呪術高専京都校〜知られざるもう一人の一年〜   作:OSTO文明

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いつの間にか本来描いてるやつよりお気に入り登録者数増えてました………ありがとうございます!


第四話 人生ゲームって楽しいね!

 東堂先輩にボコされた翌日はゆっくり休んだもののその翌日に男の先輩方と新田君が部屋に遊びに来た。日曜の朝九時、まだ特撮が始まったばかりだろうと思ったが目の前の先輩方は人生ゲームを取り出した。加茂先輩とメカ丸先輩は説明書をじっくり読んで新田君はせっせと用意し始めた。

 

「朝から僕の部屋に来てまで人生ゲーム用意するって何やってんですか」

「朝飯食ってる時にコイツに会ってな。テレビでコレのcmやってたんだ。そしたら二人が知らないっていうからよ」

「だからってなんで僕の部屋で……」

「すまない。やはり迷惑だっただろうか」

「いえ、そんなことはないです。ただ不思議でしょうがなくて」

「ほら、ルール知らない人がいるなら知ってる人が教えた方がいいと思うわけですよ。それで時任君なら知ってるかなって」

「東堂先輩も知ってるでしょ」

「俺は小学三年生以来やってねぇから分からん!」

 

 なんでそんな中途半端な時期なんだ。でもルールは覚えてるからやれるらしい。そして(新田君曰く)教えるのがめっちゃ下手だし加茂先輩と喧嘩しないようにするために僕の部屋に来たらしい。その言葉を聞いていなかった時のことが容易に想像できた。とりあえず承諾して席に着く。隣には加茂先輩とメカ丸先輩が座っている。メカ丸先輩の隣には東堂先輩、新田君の隣には東堂先輩と五人で机を囲んだ。

 

「それじゃあ始めますけどお二人は説明書を読まれましたね?」

「ああ、ある程度は大丈夫だがわからなかった時は頼む」

「わかりました!事前に言っておきますけどこれはあくまでゲームなんであまり熱が入りすぎないよう気をつけてください。それじゃ順番を決めましょう!行きますよ〜!」

「「「「「じゃんけん、ポン!」」」」」

 

 号令をかけると皆が元気よく声を出してそれぞれの手を出した。結果は新田君の一人パー勝ちとなり順番は新田君(黄)→東堂先輩(青)→メカ丸先輩(緑)→僕(紫)→加茂先輩(赤)と時計周りになった。

 

「それじゃあ自分から行かせてもらいますね」

「あれをどうやって回すんだ?」

「多分見てればわかると思いますよ」

 

 新田君が回したルーレットを見て両隣の先輩方はおぉと声を漏らす。そんなに珍しい物なのか。それとも家の都合上触れるものが少なかったのか、とても面白そうに見ている。

 

「3ですね、よいしょっと。あ、お金もらえるみたいですね」

「誰から貰うんダ?」

「それも止まったマスに書かれてる方法で決まります。今回はルーレットみたいなのでそっちの色だけのルーレットを回してその色のコマを持ってる人から貰えるみたいです」

「現金を払えばいいのか?」

「いえ、さっき渡したゲーム用のやつを渡してください」

 

 現金渡そうとする人なんて本当にいるんだ。少し気をつけないと大変なことになりそうだなと回されたルーレットを見ると青を示していた。青い駒を持ってる人を確認すると恐ろしい人だった。

 

「と、東堂先輩、お金ください」

「お?俺か。いくらだ」

「三千円です」

「最初はそんなもんか。ほらよ」

 

 新田君は恐る恐る貰ったゲームマネーを手にしている。いくらゲームといえどあの人にお金を要求するのはハードすぎるだろうな。

 

「じゃあ次は俺だな!いくぞ!」

 

 勢いよく回した東堂先輩の回した針は1を指していた。しょぼんと落ち込んだ表情をしながらも駒をすすめる。というかあの人の力で壊れなかったんだこれ。

 

「『お小遣いをもらう。+千円』か。時任、取ってくれ」

「あっ、はいただいま」

「この場合は誰が払うんダ?」

「誰かから貰うと書かれていない場合はゲーム側、つまり勝手に追加されます」

「つまり誰も払わなくていいと」

「その通りです。次メカ丸先輩ですよ」

「アア、これを回せばいいんだナ」

 

 メカ丸先輩が回した針は8を示した。最初から最大数は幸先がいいなと思いながらも駒を送る様子を見送る。

 

「『自転車を手に入れた。使った場合は出た目+3』。どういうことだ?」

「アイテムカードです。次からルーレット回す時に使うかどうか選べます。勿論使わなくてもいいですけど使うとゴールに近づきやすくなります。ただし一枚につき一回しか使えないので注意が必要です」

「ナルホド」

「それじゃあ次回していきますね」

 

 ルーレットに手をかけると示された数字は4だった。駒を進めていくとイベントが発生する。『転んで落とし穴に入ってしまった。スタートに戻る』と書かれていた。それを見た他の人たちは口を揃えてお疲れ様といってくるのを受け止めながら駒を戻す。最後に加茂先輩のターンになる。負けはしないと意気込みながらルーレットを回すと出た目は2。東堂先輩と大した差はなかった。白紙のマスで何も起きはしなかった。

 その後は順調(?)にゲームは進んでいった。

 現在の戦況は

 東堂先輩持ち金  三十万円(ラッパー)

 加茂先輩持ち金  −十万円(社長だったが倒産して借金もやっとここまで)

 メカ丸先輩持ち金 百万円(企業を建てて成功しCEOに)

 新田君持ち金   五十万円(妻子持ちサラリーマン部長)

 僕持ち金     三十万円(新田君の部下独り身)

という形になった。各状況になった瞬間笑っていたのだが今は加茂先輩の目が怖い。借金状態なってからずっと片目が開いている。一方メカ丸先輩は満更でもなさそうだ。てか人生ゲームってこんなにお金の配分低かったっけ?

 

「よし、次は俺だな」

 

 東堂先輩が出した数だけ駒を進めるとイベントマスに停まった。

 

「『自分の才能が認められ、流れに乗って企業設立。他プレイヤーから十万貰う。』フハハハハ!収入が増えたな!」

「東堂も俺と同じカ」

「誰から貰うんだ?」

「ルーレットみたいですね。誰にも当たらなければお金は貰えないみたいです」     

「いくぞ」

 

 フン!と壊れそうな勢いで回したルーレットはゆっくりと動きを止めていく。誰だ誰だと全員が視線を一つに集めているとある色の真ん中を指してルーレットは止まった。指し示した色は──赤、加茂先輩だった。

 

「渡せる金などないんだが」

「じゃあ借金だな」

「ここまで減らしたのにナ」

「人生ゲーム……呪霊より難しい敵ではないのか?」

「そんなわけないですよ」

 

 さっきより大きく目を見開いている加茂先輩を見てゾッとする。続いてメカ丸先輩が回すと入院して一回休みになった。尚、入院費で二十万吹っ飛んだ。僕も回していくととんでもないマスに停まった。

 

「『上司のパワハラに耐えきれずストライキを起こす。上司の人がいた場合は上司の人から三十万貰う。いなければ銀行から十五万支払われる』というわけで新田君三十万頂戴」

「自分一体何したんですかね………」

「サービス残業やらせすぎたとか?」

「酷いナ」

「私ならそこまでしない」

「俺ならその上司ぶん殴るわ」

「あくまでゲームですからね!?」

 

 新田君から三十万をありがたく受け取り現金を数える。加茂先輩が恐ろしいなと口にしながらも駒を進めるとまたイベントマスに停まる。

 

「『救済イベント 赤字を持っている人にのみ有効』だと……!?」

「やりましたね先輩!借金消せるかもしれませんよ!」

「いやまだっス!失敗すれば借金は倍になります」

 

 全員が息を呑む。そのまま続きを見ると『お金の順位が中盤の人と3回ジャンケンをして勝てれば赤字返上十万ゲット。負ければ赤字は二倍。』と書かれている。中盤の人が二人だった場合は代表者戦となったが、人数は奇数で皆ばらけているので計算し直す。

 メカ丸先輩 百万−二十万→現在八十万円

 僕     二十万+三十万→現在五十万円

 東堂先輩  三十万+十万→現在四十万円

 新田君   五十万−三十万→現在二十万円

 加茂先輩  −十万−十万→現在二十万円

 計算した結果一番当てたくない相手と当たってしまった。とにかく仲の悪い二人は立ち上がり、各々は拳を構える。

 

「東堂、この戦い勝たせてもらうぞ」

「悪いな、俺はお前に渡す金などない!」

 

 二人は覇気みたいなのを纏いながら睨み合っている。え、大丈夫だよね?この部屋壊れたりしないよね?

 

「「最初はグー!じゃんけんっ、ポン!!」」

 

 一戦目はチョキとパーによって加茂先輩が勝利を収めた。

 

「やるじゃねぇか」

「言っただろ、勝たせてもらうと」

「そうだな。だがしかし!ここで勝つのは俺だ!」

 

 意気込みながら次のジャンケンをする。続いての勝負はグー対パーで東堂先輩が勝利を収める。

 

「東堂貴様ッ!」

「フン、このまま俺が勝たせてもらうぞ」

「そうはさせない。加茂家嫡流としてこの戦い勝たねばならんのだ!」

 

 いやそこまで思い詰めなくていいじゃん。何をどうしたらそこまで発展したの?

 

「いくぞ東堂!」

「かかってきやがれ、加茂!」

「「じゃんけんっ、ポンッ!!!」」

 

 先輩方の(色々と間違っているような)思いが籠った戦いは一回で決着がついた。チョキ対グー、加茂先輩の伸ばした二本の指に対して大きな拳を出した東堂先輩の勝利だ。加茂先輩は膝から崩れ落ち、東堂先輩は腕を組んで加茂先輩を見下ろしている。

 

「そんな、馬鹿な」

「加茂、お前じゃ俺には届かん」

「私は、加茂家嫡男としての責務を果たせなかったのか」

「先輩、そこまで思い詰めないでください。これはあくまでゲームで加茂家の存続とか関わっていないので」

「だが私はッ………!」

 

 だからそこまで思い詰めないでって。

 

「シカシ、この人生ゲームとやらは面白いナ。二人がこんなにも熱中できるものだったとハ」

「色々と間違ってるところはありますが、これもゲームの醍醐味かと」

「ナルホドナ」

 

 隣で気を落としている加茂先輩を宥めながら新田君はルーレットを回す。進んだマスはイベントマスになっていた。

 

「『結婚している人のみ発生 浮気が発覚。罰金として三十万。さらに離婚』え?」

「結婚ボーナスは無くなって借金生活か。新田、これから頑張れよ」

「えっ、嘘でしょ!?」

「新田君が浮気なんてするのか………」

「俺は信じてたんだガ………」

 

 先輩方は悪ノリしてるのかしていないのかわからない絶妙なラインで攻撃している。新田君はこっちに顔を向けてきたが僕は親指だけ立てて笑顔で返した。

 

「嘘だぁぁぁぁぁぁ!!!」

「新田君、これで君も私と同じだな」

「いや一緒にしないでください。先輩と違って三十万は違いますんで」

「いいや、君と私は同じだ。なに、十万も四十万も大した差ではないさ」

 

 加茂先輩が宗教勧誘のように新田君に手を差し伸ばしている。その様子を傍に東堂先輩はルーレットを回して駒を進めていく。停まったマスは最近多いイベントマスだ。

 

「『黄色のコマの人の浮気現場の写真をゲット。横に流すか警察に突き出すか。なお警察に突き出すと十万円貰える。全員が流せば変動なし』なんだこれ」

「また、いや他の人とも浮気してたの?」

「してないよ!?」

「とにかく俺はいらん。メカ丸にくれてやる」

「俺もいらン。金に困ってはない」

「じゃあ僕もいらないです。本人も容疑を否認してますし、何よりさっきもらいましたから」

「皆………」

 

 皆で必要がないとタライ回しにしていく。新田君は希望に溢れた笑みをしている。加茂先輩に渡すと先輩もフッと笑った。やっぱり先輩方は優しいなと目を瞑った瞬間だった。

 

「なら私が警察に届けよう」

「ハッ!?」

「こいつやりやがったwww」

「流石は加茂ダwww」

「先輩酷い……www」

「当然だ。裁かれるものは裁かれるべきだからな」

「こいつ何の悪気ないのかよwww」

 

 僕たち三人は笑っている顔を抑えて震えている。新田君は絶望的な表情になっているが正直堪えるのが辛い。一方加茂先輩は善行を行なったような清々しい顔をしている。

 そんなこんなで色々とあったが全員がゴールに着いた。結果は

 一位 メカ丸先輩 百八十万円(CEOのまま変わらず)

 二位 東堂先輩  百五十万円(世界的ラッパーに)

 三位 僕     七十万円(新田君のいた部長の席を超えて副社長に)

 四位 新田君   五万円(なんとかフリーターまで復帰)

 五位 加茂先輩  −百万円(あれからというもの不幸の連続の結果)

になった。僕たちは安定して進めたが新田君と加茂先輩の這い上がり方がとにかくエグかった。楽しかったと時計を見てみると十二時を回っていた。昼ごはんを食うかと全員が食堂の方に向かうと女性陣が談笑していた。

 

「こんにちは!」

「こんにちは」

「皆揃って何してたの?」

「どっかの部屋が凄くうるさかったけど」

「ああ、人生ゲームをやってた」

「人生ゲームですか?楽しそうですね!」

「どうせなら今度は君たちもやるか?」

「いいかもしれないナ」

「それは楽しそうですね。今度は負けませんよ」

「人生ゲームって何?」

 

 皆が振り向いた方向は真依先輩の方だった。加茂先輩が知らなかったということは御三家の真依先輩が知らないのも無理はない。だが無神経な男はいた。

 

「なんだ真依も知らないのか」

「なっ、何よ!桜戲、教えなさい!」

「えっ、じゃあお昼ご飯食べ終わったら皆でやりましょう!その時に説明もします!」

 

 男性陣全員がそれぞれラーメンを食べて僕と加茂先輩で部屋に戻る。ゲームに必要なものを持って食堂に向かうと話しかけてくる。

 

「ありがとう時任君」

「へっ、何がですか?」

「多分、君がいなかったら皆前みたいに距離を置いていただろう。だが君がいることによって仲良くできている」

「い、いえ、そんなことないです!皆さん優しい方ですので」

「だとしてもだ、ありがとう」

「ちょっと、照れますね」

「だが次は私が一位を貰うぞ」

 

 ペースを上げる加茂先輩の背中を追いかけて食堂に向かう。この後夜ご飯の時間まで皆で遊んだがかなり楽しかった。皆と少し距離を縮められた気がする。加茂先輩は特に縮まったと思う。もっと先輩方と仲良くなれたらと思いながらも僕は布団の中に入った。




今回は男性陣の絡みでした。今度は女性陣との絡みもできたらなと思っています。
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