(そしてバトルもあります)
また、連載1周年を記念してアンケートを作成しておりますので、よろしければご回答の程、お願い致します。
前回のあらすじ
蓮華の寄り道に付き合い、奈良へ辿り着いた歌野たち。そこで出会ったのは烏丸久美子という女性。蓮華は彼女にも用事があるようで……?
自らを研究者となる女性、烏丸久美子は京都で起きた事や防人たちが梅田地下街へ避難した事を蓮華から聞かされた。
「なるほどな。京都支部はそんな事になってたのか」
烏丸久美子は顎に手を添えて情報を聞いていた。
「……じゃあもう毛染め用のカラー剤は手に入らないな、黒シャツ」
「ウソだろォ⁉︎」
隣にいた男はあからさまにショックを受けていた。
「毛染め……ですか?」
「コイツは髪を染めるのが趣味なんだよ。京都支部から定期的にヘアカラー用のスプレーとか貰ってな。つい最近までは金髪にしてたぞ」
「次は水色に染めようと思ってたのによォ……」
「やめろバカが。桜色に染めた時以上に気持ち悪くなるだけだ」
以前、No.7たちから聞いていた。
進化体バーテックスに京都支部が攻撃される前は梅田地下街や奈良の人たちに食料や娯楽物を支給していた、と。
「ああ、そういえば聞いてなかったな。お前たちはどうしてここに来たんだ?」
久美子は歌野たち一行が奈良へ来た目的を問う。
「少し前にこの蓮華の武器を預けたのだけれど、もう整備は終えたかしら? それを取りに来たのよ」
「そういう事か。なら、他の奴らは何しにきたんだ?」
「蓮華さんの用事の付き添いよっ。何故なら、蓮華さんは
「は……?」
「つまりね…………」
歌野の言っている事を理解が出来なかった久美子へ、蓮華が詳細を説明していく。
それを受けて、久美子は事情を把握していった。
「……そうかそうか。お前も自分のやりたい事をようやくやれるようになったって訳か」
「蓮華の代わりに地下街の人たちを守ると言ってくれたNo.7。そして歌野たちのおかげでね」
穏やかな表情で微笑んでいた蓮華を見て久美子は鼻で笑う。
「まっ、お前の好きにすればいいさ。……って事でおい、蓮華の刀の整備が終わってるか聞いてこい」
「あ? 俺が? 何でだよ」
「行かないのならお前を"
男は久美子の剣幕に萎縮して渋々従う。
「行きゃあいいんだろ! 行きゃあよォ!」
そして鍛冶屋がいると思われる方向へ走っていった。
「あの……烏丸さん、でしたよね?」
水都は研究者と言った久美子の言葉に疑問を持ち尋ねる。
「研究者って言ってましたけど、ここで何の研究をしているんですか?」
水都が疑問に思うのももっともである。こう言っては悪いが、このあたりは研究できる対象など何も無いようにみえたからだ。
それらしい研究所も見当たらない。
「そうだな、本職は歴史とか文化遺産を調査する"考古学者"だが、最近はものづくりにも着手している」
「わーお! ならば烏丸さんはジニエスな人なのねっ」
"
「はっ。学者やってる奴らなんざトップレベルの馬鹿の集まりだよ。自分の専門分野以外はからっきし駄目なんだからな」
自分の職について自嘲していた久美子に蓮華は次なる要件を伝える。
「実はね、蓮華が奈良に来た目的は他にもあるのよ」
「あら? そうなの蓮華さん」
「歌野たちには言ってなかったけど、武器を取りに来るついでに彼女に話があってね」
蓮華の話す雰囲気から久美子はその目的を察した。
「ほう。つまりは私の
「……! ええそうよ。話が早くて助かるわ」
「お前の話を聞いてもしや、と思っただけだ。……実際、
「えっ、あなたが……
水都は驚いて蓮華を見ると、彼女は頷く。
蓮華によれば、久美子は密かに
「この蓮華が"鏑矢"の生き残りだと知った時に教えてくれたのよ」
「危険ではないんですか? その……
「危ないさ。だからもし、お前らが大社側にバラせば私たちを
「け……消す……」
穏やかではない内容の話をしているのに対し、久美子は何故かうすら笑っていた。……まるでそうなる事を望んでいるかのような。
「こおりちかげ? それってもしかして四勇の?」
「ああそうだ。奴は一度ここへ来たんだ。……特に何をしに来たって訳でも無かったがな」
千景は四勇が定期的に四国の外を見て回る御役目に参加して奈良へ来ていたようだ。その時は別の事でひと騒ぎあったが、久美子の研究については露見してはいない。
「……話を戻すわね。烏丸久美子。あなたへの要件、まずは"これ"よ」
蓮華はポケットの中から一枚の紙を取り出す。
「…………!」
それはどう見ても
No. they are the national defense equipment.
First, the name is “Great Seto Bridge”.
As the name suggests, it is a bridge.
It connects Okayama Prefecture and Kagawa Prefecture and It is located in the Seto Inland Sea.
Second, origine of name is “Thousand Scenery Cannon”.
Another name is “Chikage Cannon”.
There is in Kagawa Prefecture. The reality is a tower.
The name of tower is “Senkeiden”.
It is a gold tower that Kagawa Prefecture is proud of.
「えっ、これって……
水都は驚きのあまり、声が震えていた。
「そうよ。それも京都支部の地下にあったもの」
「ブリングアウトしちゃったの? 蓮華さん」
「違うわ。この蓮華が
「す……すごい。文字や書き方も、
「当然。この蓮華は、完璧主義なのよ!」
蓮華は得意げに胸を張る。京都支部から梅田地下街でNo.7に渡すまでの間に時間はあったが、誰にも見つからずに書き写したのだ。
「……要は蓮華。私にこれを解読しろって事か」
「その通りよ」
久美子はそれをまじまじと見つめる。文字の細部から検閲されている部分までしっかりと。
「それにしても完璧に写してきたな」
「例えるなら魚拓でも取っている気分だったわ」
それ程までに蓮華が写してきたものは精度が高かった。これを
「良いだろう。解読してやる」
「助かるわ」
「これは私の為でもあるからな。……この
「……? 空白の……」
「ーーおいっ、聞いてきたぜェ!」
久美子の意味ありげな言葉に疑問を投げかけようとしたが、それを遮るように黒シャツの男が軽く息を切らしながら帰ってきた。
「出来てたのか?」
「結論を言うと『まだ完璧には仕上がってない』。『今日中で終わらせるから明日取りに来てくれ』だとさ」
「そうか」
チラッと蓮華を見る。蓮華も仕方ないとばかりに軽く頷いた。
「あとよ、俺そいつらの事思い出したぜ。この前指名手配されてた勇者だろ! 勇者が訪問するなんてあん時以来だよな」
その言葉を発した途端、なぜか久美子は男の腹部に膝蹴りを入れた。
「ぐぅえっ⁉︎」
「思い出すのが遅いんだよ。とっくにその話は終わったんだ」
久美子は跪いた男を見下ろしながら蹴った膝を埃でも付いていたのか、手ではたく。
「うっえ! ゴホッ、ゴホッ……」
「さて、話が逸れたな……。
久美子は紙を受け取ると自分の研究室のある場所へ歩いていく。
「それまでお前たちは観光でもするんだな。……黒シャツ、泊まる場所とか案内しろ」
「……ちっ」
「あぁ?」
「ナンデモネッスヨ」
久美子に睨み付けられ彼は嫌々従う。
歌野たちは解読が終わる時間帯まで周辺を見て回る事にした。
周辺を歩いている中、黒シャツの男は腹部をさする。先程久美子に蹴られた場所が疼いているようだ。
「いっつつ。……容赦無ぇよな。久美子のババァ……じゃねぇや姉貴は」
「あの……本当に大丈夫ですか……?」
「ま、じきに痛みも引くだろ。いつもこんなんなんだ、あのババァは」
彼はここに久美子がいない事を狙って悪態をつく。
「でもさっきの足技は見事だったわ。彼女、武道の心得があるの?」
「詳しくは知らねぇけどあると思うぜ? 実際強いから反撃も出来ねェ。……多分、勇者のアンタらより100倍は強いな」
「強い……ような気がしますけど、それよりちょっと怖い……です」
「言えてらァ、あのクソババァ」
すると、歌野が何かに反応してあたりを見渡し始める。
「……‼︎」
「どうしたの、うたのん」
遠くで何かを見つけた歌野はそこを指差して目を輝かせる。
「メイビーだけど、あれは畑じゃない⁉︎」
男は指差す方を見て頷いた。
「ああそうだ。ここ奈良は大社支部が無いからな。京都支部の援助だけじゃ持たねぇからある程度は自給自足でやってんだ」
「ちょっと見てくる、手伝ってくるわーーーッ‼︎」
「あ、ちょっとうたのん‼︎」
言うが早いか、歌野は畑に向かって一直線に走っていった。
「わーお‼︎ キャベツが見るからにシャイニングしてるわ! きっと上質な土で育ててるのね‼︎」
今にも飛んでいってしまいそうな程のハイテンションでスキップしながら駆けていく。
それを水都が後から追いかける。
「あっ、こっちにはキュウリを栽培してるのねっ。ん〜、あと少しで収穫できそうなものがたっくさん‼︎」
「うたのんが変な方向にトリップしてるよ……」
水都は頭を抱える。そういえばウエストジャパンに入ってから歌野は一度も農作業をしていない。
梅田地下街にいた時も畑などなかったし『ガーデンエリア』も草花が中心で、食べられる野菜類など無かった。
おそらく、今に至るまで鬱憤が溜まっていたのだろう。
(禁断症状が出る手前で良かった……のかな……)
歌野は定期的に農作業を行わないと禁断症状に陥ってしまう。水都は過去に一度だけそれを体験した。
「ふっふっ、ふふっひ♪」
まるで動物園か水族館に来たかのように畑の野菜を眺めている。
ーーと、そこへ、
「あっ……えっ? あなた……は?」
「どうしたんですか? 茉莉さ……」
黒髪の少女と、赤い髪の少女が姿を現した。
「あら? ひょっとしなくても農作業をしてた人?」
「はい。そうですっ」
「ボ……ボクはただゆうちゃんの手伝いを……」
赤い髪の少女は活発的な印象なのに対し、黒髪の少女は人見知りなのか、おどおどとしていた。
「二人共、畑が好きなのねっ。私と同じだわっ」
「畑が好きと言うよりは、ただ人の役に立つのが好き、かな」
「……っえ、う、うん。ボクも……かな」
(ふむふむ……)
体格から見て、二人共歌野と同じくらいの年齢だろうか。
これは新たなる"同志"を見つけた、と歌野のセンサーが勝手に判断する。
「さては貴女たち……相当な農業マニアと見たわっ」
「マニア……? いえ、私は……」
「さ、さっきも言ったように……」
話も碌に聞かず、名前も知らない彼女たちに歌野はぐいぐい迫る。
「えっ? ちょっとうたのん、まさか……」
「二人共、もっと農業をしたいと思わないっ⁉︎」
「「……?」」
(あっ……これ、いつものやつだ……)
両手を差し出して二人に笑いかけた。
水都は手を顔に当てて歌野の"いつもの行動"に軽くため息をつく。
「私は白鳥歌野。農業王になる為に、もしよかったら
「「えっ……⁉︎」」
歌野の突然の勧誘に思考が固まり、二人は数秒間静止した。
気が付けば、この物語が始まって一年が経過しておりました! 一年で約50話だから週刊連載になってた。
これだけ続けられたのも、色々な形でレスポンスしてくれる方、閲覧して下さっている皆様のおかげであります。
誠にありがとうございます!
さて、ONE PIECEの世界観を導入している本作品ですが、ジャンプ作品の1周年記念でする事といえば……?
そう『人気投票』です。
という訳で現段階において『白鳥農業組合』のメンバーの中で誰が1番好きでしょうか? お時間ある方、是非投票願います!
・期限はウエストジャパン編終了まで(多分9月までかかるのでゆっくり考えて下さいませ)
見事1位に輝いた人は・・・!?
エントリー1:白鳥歌野
エントリー2:藤森水都
エントリー3:秋原雪花
エントリー4:楠 芽吹
エントリー5:弥勒蓮華
次回 真実ほど人を魅了するものはない