遊戯王GXアフター幻魔を統べるもの〜金髪爆乳お姉さんハモンとショタの日常〜 作:kiakia
夏も近づき、アカデミアに入学した新入生達もようやく学園生活に慣れ始めた今日この頃。生徒の為に解放された湖で水着片手に泳ぎ回る生徒や、新たに追加された新規パックを小遣い片手に購入しようとするもの。中には親しい異性に告白を敢行しようとするものなど、生徒達はそれぞれに夏の到来を楽しむのであった。
そんな中、三幻魔の一角である『降雷皇ハモン』からの信頼を勝ち得た少年、才賀直はといえば必死な形相で廊下を爆走していた。幼いながらも引き締まった脚をフル活用しながら疾走するその姿はまさに青春真っ盛りの男子そのもの。
目は爛々と輝き、これから訪れるであろう甘いイベントに胸躍らせているのが傍から見てもよく分かる。胸の鼓動は高鳴り、身体はまるで宙を舞っているかのように軽い。そんな感覚のまま、彼は目的地へと急ぐ。
「ま、マスターお待ち下さい!そんなに急がなくても!」
そんな少年の後ろから追いかける美しい金髪と豊かな胸を揺らしながら、アカデミアブルー女子の制服を身に纏った美女は慌てて呼び止める。その声は少年の耳に届くことなく、彼の足を止める事は無い。
「別にそんな所に行かなくてもいいじゃないですか!他の選択肢はいくらだってあるはずです!なのに…!」
必死に呼びとめる彼女……現在は美女の姿でカードの精霊としてこの世界に顕現している三幻魔の一角『降雷皇ハモン』は自身の主である少年、才賀 直に声をかけたのだが、彼は一切耳を傾けず走り続ける。
最愛の存在と言ってもいい程に、彼女の為ならば一生逃亡生活を送ってもいいとすら決意をしたハモンの言葉にすら、今の彼を動かす事は出来なかった。その目は野望や欲望に満ちており、一瞬自身の力の利用し続けた過去の決闘者の目と重なって見えるが今の彼はある意味ではあのユベル以上に純粋に、真っ直ぐに目標に向かって邁進しているとハモンの目には見えてしまう。
「ごめんねハモン……でも!男には、例えどんな犠牲を払っても成し遂げたい目的があるんだよ!」
基本的には全肯定で甘やかす、ハモンの珍しい嘆きの言葉も今の少年には届かない。決意を新たにした少年はただひたすらに走る。途中でクロノス先生らしき存在が何か注意をしようとしたが、退いてください!とハモン手から離れた衝撃波により吹き飛ばされた気がするのだが、それは些細な問題だ。
全ての自身の欲望の為に、全ては自身の野望の為に。がむしゃらに真っ直ぐに走り続けた少年はやがてドアを開くと───
「僕の…もんじゃぁぁぁぁ!!!」
購買の人混みに埋もれて消えていくのであった。
「……くさやって…なんでもアリなのは分かってたけどくさや味って……」
購買から目当ての代物を購入した才賀はハモンと並んで外に出ると、木陰に腰を下ろしながら購入したパンを真っ二つに裂けた断面に目を向ける。臭いが漏れないように密閉されたビニール袋の中に収められていたそれは開いた瞬間、刺激臭が周囲に漂い鼻がひん曲がりそうになる。
『ドローパン』、デュエルアカデミアが成立してからという物名物して購買で販売される事になったこのパンの中身はランダムであり、クリームやメロン味といったオーソドックスなものから伊勢海老味やフォアグラ味といった高級食材。中にはゲテモノ枠としてサンマやウコンなどのクセの強いものまで存在する。
才賀が引き当てたものは所謂ハズレのゲテモノ味であり、その臭気を嗅いだ瞬間思わず腐っているのでは?と勘違いしてしまう程だ。外でパンを開封してよかった、出なければラビちゃんに『くっさいわ!!』とキレられてたなと少年が嘆息をしていると、ハモンもクスリと笑みを浮かべて自身も購入したドローパンを眺める。
「あっ、私はチーズ味ですね。マスターどうしましょうか?私がそちらを頂きますのでチーズ味と交換します?」
「ううん、大丈夫だよ、僕はこれで十分だから」
心配そうに見つめてくるハモンに少年は笑顔で首を振ると、ビニールを開けて中のパンを千切って口に放り込む。流石に男として、気に入らないくさや味のパンを押しつけるなんて事を彼が出来るはずもなく、鼻を摘んでゆっくりと咀嚼をすれば、くさやの独特の風味と魚の生臭さが口の中で暴れまわった。
(あー……確かにこれ、納豆とか好きな人は好きだなぁ)
才賀は顔をしかめながらも、もっちゃもちゃと咀噛を繰り返す。決して不味くはないがかと言って美味しいとも言えない微妙なラインだ。それでも嫌いではないのか少年はしっかりと飲み込んでいく。
もみくちゃになって購買に並んでようやく手に入れた末に得たものがコレか……と才賀は若干凹みながらも口を動かしていれば、ハモンは自身のチーズパンを小さくちぎって差し出す。
「でしたらこちらのパンもお一ついかがですか?私の方はまだ半分以上残っていますので……」
「え、でも……」
「ふふ、遠慮なさらないでください♡はい、あーん♡」
有無を言わさず、ハモンはちぎったパンを口に近づける。それに慌てる才賀だったが、結局はハモンの押しに負けてしまい、その指先につままれたパンにパクついた。チーズのとろけるような濃厚さと、ほんのりと香る胡椒の辛さ。そしてそれらを包むパン生地の柔らかさに才賀は目を輝かせる。
「ほら、美味しいでしょう?」
「うん、そうだね!」
「ふふっ♡それでは私もそのパンをあーんして頂ければ…」
「無理!絶対に無理!!女の子にこんな物食べさせられないよ!?」
「うぅ…マスターの意地悪…」
ニコニコと笑顔を見せるハモンに、少年は全力で拒否を示す。彼女のマスターの責任としてくさやパンを押し付ける事なく無理やり全てを口に含めば、あーんを期待していたハモンは頬を膨らませながら恨めしげに才賀を見つめる。
ならばと残ったチーズパンを彼に差し出すと、その意図を理解した少年は、少し赤面しながらもチーズパンを千切るとハモンの口へと運んでいく。
「あ、あーん…!」
ハモンの為に恥ずかしさを堪えつつ少年はちぎったパンを差し出せば、彼女はパァッと表情を明るくさせるとパクっと口に含む。口の中で広がるパン生地の甘みに思わずうっとりとした様子のハモンを見て、少年もまた嬉しそうにはにかんだ笑みを浮かべた。
互いに相手の事を想っての行動。それが通じ合っているからこそ生まれる甘い空間。もし周りに人がいれば、耐えきれなくなり、そそくさと立ち去ったのは確実だろう。ハモンの正体を知るラビだけは外でイチャつくなと文句を言ってるかもしれないが。
「いつも、思うのですが」
食べ終わり、自然な流れでむっちりとした自身の太ももに才賀の頭を添え、膝枕の状態で自身のマスターの頭を撫でている少女がポツリと言葉を漏らす。
「何故、ドローパンが入荷した時に限って毎回あんなに張り切って購買に急いでいるのでしょうか?オベリスクブルー専用のレストランであればもっと美味しい料理がいつでも食べれる筈ですし…」
ハモンの言葉に才賀はうーんと一瞬唸る。確かにデュエルアカデミアの最優秀生徒が所属オベリスクブルーでは数々の特権が存在しているが、食事面でもそれは変わらない。プロのシェフが作り出す豪勢な食事はそれだけで生徒のモチベーションの向上に繋がるが為に、ラーイエローやオシリスレッドの生徒が必死にオベリスクブルーを目指す大きな理由の一つでもあるのだ。
そんな食事を蹴飛ばしてまで購買へ急ぐ理由をハモンは理解出来ず、故に首を傾げてしまう。しかし才賀はその疑問を察すると彼女の膝枕を堪能しつつフフンと得意げに笑ってみせた。
「ドローパンには一つだけ大当たりのパンが有ってるんだけどさ。黄身が金色に輝く卵が丸々一つ入った黄金の卵パン!食べた事は無いんだけど、かなり絶品らしくてね!多分購買でドローパンに群がってる生徒は全員これ目当てじゃないかな?」
デュエルアカデミアで飼育されていく黄金色に輝く鶏が産むといわれる黄金の卵、それをふんだんに具材として使用した黄金の卵パンは数十年前からこのアカデミアで販売されているドローパンの中に毎回大当たり枠として入っており、余程の運の良い生徒でなければ食べる事は叶わない代物だ。
何故、鶏が数十年以上も生きているんだ?という問題に関しては、長年在籍しているクロノス先生以外の皆は気軽にスルーしてなるのだが、ドローパンが販売される日は全てこの黄金の卵が入手できた日限定の為か、その日に購買に並ぶ生徒達は必ずと言って良いほどにこの商品を血眼になり引き当てようとしているのだ。
「それを食べたい!って気持ちも、もちろんあるんだけど……ハモンに食べて欲しいなって思ってさ」
膝の上で心地良さそうに目を細める才賀の呟きに、ハモンは撫でていた手をピタリと止める。あれ程までに貪欲で強欲にドローパンを求めていた理由がまさか自身に食べさせてあげたいというマスターの想いだったとは思いもしなかった彼女は、愛おしげに自身の胸を手で押さえると、そっと唇を開いた。
「マスター……私は貴方が望めば何時でもどこでも、何処までも付いて行きます。例え地の果て、世界の果て、異世界でも、宇宙の彼方であろうとも必ず。あの日、ゴミ捨て場で私を拾ってくださった時からずっと、私の心はマスターの物ですから」
優しい声音でそう囁くハモンに、才賀は照れ臭そうに微笑んでみせる。何処までも純粋な好意、何処までも真っ直ぐな忠誠。ただずっと苦労し続け、利用され続けた彼女が少しでも幸せに過ごせる様にと願って始まったこの主従関係はまだ数ヶ月未満の関係だと言うのに、その密度は誰よりも濃く、そして強い物であった。
とはいえ彼女達の関係には一つだけすれ違いが生じている。幼い少年はただハモンと一緒に過ごしたい、ハモンがもっと心から笑える様になって欲しい、ハモンが幸せになれる様な日々を過ごしてほしいという善意や正義感である想いの元に、それが無茶とも言える行動の根幹につながっているのだがハモンは違う。
そんな幼い彼と過ごしてきた日々は世界を憎む凍てついた彼女の心を氷塊させ、暗闇の世界で生き続けてきたハモンにとって唯一の希望とも呼べる存在となっていた。心に満ち溢れる幸福は彼女の心を溶かし、闇の底へと沈み続ける彼女の魂を救い上げた。
つまり彼女は……三幻魔の一角である『降雷皇ハモン』にとってマスターである少年、才賀 直を想う感情は忠誠や親愛の情だけではなく、端的にいえば彼女は……
(心の底から、あなたへの感謝と共に……お慕いしておりますよマスター)
────一人の女として、愛していたのだ。
湯気が漂う浴室。備え付けられたバスタブからはアロマオイルによる爽やかな香りが立ち込めており、チーズとくさやが混じった体臭を掻き消すのに一役買っていた。柑橘類を思わせる甘くも刺激的な匂いは普段の少年であれば落ち着く所なのだが、今は少しだけ居心地が悪い。
「あの……ハモン。背中くらい自分で洗うから……」
自身の体に石鹸の泡を塗りたくられ、背を向けている才賀は恐る恐る後ろでボディーソープを手に取ってい自身の下僕に声をかけた。だがハモンは「ダメです」と一言告げると、タオルで優しく才賀の肩甲骨付近を擦り始める。
白磁の様な白い手で自身の体をまさぐられる感覚に才賀は思わずビクッと震えるが、そんな自身の主の反応が可愛く見えたのかバスタオル一枚だけをその身を覆う様に巻いたハモンは小さくクスリと笑ってみせた。
「ふふっ、緊張しなくても大丈夫ですよマスター。ちゃんとお風呂に入る準備をする間、綺麗に洗って差し上げますからね」
「そ、そういう問題じゃなくて……!」
背後から聞こえる艶っぽい声に才賀は頬を赤らめつつ抗議の声を上げるが、当のハモンはまるで子犬が吠える姿を微笑ましく眺めている飼い主の様に目を細めてその顔を覗き込む。
「マスター、今日は一日私の為に働いてくれましたよね?だから今度は私がお背中を流させて頂きたいんです……ダメ、ですか?」
「え?あぁ……うん。ハモンがそれで良いなら良いんだけどさ」
ハモンの問い掛けに才賀は戸惑いながらもそう答えてみせると、その返答に満足した彼女は小さく微笑んで見せた。
「それでは、失礼しますね♡」
そう言ってハモンは才賀の体に触れる。先ずは腕、それから胴体、そして首元へ。指先で触れたり爪を立てたりと、決して肌に傷が付かない程度に加減された愛撫を受け、くすぐったい感覚に彼は襲われる。ハモンと風呂に入り、背中を流された経験は何度かあるが、いつも以上に艶めかしい手つきの彼女に才賀の顔は更に赤くなっていった。
泡に包まれたハモンの手は次に才賀の下半身に伸びていく。膝上まで伸ばされた脚の付け根辺りにまで伸びると、彼女は両手で優しく才賀の太股に触れた。その掌から伝わる彼女の温もりを感じながら、才賀は心地良さそうに吐息を漏らすが、同時に自身の分身がこんもりとタオル越しから盛り上がっている事に気が付き、ハモンにバレない様に手で覆い隠す。
幼い少年であっても男である事には変わりない。女性に裸を見られ、触れられば興奮してしまう。それを悟られない様にと懸命に平静を装うとするが、そんな努力など虚しくハモンは自身の主がこの身体に興奮している事を察すると悪戯を思いついたと言わんばかりに、少年の背中に自身の胸を押し付けてきた。
「あっ……」
押し当てられた柔らかな乳房の感触に才賀は小さく喘ぎ声を上げてしまう。ただそれはハモンの予想通りだったのか、耳元で囁かれる彼女の艶のある声で才賀の理性は蕩け始めていった。
「……ふふっ相変わらず白いお肌でキレイですね…羨ましいです。男の子なのに……こんなに白くて綺麗だなんて」
「ハモン……やめて……お願い……だよぉ……!」
「うふふ……ダメですよマスター。もっとしっかり洗わないと汚れが落ちませんからね」
自身の体に回される両腕に力が込められる度に少年は切なげに甘い声を上げる。極上の女体による抱擁と、柔らかく滑らかな手で体中をまさぐられ洗い立てられ、その快感によって少年の分身は益々固くなっていく。
「お腹も、お背中も全部洗って差し上げますからね?大丈夫です。全てこの下僕にお任せ下さい」
耳元で囁かれ、そして優しく触れるハモンの声に才賀はゾクッとした何かを感じてしまう。背中を流すというのに明らかにハモンの動きは蠱惑的過ぎるものだった。指が肌を這っていく度、その箇所は熱を帯びて行き、それが何とも言えないくすぐったさと気持ちよさを生み出し、才賀の心を乱していく。
(ダメだって!このままじゃ……)
才賀の中で警鐘が鳴り響く。だが体は動かない、やがてハモンは洗い終え、シャワーで石鹸を洗い流すとタオルを使って水気を取っていく。
「マスターのお体は全て洗わせて頂きました……ですが」
ハモン?と彼が名前を呼んだ時、突如背後から再び極上の果実が押し付けられた。背中に伝わる柔らかさはまさにこの世のものとは思えない柔らかさであり、バスタオル一枚越しにも関わらずハモンの女性としての体の形がよく分かる程に押し付けられ、そして才賀はそんな彼女から漂う甘酸っぱい香りにクラっとしてしまう。
「ふぅ……マスターの素敵なお体を見てしまったら私……もう我慢できなくなってしまいました♡だからどうか私の我欲を許しください♡」
ふふっと笑みを浮かべつつ少年の背中では爆乳が
ぷるんぷるんと揺れ、才賀はその感覚に酔いしれそうになるもののすぐに正気に戻ろうとする。しかし、既に少年は度重なるハモンのスキンシップにより彼女の手で精通を迎えたばかりの初心な体では快楽に耐えきれる筈も無く。次第に彼の頭の中では『抗わなくていいのではないか?』という思考が過り始めていた。
「……お慕いしております」
ハモンの囁くような告白の言葉を聞き、才賀の心臓はドクンと高鳴る。今まで散々アプローチを仕掛けられてはいたが、ここまではっきりと好意を伝えた事は一度も無かったのだ。そんな彼女からの言葉を受けては才賀の心も大きく揺るがされた。
才賀が返事をする間を与えず、彼女は才賀を強引に振り向かせるとその顔を自身の胸へと埋めさせる。柔らかい乳房が顔面を包み込み、鼻腔をくすぐる甘い香りと石鹸の清潔感のある匂いを肺いっぱいに満たされると、それだけで彼は幸福な気分になると同時に頭がボーっとして来るのを感じた。
(ああ……良い臭いだぁ……もっと嗅ぎたい。もっと味わいたい……そうだよ僕はもうどうなってもいいんだ)
ハモンのおっぱいがもたらす快感によって才賀の理性は吹き飛びかけていた。もはや自分がどうしてこうなったのかさえ考える事も出来ず、目の前の誘惑に意識を持っていかれる。ハモンの手が自分の腰を撫でていく、どこまでも愛おしく陶磁器のように慎重にふれる彼女の指先はまるで自分の全てを理解しているかのようで、心地良く感じてしまう。
「ずっと、ずっと……マスターの隣で共に歩んでいきたいんです。私に沢山の光を与えてくれた貴方が、私を一人にしないと約束してくれた貴方が、沢山の楽しい事や幸せな事を味あわせてくれた貴方の事を愛しています……」
才賀の顔はハモンの乳房の中に埋もれていた。彼女の吐息と声がくぐもりながらも聞こえる。顔に触れる乳房が優しく擦れてこそばゆい。
「貴方様の為ならばいつだってこの処女を捧げましょう。貴方様が望むのであれば子供だって孕みましょう。貴方様が平和を望むのであれば守護者となり、破壊を望むのであればこの命に変えてでも貴方様を止めましょう……ですからどうかお傍に置いてください。マスターと添い遂げさせてください……♡」
ハモンの声音には切実なものが感じられる。それは本気だという事が伺えた。だが同時に彼女の瞳の奥にある感情の色を見て才賀は気づく。彼女が抱いている感情は愛情だけではなく、他者との温もりを。三幻魔として闇の中でしか生きられない彼女はまるで幼児が母親を求めるようなマスターである才賀に依存した感情を、心の奥底から溢れさせていたのだ。
そして、才賀がそれを理解した途端。彼の唇に柔らかく熱い感触が伝わる。
(あっ……)
一瞬何が起きたのか分からなかった才賀だが、すぐに気が付く。目の前にいるのは美しい少女、それも自分にとって特別な女性であり大切な人。その女性が自身の口元へ接吻をしているのだと分かった。
最初はただ触れるだけのキスだった。だが次第に才賀は舌をハモンの口腔内に入れられ絡め取られ、唾液を交換し合う。お互いの体温と呼吸を感じながら長い時間そうしている内に二人の気持ちは次第に高まっていく。やがてどちらともなく口を離すと、ハモンはうっとりとした表情で微笑んでいた。
「申し訳ございません……貴方様のファーストキスを奪ってしまいましたね。ですが……もっと、もっと私の知らない世界を見せて欲しいのです。私を満たしてほしい……マスターになら全てをさらけ出しても良いと思っています」
ハモンの潤んだ目が才賀の目を見つめる。そこには確かな熱情が籠っており才賀を射抜いており彼の耳元でハモンは小さく言葉を囁く。
「2年後……貴方様が12歳になられた時。貴方様が私と共に歩むと決心してくださった時、私は本当の意味でマスターの所有物になりましょう…♡」
耳にかかる吐息にビクッとする才賀だったがそんな彼にハモンはクスリと笑みを浮かべつつ首筋へと口づけをして来る。ゾワっとするような刺激的な感覚に才賀は震えた。
(ああ、ダメだよこんな事したらダメなのに……)
頭では分かっていても体は動かず、そしてハモンの行為はエスカレートしていく。彼女の両手は才賀の上半身へと移動していき、その手をゆっくりと動かす。
「私の初めては全て貴方様に……それまで待っていてください。貴方様が望むのであれば、貴方様が私を求めて下さるのであれば。12歳になれば、いつでもこの体を差し出します……貴方の好きなようにしてください」
ハモンの囁きは才賀の鼓膜を通じて脳まで届き彼の体を火照らせる。才賀は今にも破裂しそうな心臓の音が聞こえないか不安になる程緊張してしまっていた。
だがそんな彼をハモンは何も言わずに真正面から抱き寄せ、バスタオル越しから彼の頭をその胸で抱き締める。たった一枚の布切れはある意味、幼いマスターに対する最後のハモンの理性と言えるだろう。
まだ色恋も女体も知らない少年。そんな彼を誘惑し、籠絡し、彼の童貞を得ることなどハモンにとっては絶やすい事だろう。彼女自身もヒトの身体に受肉出来る様になってからというもの、幼いマスターへの性的な欲求と人肌の温もりを欲する心は強くなるばかりであった。
しかし、それでも最後の一線だけは超えてはいけないと、彼女の理性が訴えかけてくる。あくまで自身は下僕であり、本来はこうしてファーストキスを奪ってしまった事すら許されざる事なのだ。ましてそれ以上は主従関係を逸脱してしまう。
あくまでマスターはデュエルアカデミアに通う生徒の一人であり、一度は自身の為に人生を台無しにしてでも共に肩を並べてくれると言ってくれた少年。そんな彼の平穏な学園生活を、デュエルをして、友達と遊び、恋人だって作れる日常を自分が壊す事はあってはならないのだ。
(2年です……2年後、もし貴方様が誰か好きな人ができたと言うのなら私は身を引き、喜んでその恋を成就させてあげましょう。2年間の間に私自身もこの感情が忠誠や感謝により生じたものなのか、本当の意味で貴方を愛しているのか気持ちの整理をつけましょう…)
今日は少し、ドローパンの騒動により、我ながら暴走してしまった自覚のあるハモンであったがこれ以上の誘惑はまずいと自身に強く言い聞かせる。胸を押しつけられた結果惚けた様にとろんと目をしている才賀を見て思わずこのまま襲いたくなる衝動に駆られるがぐっと我慢した。今はその時ではない、もっと時間と段階を経てマスターの心身ともに成熟するまで待ち続ける必要がある。
2年後のその時までに、マスターが本当に私を求めてくれた時こそ……ハモンは心の中だけで呟く。今はそれで良いと、彼女もまた己に折り合いをつける。だが、もしも愛する自身の主が異性として自身を選んでくれるのであれば……。
「ハモン……僕は…」
「今日の事は夢だと…泡沫の夢だと、そう思ってください。ですが、もしもこの夢を二年後も覚えていてくれたのならば、その時は……」
それ以上の言葉は発さなかった。否、出来なかったという方が正しい。ハモンはシャワーで彼の背中を流し終えると頭を下げて浴室から去って行く。その後ろ姿を見た才賀は先程のハモンの艶やかな仕草を思い出してしまい、落ち着くまで何度も冷たいシャワーを浴び続ける事になるのであった。
・ドローパン
原作アニメ及び、ゲーム「遊戯王タッグフォース」にも登場するデュエルアカデミア名物のなんでもありのおみくじパン。高級食材やゲテモノまでさまざまなら具材がランダムに入っているが、その中でも唯一の大当たりと呼ぶものが黄金卵パンであり、在学中の十代は豪運によって何度もこれを引き当てている。
なお鶏の寿命を考えると既に黄金卵を産むであろう鶏は寿命を迎えても仕方ないのだが、何故か生存しており今も元気に卵を植え続けているそうな。クロノス先生はやはりこの学校おかしいのでは?とふと思ってしまうが、特に誰も気にしないのであった。
・12歳
今のままでは情緒も育ちきっていないマスターを自分色に染めかねないと鋼の理性で最後の一線を越えるのは耐えたハモン。ですが12歳となってから、もしもマスターが性的に彼女とまぐわう事を望むのでいれば喜んで彼女は身を捧げるでしょう。ある意味では互いの冷却期間であり、そしてまだ出会って数ヶ月も経っていない互いのことをよく知る為の時間。果たしてマスターはこの約束を覚えているのか、そしてハモンの理性は耐えられるのか……
コメント、感想、評価をお待ちしております。
デュエル回は
-
もう少しだけ見てみたい
-
ラブコメメインでイチャラブ優先