ソードアート・オンライン ブレイクアンドリベッツ 作:難聴の村上さん
酷く魘され、再び目を開いた時は一体いつ頃になっていたのだろうか、ルナは自宅の無造作にシワの入った布団を叩くと同時に飛び起きた。目の焦点がはっきりしないままキョロキョロと見回し、ぶらりと垂れ下がった両手で辺りを探る。ふと何かがあたり、強く握ってみると、それはかすかに暖かみのある、何者かの手だった。
「3日ぶりのお目覚め、いかがかな。だいぶ魘されてたぜ、大丈夫かよ?」
全身黒尽くめの華奢な男アバター、リッチがお目覚め一発目の耳入り言葉をはたし、無造作に手をルナのデコに当てた。
「熱は…ないよな、ゲームだし。」
未だにはっきりとしない意識が、少しずつ正常に働き始めて来た。段々と確認出来る友人の顔に安堵し、思わず友人の名前を口にこぼす。その時の声は相当情けの無い声だっただろう。
リッチが手渡したティーカップに入った怪しい液体を啜り、その懐かしい味を惜しみながら自分の身に何があったのかを思考フル回転で思い出そうとした。ちょうど、クラインとモーデンのデュエルの時、ルーグがクラインに盛大な一発をお見舞いした後、そのクラインがデュエルに向かった瞬間…
咄嗟に体を起こし、布団の周りにリアルの世界では一つや二つはある目覚まし時計を探し始めたが、無論ある訳もなく、今度は必死になって自分の窓を開いた。あれから何時間経ったのか、未だ理解はしていない。
「デュエルなら、結局クラインが勝ってモーデンたちは店のお手伝いさ。小汚いPKなんかはやめて、純粋にLūnaで働ければそれでいい気がしてきたんだと。ちなみにクラインはルーグと一緒にグリーンプレイヤーまでの道のりを遅れた青春と共に謳歌してると思うぜ。」
「違う!そんなんじゃない!!今日は何月何日、あれから何日たった!?」
「は?え、みっ、みみみ三日だよ。」
某大泥棒の映画のワンシーンを申し訳程度に再現したつもりだが、普段なら軽いノリであしらうルナを見ることも無く、SAO開始からの日数をブツブツと唱え始めた。デュエルが29日、倒れたのも29日、それから3日で32日、一ヶ月は、多くとも31…
「ボス攻略は!!?」
唐突に、叫んだ。しかしリッチは今までの軽はずみの顔を改め、寂しそうに、顔を背ける。何があったか、言いたくても言えない状況にあるのだから。しかし、覚悟していたのだろうか、簡単に答えてくれた。
「攻略初日、ベータテスター達の情報提供の元、無事に突破された。しかしボスのサブアームにベータからの変更点があり、少なからずの犠牲が出てしまった。」
「その少なからずの犠牲って言うのは…?」
一瞬、口先を拒んだ。
「ラストアタックを取りに前進した、ディアベルが勇敢な死闘を繰り広げた後、死亡した。」
ルナは言葉を失った、恩師を亡くし無理もないが、その衝撃は間違いなく脳の何かを破壊していただろう。
反応を無くしたルナに、リッチはさらに続ける。
「それ以外にも…いっぱいあったんだ。全部あの情報屋から聞いたんだけど、ディアベルの死により、派閥が別れ、その別れた2人が衝突しかけていた。後はキリトが、ベータテスターの悪名を一人で背負おうとしてたとか…」
心配そうに顔を伺うが、ルナは目を大きく開き、ポタポタと涙を流していた。おそらく半分は話しを聞けなかっただろう、聞けるような状況でも無くなっていた。ここはそっとしておくのが一番ではないかとリッチは思い、立ち上がり、先程まで座っていたベッドの横に置いた椅子を元の位置に戻し、その部屋から去った。去り際に、そばにあった小机にメッセージアイテムを残して。
リッチが部屋から出るに、ルナは泣き叫んだだろう。当然だ、とも言わないが、SAO内でルナの事を一番知っているであろう自分がそう思のだから。
「辛いだろうけど、自虐だけはするなよな…昔もお前は、乗り越えられたんだろうからさ…」
リッチも、母が居ないと言う共通の苦痛を噛み締めて、友人に降りかかった不幸の重さに、涙を流した。
どうも、村上さんです。
いやーようやく落ち着かせる事が出来ました、1話や2話にあった雰囲気が戻せて良かったです。ですがまあここまでやるのに苦労しましたねぇ…やっと一つ目の区切りだって言うのに。
さてさて、最近作るの苦労した苦労したと愚痴しか言っておりませんでしたが、これからはポジティブに行きましょう。先程も書きました通り、〆際が下手で変な終わり方をしてしまいましたが、一応今回で一区切り終了です。次回からは、9層付近のお話を続けて行こうと思っております。
と言うか、これって章って事ですかね?章設定の方もやらなきゃですね。
それでは、今回はこれまで。次回からは第2章の始まりです、おそらく木曜日の投稿まで、お楽しみに。アディオス