白鳥歌野は農業王になる   作:amorphous

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拙稿ですがよろしくお願いします。水都は奪われ、白鳥さんは眠ったまま、芽吹と雪花は喧嘩。……悲しい展開で跨いでしまった。


前回のあらすじ
歌野は一騎討ちのあと、友奈たちに救助されるが未だに目を覚まさない状況でいた。また、雪花と芽吹も互いに衝突してしまう。果たしてこのまま白鳥農業組合はバラバラになってしまうのか……。


第七十九話 築き直して立ち上がろう

 芽吹も雪花もこの場を離れて別の場所へ向かってしまった。

 二人が見えなくなると、蓮華は寝ている歌野に視線を移す。

 歌野は一向に起きる様子が無い。

 

「あら……? 水滴が……」

 

 歌野の顔にいくつかの水滴がついていた。恐らく蓮華が二人を池に落とした時にあがった飛沫が歌野の顔にかかったのだ。

 

 水滴は歌野の目元にも付いており、蓮華が顔に触れるとその揺れで頬を斜めに伝って地面に落ちた。

 

「まるで泣いているようね、歌野」

 

 蓮華はまだ顔に付いている水滴をそっと人差し指で取っていく。

 まだ歌野は目を覚まさない。

 

「…………さて、と。高嶋、結城」

 

 少し経ってから蓮華は友奈二人に呼び戻すよう告げる。

 

「そろそろ頭も冷えたでしょう。あの二人を呼びに行ってくれるかしら? 蓮華は歌野を見ておくから」

「うんっ。わかった!」

「……うん」

 

 結城友奈は両手を拳にして少しでも元気を出そうと活気よく返事をした。

 対する高嶋友奈は、まだ辛そうな表情をしている。

 

「……高嶋、大丈夫よ。蓮華たちはこのままじゃ終わらないわ。二人を呼び戻して、歌野も起こして、水都を取り返して……また全員で再スタートを切りましょう」

「うん……。うん!」

 

 蓮華の言葉で友奈は気合いを入れ直して元気よく返事をする。

 

「私はせっちゃんを呼びに行ってくるね!」

「じゃあ芽吹ちゃんは任せて!」

 

 二人は雪花と芽吹のあとを追いかけるため、歩いていった方角へ向かう――。

 

 

 

 

 

 ――兵庫支部にて。

 

 水都は姫路城の最上階に座っていた。付近にはNo.3が見張りについている。

 

「ん? 本部から更に応援が来たのか」

 

 外を見ていたNo.3が呟いた。そして水都を残したまま地上階へ降りていく。

 

「……応援?」

 

 水都も城の窓から外を見る。すると、空を飛んでいる木船が目に入った。

 

「何だろう……? 木製の船が飛んでる……」

 

 船の中央に巨木が突き立てられている奇妙な船だったが、何より驚くべきはその木船が空を飛んでいた事だ。

 

「あの船も大社が作ったのかな……」

 

 水都はその木船と乗っている何人かを見て少し不安になった。

 

 

 

 地上階に降りてきたNo.3は先にいたNo.5と共に、空飛ぶ木船から降りてくる数人の神官たちと防人二人に注目する。

 

「何だ……。応援じゃねェのか」

「あの"黒マスクの人"。確か本部の神官長だ」

 

 その男は革製の保護マスクを被った不気味な出で立ちで辺りを見渡す。

 

「ワーッハッハッハッハ! 出迎えご苦労っ。兵庫支部の諸君」

 

 辺りをジロジロと見てまわる彼の目元や鼻先は黒く、まるで動物のパンダのようである。

 

「それで? 例の"奉火祭の生け贄"に選ばれた小娘はどこかな?」

「姫路城の最上階に軟禁しています」

「そうか。本部では着々と儀式の準備を進めている。明日には小娘は本部に移行させるから今日はその前祝いと行こうじゃないか!」

 

 神官長はお供として連れてきた防人二人に食料品や飲料品などの積み荷を持ってこさせる。

 

「でもどうして長官殿がわざわざ兵庫支部に? いつもの女性神官どうしたんですか?」

 

 No.5は敬語で尋ねる。仮にも大社神官を束ねる権力者が前線に現れる事は珍しい。

 普段なら、防人たちにとっての()()()()()()()()が対応する筈だ。

 

「安芸の奴は急用がどうたらこうたらで来ねェ。代わりにこのおれが直々に来てやったってわけだァ」

「あの人も忙しそうですもんね」

「それに、この奉火祭はそれ程重要な御役目なのだよ。このおれ様が出張る程にな」

 

 神官長は両手を大きく広げて愉悦の笑みを浮かべる。

 

「四国の人間たちは今日(こんにち)の我々の働きがどれ程尊く偉大な仕事であったかを知らん。それが知れるのは事実上まだ数年先……数十年先。いや、下手すりゃ数百年先の話かもしれん」

 

 意気揚々と話し続ける神官長を前に、防人たちは興味無さげに聞いている。

 

「おれに言わせりゃ今の大社のジジイ共の正義は生ぬるい! 犠牲を出さねば目的は果たせねェ。こちとら全人類の平和の為に働いてやってんだぜ‼︎ そうだろォ⁉︎ ドクター! 国土亜耶!」

 

 神官長は大きな声で後ろから続いて降りてきた二人に呼びかける。

 ひとりは丸いサングラスに小太りの男。

 もうひとりは自身の背丈の半分以上ある長い髪をした幼げな少女である。

 

「フォスフォスフォスフォスッ。まったくだあ」

「…………はい」

 

 二人はそれぞれ対極的な返事をして神官長の横に立つ。

 

「おいお前ら! パシフィスタはどこだ? おれはメンテナンスでやってきたんだ」

「あちらです。案内しますねー」

 

 No.5はドクターと呼ばれた男と共にパシフィスタの元まで案内する。

 

「私も……失礼します」

 

 小さく呟いて国土亜耶と呼ばれた少女も姫路城へと入っていく。

 

「……援軍、という訳でも無かったようですね」

 

 No.3もまた、らしくない敬語で対応する。正直なところ今来た三人は束でかかってきたとしてもNo.3の足元にも及ばない。

 藤森水都の護送の為に呼ばれたのだとしたら役不足だ。

 

「まあそう言ってくれるな。小娘の仲間が取り返しに来る確率はゼロに近いだろうが、我々を襲うのはバーテックスの可能性もある。一応の用心というやつだ。……もしもの時のための"最終手段"も用意してるしな」

 

 不敵な笑みを浮かべながら神官長の男はズボンのポケットに入れていた金色のスマートフォンを取り出す。

 

「じゃあ早速見に行こうか。"憐れな生け贄(人類の希望)さん"をよ……」

 

 そしてスマートフォンをまたポケットにしまい姫路城に入っていく――。

 

 

 

 

 

 

 ――雪花を追いかけていた高嶋友奈は彼女を見つけた。

 

「せっちゃん‼︎」

「……! 友奈」

 

 その声に気付いた雪花はこちらへ振り返るがすぐに視線をずらした。

 

「な……なにしにきたの?」

「もちろんっ、せっちゃんを迎えにだよ。一緒に帰ろっ」

 

 友奈は笑って手を差し出すが、雪花はそれを取らず座り込んだ。

 

「……友奈」

「ん? なに?」

「……いつまでその仮面付けてるつもり?」

「あっ! ……もう早く言ってよぉ」

「にゃはは……」

 

 少しだけ恥ずかしさで頬を染め、友奈は仮面を外してポケットに仕舞う。

 

 雪花は北の方角を向いたまま暫く動かなかった。

 その方角の彼方には故郷がある。

 

「……友奈、私はね。今までずっと一人で生きてきたんだ」

 

 雪花は自分の過去を友奈にポツポツと話し始めた。

 

「最初は能力者(勇者)になってバーテックスと戦ってみんなを守ってたけど、ある時にうんざりするような事があってさ……。地元の人たちの寒さにあてられて、防人に乗っ取られて……で、一人で生きていくようになった」

 

 歌野たちと出会う前、雪花の勇者としての役目は、周囲の人たちからの扱いや精神が擦り切れるような戦いの連続や防人の乱入により存在意義を失ってしまった。

 自分や周りに嫌気が差していたそんな中、歌野と水都と出会った。

 そして三人は共に進化体を討伐し、支配していた防人を撃退し、まだ見ぬ夢を追いかけて四国を目指した。

 

「私にとってはね、歌野と水都ちゃんはあそこから掬い上げてくれた恩人なんだよ。と同時に初めて一緒にいたいと本気で願った友達――仲間なんだよ」

 

 思い出をなぞっていくうちに自然と笑みがこぼれる。その雪花の言葉を友奈は静かに聞いていた。

 

一人(ぼっち)じゃなくチーム(みんな)で……。その幸福の始まりを教えてくれたのは他でもない……歌野と水都(あのふたり)なんだよ」

 

 だから怖かった。恐ろしかった。……その二人を失うことが。

 

 どうしようもない程に辛く、まるで心臓を冷たい手で握られているような感覚に苛まれる。

 

 その苦しみに喉を掻きむしり、もがきのたうち回りたくなる程に。

 

 ――それ程までに"仲間"と呼べる存在に焦がれていた。

 

「……楠ちゃんが、ホントは悪くないのだって分かってる。楠ちゃんも楠ちゃんなりに踏ん張ろうとしてたって事。水都ちゃんを、歌野を……私たちを助けようと一生懸命だって事、容易に想像出来た筈なのにね……」

 

 それを聞いて友奈は微笑んだ。

 

「せっちゃんは、大好きなんだね。ウタちゃんやみとちゃん。みんなのこと」

「うん……大好き。私は今いる仲間(みんな)が好き。そして……」

 

(そのみんなと出会わせてくれた……秋原雪花という少女の生き方を変えてくれた……歌野が大好き)

 

「わかるよ。せっちゃんはあの時、誰よりも先にウタちゃんを助けにいったんだよね? それに芽吹ちゃんと喧嘩しちゃったのも、一歩間違えたら二度と会えなくなると思ったからだよね?」

「うん……」

「二人の喧嘩は見てて辛かったけど……でもそれだけ不安だったんだよね? 私なんかよりせっちゃんの方がよっぽど辛かったよね? 大切……だったもんね」

「……ぅん……」

 

 雪花の返事が掠れて聞こえる。鼻をすする音や身体が震えているのが分かる。

 

 友奈は雪花の両手を力強く掴んで元気付ける。

 

「せっちゃん‼︎ まだせっちゃんの"大切なもの"は何ひとつ無くなってないよ! これからだよ‼︎ 私たちは諦めない。私たちはへこたれない! ……勇者(せっちゃん)は絶対に立ち上がれる」

 

 握ったその手を離さずにゆっくりと雪花を立ち上がらせる。

 

「芽吹ちゃんとちゃんと仲直りしようっ。私もついてってあげるから」

「友奈……」

 

 芽吹に落ち度が無い事など分かっている。やり場の無い怒りを、悲しみをぶつけてしまった彼女へ、時間が経てば経つほど罪悪感が増す。

 

 だから謝りたい。もう一度仲間になりたい。全員で歩き出すために。

 

(歌野や水都ちゃんの事で私どうかしてた。……謝って仲直りしなきゃね!)

 

 ――もう、ひとりは嫌だから。失いたくないと強く望むから。

 

「あの時はごめんね。"取ってつけたようなフォローは要らない"って言ったこと……」

「ううん。私は大丈夫だよ。……でも取ってつけてはないから、そこだけは分かってくれると嬉しいかな」

「んっ、にゃはは」

 

 目元に滲んでいた水滴を指で拭き取り、雪花は小さく笑う。

 

 そして雪花は友奈と手を繋ぎ、芽吹の歩いて行った方向へ走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 ――芽吹を探していた結城友奈は刀を手に素振りしている彼女を見つけて駆け出す。

 

「あっ、いたっ」

 

 芽吹がいた場所は先程杏たちと戦っていた場所。

 そこに置き去りにされていた刀を回収して鍛錬していたのだ。

 

「おーい、芽吹ちゃぁ――ぐぇっ」

 

 芽吹を目前に友奈は躓いて転んでしまう。それを芽吹は茫然と眺めているだけだった。

 

「結城友奈……」

「芽吹ちゃん、受け止めてよぉ」

「無茶言わないで」

 

 顔の土を払う友奈に手を差し出して引っ張り上げて立たせる。

 

「あっ。そう言えばよく分かったね。私が高嶋ちゃんじゃないって」

「仮面してないから」

「あっ! そうだったね」

 

 愛想笑いで誤魔化す。それを芽吹は表情ひとつ変えずに見ていた。

 

「で? 何の用?」

「芽吹ちゃんを連れ戻しにっ。蓮華ちゃん怒ってたよ? 罰として腕立て千回、スクワット三千回、腹筋一万回やらされるかも」

「桁、おかしくない?」

「でも今から戻れば全部チャラになります。どう? 一緒に戻る気になったでしょっ!」

「……無理よ」

「えっ、どうして? 腕立て一万回やりたくなったの?」

「違うわよ。ってか腕立ては千回でしょ」

 

 軽い漫才のようなやり取りをしたが表情は依然変わらない。

 芽吹は神妙な顔付きになって南の方角を向いた。その方角には海を隔てて四国がある。

 

「私は……防人の隊長であると同時に白鳥(ホワイトスワン)農業組合(のうぎょうくみあい)のひとりでもある。……いや、勝手にそう思ってた」

「芽吹ちゃん……?」

 

 その目は少し寂しげに映っていた。

 

「……大体よく考えたらおかしいのは私よね。大社は白鳥農業組合(うたのたち)と敵対しているのに、防人の隊長が……あろうことかその人達と共にいるんだもの」

 

 歌野たちと共にいることであたかも"そう"錯覚させられていた。

 だが、仲間だと思ってたのはもしかすると自分だけだったのではないか。

 

「歌野は私を……顧客として受け入れてくれたけど、もし……あの時歌野が死んでたならもう私達の関係はそれまでだった」

 

 芽吹は歌野の意思を尊重してあの場を任せたが、あそこで歌野が死んだ場合、白鳥農業組合(このチーム)に芽吹の居場所はなくなる。

 今回のような仲違いがあって今後とも歌野たちが自分に同じように接してくれるかは分からない。

 

 歌野と芽吹の関係は農業家と顧客。言ってみればそれだけの関係。

 ならば客など別に芽吹でなくても良いのではないか、そんなネガティブな思考が頭から離れない。

 

「顧客なんて別に防人(わたし)じゃなくてもいい。だったらもう私なんて必要は……」

「違うよ芽吹ちゃん」

 

 友奈は芽吹を正面からまっすぐ見つめる。その目は揺れること無く芽吹を捉えて離さない。

 

「ほわいとぉ〜なんたらくみあいにはね」

白鳥(ホワイトスワン)農業組合(のうぎょうくみあい)

白鳥(ホワイトスワン)農業組合(のうぎょうくみあい)にはね、歌野ちゃんがいて水都ちゃんがいて、蓮華ちゃんがいて、せっちゃんがいて高嶋ちゃんがいて、芽吹ちゃんがいて……。そのみんなで楽しみながら精一杯四国を目指して頑張るチームだよね?」

 

 友奈は指折りながらメンバーの名前を挙げていく。

 

「防人だとか何とかってのは関係なく、全員揃って白鳥(ホワイトスワン)農業組合(のうぎょうくみあい)なんだよ」

「で、でも、私は、これからどうしたら……」

「芽吹ちゃんはいつもどおりにみんなと一緒にいればいいんだよ。……芽吹ちゃんの"ここ"はなんて言ってるかな?」

 

 友奈は自身の左胸に人差し指をトントンとあてる。

 

(私は……)

 

 歌野たちといるのが柄にもなく楽しかった。きっと防人の隊長になった頃の芽吹から見たら見違えるようになっただろう。

 雪花と言い争いになってしまったが、その結果こんなに胸が苦しくなるとは思わなかった。

 

 ――戻りたい。

 ――仲直りしたい。

 

 もし……四国の内側だとか外側だとか関係なく、防人だろうと関係なく……芽吹の望みを口にして良いのならば…………。

 

「私……は、みんなと一緒に居たい……わよ」

 

 それを聞いた友奈は満面の笑みを浮かべ、芽吹の手を掴んで自身の胸の前まで引っ張る。

 

「だったらもう答えは出てるよ。みんなと居ればいい! 戻ってせっちゃんとよくお話しして仲直りしよ? きっと芽吹ちゃんと喧嘩しちゃって寂しいって思ってるから!」

 

 手を引いて芽吹と歩き出す。

 

「じゃあ帰ろっかっ!」

「……うん……」

 

 芽吹は頬を染め、俯きながらそう口にした。

  

 

 ――と、その時。

 

 

おおおおいいッッ!!!

 

 雪花が少し離れた場所から大声で呼びかけてきた。

 

「……雪花?」

「あのさ‼︎ 実は一言だけ言ってない事があったから聞いて欲しいんだけどッ!」

 

 すうぅ……と大きく息を吸い込んで、大声で自らの思いを吐き出す。

 

ごめ"ーーーん!!!

「――ッ‼︎」

「酷い事言ってごべええん‼︎ 私が悪かったあーーッ!」

 

 大声の謝罪に芽吹は目を丸くする。

 

「今更みっともないんだけどさあ! ……仲間面すんなとか、他にも散々酷い事言っちゃったけどさあ! ……アレ……取り消してもらう訳にはいかないかなあ……‼︎ 駄目かなあ……虫が良すぎるかなあ……!」

「雪花……!」

 

 大粒の涙をポロポロと零しながら、しゃがれた声になりながらも、雪花は叫び続ける。

 

おねがああい‼︎ もう一度ッッ‼︎ 私たちと一緒に居てえええ!!!

「…………」

 

 芽吹は無言で雪花の元まで歩くと、倒れ込むように雪花に身を預けた。

 

「わあっ……。あれ⁉︎ えっと、大丈夫⁉︎」

「本当よ……っ。……反省しなさい。私……あの言葉っ……結構心にきたんだから……」

 

 雪花の胸元に額をつけたまま、小さく呟く。

 

「……あっ。うん……ごべん。ホントに……ごめ"ぇん…………"芽吹"」

「……!」

 

 それを聞いた芽吹はもたれかかっていた身体を離れて笑った。

 

()()()()名前で呼んでくれたわね」

「え? …………あっ!」

 

 そう言われて雪花は思い出す。

 

 

『――じゃあ私は"楠ちゃん"でいいやー』

『……"でいい"が少し鼻に付くけどまぁ良いわ』

 

 確か、京都支部に向かおうとしていた時だっただろうか。そんな事を言っていたような気がする。

 

「芽吹、でいいわよ。私も雪花って呼び捨てで呼んでるから」

 

 たかが名前で呼び合うだけ。

 しかしそれだけなのに何故か、ようやくお互いにお互いを認め合えたような気がした。

 

「ふふははっ」

「にゃはは」

 

 雪花は泣きながらもニッコリと笑った。

 

「帰ろっか。……歌野の元へ」

「うん。……てゆーか、なんで友奈たちも泣いてんの?」

「う、嬉しぐでぇ……。仲直りして良かったよ"ぉ……」

「世話かけたね」

 

 こうして四人は蓮華と歌野の元へ歩いて戻る。

 

 歌野が目を覚ましたのはそれから少し経ったあとのことだった。

 




ウソップが一味に戻るのはエニエスロビーの戦いが終わった後だけど、雪花と芽吹の喧嘩はすぐ終わりました。
早く仲直りさせたかったのです。このままじゃ辛いので。
そしてお待たせしました。白鳥さん復活です。


次回 水都の夢
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