ソードアート・オンライン ブレイクアンドリベッツ 作:難聴の村上さん
「ぐあぁっ!?」
クラインは、また今度もローカルに突き飛ばされ、微量なダメージを負った。転げたクラインだったが、ロタールはその隙を全く攻撃してこない、はっきり言って、なめられていた。
「なんで柄ばっかで攻撃しやがる…!こんなんじゃダメージが小さすぎて初撃に認められねえだろ!!」
「それでも、体力の半分が削られた時点でもデュエルは終了するよ?」
デュエル開始から約3分、クラインが立ち、ロタールが突き飛ばしの流れを何度も繰り返していた。クラインは徐々にHPを削られ、塵も積もれば山となり5分の1ほどのHPを奪われていた。
この流れでは…ルナは頭を抱える。万一、クラインがこの場でやられ、残る自分一人になったとすれば、どうすれば良いだろうと。頭の中で思考を回し続けた。
ロタールの主な動きはこうだ、まず自分の素ステのフルパワーで、ソードスキル無しで相手を突き飛ばす。その際、外れてもすぐさま体制を立て直せるよう、バックステップをしている。初段が外れたとしても、また二度三度と突きが繰り出され、初段の威力重視とは裏腹に連続攻撃重視の攻撃が襲ってくる。初段の正確な、早く重い一撃を交わした後ではその連続攻撃ですら受け止めるのは辛い。なんとか踏みとどまり、その後の連続攻撃も耐え、その次の攻撃も流さなければ行けないのだ。
しかし、その連続攻撃の後の対処を、今だクラインやルナは一度も目にしていない。その後の対処があるのかどうかすら危ういが、警戒はしておかなければならない。
そのプレッシャーに、クラインは苦しめられていた。
「クライン!サイドステップ!!軸さえ合ってなければ槍のリーチもさほど怖くない!!」
ルナは大声で言ったが、横に立っていたアツが期待を裏切るように言葉を返した。
「無理だ…あいつは軸合わせがうますぎる。たとえ普通のサイドステップでも、あいつは抉るように円を書いて無理矢理当ててくる。確かにクラインは俺より敏捷力を上げてるが、クラインのやつもパワー寄りなだけあって避けられるかどうか…」
卑屈なそのセリフを、ルナはそのセリフ通りアドバイスに変えた。クラインは一瞬振り向き、汗が滲み出ているような顔で、こくりと頷いた。
「相手の長所も知らないと勝てない!アツ、全部アドバイスに変えて!!」
必死なルナに、アツも応えようとしている。しかし、案が浮かんでこない。自分が戦った、その数秒間、何があったのか。たった一撃の攻撃で、自分は何を学んだのか。自分はどう対処しようとして、その結果どうだったのか。アツが悩むにも、時は進む。
先に行動に出たのはクラインだ、アツを背後に置いて、自己流のやり方で攻略法を掴もうとしている。そして、踏み出した。
「うおおっ!!」
ロタールの突きを、横薙ぎモーションのソードスキルで弾き、ロタールに斬りかかる。ロタールとの距離は未だ変わらず、バックステップの距離を埋める事はできない。
しかしロタールも体制がよろしくないのは同じ、一瞬で柄と槍の向きを変え、ソードスキルを立ち上げ突き刺すとならば、それはクラインの斬撃の方が早い事であろう。やはり柄で戦う事しか出来ないロタールは、バックステップ後の、連続攻撃を繰り出した。ソードスキルのない、通常攻撃だ。
「ソードスキルに比べちゃあ軽すぎるんだよ!!」
再び弾き、距離を詰めた。倒れかけにも見えるロタールは、動けてあと一撃、それを交わせば、クラインがロタールに初撃を与える事が出来る。クラインは、いけるっ!と、手をぐっと握りしめた。
最後の一撃…ロタールの大きな横振るいに、クラインは合わせてソードスキルを立ち上げた。
クラインの剣は弾かれ、ロタールは倒れそうになりつつも後ろに飛ばされ、また距離が出来た。もうひとつの対処法はあれか、ルナは大振りの対処を、どうするか考える。無難にはしゃがみ、下から切り上げるようにして攻撃を当てたいのだが、大声でそのアドバイスをするわけにもいかない。どうすれば良いだろう、ルナも再び考える。
するとロタールは、ついに柄をやめ、金属光沢を見せる刃を上に向けた。これでもう、初撃判定に入らない低下力の攻撃はあり得ない、さらに、ソードスキルも使って来るだろう。
先ほどのような弾きも上手く行くとは思えない、むしろ通常攻撃なのに一撃が重すぎるとブーイングを入れたい所ではあったが、それが後衛向きの大型武装の強みだといわれてしまえば言い返す言葉がなくなる。ともあれ、なんとか回避し、距離を詰めなければいけない訳になったのだが、はたしてクラインは交わしきれるのだろうか…?
そこで、アツが何かを思いついたかのように、暗号を送った。
「クライン、バスケだ!!相手が今、ボールを取ろうとしてるんだ!!」
ルナにはその意味はわからない、ロタールにもわからなかったようだ。しかし、相手方のギャラリーは気付いたらしく、ロタールに注意を呼びかけたが、ロタールの余裕な表情は何一つ変わらなかった。
「クライン、行くよ!!」
「おう!!」
ロタールのソードスキル、先程よりはるかに早く、そしてクライン一直線に飛んでくる。軸と言うより、クラインのいる場所に攻撃が来るような感じだった。
クラインは右足で地面を強く蹴り飛ばし、左足を軸にくるりと回転し、前のめりになって近付いた、あれは、バスケで言う、ピボットだった。
「外した?くそっ!!」
ロタールは再び連続攻撃のソードスキルを立ち上げ、攻撃する。しかし体制とソードスキル発動条件の挙動が正確では無かったため、ペナルティが発生し威力は低下し、同時に正確性も下がっていた。
クラインはそれを、切っ先付近の峰を抑えるように手を添え、剣を縦にし、両手でそのソードスキルを受け流した。
「よし、よし!!」
自然と声が漏れるルナだが、問題はこの後。大振りの横薙ぎも、おそらくソードスキルだろうが、はたしてそれをどう対処してくれるか。連撃の時に体制を立て直したロタールは、文句なしの一撃を繰り広げてくれる事だろう。それをクラインはどうするのか…?吹っ飛ばされる事だけは勘弁してくれ、と言わんばかりに、ルナは瞼を閉じて祈った。
ロタールの横薙ぎ…クラインは、ルナのイメージしていた対処法通り、しゃがみ、交わした。後は一撃いれるのみ!と叫びたいが、ロタールもそうもいかない。もう一回転、クラインめがけて回り、今度は水平ではなくクラインめがけてだ。斜めになった槍は、懐に近付けば近付いた分だけ交わしやすくなる。クラインは最後に決死の覚悟で、ソードスキルを立ち上げ、ソードスキルの突進モーションを低姿勢のまま繰り広げ、槍が当たる直前で、ソードスキルが炸裂した。クラインの十八番、《昇月》が決まった。
ロタールは鈍器で殴られたように吹き飛び、今まで削られる事の無かったHPバーが一気に削られ、デュエルの決着がつく。クラインは剣を上腕と下腕で挟み、剣についた血を拭うかのようにして、もう一度剣を空振るいして鞘に収めた。
「お前の敗因はたった一つだぜ、お前は俺をなめすぎた。」
かっこつけたいのは分かるが、ルナはロタールのソードスキルを使わない戦法に、違和感を覚える事は無かった。なぜなら、ソードスキルよりロタールの通常攻撃の方が、様になっていたように思えたから。つまりロタールは相当な腕利き…ソードスキル以上の腕を持っていると言う訳で、何もなめている事は無いだろうと、思っていた。
「おーいおめえら勝ったぜー!!」
「うおーさすがクライン!!」
「やってくれたかぁ!!」
そうとも知らず、クラインの勇姿を最後まで見届けた(最もルナにとっては昇月が当たった所までが勇姿なのだが)男たちは大歓喜、ロタールもよれよれと立ち上がり、クラインの肩を叩いて、褒めの言葉を囁いた。
「まぁ…よしとしますか。」
一瞬、和らいだ表情を見せたルナは、次の対戦者らしき人物を再び睨みはじめた。そう、たとえロタールを倒したとしても、まだ戦いは終わらない。後2人…はたしてクラインは、どこまで戦い抜いてくれる事だろう。
どうもー!!いつものむらぽん復活です!!
いやー、今日はマジで焦りましたー、昨日今日、学校バイト学校バイトで創作時間が1分も取れず、この話を書き始めたのがちょうど先程の10時でした。初めは1700文字くらいで許してもらえるかなーって思ってたのですが、だんだんと進んでしまい挙句の果て…ってなわけで、11時には間に合いませんでしたね。でも、でもまだ月曜日ですよ!?ほんっとギリギリですw
さてさて、次回の投稿は水曜日です。明日でようやく学校やバイトから解放されるので、力入れれますかね!それでは、次回までアディオース