呪術高専京都校〜知られざるもう一人の一年〜 作:OSTO文明
それを鼻歌まじりに歌うとあら不思議、某キテレツ大百科のあのEDになります。
あとお気に入り者数が二百超えてました!さっき確認した時は222に………みなさんありがとうございます!
「お給料ですか?」
見学から帰って二日後、庵先生に職員室に呼び出されて話を伺うとお金の入った茶封筒を渡された。
「ええ、この間の任務でメカ丸のサポートに入ったそうじゃない。それもあって少しだけだけど報酬が入ったのよ」
「サポートなんて大したことしてませんよ」
「メカ丸はすごく助かったって言ってたわよ」
なんだか申し訳ないなと思いつつ茶封筒を受け取る。でもそしたら新田君も手伝っていたわけだから彼も貰うべきではないのだろうか。
「新田なら銀行口座があるからそっちに振り込んだわ。というよりアンタが口座を持ってないから手渡しになっているのよ」
「なるほど。次の任務までには作っておきます」
そうねなどと言いながら庵先生は背伸びする。別段厚いというわけでもないが封筒の中にお小遣いを貰うの初めてで少しワクワクする。
「それじゃああとは練習頑張りなさい」
「あ、待ってください先生」
「どうかしたの?」
「こういうお金って何に使えばいいんですか?」
「別に好きなもの買えばいいのよ?」
好きなものと言っても今は特にそういうのはない。高校入ってから何かとバタバタしててそういうのに手を出していなかったし、高専に入ってからは何すればいいのかもわからないからこれといって浮かぶものはない。
「あとその、お給金って初めて貰って、どういう風に使えばいいのか分からないんです」
「なるほど………じゃあせっかくだし、街に行きましょう」
「街に?行けるんですか?」
「ええ。お休みの日は行くことを許されているわ。少し遠いから時間は取られちゃうけど。せっかくだしあの子たちも誘いましょう」
初めて日常的に行けることを知ったが先生も来てくれることに驚いた。先輩方からはすごい優しいって話を聞いてたけどここまでしてくれるなんて思ってもいなかった。とりあえず先生にお礼を言って先輩たちに話をすると了承してくれた。しかしメカ丸先輩は見た目のせいか行くことは出来ないらしい。お土産を何か買ってこようと決意してその日は解散になった。
次の日曜日になり、宿舎のロビーで待っていた。皆を待たせるわけにはいかないと先に来ていたら誰もいなかった。誰かが来る前に荷物の確認だけしておこうとカバンの中を確認する。お給金は十万円あってびっくりしたが全部は使わないとある程度だけ持ってきた。すべての荷物を確認し終えると加茂先輩がやってくる。
「おはよう時任君」
「おはようございます加茂先輩」
「早いな、まだ十五分前だぞ」
「いえ、先輩方をお待たせするわけにはいかないので!」
加茂先輩は目を抑えて何か呟いている。よくわからないが朝だし眠いんだろうと放っておくと今度は新田君と東堂先輩がやってくる。
「おはようございます」
「おはよー」
「おう、おはよう」
「東堂、今日は何しにいくのかわかっているよな?」
「勿論だ。
そんなプログラム聞いたことないんだけど。てかプログラムは庵先生が任せなさいって言ってたけど大丈夫だよね?
「違う、皆で遊びに行くのだ」
「分かってるさ。だが俺の中にはそれも入っている」
「新田君は出かけたことあるの?」
「まぁ数回だけ」
「何しに行ってるの?」
「本買いに行ったりとかかな」
「なるほど、休日をそういうふうに使うのもありなんだ」
「うん、初めての給料ってワクワクするよね」
わかるわかると新参者で話し合っていると今度は女性人がやってきた。先生は少しだけ張り切っているようにも見えた。
「おはよー!」
「おはようございます!」
「おはようございます」
「皆揃ってるわね、それじゃあ行くわよ!目指すわ新都心!今日は楽しむわよー!」
「「「おー!」」」
ノリのいい組とあまり乗らない組に分かれるが皆行く気満々で高専を出ていく。皆私服で歩いているのが新鮮だ。特に真依先輩と加茂先輩は新鮮だなと思う。高専近くにあるバス停でバスに乗って皆でワイワイしながら新都に向かっていく。窓の外をずっと見ているが変わらない木々ばっかりだった。動物でもいないかと目を凝らしていると声をかけられる。
「時任君時任君」
「なんですか三輪先輩?」
「これメカ丸から預かったの」
手渡しされたものを確認すると缶バッチみたいな形状をしたものだった。メカ丸先輩の顔見たいな形をしているがなんだろうかと見回すと砂嵐みたいな音が聞こえてきた。
『おはよう時任』
「えっ!?め、メカ丸先輩!?」
『ありがとう三輪。ドッキリ大成功ダ』
「へへ〜」
どういうことだと缶バッチ(?)に確認すると先輩自身は行くことはできないがこれなら同行できるということらしい。それでも構わないかと聞かれ、断る理由もなくいいですよと答える。アリガトウと聞こえた後につける場所の確認などに入った。やがてメカ丸先輩を装備し終えると皆でまたガヤガヤ話し始めた。
「そういえば最初はどこに行くんですか?」
「それはもちろん決まっているわよ」
「高田ちゃんの聖地だな」
「絶対違うわね」
「初給料が入ったのが二人もいるんだもの。それに学生として楽しめる所といったらあそこでしょ」
先生がふふんと鼻を鳴らすとバスはちょうど目的地である新都心に着いた。そのまま先生について行くとショッピングモールに入っていく。エスカレーターや道中も盛り上がっていたが先生が一度離れて数分で戻ってくると皆が静まり返った。何をするのか理解できていない人が大半だったみたいだ。そのまま言われるがままついていくと一つの大きな部屋に案内される。
「着いたわよ」
「ここってもしかして……」
「そう、学生なら皆ここに来るでしょう!思う存分楽しみなさい!!」
部屋は薄暗く、大きなモニターが二つもある、この人数なら余裕で入れる広々とした部屋だった。中にもマイクがあるから想像されるものは一つしかなかった。
「カラオケですか!?」
「そうよ!」
「僕カラオケ初めてです!」
「あれ、そうだったの?」
「新田君は?」
「ちょいちょい行ってたかな」
「他の皆さんは?」
全員に聞くと「無い」と声を揃えて言ってくる。胸元に装備した缶バッチメカ丸先輩もだ。じゃあ仕方ないかと先生が軽く説明してくれる。マイクの調整とかは既に済ませていたのだろうか、もう既に歌える状態になっていた。
「カラオケだと普通に歌うこともできるけど採点することも出来るわ。皆どっちがいい?」
「最初だし採点はいいんじゃない?」
「そうね」
「その方がいいかも」
「他も同じみたいだし今回は採点無しでいくわよ。じゃあ手本?も兼ねて私からいくわね」
曲を入れる方法とかは新田君に説明してもらったからなんとかなるだろう。そろそろ始まるぞと拍手すると先生は大きく息を吸って歌い始めた。
「Please don't say "You are lazy" だって本当はcrazy」
「いやめっちゃ上手」
「先生の術式歌に関するものだからね」
「へ、へ〜」
術式に関しては初耳だが正直常人を超えるほどの上手さだった。歌っている姿はまさにアイドル大統領といったところだろうか。初めて会った初日に叫んでいる人には到底思えなかった。
「ふぅ…とりあえずこんなものね。アンタたちも歌って皆で楽しみましょう♪」
「は、はい!」
「緊張しなくていいですからね」
『次は誰が行くんダ?』
「俺が行こう」
すっと立ち上がったのは東堂先輩だった。今日の服装はいつもの学ランと違いシンプルさがある。しかし筋肉が服の上からでもバッチリ分かる。まぁどうやっても隠せないだろうけど。マイクを持つと前奏が流れ始める。歌唱力自体は普通に上手かったが問題はそこからだった。庵先生とは違いこの人も才能があるのではないかと思い始めたのだ。
「上から叩き付ける烙印 You’ll never run from run from チープな Ranking
イメージ先行レギュレーション そこで何を判断?底に何が?Ay」
なんでこの人めっちゃラップ上手いんだよ。ここ数日見ててジャイアニズムあるよなとは思ってたけどなんか別の才能見つけちゃったよ。殴ること奪ったらこの人に残るのってこれだけとか言わないよね?
「久しぶりに歌ったが悪くはないな」
「ラップ上手いな」
「まさかお前に褒められるとはな」
「褒めるところは褒めるさ」
「なら次行ってこい」
「行きたいのは山々だが私はあまり音楽に触れたことがないのでね」
チッ、と舌打ちをする東堂先輩を横に今度は三輪先輩が出ていく。選曲したのは「春を告げる」だった。なぜか三輪先輩が歌っている間は安心感があった。普通に上手かったけど。そのまま西宮先輩、新田君と続き、僕の番がやってきた。
「期待しているぞ時任!」
しないでお願いだから。何をしようかと選曲に悩む。しかしここで意外な声がやってくる。
『時任も歌えるのカ?』
「はい、可能ですが。先輩も歌ってみますか?缶バッチ通してならできると思いますし」
フムと考えるような声が漏れてくる。まさか本気で考えてる?ちょっと冗談のつもりで言ってみたけど。
『まぁやってみるカ』
まじか。先輩に言われて端末に曲名を入力していく。聞いたことない曲名だったが先輩はどう歌うのか気になってきた。
『時任、マイクを近づけてくれ』
「は、はい!」
「メカ丸も歌うのか?」
「えっ、やれるの?」
『見ておケ』
「だ、そうです」
結構明るい感じのイントロが始まった。でも曲名は確か「LOVE illusion」って書いてあったような………。
『カラフルテリブル絵描き属性 Come on baby! Open your eyes!』
曲調とは違うような濃い声が聞こえてきた。でも何故か正解に聞こえてくる。皆笑うのを堪えながら聞いてる。ラスサビの前の綺麗な声にはもう耐え切ることはできなかった。終わった後はいい汗かいたかのような清々しい声が聞こえてくる。そのまま僕にバトンパスをしてくる。
さてどうしよう。ネタ枠みたいなのはメカ丸先輩が持ってったし、あまり最近のものをやっても面白くないだろう。ゲームの曲をやっても皆わからないだろうなと悩みながら適当に漁るとピンとくる。これだと端末に入力して準備をする。
「決まったのかい?」
「はい!少し懐かしいのにしました」
「八年くらい前ですかね」
『確かに懐かしいナ』
「はじまるよー」
ステップを踏みやすそうなリズムが部屋の中に響く。曲名を見た半分はピンときていなかったがもう半分の反応が面白かった。
「懐かしいわね!?」
「すごく懐かしい……」
「この曲って私たち小学生だよね?」
「そうですね。時任君なかなか面白いところチョイスしてくるね」
僕はVサインだけしてマイクを持って歌う。
「やっぱり今夜もまた 部屋を出てしまった
一人きりのTV 何も笑えない」
それから最後までやり通したがなかなか爽快感があった。普段こういうこともしないから高揚感がある。
「久しぶりに聴きたくなったわ倉○麻衣」
「あの人コ○ンの曲めっちゃやってますよね」
「数年前にもヒット曲出してたような」
とりあえず一息つけた僕は他の人のも含めて飲み物を取ってくると部屋を出る。数人が同行すると言ってくれたがトレーがあるから大丈夫と断った。
ドリンクバーの機械を見て本当に色んなのあるなと思いながらコップに注いでいく。全員分は少し重いなと思いつつ部屋へ戻ろうとするとある部屋の扉の前で一度止まる。ふと気になって扉のガラス部分を除くと活気のあるお翁ちゃんがいた。元気だなと思いつつ少しだけみると赤いギターを弾きながら歌っている。歳のわりにすごいテクだなと感じながら顔を見ると正体を知る。
──学長だった。楽厳寺学長が一人でギターを持ってカラオケに来ている。これがヒトカラというやつなのか。とりあえずこのままここにいると危険だと察してすぐに部屋に戻った。皆に飲み物を配ってソファーに座る。
「何かあったの?トレー抱えたままだけど」
「いっ、いえ!何もありませんよ!」
真依先輩が声をかけてきても正直には話せなかった。言えない、学長が近くの部屋にいるとか絶対言えない……!
「戻ってきたな時任。お前これいけるか?」
僕の精神状態とは違って堂々としている東堂先輩はタブレットをこっちに渡してくる。写されているのは知っている曲だった。
「出来ますけど……どうかしたんですか?」
「俺たちの本気、見せつけてやろうぜ」
なんだこの人、とは思ったが了承してマイクを持つ。一応確認すると先輩はラップの方を担当するらしい。まぁ予想通りではあるが。
「「WーBーX Clime and the city」」
その後はなんとか上手くいったしかし先輩のラップが圧倒的に強すぎてなんか敗北感を得たような気がする。そも勝った試しなどないが。それからしばらくカラオケに居座り、退室時間になって皆で会計を済ませる。この後はどうするかを聞くと先生は不敵な笑みを浮かべながら僕たちを連れて行った。
「今日の先生なんかテンション高いね」
「久しぶりにストレス発散できてるんでしょう」
「先生も忙しいもんね」
「生き生きしている先生私は好きだけどね」
「わかる(全員)」
満場一致したところで先生が歩みを止める。そのお店の看板を見てもよくわからなかったが中身だけ見ると服屋さんだというのがわかった。
「さぁ、後半戦行くわよ!」
歌ったものまとめ
歌姫先生→けいおん!のDon’t say lazy
東堂 →仮面ライダーリバイスのlive Devil
メカ丸 →冴えない彼女の育て方よりLOVE illusion
時任 →劇場版名探偵コナン 漆黒の追跡者のPuzzle
時任東堂→仮面ライダーWのW-B-X ~W-Boiled Extreme~
時任は最近聞いてて懐かしいなと、東堂とのデュエットは風都探偵アニメ化おめでとうございます。
あとは中の人ネタですね、はい。
次回後編です