ソードアート・オンライン ブレイクアンドリベッツ 作:難聴の村上さん
敵方、大将のモーデンがクラインにデュエルを申し込み、クラインはそれを認証した。
デュエルまでのカウントダウンが徐々に迫ってきていた。
モーデンは鋭い閃光を飛ばすような刃のダガーを右腿あたりの留め具から引き抜き、構えた。同時にクラインも、最後のデュエルを惜しむようにゆっくりと片手剣を引き抜いた。
「所でだな、クライン。お前らはなんであんなお嬢さんと狩りに出掛けていたのか、聞かせてくれ無いか?」
「はぁ?なんだよいきなり。ただ俺たちはクエストのテーマボスを見つけたから、一緒に行ってくれる人数集めてただけだぜ?」
「…そうか、深い意味は無いんだな。」
モーデンの口は、やけに重い。何かを知っているような、そんな感じだった。クラインはモーデンが何かを隠しているような気がして、聞き返した。
「なんでそんな事聞いたんだよ!?」
数秒のログがあり、モーデンは言う。
「特に理由はないといっただろう。」
「ふざけんな!そんな言い方じゃ余計つっかかるだろうが!!」
黙り込んでいる。その間にも、デュエルまでの時間は10秒も無くなっていた。
「まさか…ルナちゃんを襲うのは2回目だって言いたいのかよ!?黙ってないで言えよ!!」
クラインは本気で怒っているのか、顔が真剣そのものだ。なぜ、そこまで気にするのだろうか理解は出来ず、ルナがその怒りに答えた。
「深い意味は無いって言うんだから、こんなむさ苦しいグループになんで女の子がいるんだって聞きたいんじゃないの?一種の嫉妬でしょ。」
「そ、そうか…」
「クライン考えすぎ。なんでそんなに考えちゃうの?私はモーデンとは初対面だし、名前だって聴いたことすら無かった。もし心配とかそんな類のものが頭の中にあったとすれば、余計なお世話よ。」
「そうだよ心配だから熱くなってんじゃねえか…それなのになんでそんな冷たく!!」
「御託は勝ってから言ってくれる?あ、でも今回の戦いはクラインが負けていいから。」
クラインは言葉を失った。先程まで優しかった、お茶目だったルナがこれほどまでに冷徹になってしまうとは。一体何があったのか、いつ変貌してしまったのか、ずっと見ていた訳でも無いので、分からない。目が踊り始め、周りの状況が分からなくなり、混乱した。デュエル開始のホイッスルなどいざ知らず、クラインはただ、自分の仲間と一緒に立っている、ルナの存在が分からなくなってきていた。
「あの子は…誰なんだよ…!?」
「よそ見をしている場合か、貴様っ!!」
振り返れば、モーデンが容赦無く襲いかかってきていた。片手剣で防ぐにも体制が悪く、押し倒されマウントを取られ、刺されそうになった。振り下ろされたモーデンの腕を掴み何とか耐えるクラインだったが、その力はモーデンの方が遥かに上、次第に顔に近付くナイフは、無意識に顔から遠ざけようとしていた。何処か別の方向を見ていると、それは仲間達のいる場所。その中に立っている、一人の女の子に、クラインは何故だ何故だと語りかけ、目を見張った。
しかしその女の子は、次第に震え上がり、頭を抱え腰を下ろしていっていた。
「なんだ…?ちょっと待てモーデン、待ってくれ!ルナが!!」
「ん…っ!?」
力の緩まったモーデンを振り払い、ルナの元へと駆け出すクラインに、相手から離れすぎたためかデュエルの放棄を選択するウィンドウが表示されたが、躊躇なくデュエルを放棄した。クラインも膝を曲げ何処かを摩ってやろうと思ったが、その腕も振り払われた。その行為がクラインの心にかなりのダメージを与えたが、まだ、クラインは正気だった。
「アツ、いつ頃からだ!?」
「モーデンがダガーを引き抜いた時に、一瞬ビクッってなってたから一度声をかけたんだが…大丈夫だって言われたからそっとしておいたけどその後も震えが止まらなくて…」
「馬鹿!なんで気遣ってあげなかったんだよ!!ルナちゃん大丈夫かよ!?」
もう一度、クラインが触れようとした時、ルナは大声で「触れるな」と叫び、先程より遥かに強い力でクラインを振り払った。
「おいおい大丈夫なんだよね!?ルナちゃん過呼吸になってるよ!?」
「いやでも触れるなって言われちまえば、どうすればいいのやら…」
モーデンらも、遠目からでも状況を理解出来たらしく、一同が小走りで近付いてきた。モーデンが、大丈夫か何があった、などと叫びながらルナの側に立つ。震えながらゆっくりと見上げるルナを、モーデンも腰を下げて接してみせた。
モーデンが腰を下げたのを合図に、徐々に呼吸の荒さが戻り、落ち着いてきたかのように見える。クラインらは自分の胸を摩るような気分になり、少しばかりの間見守った。
呼吸の音が小さくなり、最後に一つ、ため息をついた。
「もう大丈夫か?」
「…ええ、ちょっと、ちょっと立ちくらみがしただけ。」
「立ちくらみって…本当に大丈夫なんだろうな?」
「大丈夫よ、うん、きっと…」
ゆっくりと立ち上がり、両手で髪を整えながら、しっかりと目を開いた。何度か肩を動かすように見せて、もう一度深いため息をついていた。
そこでモーデンは、もう大丈夫だと踏み、クラインに合図のためにダガーを引き抜いてみせた。
「さあ、クライン。試合、やり直そうぜ。」
「おう、そうだな。」
ちょうど、その時。ルナの目が大きく見開き、意識がプツンと切れたように、その場に倒れこんだ。
どうもー、むらぽんです。今回、かなり急展開なお話です。
さてさて、今回は前編後編と分けて投稿なのですが、もし、もしモチベが残っていたら、バイトから帰って来た後にも投稿しようと思っております。今回はバイト前に書き終えたからとりあえず投稿するかと言う軽い気持ちで投稿したので、多分夜にも投稿すると思いますよ。
所で今回はぶっ倒れるまでの描写を作りたかったのですが〜、流れ的に言えば、あれはむらぽんの経験談です。一度混乱しますよね?その後段々落ち着いて、よし落ち着いたからこれで大丈夫。って言う訳じゃないんです!!混乱した後は、小さな共通点があるだけでフラッシュバックが起こってしまう、非常に危ない時です。つまりフラッシュバックが起こりやすい時って事ですね。一番は、危害のないようにそっとしておいてあげるのが一番なんですよね。
ですがまあこれはあくまでむらぽんの経験からの意見ですので、専門的な事を言ってしまえば間違っているのかもしれません。ですから鵜呑みにはせず、こう言う人もいるんだなー程度に考えておいてください。それでは、次回、後編投稿するなら今日か火曜日です。それではアディオス