バトル系の作品凄く好きです。
構想を頭に思い浮かべながら自分で描いたり、他人の作品を「これどうなるんだ⁉︎」と期待して観るのがたまらない。
誰かもっと描いてください。そして教えてください。勉強がてら観に行きますゆえ。
前回のあらすじ
梅田地下街にて、蓮華が調合した薬により回復の兆しを見せつつある歌野と芽吹。そんな中、歌野は蓮華を白鳥農業組合に勧誘するが……⁉︎
唐突な歌野の発言により空気は一変した。
「……あ、あのさ歌野。今なんて」
「蓮華さんを私たちの仲間にーー」
「あーハイハイわかったわかったよー。聞き間違いじゃなかったー」
雪花は呆れてうなだれた。
「うたのん……雪花ちゃんや楠さんたちの話聞いてたの?」
「……? この梅田地下街を桐生静さんっていう、蓮華さんのお友達が守ってた。って話でしょ?」
「どこまで遡ってるの⁉︎」
おどけた表情をしている歌野に鋭いツッコミが入る。
「ちゃんと聞いててよぉ」
「……?」
「ははっ……」
芽吹はそんな歌野たちを見て笑い出す。
「歌野にとっては確かに、聞く必要性がないくらいどうでもいい話かもね」
「あぁだよねぇ。……ごめんねぇ、急に変な話になっちゃって」
「……私も別にいいやー。なーんか気が抜けちゃったし」
場の毒気を完全に抜かれてしまい、雪花とNo.7は互いに愛想笑いを浮かべた。
「……で、私はさっきのアンサーを聞きたいんですよ」
歌野は目を輝かせて蓮華に詰め寄る。
「この蓮華の力が必要なのね?」
「はい! 必要なんです!」
「……そうね、困っている人を助けるのはこの蓮華の責務」
蓮華は顎に手を添えて考える。
「しかしながら
「いいんじゃないですか? 蓮華さん」
「……!」
そう言ったのはNo.7だった。
「京都支部が進化体に破壊された今、私たちはここに居座る事になる。なら私たちがあなたの代わりにここの平穏を守り続ければいい。ですよね?」
「それは……」
「そ・れ・に」
No.7は意味ありげに蓮華へウィンクする。
「蓮華さんは諦めてないんですよね? 生き残りがまだいるかもしれないって」
「……!」
図星を突かれ蓮華は目を丸くする。
「鏑矢の人の死を全員分確認したわけじゃない。現に蓮華さんもこうやって生きてる。だからあのメンバーのうち、悪運の強い誰かは……実は生きていたりするかも、ですよ」
「…………」
蓮華は心の中で少しの間、逡巡する。彼女は今まで、地下街の人たちを守りながらも時折、自分の他に鏑矢の生き残りがいないか考えていた。
そして活動可能な範囲内で、彼女たちの手掛かりを探していた。
「別に蓮華さんがいなくてもここの守備は大丈夫ですよ? ……それに、ここ以外に生き残りがいない事は蓮華さんがよくわかってるはず。ですからこれからは範囲を広げてみてはどうでしょう?」
「範囲?」
「大阪全域を駆けずり回って生き残りがいないか探してましたけど、これからは彼女たちと一緒に行動すれば捜索範囲を広げられるって事です」
蓮華が鏑矢のメンバーの生存を諦め切れていない事をNo.7はわかっていた。この世界のどこかで、桐生静をはじめとする鏑矢の誰かが生存しているという希望を蓮華が未だ抱き続けている事を。
もし桐生静が……実は生きていたのなら、必ず地下街の人たちの元へ連れ戻さなければならない。
彼女が地下街に来ないのも、"自力では戻ってこれないのでは?" という希望的観測を持ち続ける事で、諦めずに済む。
「あなたのお陰でここのみんなの笑顔は守られてきたんです。ついでに私のお陰でもありますけど。……だから、これからは
No.7に諭され、蓮華は少しだけ笑みをこぼす。
「……そうね。ここまで的確に胸の内を言い当てられるなんて、この蓮華もまだまだね」
「そこは別に気にしなくてもいいんですけど」
失笑混じりに二人は話し続けていた。
「……コホン。話が長くなってしまったわね、ミス・シラトリ」
改めて蓮華は歌野へ向き直る。
「あの日、別れてしまった仲間の中で、この蓮華と同じ運命を辿り生き延びている者がいるのなら、会いに行きたい」
「はい」
「そのための道中が同じなら、あなたたちに協力する事もやぶさかではないわ」
「……! それってつまりーー」
「この蓮華もあなたたちの旅に付き合ってあげるわ」
その一言で、歌野の顔は無邪気な子供のように明るく輝いた。
「んん〜〜やったわっ‼︎ 最っ高にハッピーよ! みんなぁ‼︎」
今にも飛び跳ねそうな勢いではしゃいでいる。
「……にゃはは。こうなっちゃったかー」
「うん……こうなっちゃうよね」
「例え断られたとしても、歌野なら食い下がってくるでしょうしね」
雪花たち三人は歌野の様子を見て、呆れ半分の笑みを浮かべる。
「よーし! 蓮華さんも仲間になった事だし、ここの人たちに一言挨拶して、四国に行く旅を再開ーー」
「ちょっと待ちなさい」
と、ぬか喜びしている歌野に早速蓮華からの制止がかかる。
「話はまだ終わってないわ」
「……話? 今言ったけど、ここの人たちへの挨拶ならーー」
「違うわ。この蓮華があなたたちに協力するかわりに、条件を飲んでもらう必要があるのよ」
「協力するんですよね? 何でまた……」
"条件"という単語に引っ掛かりを覚えた雪花が蓮華に問う。
「この蓮華の力を必要とするのなら、それに足る証を立てて貰わないとって事よ」
「ん? 困っている人を助けるのは責務じゃないんですか? それなのに対価を求めるんですか?」
「厳密には違うわ。この蓮華の話を最後まで聞きなさい」
蓮華は
「先んじて、この蓮華は京都支部へ行かなければならないの」
「京都支部? あそこはもう……」
「知っているのなら話は早いわ。京都支部は進化体バーテックスによって壊滅し、No.7をはじめとする防人や神官はここへ避難してきた」
「……ですね」
No.7を一瞥すると、彼女は頷いていた。
「彼女らが無事ここにいるように、進化体の襲撃で死者は出ていないわ。……でも代わりに
「むむむ?」
蓮華に問いかけられた直後は、No.7は首を傾げていたがすぐに意図を察した。
「……あっ、ああ。
「そう。京都支部に保管してあるそれがまだ、あそこに置き去り状態なのよ」
「……! 新たな
指揮官クラスの防人が配置されている大社支部に
「私たちも壊滅した京都支部へ行ったわ。でも、
「地下だよ。あれが保管されているのは」
「地下? 京都支部には地下があるの?」
No.7が言うには、京都は街の歴史的景観を損ねないよう、電柱や娯楽施設が一切存在しない地域がある。少なくとも
「京都はね、電線やケーブルを埋設している地域が多いの。建物だってそう。外面を木材で覆いながらも内装はレストランとかコンビニとか。あるいは地下に遊戯場を設けたり……とかね」
「じゃあ
「そうそう。まぁここほどじゃないけど」
No.7がポケットから鍵を取り出す。
「先日、『獅子座』と『牡牛座』の攻撃を受けてね。命からがら逃げて、支部も焼けちゃったけど、地下への扉は頑丈で耐火性も高いから中の設備は無事だと思う。……でもまさか蓮華さんが取りに行く、なんて言うとは」
「大切な物でしょ? あれは」
「私としては
「それでも一度頼まれたからには最後までやり遂げる。でないとこの蓮華の気が済まないわ」
「頼む? ……一体誰が」
言いかけていたNo.7はハッと気付く。
「ははぁ〜ん、No.
「防人の仕事をしないあなたが言えた口ではないわ」
「う〜ん」
指揮官クラスの防人の御役目の中に
「……トイレットペーパーの方がまだ有用性あるんだよねぇ」
実際、山口支部にいたNo.6は
「……
No.6たち元山口支部の防人は大社に賞賛されていたが、No.7はその話を聞いて馬鹿らしく思った。あの"紙切れ"に人の命を懸けさせる程の価値があるのか、と。
……いや、例え価値があったとしても、人の命の方が何より大事であると考えている。
「それでも取りに行くわ」
「……あんまりおすすめしないんですけどぉ」
渋々、No.7は地下への扉を開ける鍵を蓮華に渡した。
「……と、いうわけでミス・シラトリ。この蓮華があなたと一緒に行くには先に
蓮華から条件を突きつけられた歌野は暫しポカンとしていた。
「それが条件? ホワイ?」
「……え?」
予想外の返答に困惑する蓮華に対して、歌野は両手を広げる。
「条件にしなくたって協力しますよ! 困っている人の役に立ちたいのは同じですし!」
「あなた……」
「よしみんな!
歌野の勢いは止まらない。
「それで? 出発はいつにするんですか?」
芽吹は蓮華に問いかけた。
「そうね。早いに越した事はないわ」
「なら今行きましょう!」
歌野がガッツポーズで気合を入れる。
「はやっ。……うたのん準備とか大丈夫なの? 怪我とか」
「もうみーちゃん、何度言わせるのっ。治ったから大丈夫よ!」
「うたのんは何度もそう言うけど……。やっぱり心配なんだよ」
蓮華が仲間になるのが内定しているからか、その嬉しさで歌野の勢いは半ば暴走気味に陥り、止められそうにない。
……もっとも、それを止めなければならないのが水都たちの役目なのだが。
「ほらみんな! アズスーンアズで行くわよ!」
「まあ確かに、早い方がいいわよね」
「一応言うけど、無茶だけはダメだよ?」
「こうなったら、我らの
三人は歌野に従い、それぞれ京都支部へ向かう準備を整える。
「あ、そういえばまだ条件あるんでしたっけ?」
「ええ。この蓮華の出す条件は全部で三つあるわ」
親指、人差し指、中指の三本を立てた。
「何ですか? 別の御遣いですか?」
「他にも
「寄り道のオンパレードだにゃぁ……。まー、いいけどね」
「
歌野に呼びかけられた三人は呆れ半分、嬉しさ半分の表情で頷いている。
「勿論、協力するに決まってるわ」
「私もできる限り協力したい。蓮華さんにはお世話になったから」
「うんうん。思えば寄り道なんていつものことだったしさ」
言い方はそれぞれだが、基本的に蓮華への助力を惜しまない。大抵の条件はむしろ喜んでこなしてみせるだろう……。
「フッ、頼もしいわね。……二つ目の条件っていうのは、あなたたちに協力している間……"この組織のリーダーをこの蓮華にすること"よ!」
「ーーそれはノーだわ! 蓮華さん」
「却下ですね」
「はい決裂〜」
「前言撤回です。……ごめんなさい」
二つ目の条件を提示した直後、四人が即答してきた。
「…………」
蓮華は目を丸くして沈黙している。
……
ーーその頃、歌野たちより先に目的地である、京都支部跡地に近付こうとしている二人がいた。
「……ここが京都。見る影もないわね」
「このどこかに京都支部があるの?
この二人組は姉妹である。金髪の長い髪をそれぞれ両耳辺りで結えている姉と、短い髪をした妹。
この姉妹の目的もまた、京都支部に眠っているであろう
「そうよ樹。焼け野原でわかんないけど、京都支部だった場所の地下に例の物があるはずなのよ」
「探すの大変そう……。ちょっと占ってみるよ……」
妹はタロットカードを取り出してその中から無作為に選ぶ。
「……どう?」
カードを見た妹のテンションは下がる。
「……『死神』。意味は……"破滅"」
「あちゃー。ってか樹の占いっていっつもそのカードじゃない? ホントに一枚しか入ってないの?」
「一枚しか入ってないよぉ……」
「ま、占いなんて当たるも八卦……とかいうしね」
そう言って姉……『犬吠埼風』は妹である『犬吠埼樹』の手を取り、地面を蹴って跳躍した。
「さぁて!
ーーそしてまた幕が上がるのだ。
"七武勇"との戦いの幕が。
蓮華は白鳥さんと同年代だったような気がしたけど、なぜかみんな敬語で話してしまう。この作品ではNo.7は弥勒夕海子と同じ中学三年生設定だけど、蓮華に敬語を使っている。
年上オーラを感じるのだ。
次回 白鳥農業組合VS犬吠埼姉妹