

 

「……すまなかったな。迷惑かけて」

「……! い、いえ」

「でもな、進化体がこっちに気付いて攻めてきたら、もうどうすることもできないんだ。……このタイミングでお前たちが来てくれたことは本当に奇跡と呼べるものだと思う」

 

 ナルミは持っている銃を見た。

 

()()()防人は奴らを前に死ぬことしかできない。……本当に強いやつを除いてな……」

 

 その言葉に水都は首を傾げた。

 

「……? 私たちって、ナルミさんも防人なんですか?」

「ーーッ‼︎ しまったっ。口がすべった……」

 

 ハッとした後にナルミはため息をついた。

 

「まぁいいか。私は''元''防人さ。故あって三ヶ月くらい前にやめたんだが……」

「防人を辞めた……?」

「いや、"やめさせられた"。の方が正しいか……」

 

 彼女の脳裏にあの日のことがよぎるーー

 

 

 

 

 

 

 ーー大社の本部の所在地は中国地方(マリンフォード)の岡山にある。その本部内で二人の女性が話していた。

 

「なぁ、No.20。しばらく…………の姿が見えないだが?」

「ええ。…………さんなら数ヶ月前から留守ですわ」

「何かあったのか?」

「彼女、()()()()を始末するとか言って出ていきましたわ。後のことはわたくしに任せた、と」

「お前が? No.1のあいつの代わりなら、No.2の私だろ?」

「と言っても、貴女その時いませんでしたもの。代わりに部下であるわたくしが任されたのですわっ」

 

 No.20と呼ばれた少女は胸を張った。

 

「……はっ。私が20番ごときの下につけって?」

「ご不満ですの?」

「あたりまえだ。私は、私より弱い奴に従う気はない。あいつだからこそ、その下についたんだ」

 

 No.2は背を向ける……が。

 

「……なら、貴女に用はありませんわね」

「なに?」

 

 突然、No.20は剣をNo.2に向けて切りかかった。

 

「ーーチィッ!」

 

 咄嗟に反応して剣の柄を持ち、動きを止めた。

 

「なに、すんだ、オッッラァァ‼︎」

「ーーぐあっ、ウッ……‼︎」

 

 背負い投げでNo.20を地面に投げ倒した。

 

「……はぁはぁ。やっぱりお強いですわね」

「これでわかったろ? ……あいつが居ないなら私がその席にーー」

 

 その時、ぐらっと体勢が崩れた。

 

「な、なんだ……これ、は」

「ふふふっ」

 

 不敵な笑みを浮かべてNo.20は立ち上がった。

 

「お、お前。何かしたな?」

「なんのこと、ですッッのぉ‼︎」

「ぐがッッ‼︎」

 

 No.2は蹴り飛ばされ、数メートル転がった。

 

「お前、能力者になったのか……?」

「察しが良いですわね。……私は勇者になったんですの。これから防人はどんどん勇者を量産させていきますわ」

 

 スタスタと近づき、No.2を見下ろす。

 

「ですから、貴女みたいな人は要りませんの。ご機嫌よう、ですわ」

 

 最後に"元"No.20は踏みつけて言い放った。

 

「……そ、れ、と。わたくしの名前は…………ですわっ」

 

 

 

 

 

 

「ーーいや、なんでもない。忘れてくれ」

「……え?」

 

 何か良くないことを思い出したのだろう。ナルミは何かを睨みつけているようだった。

 

「嫌な思い出さ。中途半端で区切ってすまないが忘れてくれ」

「……はい」

 

 水都はよくわからなかったが、それ以上は踏み込まないようにしたーー

 

 

 

 

 

 

 ーー歌野はマップに示されていた位置付近にいた。そして、あたりを見渡す。

 

「……! いた。アレねっ」

 

 視線の先にはこれまで見たバーテックスとは桁違いに大きく、そして奇妙な形をしている。

 

「少なくとも30メートル以上はあるかな? 想像より遥かに大きい」

 

 向こうはこちらへは気付いていない様子。

 

「ーー先手ビクトリー‼︎ ムチムチの、(ピストル)ーーッ‼︎」

 

 歌野は敵に飛びかかり、手に持っている武器を勢いをつけて伸ばした。

 ドカッ! と進化体の頭らしき場所へ命中してあっさり破壊した。

 

「よっし! 決まり! イケるかも!」

 

 すると、進化体はこちらへ向いた。

 

「さて、敵さんはどう仕掛けてくるのか……」

 

 歌野はすぐに距離を置いて、回避行動が取れるように準備する。

 ……よく見ると進化体の胴体らしき部位が膨れあがっていた。

 

「ーーえッ⁉︎」

 

 そして、進化体は下部の先から妙なボールを数発飛ばしてきたのだ。

 

「デンジャラス‼︎ 回避ィ‼︎」

 

 歌野は、横に跳んだ。

 歌野がいた場所へ飛んできたボールは地に着弾すると爆破した。

 ドゴーンッ‼︎ という爆音が鳴り響く。

 

「アレ、爆弾なの⁉︎」

 

 また、敵は歌野目掛けて爆弾を飛ばしてくる。

 

「わぁ! あっぶな‼︎」

 

 それを避け続ける。

 敵は爆弾を飛ばし続ける。歌野も周りを跳び続ける。

 

「敵さん、リロードとかないの?」

 

 進化体は休むことなく飛ばし続ける。歌野は左へ、右へと回避し続ける。

 

「ーーッ⁉︎ ヤバッ」

 

 回避し続けていた歌野だったが、さすがに全てを回避し続けるのに限界がきたようだ。

 歌野は咄嗟に武器で爆弾を相殺させようとする。武器と爆弾は歌野の目の前でかち合い、爆破する。

 

「うわああああッ」

 

 爆風を受け、歌野は地面を転がる。

 

「い、たたた……。ってウソ‼︎」

 

 歌野が持っている武器が爆撃で破損していたのだ。

 

「鞭がッ……。壊れちゃったッ‼︎」

 

 歌野は焦る。これではバーテックスを倒すことは非常に難しくなる。

 しかし、歌野はそこで同時に、爆弾攻撃が止んでいることに気付いた。

 

「敵さん、私を殺ったと思ってるのかしら……?」

 

 歌野は素早く下がり、物陰に潜む。

 煙が晴れ、チラッと覗くと、進化体はその場でユラユラ漂っていた。

 

(……)

 

 歌野は気配を殺し、様子を伺うことに徹する。

 

「どうしましょ……。武器がこれならよほど近づかなきゃ……」

 

 今、歌野が持っている武器の最大リーチはわずか1メートルほど。元は最大5メートル伸びることができていた。

 チラッと、また歌野は覗く。

 バーテックスは身体を反転させてどこかへ行ってしまった……。方角的には空港方面ではないが、少しでも進路を変えると空港の元へ向かうかもしれない。

 

「……はぁ、はぁ」

 

 呼吸が荒い。気配を殺していたので極力、息をしないようにしていたからだ。

 

「倒せ、なかった……。悔しい……」

 

 歌野は体操座りになって俯く。

 

「私に任せてって勢いよく飛び出してきたのに……情けない」

 

 何が勇者だ。何が私にしかできない、だ。

 歌野は助かったことに安心してしまった。

 

「……()()()()怖い。アレが進化体。……乃木さんは一年前、私を守ってアレの仲間を倒したのね……じゃあ私は……? 私はこんな弱気でいいの? 勇者になったのに、あの時とは違うはずなのに……」

 

 脳裏に水都と空港内の人たちがよぎる。

 

「……ダメ。アレを放っておいて、みーちゃんの、空港にいる彼らの元へ行ったらどうするのよ。……私が戦わなくちゃ、戦えるのは私だけなんだからっ!」

 

 歌野は立ち上がり走り出す。去ったばかりのバーテックスの元へ。

 

 

 

「ーー待てぇぇぇーッ‼︎」

 

 再度、バーテックスを見つけた歌野は叫ぶ。

 バーテックスに聴覚があるのかはわからないが敵はゆっくりと振り返った。

 

「私は絶対、あなたを倒す! 四国へ行って農業王になるためには、あなたみたいな障害に躓いてちゃいけないのっ‼︎」

 

 そして、歌野はダッシュで走る。

 バーテックスはまた、下方から爆弾を飛ばしてきた。……その数は三発。

 

「リーチが足りないなら足りる距離まで接近するッ!」

 

 一発目、二発目、そして三発目もギリギリで回避した。

 

「あともう少しでーー」

 

 ……が、バーテックスはすんでのところで、また一発の爆弾を飛ばしたーー。

 

「ーーッ‼︎」

 

 それは、歌野の頭部に飛んできて命中するーーーーかと思われたが。

 

「食らうかぁぁぁぁーー‼︎」

 

 歌野は爆弾を武器で巻きつけた。

 そして、巻きつけた爆弾を敵に向かって返す。

 

「ムチムチのぉぉぉぉ爆弾(ボンバー)ーーッ‼︎」

 

 投げ返した爆弾は、バーテックスの下方にある射出口に命中して爆ぜた。

 

「うああああああーーッ」

 

 衝撃波を受けて歌野は吹っ飛ぶ。そして、地面を転がっていった。

 

「……う、うう」

 

 身体中ボロボロで所々に擦り傷ができていた。

 

「……早く、立たなきゃーー」

 

 辛うじて見上げると、攻撃を食らった敵の下方部は壊れており、爆弾を飛ばすことができずにいた。

 

「……ふ、ふふっ。悪あがきには、なったかな……」

 

 よろよろと立ち上がる。

 

「ま、まだやるぅ?」

 

 歌野はバーテックスを睨みつける。

 

 ……すると、バーテックスはゆっくりと身体を反転してどこかへ行ってしまった。方角からして空港とは真逆。

 

「……か、帰っていった……?」

 

 ドサっとその場に座りこむ。

 

「多大な犠牲を払って追い払うことしかできない、か……。ホントね。勇者でも、必ず勝てるわけじゃない……」

 

 ボーッと空を見上げる。

 

「やっぱり乃木さんは凄いわ。……私はまだまだ、だぁ……」

 

 

 そして歌野は、数分間その場で空を眺め、ゆっくりと水都たちの元へ戻った……。

 




 勇者成り立ての歌野には、厳しい相手だったかも……。ってか、歌野の武器は、あの時、咄嗟に手にした枝木に鞭の特性を付与して強化させたものだから貧弱なの。だから、これから武器を強くする必要がある。
 再戦はすぐそこ……。


次回 麦わら帽子とリボン
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