秘伝書クン   作:jejjsuususuwu

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来週、日ノ神がイナイレの最新情報を発表してくれると思うので投稿します。
イナイレ最新作の発売日を教えてくれ! 日ノ神! 


改変その②

「木戸川清修から来ました。よろしく」

 

 無愛想に彼は言った。退屈そうな瞳をしたまま。

 

「ああ! お前は昨日!」

 

 頭にオレンジのバンダナを巻いた少年、円堂守が思わず声を出す。

 

「なんだ円堂知り合いか?」

 

「あっ、いや、知り合いってほどじゃないんですけど」

 

「まぁ座りなさい」

 

 担任の教師に言われて椅子に座る。

 ホームルームが終わると円堂は転校生、豪炎寺修也に話しかける。

 

「昨日はありがとう。すっげぇシュート打つよな! 木戸川清修って言えばサッカーの名門だろ? なんで雷門に来たんだ。 あっそうだ、部活何にするか決めた? あんなにすっげぇシュート打つんだからもちろんサッカー部だよな!」

 

 円堂からの質問攻めに豪炎寺修也はため息を吐く。

 

「俺はサッカーを辞めたんだ。サッカー部に入るつもりはない。俺に関わらないでくれ」

 

 吐き捨てるように豪炎寺は言って教室を出ようとする。

 円堂が豪炎寺を呼び止めようとしたとき、サッカー部の仲間である半田真一が円堂に声をかけた。彼の表情はどこかくらい。

 

「どうしたんだ半田」

 

「冬海先生が校長室まで来いってさ。お前と風村の二人で」

 

「校長室? 風村と二人で?」

 

「なぁ円堂、俺、嫌な感じがするんだ。最近サッカー部が廃部になるて噂もあるし」

 

「廃部だって!?」

 

「そ、そういう噂が流れているだ。なんでも理事長代理がサッカー部の()()を見過ごせないとかで」

 

「廃部になんてさせるもんか! よし、風村、校長室までいくぞ!」

 

 窓際の席の最も後ろで眠りこけているサッカー部の副キャプテン、風村颯太に円堂は言う。円堂の声が耳に入らないのかずっと眠っている。そんな様子に円堂も顔を真っ赤にして風村の側にやってくる。大きく息を吸い込み放つ。

 

「おきろ! 風村!」

 

 教室が震えた。

 

 

 

 ☆☆☆

 

「痛ってぇ、何も耳もとであんなデカい声出すなよ。耳がキンキンする」

 

「風村がずっと眠っているからだろ。廃部の危機だっていうのに」

 

 二人は校長室の扉の前で止まり、扉をノックする。

 中から入りなさい、と言われ中に入る。部屋の中には校長と顧問の冬海、そして理事長の娘雷門夏未の三人がいる。

 

「あ、あの話ってなんですか?」

 

 緊張とは無縁な性格をしている円堂だが、校長室で校長と話すのは緊張するらしい。

 

「ええ、突然ですが一週間後、久しぶりに練習試合をすることになりました」

 

 サッカー部顧問、冬海先生が言った。

 その言葉に円堂は面食らう。

 

「試合! やれるんですか!」

 

 喜色を浮かべて円堂が喜ぶのにはわけがある。サッカー部が四十年ぶりに復活して一年経つが他校と練習試合をしたことはなく、一年間ずっと基礎練習と簡単なミニゲームしかやれていない。他校と練習試合を行うのは初めてのことである。

 はしゃぐ円堂に冬海先生は練習校の名前を告げる。

 

「相手はあの帝国学園です。試合日は今日から一週間後」

 

「帝国!? あの四十年間無敗の!?」

 

 円堂が驚くのも無理はない。相手は四十年間無敗の王者帝国学園。かたや自分たちは11人揃っているものの公式試合に全く出場していない無名チームだ。何故帝国が雷門と練習試合をするのか理解できなかった。

 

「日本一のチームがなぜうちに? 最強のサッカーチームとの試合は嬉しいんですけど」

 

「帝国との練習試合は決定事項よ。円堂守くん」

 

 これまで沈黙していた雷門夏未が円堂に告げる。

 

「あと、帝国との試合で負ければサッカー部は廃部。そして廃部となれば今後一切サッカー部の創設を認めません。そしてサッカー部副キャプテン風村颯太を退学処分とします」

 

「何だよそれ、廃部はともかく、風村を退学させるなんて!」

 

「これは理事長と校長先生による決定でもあるの。あんな掘っ立て小屋の弱小クラブにまわす予算なんてないし、何より彼を雷門中でこれ以上飼うなんてことできないわ」

 

「なに!」

 

「そもそも貴方たちが、特に風村くんが私たちにどれだけの迷惑をかけているかご存知なくて」

 

「一体いつ迷惑かけたっていうんだよ!」

 

 雷門夏未はスカートのポケットから一冊のメモを取り出し、パラパラとページをめくる。軽く咳ばらいしてメモに記録されている事を読み上げる。

 

「昨年4月15日、サッカー部副キャプテン風村颯太は深夜職員室に忍び込み、ある生徒の入部届を改ざん。それを発見した用務員の古株さんから逃走し、西校舎の鍵を破壊し、侵入。一階理科室に潜伏するが古株さんに見つかり逃走する。その際、危険薬品が保管されていた棚を倒し、爆破。その影響で火災が発生し、西校舎の一階は半分ほど焼け落ちました」

 

「えっ」

 

「まだあります。昨年7月10日、サッカー部副キャプテン風村颯太は授業をサボり、プールに侵入。サッカーボールを合計百個ほど持ち込みプールに向けてボールを蹴る等の奇行に及ぶ。その結果プールの一部が破損し3ヶ月にわたって改修工事が必要となる」

 

「か、風村がそんなことするんだからなにか理由が」 

 

「当の本人は「サッカー部を強くするため」という意味不明な供述をしているわ」

 

「…………」

 

「まだお聞きになるかしら? 冬になるとボヤ騒ぎで消防と救急が駆けつけて来るなんてザラよ」

 

「いや、もういいです」

 

「あら、そう? ちなみにこのメモ帳は3冊目よ。

 わかったかしら、彼がどれだけ私達に迷惑をかけているか」

 

 雷門の言葉に顔を青くする円堂。そんな事件を起こしてたのか、と風村に視線を送る。当の本人は円堂の視線から逃げるように顔を背けている。

 

「色々ご迷惑かけてすいませんでした。風村もきっと反省してると思います」

 

「……その謝罪が口だけじゃないってことを証明してご覧なさい。そうすればサッカー部は廃部を免れ、風村くんの退学も無しよ。せいぜい頑張りなさい。あと退室して結構よ」

 

 円堂と風村が退室し、冬海も業務を理由に退室した。

 

「……あれで本当に良かったのですか。 本来なら風村くんはとっくの昔に退学を言い渡されているはずです。それを理事長が揉み消し、彼のことは不問にしてきました。なぜ今になって彼を退学にするのです?」

 

 その問いに雷門夏未は答える。

 

「『彼を試せ』理事長からのお言葉です」

 

 雷門夏未からの回答に校長は納得してはいなかった。だが、理事長からの言葉なら仕方がない、と割り切った。

 

 ☆☆☆

 

「というわけで一週間後、帝国学園と練習試合をすることになった」

 

 サッカー部の部室にて事の顛末を9人のチームメイトに伝える。

 それを聞いた反応は怯える者、ぶっ倒してやる、と意気込む者、戦略を考える者、様々である。

 

「にしても試合に負ければサッカー部は廃部、風村は退学かぁ。というかお前、よく今まで退学にならなかったな」

 

 雷門イレブン、MF半田真一が呟く。

 

「叔父さんのおかげ。あの人が居なきゃ入学二週間で退学&少年院送りだったろうな」

 

「ところで、豪炎寺くんはどうするのです?」

 

 雷門イレブンの戦術、戦略、情報戦を担当する目金欠流(めがねかける)がチームのキャプテンに質問する。

 

「目金知ってたのか、豪炎寺が雷門に転校してること」

 

「当たり前ですよ。ぼくはなんて言ったて雷門の頭脳! 

 チームを勝利に導くのがぼくの役割ですから」

 

「豪炎寺? 『炎のエースストライカー』豪炎寺修也のことか!?」

 

 目金と円堂の会話に雷門のエース、染岡竜吾が入る。彼の表情は驚いた、と云わんばかりである。

 

「ええ、そうです。彼は今、木戸川清修を離れ、この雷門中に転校しているのです。理由は不明ですが」

 

「すごいでヤンス! あの豪炎寺修也が雷門に居るなんて!」

 

「ああ! あの人がサッカー部に入れば絶対帝国に勝てるぞ!」

 

「帝国に勝てばサッカー部は廃部にならず、風村さんも退学にならずに済みますよ!」

 

 豪炎寺がサッカー部に入れば帝国に勝てる。嬉しがる一年生たち。彼らに染岡竜吾は怒鳴る。

 

「ふざけんじゃねえ! 豪炎寺がいれば勝てるだと? なんで他所もんの力なんて借りないといけないんだ。 点なら俺や風村がとる。シュートは円堂がとめる。お前たちだって嫌だろ! 他所もんの力借りて勝つなんて」

 

 部室に染岡の声が響く。不満に思ったのは染岡だけではないらしく、半田や影野といったニ年生たちの表情を見て一年生たちは短慮だったと恥じた。

 そこに二人の生徒が部室に入ってきた。サッカー部マネージャー、木野秋(きのあき)小野冬花(おのふゆか)である。

 

「外まで声ダダ漏れよ。静かにしてないと久藤監督にまた怒られるわよ」

 

「ちょっと熱くなっちまっただけだ。悪かった」

 

「それで、一体何があったの?」

 

 木野の問に円堂が答える。

 

「練習試合が決まったんだ! 驚くなよ、相手はあの帝国学園だ!」

 

「てっ、帝国!? あの四十年無敗の!?」

 

 驚く木野。もうひとりのマネージャー小野冬花も声は出してはいないが驚いているのがわかる。

 そこに松野空助が追い打ちをかける。

 

「ちなみに、負けたらサッカー部は廃部。 風村は退学だってさ」

 

「はっ、廃部!? 風村くんが、退学!? ちょっと円堂くん、どういうこと!」

 

「い、いやあ負ければ廃部と風村が退学するけど負けなきゃいい話だし」

 

「そういうことじゃありません!」

 

 木野の剣幕に円堂はタジタジになる。その間を通り、風村の前にでる者が一人。小野冬花である。

 

「風村くん、前からわたし言ってたよね? 無茶してるといつか大変な目に合うって」

 

 小野の顔は笑顔だが目が笑っていなかった。

 マジギレである。

 

「叔父さんがいるから何とかなるって思ってて」

 

「言い訳しない。風村くんは叔父さんがいればなにしてもいい、そう思うっているの? だとしたら間違いだよ。 風村くんはこれからの人生ずっと叔父さんに頼っていくの? 家政婦のミタさんにお世話してもらうの? だとしたら風村くんの存在はなんなの? 穀潰し? ヒキニート? それともー」

 

「それ以上正論言うな!」

 

「自分が不利になると逃げるの? 自分が正しいと思うなら言い返せばいいじゃない」

 

「うるせえ! 俺だって叔父さんやミタさんに依存してることぐらいしってんの! だからそれ以上言うな!」

 

「依存? 寄生じゃなくて?」

 

「うわあァァァ!?」

 

「叫んでも問題は解決しないよ?」

 

 木野からのお説教にタジタジになる円堂と風村を正論で発狂させる小野。混沌的な空間を前に雷門イレブン全員が思うことはただ一つ。

 

「なにこれ?」

 

 松野の一言は全員の思いを表していた。

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 しばらくして見てられなくなった染岡とスッキリ顔の風丸が協力して木野と小野を宥めた。風村は染岡にラーメンでも奢ろうと思った。

 

 

「試合まであと一週間! 帝国に勝つぞ!」

 

 

「「「「「「「「「応ッ!」」」」」」」」」

 

 帝国との試合に勝つぞと意気込み、部員たちがそれに応える。そこに久藤監督が部室に入ってくる。

 

「帝国との試合まであと一週間。 それまで各々自分を磨く練習を行う。まず円堂お前はー」

 

 久藤監督は部員一人一人に指示を出す。能力、プレイスタイル、センスに適した練習メニューである。背番号順に指示が出される。そして最後に風村(99番)である。

 

「風村お前がこの試合の鍵だ。 帝国のゴールをこじ開けられるようにシュート、必殺技共に威力を上げろ。 以上だ。 練習を開始しろ」

 

 久藤監督は部員たちに指示を出し終えると部室から出ていく。帝国選手の情報を集めて戦略をたてるのだろう。

 

 雷門イレブンは一人を除いて練習を開始する。無敗の王者・帝国学園に勝つために。

 

 

 ☆☆☆

 

 雷門イレブンが帝国との試合に向けてグランドで練習をしている。 サッカー部が復活してから凡そ2年で試合に出場可能な人数になった。 しかし、彼らは中学サッカーの大舞台、FF(フットボールフロンティア)への出場権を持ってはいない。 その原因は風村にある。 彼がなにか問題を起こすたびに対処に追われている教師や経営陣(雷門親子)たちは破壊神(風村)が所属するサッカー部が試合という名の鍵を手にし、雷門の看板を背負って外に出る事を恐れている。 たった一年で学校を物理的、経済的に破壊する風村が外に出ればどうなるのか火を見るより明らかだ。 そのことが毎年の役割決めにも影響している。例えば風村の担任を決める方法は公平にくじで決めることになっている。 そうなったのも風村が起こした事件(理科室焼失、プール半壊、家庭科室爆破etc)風村が一年生だった時の担任は後処理に追われ身体を壊してしまい、週一で通院する生活を余儀なくされた。 誰も望んて通院生活をおくりたくはない。 だが風村の担任は必ず誰かがやらなければならない。 他の教員が助かるために担任(生贄)が必要なのだ。

 

『破壊神』そう渾名されている彼、風村颯太はそんなことは露知らず、ある生徒に声をかけた。

 

「キミ、豪炎寺修也くんだよね?」

 

 後から声をかけられた生徒、豪炎寺修也は振り返る。

 

「なんのようだ」

 

 興味が無さそうに言った。

 

「突然なんだけどサッカー部入らない?」

 

「……円堂と同じサッカー部の部員か。 あいつにも言ったが俺はサッカーを辞めたんだ。 俺をサッカーに誘うのは辞めてくれ。 そうあいつにもお前から伝えておいくれ」

 

「妹への贖罪のつもりか」

 

「何だと?」

 

 立ち去ろうたする豪炎寺に風村が彼の琴線に触れる発言をする。 妹を大事にしている彼にとっては無視できない言葉だ。

 

「だ~か~ら、妹への贖罪かって聞いてるんだ」

 

「……他人のお前には関係ないことだ」

 

「ふーん。 事故にあった妹への贖罪がサッカーをやめることか? 目覚めた妹さん、がっかりするぜ? 大好きな兄貴が自分の事故が原因でサッカーをやめたなんて知ったらきっとー」

 

「やめろ!!」

 

 豪炎寺の声には怒気が込められていた。 それもそうだろう。彼にとってもっとも触れられたくはない事を名前も知らぬ他人に指摘されたのだ。誰だって頭にくるだろう。 そんなことは折り込み済みなのだろう、風村は話を続けた。

 

「一週間後、帝国と練習試合するんだ」

 

「!……帝国だと?」

 

「そう。 帝国と。 去年きみが決勝で戦うはずだった帝国学園とだ」

 

「……何が言いたい」

 

「さっきも言ったろ? サッカー部に入らないかって。それが俺の言いたいこと。 で、どうする? サッカー部入るの、入らないの?」

 

「……さっきも言ったろ、サッカーに誘うなって。それが答えだ」

 

 そう言って豪炎寺修也は立ち去った。

 

「あいつが悲しむことぐらい俺が一番知っている」

 

 そう呟いて。

 

 

 ☆☆☆

 

 豪炎寺修也が立ち去り、風村は思う。成功だ、と。

 強引だったが、これで豪炎寺修也はサッカーに対し向き合うことになった。(本人がすごく悩むことになるが)あとは彼がサッカーをやりたいと思わせる試合を帝国とすればいい。そうすれば豪炎寺修也の中にあるサッカーへの思いが彼を動かすはずだ。だが、もし豪炎寺修也が完全にサッカーを捨てる(試合に現れなければ)ということがあれば……

 

「豪炎寺は捨てるか」

 

たったそれだけだ。 未来は何も変わらない。

 

 

 

一週間が経過し、ついに帝国との試合が始まる。

 

帝国は知らない。

 

弱小だと思っていたチームが自分たちを脅かす牙を持っていることを。そしてそれを研いでいることを。

 

帝国は未だ敗北を知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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