日艦戦争   作:綾凪九尾

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前回のあらすじ
呉強襲部隊が居た神戸を武力で陥落させた呉鎮守府。
綺麗な街並みの神戸は瓦礫の山となり、至る所に戦車の残骸や死体があるのだった。


第陸戦

神戸メリケンパークに作られた「呉鎮守府攻撃部隊」の基地には大型ヘリコプターが着陸していた。そこから降りてきてたのは、時雨と神州丸だった。

 

「お疲れ様、みんな。」

 

「お待ちしていたであります。司令部はこちらであります。」

 

「うん。じゃあ、各自応援物資を確認したあと京都に北上するよ。」

 

時雨から伝えられた作戦はその場にいた艦娘たちを絶句させた。しかし、装備の情報の書類を確認していたあきつ丸はその書類に書かれていることに目を疑った。

「攻撃ヘリ…全機墜落…でありますか…?」

 

「なんだって!?そんなはずはないよ!」

 

時雨も書類を確認するが、内容は変更するわけなく時雨は手で口を覆った。

 

「こんな時に攻撃ヘリを全機失うなって…ね。」

 

「どうするでありますか?」

 

「作戦は変わらないよ。輸送ヘリで攻撃するしかないね。呉鎮守府に連絡しといて。」

 

「了解であります。」

 

時雨はあきつ丸に指示をして、神戸街並みを歩く。しかし、神戸はあの綺麗な街並みではなく、あちらこちらに瓦礫が積み上がって、ビルのガラスが割れていたり死体が倒れていたりと控えめに言って地獄絵図でもある。だが、これこそが時雨の考える最も良い作戦だった。国民が死ねば政府は本気で時雨達を潰しにくる。しかし、その部隊を返り討ちにすれば、政府のメンツが潰れて問題なく時雨たちが東京に入城できると言う作戦だからだ。その前に時雨は東京よりも京都を制圧したいようだ。そして、数日が流れてどんどん、神戸には複数輸送艦が持ってきた武器が運ばれてきた。輸送ヘリも神戸に着陸し、攻撃の用意を進めていく。時雨も今回前線に出るらしく、時雨も銃を持つ。

 

「うん。僕も今回は前線に行くよ。」

 

「時雨殿、こちらが京都山城から伏見付近までの地図であります。」

 

「うーん。どこに本陣を置こうかな。」

 

「やはり、戦況が見える高台がいいでありますな。」

 

「それなら、ここかい?」

 

「木津城趾地でありますか。確かに、地形的にここは高台になっているでありますな。ところで、戦車の運転手は?」

 

「妖精さんだよ。にしても、日本は10式戦車を使っているのに僕達はチヌやチト、ケニと古くないかい?」

 

「ふっふっふ。大丈夫でありますよ!今回、この戦車を生産したでありますからな!見てみるでありますよ。」

 

「何を作ったんだい君は…。」

 

あきつ丸と時雨はあるヘリの中から出てきた戦車を見る。あきつ丸はドヤ顔で見て、時雨は苦笑いをする。そこから出た来たのは『海軍十二糎自走砲』だった。

 

「あきつ丸…これはなんだい?」

 

「これは『海軍十二糎自走砲』であります。チハの車体に海軍が持っていた四五口径十年式十二糎高射砲を取り付けてみたであります。名前は…そうでありますな…。『キングチーハー』とするでありますか。」

 

「キング…チーハー…。貫徹はどんなもんだい?」

 

「書類で見ると…榴弾は25mm。低抵抗被帽付徹甲弾なら、10mなら103mm。100mなら102mm。500mなら92mm。1000mなら87mm。1500mなら80mm。2000mなら74mmでありますな。」

 

「ちょっと待って欲しいな。低抵抗…なんだって?」

 

「低抵抗被帽付徹甲弾であります。」

 

「じゃあ、その低抵抗被…」

 

「帽付徹甲弾をキングチーハーに載せるでありますか?」

 

「そうだね。ところで搭載弾薬数は…?」

 

「10発であります。」

 

「えっ?」

 

時雨はあきつ丸の言葉に耳を疑った。そして、時雨はもう一度聞いてみた。

 

「搭載弾薬数は…どれぐらいかな?」

 

「でありますから10発でありますな。」

 

何回も聞いてもおかしい返答しか来ないのである。ある裏ルートから手に入れた情報によると10式戦車でも32発の搭載弾薬と聞いたことがある。それの半分以上の少なさであった。

 

「これ…大丈夫なのかい?」

 

「装甲はないでありますが…10式戦車を2000mから撃破可能でありますからな。そして、次に航空機でありますが…。各艦載機の充足が間に合わず、旧式で戦闘することになるであります。」

 

「まあ、仕方ない。空母に天山を発艦指示して。自衛隊がどこで対峙するか分からないからね。」

 

時雨はそう言って、司令部に戻っていく。あきつ丸はキングチーハーを見て一言呟いた。

 

「こんな戦車作っても…この日本を帰るのは我々じゃないでありますよ時雨殿。」

 

あきつ丸の後ろには神州丸が立っており、あきつ丸の独り言に答える。

 

「貴官はこの戦争をどう思うでありますか。」

 

「神州丸…か。逆に聞くであります。神州丸…貴殿はどう思うでありますか?」

 

神州丸は無表情の眉間に皺を寄せて考える。そして、口を開いた。

 

「…自分はこの戦争が正しいとは思わないであります。戦友たちを力で押さえつけるのも違うであります。でも…何も出来ないであります。」

 

「そうでありますな。自分も神州丸と同じ考えでありますよ。『今は』対応すべき状態じゃない。とりあえず、木津城趾地を今は司令部にすることにするでありますよ。」

 

「了解であります。」

 

神州丸とあきつ丸は輸送ヘリを何機かを連れて木津城趾に向かう。そして、大阪にいる自衛隊が京都に撤退する所を艦載機『天山』が発見し、時雨やあきつ丸は総力戦が行われるのは京都であると察した。

 

〜??〜

「テイトク…行かないでクダサイ!」

 

「……。」

 

「私が悪かったヨ!日本に宣戦布告したのが間違ってたから私を連れてってヨ!」

 

「……。」

 

提督はここで私の方に振り返り、近づいてくる。私は叩かれると思い、目をつぶるとデコに指先を当てて「金剛…お前を連れていくことは出来ない。自分でやったことは自分で尻拭いしてくれ。また今度な金剛。」と言って、光の中に消えていく。私は泣きながら追いかけるが提督は消えていった。

 

「テイトク!」

 

私は目を開ける。それはどこかの病室。心電図の音が聞こえ、私は目を左右に動かす。そして、軍服を着て腰には刀を持っている女性が立っていた。

 

「久しいな金剛。」

 

「What's?」

 

「まさか儂の顔を忘れたとは言わさんが…忘れたのか?」

 

「ま、まさか…!三笠さんデスカ?」

 

「全く、あれほど戦闘の方法などを教えてやった先輩の顔を忘れるなど言語道断であるな。」

 

「だ…だって…。」

 

「だってもこうもあるか。にしても、金剛…お主やってくれたな。この平和主義の日本に対して宣戦布告とはな。」

 

「Sorry…。」

 

「だが、現政権が腐っているのもわかっておる。さて、貴様には今2つの手段があるが…聞いてみるか?」

 

「モチロン…。」

 

私は唾を飲み込み、昔の戦友であり、師匠である三笠の不敵な笑みを見ながら話を聞く。

 

「まず、ここで国家反逆罪として捕まるか。もう1つは儂ら…言えば特別国家考案委員会に入るか。金剛が決まるべきだ。」

 

「私は…テイトクに言われた通り、尻拭いをするネ。だから、私は特別国家公安委員会に入るヨ。」

 

「よーし!良くゆった!まず、金剛にはこの任務を言い渡す。」

 

「な、何…。」

 

「現総理大臣の逮捕だ。」

 

「えっ…。」

 

「先程、国会にて国家運営を特例として特別国家公安委員会がすることになった。つまり、今目の前に居る儂が総理大臣になるってわけだ。」

 

「えっ…ええええええええええええ!!」

 

〜神戸〜

再び、時が流れて神戸は瓦礫は撤去され道路は中央分離帯を壊し、道路を滑走路になっていた。そこには多くの九九式艦上爆撃機や九六年式艦上攻撃機、天山が所狭しと配備されていた。滑走路に繋がってる裏道には爆弾や弾薬ベルトなどが隠されるように置かれていた。

 

「さて、そろそろ行こうかな。」

 

呉鎮守府からの援軍としては高雄、翔鶴、陽炎、不知火、黒潮などが来ており、輸送ヘリに空母以外の艦娘たちが乗り込む。そして、各ヘリが飛び上がり物資を木津城趾へ向かっていく。時雨は木津城趾に向かう時に「まるで僕達、戊辰戦争時の幕府軍みたいだね。」と言う。その後に「まあ、僕達は負けないけどね。」と士気をあげることをいい30分ぐらいで神戸から要塞化された木津城趾に着陸した。木津城趾にはキングチーハーや十二糎高射砲などが配置されていた。

 

「ここが木津城趾…そして、あの川が…木津川だね。あきつ丸、旭日旗を掲げて。」

 

「了解であります。」

 

あきつ丸はフラッグポールに旭日旗が掲げられ、旭日旗の下にはZ旗が掲げられ意味が「各員奮励努力セヨ」だった。艦娘たちの士気は爆上がりし、あきつ丸たちが用意した塹壕の中に入る。

 

「川の向こうには10式戦車や90式戦車がたくさん…だね。」

 

「ここを要塞化しているのがバレてしまって、続々と自衛隊が集まってしまったでありますよ。」

 

時雨は双眼鏡を覗いて自衛隊の配置を見る。そして、時雨はあらかじめに用意されていた迫撃砲を撃つことを指示した。

 

「迫撃砲よーい。撃て!」

 

迫撃砲を艦娘たちが撃ち込む。主に爆雷などを使い慣れている駆逐艦たちが迫撃砲に砲弾を入れ込む。砲弾は「ポン」と音を鳴りながら飛んでいき、自衛隊が配置している場所が爆発する。人の叫び声が聞こえてくる。近くに置いてあったのだろう。トラックまでも爆発し、迫撃砲の着弾地点は炎に包まれていた。しかし、戦車はその炎の中を前進する。時雨は舌打ちをして、第2軍に指示をした。

 

「鳥海!そっちから橋の上のやつ狙ってみて!」

 

『了解しました。』

 

次の瞬間、橋の横から砲弾が戦車目掛けて飛んでくる。その砲弾は90式戦車の側面を貫通し、爆炎をあげる。90式戦車の列はそこで止まり、砲弾が飛んできた方に向きを変える戦車やこちらを見たまま砲弾を撃とうとする戦車が居るが、睨み合いが続く。

 

「このままだと…進撃できないね。」

 

「どうするでありますか?」

 

「歩兵達を進めてみようか。銃撃戦を始めよう。」

 

時雨は各部隊長に連絡する。その連絡相手は金剛型の妹たちであった。妹達は駆逐艦たちへ指示をして進んでいく。

そして、橋の前に比叡と霧島が対物ライフルを構える。そして、残骸を避けて進む戦車たちに向けて対物ライフルを撃つ。1つは複合装甲によって止まり、もう1つは違う戦車の側面を貫く。90式戦車と10式戦車は進軍をやめ、撤退していき睨み合いが続いた。睨み合いが続いたことにより、陽は沈み夜になった。こうして、第1次木津の戦いは終わりを告げ勝利は翌日に持ち越された。夜になると、呉鎮守府攻撃部隊の各部隊の隊長は木津城趾に集まり会議をする。

 

「さて、今回の件。みんなありがとう。」

 

時雨が全員の前に立って、感謝の言葉を述べた後作戦が説明された。

 

「次の作戦はこちらからの攻撃とする。次に、空母たちによる攻撃も視野に入れて動くよ。このまま一気に京都まで入城してしまいたいからね。」

 

「時雨さん…。1つ質問いいですか?」

 

「榛名…。うん、いいよ。」

 

「この作戦…こちらの被害を考えていますか?」

 

「あー…その事か…。ごめんね、こっちも早く陥落させたい気持ちで作っちゃったからほとんど現場の動きに任せるよ。」

 

「そう…ですか…。」

 

榛名は小さく返事をし、下を俯く。

 

「大丈夫であります。自分も明日は参戦するでありますから。」

 

あきつ丸は榛名の肩に手を置いてそう言う。そして、箱からある1丁の銃を取り出す。

 

「ある戦友から送ってもらった銃『64式小銃』であります。時雨殿いいでありますな?」

 

「どう言っても君は行くからね。僕は何も言わないし、何も見てないよ。」

 

「どこのルートで手に入れたか気にならないのでありますか?」

 

「僕はこの戦闘が勝てればいいからね。明日であの川を抜けれなかったら、あの兵器を出す。」

 

「どこのルートでありますか?」

 

「極秘のルートだよ。君には関係ないよ。」

 

「そう…でありますか。」

 

時雨は作戦本部のテントを出ると夜空を見上げた。

 

「明日は雨になるね。僕の予想は外れないからね。」

 

時雨はそう言って、闇に消えていった。

 

〜某所〜

暗闇の中、ある艦娘たちが話をしていた。

 

「本当にいいの?」

 

「構わない。私はあの戦争が終わってこの軍に…異動になったからな。あの時の同じようにな。」

 

「そう。にしても、あなたの同僚たち。結構奮戦してるじゃない。」

 

「そう言うくせに時雨の方に『クラスター爆弾』を輸送しているんだろ?」

 

「Meは分からないわ。どこで手に入れたのよ?その輸送作戦の情報を。」

 

「このビッグセブン、長門がお前らの思惑を見抜けぬと思ったのかアイオワ?」

 

「Meは止めたのだけどね。世界を守ったAdmiralを殺したのはいただけないのよ。まあ、日本政府としては自衛隊は負けてないって言いたいのよ。」

 

「ふん。いつ頃かの日本を見ているようだな。」

 

「大本営ね…。Meもあの時のを見てたけど酷いものだったわ。」

 

「日本のお家芸ってところだな。」

 

「ところでこうやって敵同士だったのが話せるってgreatね。」

 

「ふん。私はお前と殴りあってみたがったがな。」

 

「それはNo thank you.」

 

「ははは!」

 

2人は笑った後に日本の状況を映したテレビを見ていた。そして、軍服を着た軍人がやってきた。

 

「アイオワ、ナガト会議だ。」

 

「「Roger」」

 

2人は軍人に敬礼をして軍人について行った。

 

〜木津〜

時間は進んで夜明けが来た。あきつ丸と金剛型姉妹は泉大橋前で土嚢を積んで睨んでいた。後ろにはキングチーハーを援軍として2両持ってきていた。

 

「このまま…敵戦車が来なかったら、あの爆弾が敵陣地に投げ込まれるのでありますよ。」

 

あきつ丸は冷や汗をかきながらそう説明する。榛名はその爆弾に心当たりがあった。

 

「それって…原爆ですか?」

 

「違うであります。国連で決められた上に使用を禁止された爆弾…『クラスター爆弾』でありますよ。普通、簡単に手に入るものでもないはずでありますが…。どこから手に入れたのでありますかな?」

 

「その『クラスター爆弾』って何ですか?」

 

「…説明すると残酷な爆弾でありますよ。まず、親爆弾を落としてから途中で殻をパージして子爆弾をばら撒くのが『クラスター爆弾』であります。米軍がベトナムで使ったのが有名でありますな。」

 

「そんな爆弾…使っていいのですか?」

 

「オスロ条約で禁止されたはずでありますがな…。米軍…いや、アイオワ殿からの差し入れと言ったところでありますかな。全く、これだから時雨殿は侮れないであります。多分、長門殿にも秘密だったんでありましょうな。」

 

「そんな…。」

 

「まあ、今日中に泉大橋を抜ければクラスター爆弾が落ちてこないはずでありますよ。」

 

「なら、落とすしかないですね。」

 

「そうであります。全軍進め!」

 

こうして、チハを後続に艦娘たちが進んでいく。チハの主砲が自衛隊員付近で着弾し、自衛隊員の手や足が吹き飛んでいく。その上、木津城跡地からの砲撃の雨。そして、上空に飛ぶ戦闘機と爆撃機。あきつ丸は叫んだ。

 

「全員退却!クラスター爆弾が落ちてくるでありますよ!」

 

その場にいた全員が空を見上げた。しかし、金剛型だけは敵陣に突っ込んでいく。

 

「榛名は…榛名は…!」

 

「待って!榛名!」

 

「榛名、比叡姉様!その先は!」

 

榛名を追いかけていくように敵陣を進んでいく。あきつ丸はその事に気づかず…いや、気付かないふりをして他の艦娘を連れて退却をしていく。泉大橋を渡り終わる頃に空から1つの爆弾が落とされ、空で破裂した。至る所に子爆弾が飛ばされ、自衛隊陣地を爆発させて行った。次は戦闘機が急降下して、敵陣地にナパーム弾を叩き込み爆破された陣地を焼き払った。時雨は木津城跡地で「ガソリンのいい香りだね。」と言っていたことが後々わかった。あきつ丸は無線で時雨に現状報告と自衛隊の陣地が無くなったことを伝え、本隊で前進を進めた。

 

「そうかい…。金剛型は焼かれてしまったか…。」

 

「何か嬉しそうでありますね?」

 

「やだな。僕は悲しんでいるんだよ?僕を非人道的な艦娘だと思っているのかな?君は?」

 

「そんなことないでありますよ。提督殿のために戦う優しい艦娘であります…よ。」

 

戦車隊を先頭に艦娘は木津の街を進んでいく。そして、時雨は1つの看板を見つけた。

 

「平和と非核三原則を願う木津川市…。平和とかけ離れた僕達が制圧したけどね。」

 

全員は笑わずに木津川市を進んでいく。そして、2つの部隊に別れた。第1部隊は伏見桃山城で陣地を建設するのを役目にしている。第2部隊は陸上自衛隊宇治駐屯地を攻め落とす部隊となっていた。あきつ丸と時雨は第2部隊に参加し、宇治駐屯地近くにある黄檗山に陣を敷いた。

 

「弾の節約のためにナパーム弾で焼いちゃおっか。」

 

時雨はそう言って、無線を使って指示をした。その数十分後、艦載機が上空を飛び急降下をしてナパーム弾を落として行った。宇治駐屯地は勢いよく燃え上がり、周りにあった住宅や駅諸共焼き払った。人間の叫ぶ声が聞こえてくる。あきつ丸と時雨以外の艦娘は耳を塞ぎ聞こえないようにしていた。あきつ丸はその光景を見続け、時雨はその光景を見て笑っていた。

 

「まさにこれこそがあの時のレイテのようだよ!僕はこの炎を見たかった…。これこそが僕たちの正義なのだからね!全隊、宇治駐屯地にて生き残りを殺せ。」

 

艦娘たちは仕方なく銃とナイフを持って、炎の勢いが収まりつつあった宇治駐屯地に足を踏み入れた。宇治駐屯地内は人の焼けた嫌な匂いとガソリンの匂いが外にもかかわらず充満していた。他の艦娘たちは人の焼けた死体を見つけると目を逸らして見てないふりをする。時雨は死体を見つけた瞬間にナイフを向け、一刺しする。そして、次の死体を見つけては腰に掛けている拳銃で1発撃つ。

 

「この匂い…さすがに酷いね。でも、これで僕たちの勝ちだね。ん…どこからかうめき声が聞こえるね。」

 

時雨はうめき声のする方に走り、呻き声を出している瀕死の自衛隊員の前に立つ。

 

「どうしたんだい!誰にやられたんだい?」

 

時雨は演技で看護兵みたいな動きをする。そして、包帯を取り出して火傷しているところに巻く。瀕死の自衛隊員には物が触れること自体激痛なのだろう。うめき声が強くなる。その隊員は途切れ途切れに「死…にたく…ない…。」と言う。しかし、隊員はどこから見てももう助からないのは見てわかる。時雨はその隊員から手を離し、腰にある拳銃を向けた。

 

「ごめんね。僕では君のこと助けれないみたいだ。」

 

時雨は弾丸を放った。その弾丸は隊員を撃ち抜き、隊員は絶命した。時雨は無言で自衛隊員を見て立ちすくした。時雨はその場でその死体を見て大笑いをする。

 

「ふふふ…あ

ははは!命の輝きって言うのはこうゆう感じに消えていくのかい!いいよいいよ!僕たちの手で消えていく命。残念だったね。君たちには勝ち目はないから!」

 

その場にいた艦娘達はそんな時雨を見て完全に引き、あきつ丸はただ無言で時雨を睨み続ける。宇治駐屯地の死体を全て確認が終わり、時雨含む第2部隊は宇治公園の方へ足を進めた。終戦後、宇治駐屯地を調査するとそこら中に焼き爛れた上に体の中から銃弾が入った死体があったそうだ。

宇治駐屯地を攻めている間に第1部隊は伏見桃山城を要塞にしていた。そこからは、京都から西を守るために設置された京都司令部である旧日本軍師団16大隊本部があった。時雨は双眼鏡で確認をして、偵察機を発艦させた。偵察機からの情報だと、ほぼ兵士はおらず幹部クラスの自衛官しか居ないらしい。しかし、戦車や輸送車などが防衛ラインを作っていた。

 

「ここはナパーム弾で…いや、完全な武力で叩き潰そうか。」

 

時雨はキングチーハーに砲撃地点を指示して、チハやケニなどの戦車を引き連れて、伏見市内を進む。市民の避難は終わっているのか悲鳴などは聞こえず、邪魔する自衛隊まで姿を見せない。そして、京都司令部の前に全部隊が集結した。伏見桃山城からは建物が邪魔で撃てないと鳥海からの無線が来ており、時雨は戦車を先頭に進む作戦を立案する。

時は同じ頃…

 

「何とかなりましたね。お姉様方。」

 

「榛名は大丈夫です。」

 

「ひえぇぇ…。」

 

金剛型の妹達はあのクラスターやナパームの爆発から逃げ切り、鳥海が陣を引いていた場所に来ていた。そこはもうものけの殻で対空砲しか置いていなかった。

 

「ここで一旦休憩ですね。」

 

「これからどこまで行くの?」

 

「東京ですよ比叡お姉様。」

 

「東京…。」

 

「そこに金剛お姉様がいるんでしょうか…。」

 

榛名は少し気を落として聞く。すると、比叡が榛名の肩に手を置いて「大丈夫!お姉様は絶対に居るから。」と言う。霧島が陣地跡に置いてあった無線でどこかに繋ごうと触ると無線機から声が聞こえてきた。

 

「聞こえていますでしょうか?こちら、特別国家公安委員会 副委員長 くらま。駆逐艦くらまです。」

 

榛名は『特別国家公安委員会』の名前を聞くと霧島を押しのけて無線機を取る。

 

「こちら、金剛型高速戦艦 榛名です。そちらの声しっかりと聞こえています。」

 

無線機からの返事が直ぐに戻ってきた。

 

「榛名さん。貴艦の所属をお答え願います。」

 

榛名は言葉を詰まらせた。ここで榛名が「呉鎮守府所属」と言うと敵として見られるかもしれないからだった。無線機からは「聞こえていますでしょうか?榛名さん?」とずっと話しかけていた。その様子を見て比叡が榛名から無線機を取り上げ、比叡が話す。

 

「こちら、呉鎮守府所属 金剛型高速戦艦2番艦 比叡です。私たちは呉鎮守府と決別し、特別国家公安委員会と接触したい。そちらに、我らの姉…金剛は居られるか?」

 

比叡はいつもの言葉使いではなく、少し威厳のある話し方をする。すると、くらまからの返事が返ってきた。

 

「なるほど…。金剛さんならこちらに居ますよ。現在任務にて、総理官邸に居られますが…。」

 

「総理を殺すのか?」

 

「いえ、総理を逮捕するために向かっております。今回の戦争…いや、内乱を起こした張本人が総理ですから。そちらの方にヘリを送ります。って…そこは戦線前線じゃないですか…。」

 

「奴らは北上して行ったので、南部からならば大丈夫だ。」

 

「では、和歌山の方に護衛艦を用意します。ヘリで護衛艦の方に来てもらって、そこから護衛艦で横須賀に来てください。さすれば、あの方にも会えるはずです。」

 

「了解した。では。」

 

無線はここで切れ、比叡達はその場に留まった。

 

時は少し流れ、京都司令部前。

 

「僕らは呉鎮守府所属!ここで降伏をしてくれたら攻撃しない!」

 

時雨がスピーカーで降伏勧告を出すが、京都司令部はうんともすんとも言わず、時雨は「チッ」と舌打ちをして大声で「戦車隊!撃て!」と指示をした。その場にいたチトやチハ、ケニが砲撃を開始する。あちらこちらに砲弾が飛び、綺麗な建物を瓦礫に変えてしまう。時雨は「撃ちながら、進め!」と前進指示をした。チト、チハ、ケニでは貫徹不足で敵戦車の正面を抜けず、呉鎮守府側の戦車の被害が増え、時雨は一旦撤退を指示する。第1次京都司令部の戦いの初戦は京都司令部の方に軍配が上がった。ここに来て、呉鎮守府は初敗北となった。時雨が撤退後、京都司令部には数多くの空爆、砲弾が叩き込まれた。生存者が居ないだろうと思うぐらいには叩き込まれた。時雨は「次で、僕達が相手する自衛隊が居ればいいね。」と言って、戦車編成を始めた。

第2次京都司令部の戦いでは、周りにあった建物全てを破壊したので伏見桃山城からの砲撃か出来るようになっていた。

 

「全戦車、前進!僕達も後ろから対戦車砲を撃つよ。」

 

隠れながら対物ライフルを構える駆逐艦たち。戦車が京都司令部の敷地に入るが、砲弾が飛んでくることも無く京都司令部の前まで来れた。すると、急に戦車が爆発した。時雨は何かわかったかのように「歩兵進め!」と叫んだ。煙に包まれた京都司令部前。駆逐艦や軽巡、重巡が戦車の後ろに付く。すると、「突撃ぃぃぃぃ!」と煙の中から叫ぶ声と自衛隊員が走ってきた。自衛隊員が両手に持っていたのは槍のような物だったが、その槍が戦車に当たると爆発し、自衛隊員もバラバラに吹き飛んだ。あきつ丸はその武器に心当たりがあった。

 

「刺突爆雷…でありますか…。いつもの時代もあれを使うのでありますな…。」

 

あきつ丸は帽子を深く被り、突撃してくる自衛官を見届ける。時雨は「機銃で薙ぎ払え!」と叫ぶ。チハなどの戦車隊は機銃と主砲を撃つ。自衛官が出てこなくなったので、艦娘たちが入口の壁にもたれて、中を確認する。

 

「全軍前進。司令部を落とせ!」

 

「時雨殿…。」

 

「これで僕たちの勝ちだよ。多くの犠牲を払ったけど…ね。やっと京都司令部…陥落だね。」

 

時雨は笑ってそう言う。あきつ丸は破壊された戦車の近くにある人として形してない死体に手を触れて小さく呟く。

 

「申し訳ないであります。貴殿らには平和な世の中で生きて欲しかったでありますな…。貴殿らの勇敢なる行動は自分の心にしっかりと残っているであります。貴殿らはこの日本国を背よった立派な戦士で英雄でありますよ。」

 

死体から手を離し、あきつ丸は陸軍艦を集めた。

 

「さて、これからの作戦を考えるでありますよ。」

 

「これから?」

 

「どうやって、日本に仇なす輩を倒す方法でありますよ。」




どうも。綾凪です。
今回、どう書けばいいか途中でハテナが飛びました。
読んでる途中で「あれ?」とか「ん?」ってなったらそこからわからなくなってます。残念だったね。
まあ、今回のは京都陥落させてるんで、問題は無いです。
この小説も残り4話となりました。
一気に詰め込むつもりです。
え?体調大丈夫なのかって?ハハッ!面白いことを言うね!
まあ、読んでもらったら幸いです。
それでは。さようなら。
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