ガンダムビルドダイバーズ フォローアップ 作:ミートソースカブトムシ
最近ガンダムビルドダイバーズという作品に出会い、これの二次創作を書きたい!と思い、この小説を投稿しました。
ガンダムは好きですがまともに見た事があるのは映像作品だけで、ガンダムUC、ガンダムNT、鉄血のオルフェンズ、閃光のハサウェイ、ビルドファイターズ、ビルドファイターズトライを見ています。
それではお楽しみください。
ある日の事、買い物から帰ってきた少年、ヒノ・カズキはテーブルの上に気になるものを見つけた。
「兄さん、なにこれ」
テーブルの上にあるロボットのプラモデルを指差し、兄であるヒノ・カナトに聞く。
「これか?これは機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズに登場する。ガンダムバルバトスってMSだよ」
「兄さんが最近ハマってるアニメのやつか」
「友達に誘われて作ったんだよ。ちょうどアニメも見てたしな……そうだ!今度GBN…ガンプラバトル・ネクサスオンラインってやつやってみようと思うんだが、カズキもどうだ?
自分の作ったガンプラを操作して戦ったりすゲームなんだってよ」
突然の誘いに、少し思考を巡らせる。
GBN自体は俺でも聞いた事がある、クラスでも流行ってるゲームであり、嫌でも耳に入るのだ。
しかし、ゲームは好きだが、ガンダムという作品には興味を持っていないカズキからすれば、あまり魅力的な誘いでは無かった。
「俺はいいや、ガンダムってのもよく分かんないし」
「そうか……ダイバーギア、2つ用意したんだどな…」
「俺がやるか分からないのによく2つ用意したね」
見るからに落ち込んでいると思っていたら、いきなりパッと顔を上げた。
「まぁいいさ、やりたくなったらすぐ俺に言ってくれ!アカウントはもう用意してあるからな!」
既にそこまでしてあるという事を知り、断った事に若干罪悪感を覚えるが、兄さんはそこまで気にしてなさそうなのでいいだろうという事で解決した。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢
「……夢か」
懐かしい夢から目覚め、時計を確認する。
時刻は午前6時半、ちょうどいい時間に起きたカズキは身支度を済ませた。
両親は仕事であまり家におらず、家事全般は今ではカズキが行っている。
昔は兄のカナトと一緒に、不慣れながらも協力し合っていたことを思い出す。
朝食を食べ終え、登校の準備をする。
「いってきます」
誰もいない家に向かって一言告げると、玄関の鍵を閉めて学校へ向かった。
天気は晴れ、気温は高いが風は涼しい日だ。
色を無くした世界を歩く。
世界が色を無くした日から、新しいことをやるのが怖くなった。
何を怖がっているのか自分でも分からない。
新しいことをやろうとすると、心のどこかがうるさくなってやめてしまう。
そんな事を考えているうちに、学校に着いていた。
教室に入ると、いつも通り賑やかな声が聞こえてくる。
今日も特に何も無い平凡な一日が始まると思いながら席に着いた時だった。
「おはよう!」
クラスメイトの少女、ヤナギノ・ワカナだった。
「おはようヤナギノさん」
「ねぇねぇ、昨日の返事はもう決まった?」
「あー…」
昨日の返事とは、GBNを一緒にやらないかという誘いのことだ。
(だから兄さんがGBNに誘ってくれた時の夢を見たのかな)
ワカナが目を輝かせながらこちらを見ている。
どうやら断られるという可能性を考えていないらしい。
「ごめん、やっぱりまだ決められないや」
「そっか……じゃあ、今日の放課後空いてる?私とデパート行かない?」
「えっ」
予想外の言葉に困惑する。
「ほら、ガンプラ見たら考えも決まるかもしれないし!近くのデパートにもガンプラは売ってるよ!」
「いや、その…」
「それじゃ、約束ね!」
何も言っていないのに約束を取り付けられてしまった。
結局断りきれなかったが、元々予定は無かったので支障は無い。
帰りのホームルームが終わり、ワカナから話しかけられた。
「カズキ、ちゃんと覚えてる?デパート行くこと覚えてる?」
「覚えてるから落ち着いて」
「良かった〜……じゃあ早速行こっか!」
腕を引っ張られ、強制的に連れていかれる。
周りの視線を感じる中、カズキは半ば諦めた状態でワカナについていった。
しばらくするとデパートが見えてくる。
「よし、着いたね」
「……」
2階にあるプラモデルコーナーに向かう。
そこに着くと、ワカナがガンプラを見始める。
ただ立っているのも暇なので、カズキもガンプラを見てみる事にした。
「り…じーぜっと?」
「それはリ・ガズィって読むんだよ」
「よく読めるね」
「ふふん」
ドヤ顔をしている。
そんな和奏を尻目に、他のガンプラに目をやる。
すると、とても目を惹かれたガンプラを見つけた。
「…バルバトス」
兄さんが作っていたガンプラだった。
しかし、兄さんが作っていた バルバトス以外にも、ルプス、ルプスレクスという名前がついたバルバトスもあった。
カズキは自分でも気づかないうちにバルバトスルプスの箱を手に取っていた。
「それ気に入ったの?」
「へっ?」
後ろからワカナに話しかけられ、間抜けな声を出してしまった。
「いや、ただ見ていただけなんだけど…」
「バルバトスルプスか、ならこれとこれも買った方がいいよ」
どうやら聞いてないようだ。
ワカナが出した物は、MSオプションセット5とMSオプションセット6という物だった。
バルバトスルプスに取り付けられる武装と平手、握り拳のパーツがあるらしい。
「それで、GBNやるかは決まった?」
ワカナがそんな事を聞いてくる。
その目はやはり期待に満ちていて、こちらが断れば瓦解するものだと分かる。
その期待を壊すのは気が引けた。
「…やってみるよ、合わなかったらやめるけど」
「やった!」
嬉しそうにワカナがガッツポーズをする。
「1人で始めるのはちょっと心細かったんだよね〜」
ワカナはガッツポーズから転じて胸を撫で下ろした。
「それじゃ、これ買って帰ろうか」
「そうだね」
会計を済ませ、2人は帰路についた。
家に着き、部屋に戻ってバルバトスルプスの箱を開ける。
しかし、ニッパーなどの工具が無いことを思い出した。
「兄さんの部屋ならあるかな」
部屋を出て、カナトの部屋のドアノブに手をかける。
ここに入るのは久しぶりだ。
少し緊張しながら扉を開けた。
「変わってないな」
部屋の中を見渡すと、昔と変わらず散らかっている。
本棚にはガンプラ関連の雑誌があり、机の上には完成済みのガンプラが飾られている。
その光景を見ると、何故か安心感を覚えた。
机の引き出しを開けると、案の定、ニッパーなどの道具1式があった。
「兄さん、借りるよ」
必要な物を手に取った後自室に戻り、バルバトスを組み立て始めた。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢
完成させたバルバトスルプスをダイバーギアに乗せる。
ダイバーギアはカナトの部屋を探したらすぐに見つけられた。
アカウントは既にカナトが作っており、パスワードやIDが書かれた付箋がダイバーギアに貼り付けられていた。
若干不用心な気もするが、今回はそれに助けられたのでよしとしよう。
「…またこれか」
また、どこかがうるさい。
何か新しいことをやろうとするといつもこうだ。
それを無視してGBNにログインすると、多種多様なアバターが闊歩するロビーという場所に出た。
「ヤナギノさんは…どれ?」
アバターの特徴を聞いておけば良かったと後悔する。
「カズキ?」
突然話しかけられた。
振り返ると、そこにはリアルの黒髪とは違い、藍色の髪をしたワカナが立っていた。
「ヤナギノさんだよね?」
「そだよ」
最初はどうなるかと思ったが、すぐに合流できた事に少し安心した。
「うん、カズキはリアルの姿をそのまま引っ張てきた感じだね」
「ヤナギノさんも髪色以外はそのままだと思うけど」
「あっ、ここではワカナって呼んでよ。多分他の人とも話す時、ダイバーネームと違うと分かりにくいだろうから」
「分かったよヤ…ワカナさん」
そうは言われても、身についた癖が抜けるのはもっと先のようだ。
「よし!チュートリアルミッション受けに行こう!」
ワカナに手を引かれる。
ミッションカウンターに付くと、手際良くワカナがミッションを受けていた。
「なんかスムーズだね」
「ネットで予習したんだよ」
どうやら、このGBNをプレイするにあたって、事前に攻略サイトなどで情報を仕入れていたらしい。
「格納庫に行こっか」
ウィンドウを開き、格納庫へと移動する。
そこにはカズキの作ったバルバトスルプスと、左右非対称の形をした赤と白のガンプラが立っていた。
「おぉ!でっかくなってるよ!私達よりでっかくなってる!!」
「すごいな…」
先日作ったバルバトスが、自分よりも大きくなり目の前にある。
「これが兄さんの見た景色か」
ふと、もっと見たいと思った。
兄の、カナトの見てきたGBNをもっと見てみたい。
そんな思いが芽生えた。
『カズキー、早く行こうよー』
どうやら和奏の準備は終わったらしい。
カタパルトに移動する。
『ワカナ、ダブルオークアンタエクスティンクション出ます!』
やけに長くて物騒な名前の機体が出撃した。
「ガンダムバルバトスルプス、出ます」
カズキも、自分の機体と共に出撃する。
ミッションは至極簡単だった。
初心者でも簡単に倒せるような敵ばかりが出現する。
『相手は3機だね。私が全滅させちゃいますか!ってあれー?』
「…ごめん」
カズキが既に敵の一機をソードメイスで潰していた。
『い、いつの間に…』
「なんとなく、体が動いてた」
バルバトスは手に馴染む。
よく動くし、一瞬自分の身体と勘違いしてしまうほどだ。
『私も負けてられないね』
ワカナがソードビットを展開する。
ソードビットが敵機目掛けて飛ぶ。
敵機も負けじとビームライフルで撃ち落とそうとするが、ソードビットはそのビームを尽く避ける。
『いっくぞぉー!!』
ソードビットが敵機の手足を切断する。
そこにクアンタが接近し、GNソードVを突き刺した。
「もう操作は慣れたな」
敵機へ腕部200mm砲で牽制しながら接近する。
ソードメイスを投げつけ、背部に装備したツインメイスを手に取った。
投擲したメイスが敵機に当たり、倒れた。
倒れた敵機を踏みつけ、両手にあるメイスを交互に叩きつける。
その一撃一撃に確かな重みを感じる。
「うん、やっぱりいい」
機体の動きが自分の思った通りに動いている。
まるで、バルバトスに直接繋がっているかのように…
「これで終わりだ」
最後に最大の力を込めてメイスを振り下ろした。
『ミッションクリア!お疲れ様』
「お疲れ様」
こうして、カズキとワカナのデビュー戦は終わった。
バルバトスを格納庫に戻した後、ロビーに戻る。
(見てて、兄さんにきっと追いつくから)
カナトの見たGBNを見てみたい。
その気持ちは変わっていなかった。
「今日は楽しかったよ。ありがとね」
横からワカナが声をかける
「こちらこそ楽しかった。…それと俺、GBN続けるよ」
「ほんと!?」
そう言うと、ワカナは心底嬉しそうなリアクションをしてくれた。
「じゃあ、フレンド登録しようよ」
「そうだね」
互いにフレンド申請を行い、承認した。
「これからよろしく。私のことは気軽にワカナって呼んでね!」
「分かったよ、ワカナさん」
「さんはいらないよ!」
「……分かったよ、ワカナ」
「うん!よろしくね、カズキ!」
その後、お互いに別れの挨拶を言いながらログアウトした。
その日、色を失った世界が色を取り戻した。
ヒノ・カズキ
とある出来事から人からの誘いや頼みをあまり断れない少年。
しかし、GBNへの誘いは例外であり、いつも有耶無耶にして誤魔化していた。
ヤナギノ・ワカナの若干強引な誘いに折れてGBNを始めた結果、兄であるヒノ・カナトの見てきたGBNを見てみたいと思い、GBNを続けることを決意した。
仕様ガンプラはガンダムバルバトスルプス。
ヤナギノ・ワカナ
元気旺盛な少女。
活発的な性格だが、それは憧れの人の真似をしているだけで本来の性格とは異なる物。
GBNを一人で始めるのは心細く感じていたためカズキをGBNに誘っていたが、心細いこととは違う理由も混ざっている。
使用ガンプラはダブルオークアンタエクスティンクション