遊戯王GXアフター幻魔を統べるもの〜金髪爆乳お姉さんハモンとショタの日常〜   作:kiakia

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第十四話 立ちはだかるせんせー 前編

 

 

 

 突然の騒動にシェルターに潜んだ生徒達は不安げに外の様子を伺っていた。突如発生した地震はやがて地鳴りとなり、アカデミア全体を揺らす振動へと変わる。そして遠くから聞こえてきた爆音と共に悲鳴と轟音が響き渡る。

 

 それが治ったとしても不安は拭えない。何よりも過去に様々な非現実的かつオカルト的な騒動に巻き込まれていたクロノス教諭は半ば半狂乱になりながら逃げ遅れた生徒を救おうと今にも飛び出そうとしている。

 

 

 そんな彼の元に逃げ遅れていた生徒の一人、白瀬美兎がたどり着く。初老の教師に大丈夫ナノーネ!?と全身をくまなくぽんぽんとボディチェックをされた際は気持ちは分かるものの思わず彼女も拳を纏いたくなってしまったが、コホンと咳払いをしながらこう言い放つ。

 

「あー、クロノスせんせー。なんかデッカいモリンフェン?みたいなモンスターがデュエルディスク片手にやってきたみたいでその衝撃でこうなっちゃったみたいっぽいです」

 

 慣れない敬語に舌を噛みそうに美兎。流石に無理があったか?と若干後悔しつつ彼女はこの事態の原因について説明を行う。通常であれば病院にぶち込まれても仕方がない空想じみた答えであったが幸いな事にクロノス教諭は数十年前にデュエルモンスター絡みの騒動や実体化したモンスターと決闘を行った経験があるせいで彼女の言葉を鵜呑みにする。

 

 

「えっ、ちょ、ちょっと待つノーネ!モリンフェン!?モンスターとしてはイマイチだけれード、実体化したと言うのなら由々しき自体ナノーネ!」

 

(いやまぁ、あたしもこのヒトが色々あった事くらい記憶にあるけどさぁ……こんなにすんなり信じて良いのか?)

 

 幻魔の生まれ変わりとも言える少女は内心呆れるが、今はそんな事を気にしてる場合ではない。才賀はクロノス教諭の事を彼女がウンザリする程にベタ褒めであったが、その理由が少しだけ分かった気がする彼女であったが、即興のカバーストーリーを説明していく。

 

 曰く突然沸いたモリンフェンの様なモンスターがデュエルディスク片手に二体現れたと言う事。偶然やってきた事で地震や嵐を引き起こしたものの、彼らに悪意は無く直ぐに元いた場所に帰ると遭遇した自分に言ったこと。

 

 そして、帰る前に折角だからと美兎と共に騒動に巻き込まれたアカデミアの教師である宇里亜と、オベリスクブルーの生徒である才賀 直が記念のデュエルを現在行っていると言う事。

 

 

(心配は要らないって説明しても……この様子だとクロノスせんせーは飛び出しかねねぇ……全く…さっさと決闘を終わらせろよ馬鹿二人…!)

 

 

 内心そう毒づきながらも即興のアリバイを口にしつつ、彼女は必死で二人の決闘に乱入しかねない生徒思いの教師を留め置く為に足止めを続けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 一方、アカデミアの校舎から離れた森の中では二つの影が向かい合っていた。混沌幻魔アーミタイルの復活という世界が滅びかねない緊急自体に彼女が挙げた条件を飲もうとする才賀。そして、アーミタイルの再度の復活をそもそも行わせない為に自身が封印される事を提案するウリアが互いにデュエルディスクを片手に対峙していた。

 

 

 

「ここなら誰にもバレずにデュエル出来るはずですっ!負けませんよ宇里亜先生!」

 

 真っ直ぐに、自信満々といった様子で才賀はウリアに宣戦布告する。その表情はウリアが今まで見たどの顔よりも真剣で、同時に決意と楽しもうとする気持ちに溢れている。ウリアはそんな彼の顔をじっと見つめると、くすりと笑う。

 

 

「あはは……やっぱり男の子だね。ハモンもいい加減に出てきたら?流石に精神も落ち着いたでしょ?」

 

 デッキをシャッフルしつつそう口にするウリアであったがハモンの姿は現れずに相変わらずデッキの奥に眠っているようだ。

 

 才賀は未だに姿を見せない彼女を無理やりこのデュエルで召喚する事で話し合おうとしつつも、キャハ⭐︎と出会った当初は元気いっぱいだったウリアがどこかぎこちない動きをしている事が気になっていた。

 

 だが、今の彼女は自身が封印される事で全てを終わらせようとする。その意思は鋼の様に固く決して妥協はしないだろう。ならばやるべき事は決闘者としての吟味を示すのみ。

 

 例え彼女が三幻魔であってもデュエルアカデミアの教師という道を歩んだのだ。それだけの吟味を持ち合わせてると幼いながらも才賀は察し、皆が幸せになる為のエンディングを目指す為にデッキをディスクに構える。

 

 

「さっきラビエルに私のデッキについて事を聞いてた様だけど何か対策でも出来たかな?でも私は容赦しないからね」

 

「えぇ、勿論。僕は先生がどんなカードを使っていても全力で倒しますから」

 

 挑発とも取れる少年の言動にウリアは苦笑するが、それでも彼女の目には確かな闘志が宿っている。

 

 

「じゃあ始めようか。先行はあげるからせんせーにかかってきなさい!」

 

「いえ、先行は先生からでいいですよ。ラビちゃんから色々と聞いたのはちょっとズルだと思いますし先生のデッキ的にも先行の方が有利なはずですから」

 

「ふぅん……?まぁいいか。じゃあ遠慮なく先攻を貰うわ」

そう言うとウリアは自身の手札を確認する。初手にして既に切り札を引き当てたのか、彼女は満足げな笑顔を浮かべていた。

 

(確か優等生君のデッキはウィッチクラフトよね…ヴェールやハイネの効果は厄介だけど先行を取れた以上、私の有利は揺るがないわ)

 

 手札を確認しつつも彼女は勝ち筋までの未来地図を頭の中で描き出す。例え相手が初手でハモンを召喚した所で自分の優位には変わりはない。

 

 

 それだけ彼女は教師としての実力を身に付けており、例え彼が後攻を取る事で有利となるカードを多めに入れた所で自身の切り札であれば全てをねじ伏せることが出来ると冷静に判断する。

 

 この勝負に勝てば自分は人としての生き方を捨てる。次に封印が解かれるのは何十年、何百年、何千年と先の話であり、その時までに彼はきっと立派なデュエリストになっているだろう。

 

 

(ごめんね……でも、これが一番正しい終わり方だから……)

 

 

 そう内心呟くと、ウリアは才賀へと向き直り真剣な眼差しを向ける。彼が自身の人生最後に戦うデュエリストで良かったと内心思うと同時に、負けるつもりは毛頭無いと全力で彼を叩き潰すべくカードを手にした。

 

 

「私は手札から『強欲で金満な壺』を発動!EXゾーンならカードを6枚ランダムで除外する事で2枚デッキからドローするわ!そしてカードを3枚セットして…と」

 

 悪趣味な壺から溢れ出たカードをキャッチすると彼女は3枚のカードをセットする。そして身体の中に業火が燃え上がる様な熱い感覚を久々だと思いながら、ウリアはゆっくりと口を開く。

 

 

「そして……私は『和睦の使者』『迷い風』『万能地雷グレイモア』を墓地に送る事で召喚条件を満たしてモンスターを特殊召喚させてもらうわ!」

 

 フィールドにセットされた3枚の罠カードが燃え上がっていく。その炎はソリッドヴィジョンだと言うのに夥しいまでの熱気を才賀は感じ取り思わず身震いしてしまう。そして、その熱気が最高潮に達した時、彼女の目の前に巨大な龍が現れた。

 

 それはまるで溶岩の様に紅く輝く鱗を持ち、燃え盛る様に逆立つ角、鋭い牙を覗かせる二つ顎、全てを見下し、蹂躙し、焼き尽くす双翼。神をも恐れぬ邪竜の名が相応しきその姿に才賀は自分の背筋に冷たい汗が流れるのを感じると共に、ウリアは静かに告げる。

 

 

「来なさい。《神炎皇ウリア》」

 

 

 コピー品ではない本物の三幻魔。ウリアの本体とも言える邪竜は高らかに雄叫びを上げるとその力を誇示するかの如く辺り一面に灼熱地獄を生み出す。

 

 森の木々や草花はその熱量に耐え切れず瞬く間に灰と化していく。それでも森が大火事にならないのはそれだけ彼女が灼熱の炎をコントロールしている事の証明だろう。

 

 威圧感を放つ彼女を見て才賀は息を飲む。だが、それでも彼は臆する事無くウリアと対峙する。臆するな、恐れるな、気持ちで負ければ決闘はそこで負ける。この邪竜に勝てなければアーミタイルを実力で叩きのめすなんて夢のまた夢だと。

 

 

《神炎皇 ウリア》攻撃表示

星10/炎属性/炎族/攻0→3000/守0→3000

 

 

「世間に出回ってるコピーの私と違って、本物のウリアはさらに強力なモンスターよ」

 

 

 邪竜を従えたウリアは幼い容姿に似合わない、まるで授業の一環の様な説明口調で言う。

 

 

「召喚条件は発動済みの永続罠ではなく、罠カードが3枚更に攻撃力だけではなく守備力も含めて墓地の罠カードの数だけ上がっていく。ウリアデッキと言えば永続罠で相手を封殺したり、永続モンスターを多用する必要があるけど本当のウリアデッキはその必要もないわ」

 

 炎を纏った幻魔はその巨体に見合った大きな尻尾を振るう。たったそれだけで空気が振動し、大地が揺れ動く。

ウリアのターンはまだ始まったばかりだというのに、それでも才賀は今すぐにでも逃げ出したくなる衝動を必死に抑えていた。

 

 

(これがウリア先生の本当の姿……カッコいい!けど怖い!身体が勝手に逃げ出せって震えちゃってるよ…!)

 

 

 

 そんな彼の姿を見てウリアは少し悲しげな表情を浮かべるが、それでも教師として生徒である才賀を逃さぬよう手札の1枚を手に取る。

 

 

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンドよ。さぁ、優等生君。君の番だよ」

 

 

ウリア 手札1

 

モンスター

神炎皇ウリア

魔法罠

伏せカード1

 

「僕の……ターン。ドローです!」

 

 

 

 ウリアの言葉に才賀はゴクリと唾を飲み込む。確かにウリアの力は圧倒的であり、更に墓地には特殊召喚されたモンスターの効果を無効化したうえで攻撃力を半分にし、EXゾーンからモンスターを召喚すれば墓地からセット可能な《迷い風》まで存在している。

 

 恐らくウリアのデッキは永続罠モンスターを多用するデッキではなく、相手の妨害をいなし続けてウリアを引き当て、幻魔特有の耐性によって封殺するのが目的だと瞬時に気がついた。初手で手札に幻魔が存在していた事に彼は運命的なものを感じつつも諦めるつもりは無かった。

 

 何故なら、今の彼はウリアを超える為にこの場にいるからだ。ならば、ここで逃げる訳にもいかないと彼は意を決して手札からカードを引く。

 

 

 

「来てくれたんだね……僕は手札から魔法カード《魔術師の再演》《ウィッチクラフト・バイストリート》《ウィッチクラフト・スクロール》を発動!そして…」

 

 発動した三つのカードが雷を帯びてバチバチと音を鳴らす。雷撃は地面を伝わり、その衝撃が才賀の手札に眠るカードを光らせる。

 

 

(マスター…私は……)

 

 

(大丈夫だよハモン。僕が怒ってない事はしってるよね?)

 

 

 

 脳内から妙齢の美女が語りかけてくるも、その声は罪悪感に満ちたものであり、才賀は彼女の心情を察しつつも優しくカードを撫でる。

 

 

(だけど……私のせいで貴方は……)

 

(じゃあさ、もし悪いと思ってるのなら先生を止めるのに力を貸して欲しいんだ。《神炎皇 ウリア》を倒す為には君の力がどうしても必要なんだ)

 

ハモンと出会ってから数ヶ月、主従関係でありながら才賀は自身に尽くしてくれるハモンに彼は何かを願った経験は殆どない。それは彼自身が彼女に求めるものがなかったと言うのもあるが、常に利用され続けたハモンの心情を察して彼は子供ながらも遠慮していたのかもしれない。

 

 だが、そんな考えではウリアを止める事は出来ないと彼は思い至る。当初こそ未だに落ち込んでいるハモンを気遣い彼女の力を借りなくともデュエルに勝利する気でいたのだが、《神炎皇 ウリア》を見た途端その考えが甘かったと思い知らされた。

 

 

 このままでは確実に自分は負ける。《神炎皇 ウリア》の前では如何なるカードであろうと無力。そして、それに対抗する術は同じく三幻魔である《降雷皇 ハモン》の加護しかないと彼は理解する。

 

 

(ハモン。僕はウリア先生も、ラビちゃんも、君も含めて全ての幻魔の皆と笑顔でいたい。そしてアーミタイルさんに勝ちたいんだ。その為にはまず先生に実力を認めて貰わないとダメなんだ)

 

 

 だから、頼むよ。と彼は呟く。彼女を利用するのではなく彼女を信じる事で彼女と共に勝利を掴みたいと願いを込めて。

 

 

 しばらくの沈黙の後、才賀の頭の中に再び彼女の声が響く。

 

 

(ごめんなさいマスター。私……もう迷いません。この身は貴方の為に。この身体は貴方の為に。そしてウリアを救う為に……私も貴方を信じます…!)

 

 

 

 覚悟を決めた彼女は才賀のカードに力を込める。瞬間、彼のカードが光を放ち、三つの魔法カードを素材にその姿を変化させる。

 

 

「先生!この子が僕の切り札!僕の相棒!そして僕の大切なマイフェイバリットカード!『真・降雷皇ハモン』です!」

 

 

 

 

 上空から暗雲を切り裂き現れたるは雷の皇。黄金の鎧を見に纏い巨大な翼で暴風を撒き散らすその姿は神炎皇にも劣らぬ神々しさと荒々しさを併せ持ち、悪魔の背より放たれる黄金の稲妻がフィールドを包み込む。

 

 

 

《真・降雷皇ハモン》

星10/光属性/雷族/攻4000/守4000

 

「何度か過去に操られたラビエルとは戦った事はあるけど……こうしてハモンと戦う羽目になるなんて人生

何が起こるかわからないわねぇ」

 

 

 ウリアはどこか楽しげな表情で雷の悪魔ともう一人の自分である神炎の竜が互いに威圧する様に咆哮りを上げる姿を眺めている。身体の奥底から炎が猛り狂う感覚が更に増幅していき、ウリアはその心地良さに頬を緩める。

 

 

 しかし、ウリアは油断している訳でも余裕を見せている訳でもない。むしろこの強大な力を持つ存在にウリアの心はかつて無い程の高揚を感じていた。

 

 

「墓地に送った《魔術師の再演》の効果を発動し、デッキから魔術師と名のつく永続魔法を手札に加えられます。僕は《魔術師の右手》を手札に加え、更に《ウィッチクラフト・ジェニー》を召喚します」

 

 巨大な杖を持ったおっとりとした雰囲気の眼鏡をかけた金髪の美女がフィールドに召喚される。その姿はどこか普段人として活動しているハモンの人間体を思わせる容姿であり、真横に巨大な幻魔がいると言うのにマイペースな様子で笑みを浮かべる。

 

 

《ウィッチクラフト・ジェニー》

星1/風属性/魔法使い族/攻300/守500

 

 

 

「《ウィッチクラフト・ジェニー》の効果を発動。このカードと手札の魔法カードを墓地に送ることでデッキから《ウィッチクラフト・ジェニー》以外の《ウィッチクラフト》を特殊召喚可能。僕は《ウィッチクラフト・ジェニー》と《魔術師の右手》を墓地に送る事でデッキから《ウィッチクラフトマスター・ヴェール》を特殊召喚します」

 

 

 

 ジェニーが後は任せたと言わんばかりにメガネをキラーン⭐︎とコミカルに光らせながら消えると同時に、気怠げな青髪の幼女が姿を表す。ハモンが才賀やフェイバリットカードであるのなら、彼女は正にデッキの象徴と言えるだろう存在感を放っている。

 

 

《ウィッチクラフトマスター・ヴェール》 守備表示

星8/光属性/魔法使い族/攻1000/守2800

 

「《ウィッチクラフトマスター・ヴェール》の効果を発動。手札の《ウィッチクラフトマスター・デモンストレーション》を墓地に送る事で相手フィールド上の全てのモンスターの効果をターン終了時まで無効化します。これにより墓地の罠カードの数によって攻撃力が変動する《神炎皇 ウリア》の攻撃力は0に!」

 

 気だるげなヴェールは両手に魔力を溜め、パチンと音を鳴らせば赤き竜は一気に力を消失し、苦悶の雄叫びを上げて崩れ落ちる。ウリアを覆う炎もその勢いを失い、その姿を眼下に収めたヴェールはどこかドヤ顔でふんすと鼻息を吹き出す。

 

 

《神炎皇 ウリア》攻撃表示

星10/炎属性/炎族/攻3000→0/守3000→0

 

 

「成る程ね。幻魔は罠の耐性はあるけど魔法や効果モンスターの効果は受けてしまう。それにラビエルやハモンと比べて私は元々の攻撃力が0だから一度でも効果を無効化してしまえばクリボーにすら負ける脆さって訳ね。だけど……」

 

 

 

 そこまで呟いたところで、ウリアはニィと不敵な笑みを浮かべて伏せていた一枚のカードを手に取る。

 

 

「この瞬間、私は罠カード《威嚇する咆哮》を発動!このターン相手は攻撃宣言ができなくなる!さて問題よ優等生君。本来罠カードに対してオリジナルの幻魔は一切の効果を受けない。でもこのターン本来罠カードの効果を受けないはずのハモンも攻撃出来なくなるわ。何故かわかる?」

 

 

 

 森に響き渡る咆哮が力を失った筈の《神炎皇 ウリア》から放たれれば、気だるげな魔女は嫌そうな表情で耳を抑え、本来であれば罠に絶対的な耐性を持つ筈のハモンでさえその身に纏う黄金の鎧が光を無くし、その場に膝をつく。

 

 まるで授業の延長線の様なノリで出題された問題に才賀は少し考え込むが、やがて答えに行き着き冷や汗を流す。

 

 

「…ハモンはあらゆる罠カードの耐性が、永続罠カードである《スキルドレイン》や《デモンズ・チェーン》すら無効化しますが……《威嚇する咆哮》はターンプレイヤーに効果を及ぼすから、でしょうか?」

 

「正解!流石は優等生君ね。カードではなく決闘者そのものに影響を与えるカードだからいくら幻魔といえど耐性は意味がなくなるわ。他にも自分のモンスターは戦闘では破壊されず、自分が受ける戦闘ダメージは0になる《和睦の使者》を使っても貴方は《神炎皇 ウリア》を戦闘では撃破できなくなるわ。仮に貴方がハイネを召喚すれば効果で破壊出来たはずだけど、貴方はこのターンに勝負を決めようと焦りすぎた」

 

 

 

 才賀はウリアとデュエルをする前にラビエルによって彼女の効果やその強さを教えてもらっていた。故に長期戦はこちらの不利になると理解し、短期決算を目指したのだが結果的に見ればウリアの情報を知ってしまったが故に選択を誤ったのだ。

 

 

「貴方はこう考えた筈よ。私の手札の1枚が罠カードならハイネで破壊しても手札から1枚罠カードを墓地に捨てる事で即座に攻撃力が1000アップして復活してしまう。仮にハモンで同志撃ちを狙ってハイネでダイレクトアタックを仕掛けたとしても、次のターン私が罠カードを引いて仕舞えばもう一度ウリアは復活してしまい、更に幻魔の耐性によって一度受けた効果はフィールドからそのカードが離れない限りは一切受けなくなり、そのままハイネを撃破されて敗北してしまうと」

 

 

 

 指を曲げて説明しながらウリアは生徒に教える教師の様に丁寧に解説していく。憎らしい程に分かりやすく的確に弱点を突いてくる彼女に才賀は思わず嘆息を隠せない。

 

 

 

「そして私のデッキはその性質上罠カードが多いのは事実。次のターン罠を引く可能性が高いと思って、ヴェールで効果を無効化した状態でハモンでダイレクトアタックをしようと考えた。こうすればライフを削り切り、これで勝負が決まるから……でもね優等生くん。市場に流通してるウリアと違ってオリジナルの私は守備力まで攻撃力と同じく変動するのよ?なのに何でわざわざ攻撃表示で召喚したのか警戒を忘れてたんじゃないかしら?」

 

「それは……」

 

 

 

 思わず何も言えずに黙ってしまう才賀にウリアは「ふっ」と軽く笑い飛ばす。

 

 

 

「貴方はハモンの為にオリジナル以外の幻魔についてよく学んでいた。だからラビエルから教えてもらった効果の警戒はしてたんだろうけど固定概念としてウリアは攻撃表示で出すものだと無意識に決めつけていた。とってもよく学んで君は偉い子だよ。でもね……」

 

 

 ニコリと笑みを浮かべるウリアを彼は遠く感じてしまう。これが本気になったアカデミア教師の力だと。オベリスクブルーの秀才と呼ばれて多少は才賀も自信を持っていたが、それでも遠く感じてしまう。

 

 

 

「本気でせんせーに勝ちたいのなら今まで学んだ全てをぶつけてきなさい!」

 

 

 

 デュエルは始まったばかりだ。

 

 

 

 





・オリジナル版 神炎皇 ウリア

効果モンスター
星10/炎属性/炎族/攻 0/守 0

自分フィールド上の罠カード3枚を墓地に送った場合に特殊召喚する事ができる。
1ターンに1度だけ、相手フィールド上にセットされている罠カード1枚を破壊する事ができる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
罠の効果を受けず、魔法・効果モンスターの効果は発動ターンのみ有効となる。
このカードの攻撃力・守備力は自分の墓地の罠カード1枚につき1000ポイントアップする。
このカードが墓地に存在する時、手札の罠カードを墓地に送ることで、
墓地のこのカードを特殊召喚することができる。
このターン、自分フィールド上に他のモンスターが存在する場合、
このカードは攻撃をすることができない。


 OCG版との最大の違いは召喚条件が永続罠限定ではなく伏せた罠カードであれば何でもいいと言う事。なので永続モンスターをわざわざ採用する必要もなく、迷い風やスキルサクセサーのような墓地から発動するカードを素材を能動的に墓地に送って墓地から罠だとぉ!?を連発する事も可能。

 更にターン制限もなくフリーチェーンで手札から罠カードを墓地におくれば即座に蘇生可能であり、罠耐性だけではなく魔法・罠においても一度ウリアに効果を与えたカードはフィールドから離れない限りは二度と効果を受けないと言う耐性も。

 はっきりいって耐性と復活性能が噛み合った結果、幻魔最強と言い切ってもよく、ラビエルも愚痴るレベルであった。

・ウリアせんせーのデッキ

 和睦の使者、メタルリフレクトスライム、威嚇する咆哮などを使って遅延をしながらウリアを引き当てて召喚する遅延デッキ。更に迷い風や巨神封じの矢など墓地から発動する罠カードも多数入れており、ひたすらウリアを引くまで遅延や妨害で粘りつつ、何度も復活するウリアを引いてから一気に攻めて押し倒す。

 本人が幻魔の生まれ変わりである事を隠している事もあるが、とにかく一戦のデュエルがウリアを引けなければ凄まじく長くなるという事もあって普段は封印していた。

デュエル回は

  • もう少しだけ見てみたい
  • ラブコメメインでイチャラブ優先
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