弘と夜嵐がヴィランを倒し中央広場へ向かっている頃…
相澤の放った捕縛布を躱し、その病的に痩せ細った肉体からは想像も出来ない程の優れた身体能力を発揮して、死柄木が猛然と迫る。
だが、ヒーローは一芸だけじゃ務まらないと宣言しただけあって、自身の武器を躱されただけでは相澤は怯まない。
「(本命か!)」
自身に迫る死柄木を本命だと予測した相澤は、彼に放った捕縛布を自身の元へと引き寄せながら、それを遥かに凌ぐ速度で肉薄し、彼の鳩尾に肘打ちを叩き込んだ。
――いや、正確には叩き込めていなかった。鳩尾に命中する寸前、死柄木の手が相澤の肘を鷲掴みにしていた。
やはりそう簡単にはいかないか、と相澤が忌々しげに口元を固く閉じる。それと同時に、相澤の天を衝くように逆立っていた髪が垂れ下がった。
それを見た死柄木は、してやったりとばかりに不敵な笑みを浮かべて相澤の耳元に囁く。
「動き回っているから分かりづらいが……必ず髪が垂れ下がるタイミングがあるな。1アクション終えるごとにそれが巡ってくる。これってさ、"個性"が解けてる証拠だろ?しかも、その間隔はだんだん短くなっている」
短時間で"抹消"が解けるタイミングを把握し、ドライアイであるが故に目が渇き、"個性"を維持出来る時間がみるみる短くなっていくことまで見抜いた観察力。その凄まじさに相澤は息を呑んだ。その気分はさながら、最初こそ無双を繰り広げていたが、体力の消耗でみるみる弱点を露出させてしまう老兵のようだった。
さて。死柄木の発言通り、相澤の髪が逆立つのは"抹消"を発動した合図。反対に、垂れ下がれば効果が切れた合図だ。"個性"を消されていたのは、死柄木も例外ではない。
相澤の"個性"の効果が切れたのならどうなるか。答えは単純。
――死柄木の"個性"が発動した。死柄木が触れている相澤の肘。そこが風化した石のように変色していき、亀裂が生じる。
「無理をするなよ、イレイザーヘッド」
ボロッ
死柄木が社会への憎しみに満ちた目を見開きながら言ったと同時に、相澤のコスチュームである黒い服諸共、肘が崩れ去ってしまった。
「(肘が崩れたッ!?)」
普段は皮膚に覆われているはずの肉が露出して空気に晒され、痛みが生じる。それと同時に悪寒を感じ、相澤は死柄木を咄嗟に負傷していない方の腕で殴りつけて後退した。
負傷したのは片腕。足も無事だし、もう片方の腕も無事だ。まだ戦うことは可能だが、相澤は後退を選んだ。
「あのまま触れられていれば、確実にヤバい」と本能が警鐘を鳴らしていたからだ。
殴られて地面を転がった死柄木は、体の痛みを訴えながらも起き上がり……またもや不敵に笑った。
相澤は疑問符を浮かべ、不敵に笑う死柄木を警戒しつつも、周りに集まってくる敵達を蹴散らす。そして、彼を囲う敵が悉く打ち倒されたところで、死柄木は口を開いた。
「ところでヒーロー、残念なお知らせだ。本命は俺じゃない」
「っ⁉︎」ゾクッ
その言葉を聞くと同時に身の毛がよだつ。死柄木の手で肘が崩れた時以上の悪寒が相澤を襲う。……咄嗟に振り返った時には遅かった。
視線の先には、オールマイト並みの体格をした藍色の肌の何か。その死んだ魚のような目がぎょろりと相澤に狙いをつけ――USJのセントラル広場に鮮血が舞った。
セントラル広場に着いた弘と夜嵐はとんでもない光景を見た
「あ、相澤先生⁉︎」
「まだ脳無がいたのか⁉︎」
ゴキゴキゴキ!
「ぐぁぁぁ⁉︎(個性は消した!これがこいつ自体のパワーか⁉︎)」
「今助ける!」
弘は小指と中指を折りその他の指は立てて
「はぁ‼︎」
ズドォォォン‼︎
エネルギー弾を放ち相澤を掴んでいる脳無の腕を消しとばした
「夜嵐!今のうちに相澤先生を‼︎」
「任せろッス!」
弘が脳無の腕を消しとばした瞬間夜嵐が個性で加速して相澤先生を抱えて脳無から離れた
「すまんな…煉極に夜嵐。かなりやばかった」
「俺が渡した豆はあるか?」
「ああ、使ってないからな」
「それを食え。体力と怪我を回復する」
「分かった」
パクッ
相澤は仙豆を食べた。すると相澤の怪我があっという間に治った
「凄いな…体力も回復した」
「此奴の相手は俺と夜嵐でする…13号先生にも食べさせてくれ。黒霧の奴に自身の個性を利用されて重症になったからな」
「生徒に戦わせる訳にはいかないが仕方がないか…そいつは個性を消したがパワーが桁外れだ。おそらくそいつが元々持つちからだろう」
「情報提供感謝する」
「13号先生の事をお願いするッス!」
「ああ、気よつけろよ」
相澤は弘からもう一つの豆を受け取り戦線を離脱して13号の元へ向かった
「なんだ?お前ら…脳無やれ」
手だらけに命令されて脳無が殴りかかった
「だらぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
すかさず弘が拳を繰り出して脳無の拳とぶつけた
ドゴォォォォォォン‼︎
「拳が甘すぎるな‼︎夜嵐!」
「任せろッス!谷風ぇぇぇぇ‼︎」
弘は脳無の拳と自身の拳をぶつけたがなんともなく夜嵐が個性を使い脳無を吹き飛ばし
「だあぁぁぁぁ‼︎」
「おらぁぁぁぁぁ‼︎」
ドゴォ‼︎
ダブルキックをしたが
「全く効いてないな…」
「そうッスね」
弘と夜嵐のダブルキックを受けても脳無はぴんぴんしていた
「そいつはショック吸収があるからいくら攻撃したって無駄さ」
「(要するにサンドバッグだな)」
「(厄介ッスね)」
その時黒霧が現れ13号は行動不能にしたが生徒を一人逃した事を伝えた。それを聞いた死柄木はイラついて"ゲームオーバーだから帰ろう"と言い出した
「("ゲームオーバー⁉︎")
「(此奴は遊び感覚で人を殺そうとしたのか⁉︎)てめぇらだけは絶対に許さねえ‼︎」
「やってみろよ!脳無あのガキを殺せ‼︎」
「やるぞ夜嵐‼︎」
「おうッス!」
再び弘と夜嵐は脳無と戦闘を開始した
「だらららららららららららららら‼︎」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
ドガガガガガガガガガガガガガ‼︎
再び弘と夜嵐はラッシュをして
「喰らいやがれ!ギャリック砲ッ!」
「空裂……気弾ッ!」
弘が最大限に高めたエネルギーが、突き出した両掌から放出された。更に、それに追従する形で、夜嵐が風を操りながら放った大量の空気圧が一斉発射される。
紫色に輝く凄絶な砲撃と弾丸のように速く強靭な空気圧は、容易く脳無に炸裂し、その上半身を消し飛ばした。ギャリック砲は、加減なく放てば、地球も破壊させられる程の威力を持つ十八番なのだ。いくら相手がオールマイト対策の殺人兵器とは言えど、簡単に耐えられては困る。
だが……。
「な、なんて野郎だ!見ろ、煉極!彼奴再生してるっス!」
夜嵐が冷や汗を垂らしながら放った叫びに、弘は目を見開いた。
脳無の下半身から筋繊維のようなものが伸びていき、その筋骨隆々の肉体を生成する。そして、その筋肉を再び藍色の皮膚で覆い隠すことで傷一つない脳無が復活してしまったではないか。
「再生持ちか、くそったれめ……!」
魔人ブウやセルを彷彿とさせるその再生能力に弘はうんざりとしつつ、密かに舌打ちした。
「その通り!もう一つの個性は超再生‼︎対オールマイト用に作られた脳無さ‼︎」
ファイナルフラッシュでセルに一泡吹かせたはずが、「なんちゃって」の一言で一蹴され、呆気なく再生された過去を思い出した弘の気分は余計に最悪だ。
「なら、奥の手を見せてやる!はあああああっ……!!!」
ゴゴゴゴゴ…
「ちゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
ドォォォォォォォン
シュィンシュィンシュィンシュィン
パリ、パリパリ
霧散していた黄金のオーラが、再び弘の肉体を覆い尽くす。超サイヤ人の更に先の領域に至ったことで肉体に纏われた稲妻が、更に激しく迸る。地面と大気が恐れ慄くかのように震撼する。
「夜嵐…最大で個性を使え。俺が得意とする必殺技を放つ」
「任せろっス!烈風‼︎」
夜嵐は最大の風で脳無を空高く吹き飛ばした
突き出された弘の両手に、彼が最大限に高めた気が一点に集中した。後は全てを放つのみ。
「くたばれぇ!!ファイナル……フラァァァァァッシュ!!!!!」
戦いに終止符を打つ黄金の閃光。それが放たれた瞬間に、USJの辺り一帯を眩い光が覆い尽くす。
閃光は、狙いを定めた脳無に向けて一直線に突き進む。そして、天井付近のガラスを突き破って空の遙か彼方目掛けて、脳無の肉体を押し出して吹き飛ばした。脳無は呆気なく弘に敗北し、空の彼方に消えていってしまった。きっと、脳無を見つけることすらままならないだろう。
「死柄木!脳無がやられました‼︎」
「そんな…脳無が」
「これでお前の切り札は無い。大人しくするッス‼︎」
「ヴィラン連合… 俺様を舐めんじゃねぇ‼︎」
弘は威圧しながら死柄木達を睨んだ
「帰るぞ黒霧‼︎」
「分かりました」
黒霧はワープゲートを開いた
「お前の顔は覚えたからな‼︎」
そう吐き捨てた死柄木はワープゲートに消えていった
「終わったか…」
「そうみたいッスね」
USJ事件は幕を閉じた