前回のあらすじ(?)
『白鳥歌野は勇者である』の表紙で白鳥さんは麦わら帽子をかぶっていた! つまり、白鳥さん=麦わらァ
〜勇者によるワンピースセリフパロ〜
大社神官「所詮郡千景は、歴史から抹消された西暦時代の、敗北者じゃけぇ……」
若葉・花本「ハァハァ……。敗北者ァ……?」
大社神官「?」
若葉「取り消せよ……。今の言葉ァ」
花本「取り消しなさい……。今の言葉」
ひなた「乗らないでください若葉ちゃん!」
烏丸「おいよせ花本。戻れ」
今日は朝から少し慌ただしかった。
昨日の今日で、バーテックスの接近を知らせるサインがあったからだ。
「うたのん……。やっぱりまた戦うの?」
「……うん。私がやるしかないから」
「でもうたのんは戦う武器が無いでしょ? あの壊れた武器で戦うなんて無謀だよ」
歌野が使っていた武器は昨日の戦いで破壊されてしまった。いまあるのはボロボロの枝木である。
「ーー武器についてだが、アテがある」
「ナルミさん?」
振り返るとそこにはナルミがいた。手に何か持っている。
「それは?」
一見、ベルトのように見えたが結構な長さがある。
「聞いたよ。アンタ、"
「えっ?」
耳慣れない言葉だった。
「
「はい。聞いたことありません」
はぁ、とナルミはため息をついた。
「いいか? 勇者の野菜の能力は大きく分けて二種類のタイプがある」
「タイプ?」
「アンタのは『
「ん? すみませんもう一度」
「……わかりやすく言うなら、アンタの……、ムチムチの野菜だっけ? その能力は武器が無いと使えないだろ?」
「……! はい、そうです」
「それが
「な、なるほどぉ」
「……で。お前の武器は壊れてしまったわけだが、
「アップデート?」
「持っていた武器が壊れたり無くなったりした時、新たに別の武器へリンクさせればそのまま能力が使える。……過去の武器のリンクは切れてな」
そして、ナルミは手に持っていた物を差し出す。
「新しくコレを使え」
「これ、は?」
「革製のベルトみたいなもんだ。……まぁただのベルトじゃないがな。そこにあるボタンを押してみろ」
持ち手、だと思われる部分にあるボタンを押した。
すると、ベルトはシュルシュルッと短くなり、ちょうど腰に巻けるほどの長さになった。
「コレ……!」
「あと、長押ししながら勢いよく振ると長く伸びるようにもなってる」
ボタンを離さないままでベルトを振ると長くなった。
「アンタの能力にピッタリだと思ってな。鞭として扱う能力なら、武器も鞭に似せた方がいいだろう?」
「はいっ、ありがとうございます!」
「別にいい。……ここ空港では、外国へ輸出するはずだった物と外国から輸入してきた物が沢山ある。偶然、その中でオモチャを見つけただけだ」
ナルミは微笑む。
「このベルト自体の最大の長さは25メートルほどだ。元々何か大きな荷物を巻くための物らしいが、まぁいい。……それがアンタの力でどこまで活用できるか見せてくれ」
「はい! それでは行って参ります!」
歌野は満面の笑みを浮かべて走り出した。
「……No.25。ここは任せた」
「……!」
「……援護くらいはできると思うからな」
そして、ナルミも歌野を追いかけた……。
ーーあの進化体バーテックスはゆっくりと空港方面へ近付いていた。
「ーー! ナルミさん?」
「昨日は任せっきりで悪かったな。こんなもんでも奴の撹乱にはなると思う」
ナルミは銃を見ながら笑う。
「……」
「ん? どうした? 別にアンタの邪魔はしないさ。少し小突くぐらいしかしない」
歌野は何か言いたげだったが顔を左右に振った。
二人の前には進化体がゆっくりと迫ってきている。
「……よし。じゃあ白鳥歌野、今度こそ敵を倒しにいっっきまぁぁぁぁす‼︎」
歌野は新たな武器を手に挑んでいく。
(頼んだぞ。白鳥歌野)
ーー歌野はまず正面に立ち、敵に向かって武器を一気に伸ばす。
「先手必勝! ムチムチの
それは猛スピードで飛んでいき、進化体の胴体部に命中した。
ドゴォンと音を立て、命中した部位は見事に大穴が空いた。
「ーーッ‼︎」
……と同時に歌野は横へ跳んで回避した。
進化体は攻撃を食らうと同時に爆弾を飛ばしてきたからだ。
そして、また四発の爆弾を飛ばしてきたが、それを全てバク転しながら回避する。
「……ふ〜」
スタッと綺麗に着地した。
「……大した奴だ。援護する必要がなかったな」
ナルミは物陰に隠れながら戦況を見守っていた。
また何発かの爆弾を飛ばしてくるが、歌野はベルトを周囲の木などに括り付け、縮ませることで飛び移りながら回避した。
「……ナルミさんからもらったこの武器なら、さらに新しいことに挑戦できそうっ!」
歌野は最大まで長くしたベルトを縄を投げるカウボーイのように回転させて勢いをつけていく。
(長さがそれなりにしかなかった前の武器でもある程度はリーチの補正がされていた。……なら元々リーチが長いコレならもっと長く、もっと強くなれるはずっ)
進化体はまた爆弾を飛ばしてこようと、下方部が膨張する。
「ムチムチの
勢いよく伸びたベルトは同時に発射された爆弾を破壊して敵の下方部に直撃した。
「よし! このベルト、爆弾に当たっても破損しないわっ!」
「当然だな。あのベルトは本来は大きな荷物を括り付けるために強度は高くしてあるんだ。……その上、能力で強化もされてる」
「っ! ナルミさん」
「トドメをさせっ」
身体が半壊している進化体バーテックスはノロノロと後退していく。
「ーーッ、逃がさない‼︎」
歌野は進化体へ接近し、ベルトを伸ばす。
ベルトは敵の頭部あたりに巻き付いた。
「いっっくわ〜〜〜!」
そして、取ってのボタンを押してベルトは縮まり、歌野の体が引っ張られ進化体の元へ飛ぶ。
「ムチムチのロケット〜〜〜‼︎」
そしてそのまま、ドロップキックをぶちかました。
蹴られた進化体は地面に激突する。
「トドメーー」
しかしその瞬間、歌野の身体は吹っ飛ばされた。
「ーーぐあッ!」
数体の何かが歌野に向かって突進してきたのだ。否、それは進化体ではない普通のバーテックスだった。
バーテックスは十体現れ、進化体を守るかのように蠢くグループと歌野に襲い掛かるグループに分かれる。
「ーーあっぶない!」
咄嗟にベルトを両手で掴んだ。バーテックスはその両手の間のベルトに突っ込んだ形となり、喰われずに済んだ。
歌野は受け身をとり、バーテックスに向き直る。
「あともう少しなのに……」
進化体は起き上がるとまた、ゆっくりと後退する。
こちらには一切構ってこない。
「ここで逃すわけにいかないな‼︎」
ナルミは銃でバーテックス目掛けて発砲する。
「雑魚相手ならこれで倒せる。一気にきめるぞっ」
「はいっ」
歌野もベルトを振り回して攻撃する。
攻撃を食らったバーテックスは身体を破壊され倒されていくが、新たなバーテックスが次々と加勢してきた。
「もぉ……! これじゃあ近付けないわ」
「くっ」
ナルミも銃で応戦しているが、キリがないように思えた。
「おいっ! これじゃあ埒が明かない。特攻するぞっ」
「えっ⁉︎ そんな無茶苦茶なオペレーション……おもしろそうじゃないですかぁ‼︎」
歌野はニヤリと笑う。
進化体バーテックスが逃げ、多くの雑魚バーテックスが守りを固める状況の中では敵の防御壁を一点突破するしかない。
「なら、いっきますよぉぉ」
シュッと直線上にベルトを飛ばして敵を退ける。同時に、ナルミは銃を止めどなく撃ち続ける。
「よし、突っ込むぞ‼︎」
「はいっ」
バッ、と二人とも先の攻撃で空いた空間に飛び込む。
バーテックスはまた二人に襲い掛かる。
「これで終わらせるんだからぁ……、邪魔しないでぇぇぇ‼︎」
ベルトを勢いよく振るって集まってきた敵を薙ぎ払う。
「ムチムチの
「飛ばすぞ!」
がしっとナルミは歌野の腕を掴み、ぶん回して放り投げた。
「そおおおらあああ‼︎」
「うわわわわ〜〜」
歌野は空中で体勢を整えてベルトを進化体へ飛ばそうとする。
……が、その時。
「ーーッ‼︎」
進化体が歌野の方へ向き、下方部から爆弾を飛ばす。
「なあ⁉︎」
歌野は瞬時にベルトで爆弾を相殺させた。
「うああーーッ‼︎」
しかし、衝撃波によって歌野は地面に落ちる。
「バカな、射出口はさっき破壊したはずじゃなかったのか……⁉︎」
進化体の下方部は歌野の攻撃により破壊されボロボロだったが、なぜか爆弾を発射できるところまで
「チィ……」
孤立しているナルミに新たに五体のバーテックスが襲い掛かっていく。
「うっ……、くっ……」
銃で応戦したり回避したりするが徐々に追い詰められていく。
そして……。
「ーーッ! ぐあっっ‼︎」
一体のバーテックスの歯がナルミの右腕を削った。
「ううッ‼︎」
(かすっただけだが……)
右腕からは血が滴る。だが、彼女は自分に構っている場合ではなかった。
「ーーッ、白鳥ィィィ‼︎」
進化体は休むことなく、爆弾を生み出して歌野へ飛ばす。
「ーーはっ!」
ーーそれらは歌野へ降り注ぐ。
ドドドドドドドド、と爆弾の雨が地面が鳴り響かせる。
「ちっ……くしょー!」
ナルミは怒りに任せて銃を乱れ撃つ。
バーテックスの突進を掻い潜っていきながら歌野の元へ駆けつけようとする。
「ーーぐあああッッ」
横からバーテックスの突進を食らってしまう。辛うじて銃を盾のように構えたことで喰われずに済んだが、体は吹っ飛ばされる。
「……うう、クソ」
立ち上がれないナルミの目の前に、迫ってくるバーテックス。
(ここまでなのか……?)
ナルミが歯を食いしばり地面に伏せったその時ーー。
「ナルミさん‼︎」
思わぬ方向から聞こえてきた声と、弾丸が飛んできてバーテックスを撃ち殺した。
「な、No.25!」
「カッコつけるなら最後まで貫き通してください」
No.25はナルミを助け起こす。
「それに、見てください。まだ、闘志は消えてませんッ」
二人の視線の先には………。
「うおおおおおおおおおおーーー!!!!」
凄まじい怒号と共にベルトを振り回す歌野の姿があった。
「ーー!」
降り注ぐ爆弾を、ベルトを振り回すことで防御していたのだ。
だが流石に爆発する際の衝撃波までは防ぐ術は無く、歌野の体には煤や火傷が見えた。
「これで終わりにするのよおおおおッッッ」
ビシィッとベルトを地面に叩きつけた反動で飛び上がる。
「ムチムチのぉぉぉぉぉ……」
飛び上がった歌野は格好の的になり、進化体はまた爆弾を飛ばす……が。
「
一見、デタラメに振り回しているように見えるが、その長いリーチと、高速に振り回すことで、その余りの速さに残像ができ数多の攻撃が襲い掛かっていくように、爆弾を一掃していった。
「往生際が……悪いわよぉぉぉ!」
爆煙の中、進化体がいると思われる方向へベルトを伸ばす。
「ーーッ‼︎ 捕まえたッ」
ベルトの先が対象に巻き付き、歌野は一気にベルトを縮めて先端側へ飛んでいく。
「密着状態からのぉ……」
爆煙の先には、進化体がいた。ベルトは進化体の頭部へ巻き付いていた。
そして、歌野は進化体を掴んだまま巻き付いていたベルトを離して……
「ワンモア、
ダダダダダダダダダ、歌野は進化体へラッシュ攻撃を浴びせていく。
敵の身体は破壊されていき、最後に残ったのは頭部のみとなった。
「いけ……」
ナルミはバーテックスの突進を回避しながら叫ぶ。
「終わらせろォォォ‼︎ 歌野ォォ!」
再度、進化体バーテックスの頭部へ巻き付けて最大リーチで頭上高く掲げてからーー
「ムチムチの
一気に振り下ろして地面に思いっきり叩きつけた。
ドガァーーーン!と地面に大穴が開き、頭部は粉々に砕け散った。
No.25と共に周りのバーテックスを全て倒し終えたナルミは呟く。
「……やった、のか?」
砂埃が晴れ、見えた光景は、歌野が寝っ転がっている姿と、完全に破壊され残骸となった進化体バーテックスだった……。
「ふっ、ふふふ……」
歌野は空を仰ぎ見、右手をプルプルと震わせながらVサインを掲げた。
「やったよ、みーちゃん。……ビクトリー!」
やったぁぁぁ!
やっと倒してくれましたぁぁぁ!
イーストジャパン編に終わりが見えたっ
次回 戦いの果てに