ソードアート・オンライン ブレイクアンドリベッツ 作:難聴の村上さん
「シャアァッ!!」
剣を振る際に発せられた奇声と同時に、鎌の持ち手となる棒を弾き、再び悪霊は懐を晒した。崩せる方が崩すと、ボス戦直前に決めた戦い方は、双方がソロプレイヤーであると同時に、相当手練れている証拠ともなる結果となった。俺が弾き、アーニーが悪霊のHPを削らせる。すかさず体制をたて直す悪霊にアーニーが歯向かい、暴君の獅子の如く暴れる剣で悪霊ごと振り倒す。そこに攻撃、このような圧倒的な戦術が完成し、4本あった悪霊のHPバーも残り半本となった。ここからがボス戦の本番、特殊能力や戦い方がガラッとかわる、デッドラインなのだから。
「ふー、ここまでは安定ね。ただ次は…あれよ。」
「ああ、あれだな。」
しかしデッドラインといえど、ベータ時代にアイテムが溢れるほど狩りつくされたモンスター、変更点は無いとは言い切れないものの、ベータ時代にすでに数パターンの戦闘フォームが確認されている、さらにそれから数パターン加える程重要なクエストとは思えないので、俺たちは安心して悪霊を見つめた。
一度、屋根を吹き飛ばし高く飛び上がり、悪霊は鎌を捨てた。捨てると言ってもポイとそこらへんに投げ捨てるのではなく、プレイヤーに狙いを定めてしっかりと投げ付けてくる。ベータ時代の検証では、この攻撃に当たれば防御強化の重騎士であろうと一撃で倒れる、脅威の攻撃力を誇っているはずだ。しっかりみれば簡単に避けられるとは言え、ギリギリまで避けない度胸試しをやる勇気はさすがに無かった。そして悪霊が鎌を投げた、その後。標的となったアーニーが動こうとすることは、見た限り感じられ無かった。
「なんっ!?避けろ!!」
まさか、数パターンあるフォームチェンジのモーションの中、高く飛び上がり鎌を投げ付けてくるパターン(以下鎌投げ)は始めてだとでも言うのか?確かに他のパターンでは、今まで狭く戦い辛かったであろう、部屋の壁をすり抜けられるようになり、今まで以上に攻撃が早くなると同時に、その一撃が重くなるモーションと、羽織っている物を引き剥がし、悪魔っぽい本体を晒して素早い攻撃力を繰り出すフォーム、その他多数と、確かにフォームチェンジのモーションは多い。説明外のモーションの数もざっと3を超え、合計6つのモーションがある訳なのだが、どれも出現率は同じなはずだ。確かに体感では鎌投げは少ない、しかし、いくら始めてとは言え、全く動かないのは一体…
アーニーには何かタイミングがあったのか、表情を険しくさせ、両腕を動かした。盾を前に向け、剣は後ろで構える。迫り来る鎌を見極め、鎌が盾と当たると同時に、体を前に押し出した。
「はああああっ!!」
そのまま盾を左に振り払い、構えていた剣で回転する鎌を叩きつける。火花のようなエフェクトが無数に飛び散り、明るく照らすように光った。目線の斜め上に存在するグループメンバーのHPバー、アーニーのHPも、驚く速さで削られていった。それは半分を切るか切らないかの所で止まったが、HPの減少が止まった瞬間、アーニーを見直すと、叩きつけた鎌が足元の床に刺さり、その鎌に倒れかかっている商人の姿があった。
「なんで…なんでこんな無駄な事を!!」
「無駄…?知らないんだ、後で説明する。」
「説明って…それより早く薬を。」
「はいはい、リッチ君特製激マズ回復薬でも飲みますかねっと。そんな事よりいいの?悪霊は。」
「クエスト後は、デュエルじゃなくてお説教に変更だ。」
「はいはい。」
悪霊は、鎌投げの後、体内からえげつない形の大剣を引き抜く。悪趣味を武器にしたような、そんな装飾の入った大剣だ。しかし体内から引き抜くという設定上、かなり長い時間を引き抜く事に費やしていた。もし引き抜くモーションを地上でやっていたのなら、軽くHPバーを2本くらい持って行けるくらい。ようは多少のお喋りは可能と言う事だ、最もそのお喋りの時間は、今を持って終了となるのだが。
「じゃー回復にかかる10秒間、よろしくね。」
「10秒だけだぞ、それ以上は守りきれないからな。」
「分かってるって、一気に畳み掛けるよ。」
10秒…その後の数秒、合計十数秒が悪霊に残された最後の時間だ。大振りの構えをしながら突っ込んでくる悪霊をどう否すか、どう時間を稼ぐか。いくらソロでも行けたクエストと言えど、苦戦は付き物だった。その懐かしさを胸に、悪霊の大振りを、自分の愛剣で受け止めた。
大剣は基本大振り、小振りの攻撃ではその図体故にまず攻撃は当たらない。それなら、悪霊はかならず大振りで仕掛けてくる。鍔迫り合いの中次の手段を考えつつ、鍔迫りを押し払いもう一度大きく縦に振って切り下げた。その攻撃は、素早くもなくただの重い攻撃、きっちり見極めれば躱す事など容易いのだが、それが戦いながらも続けられるのだろうか。
さらにこの悪霊はどんな攻撃を与えても怯まない、それ故の遅さなのだが、それを差し置いても厄介なのだ。攻撃に集中してしまえば、重い一撃を喰らい、さすれば避けてしまえとならばいつまでたっても攻撃を与えられない。今は確かに時間稼ぎだけでいいが、攻撃を与えられない状態で、たった一回の鍔迫り合いでたまったヘイト値がいつまで持つのだろう。
悪霊が横に大振りをした時、しめた、と咄嗟に呟いた。身長差からしゃがんで避ける事が出来るため、横振りの回転を見切り、腹部を切り上げた。さらにもう一撃、今度は数秒で終わるソードスキルを叩き込む。HPは四分の一まで削れ、あと一息となった。
しかし、考えが甘かった。横振りの後は決まって隙が出来る物と言う固定概念から、次の攻撃までにタイムラグがあると確信していた。だが実際は違った、悪霊はそのままもう一回転と、攻撃を強行してきたのだ。重い武器ならではの強引な攻撃に惑わらせながらも、間一髪躱したが、次の攻撃が繰り出されるのが、想像以上に早い。元々この悪霊は、攻撃が遅いと言う訳では無いのだから。
「くそっ!!」
振り下げられた大剣を躱すにも、バランスを崩し、尻をついて倒れてしまった。次も躱すには、立ち上がるよりこのまま立ち上がらない方が避けやすい。手で後退りつつも、一発一発を確実に避けた。そして凹んだ床に足をついた時、バク転の容量で起き上がった。
「もう10秒経っただろ!」
悪霊はもう一度、重々しい大剣を振り上げ、追い詰められた俺を葬ろうとしている。しかしその懐には、回復を終えたアーニーが、見せ場とばかりに踏みとどまっていた。
「そこだぁ!!」
円を書くように上に振るった片手剣は、悪霊の左腕を切り落とし、右腕のみとなった振りかぶる大剣は重さに耐えきれず、悪霊の背後に落ちた。
「今!」
掛け声とともに、ソードスキルを立ち上げた俺は、悪霊の喉元に、愛剣を刺し貫かせた。
「いやー悪いわねキリト君。でも結果的生きてたんだし、オーライオーライ。」
「誰かさんが無茶苦茶するから、こっちは大変だったんだぞ。あとちょっとで死ぬ所だったんだし。」
「それは助けたでしょう?男なのにうじうじ言ってたらモテないよ。」
「あのなぁ。」
クエスト終了後、無事小屋へと戻った俺たちは、少女の悪夢の理由が、夜な夜な変化の魔法を研究する母魔女の姿を見てしまったからだという、なんとも笑い難い結末を聞いた。母魔女も相当ショックなのか、顔色を変えて詫びて来る、そして少女は、手編みの装備を、満面の笑みと共に手渡してくれた。黒色ではない装備なので、色でも染めようかなと考えつつ、その笑みに癒されながら受け取った。
アーニーも満足そうにその装備を受け取り、早速装備していた。それに俺から言わせて貰えば、3人の美女美少女が笑顔になっている姿を見ているだけで満足してしまう。こいつにはいろいろ不満はあったけど、許してやるとしよう。小屋を出て先ほど話していた事を思い出させるようにいいながら。
「それで、その理由ってのはなんなんだ?」
「ん?何の事?」
すっかり忘れているかのような顔に、呆れさせた。
「はぁ…だから鎌投げなんて、なんで受け止めようと思ったのかなって。あんな攻撃普通なら即死だって言うのに。」
「ああ、それ?」
アーニーは自分のアイテム窓を操作する素振りを見せ、片手剣と盾をしまい何か棒状の物を取り出した。
「ジャーン!!あのお母さん魔女が持ってた鎌。リッチに頼まれちゃってさぁ、でもマラソンする手間が省けたよ。」
「まさかそれだけのために…!?」
「うん、あの攻撃弾けばアイテムとして貰えるの、知ってるでしょ?」
「まあうん…そうだけど。」
と言うか、と俺は続けた。
「あの攻撃、力極振りの重戦士でも弾けなかったはずだぞ!?一体どんなステータス…」
途中、言いかけている所にアーニーは手をかぶせ、俺に言わせなくした。そのあともう片方の手で、口前で一本の指をたて、ヒミツ、とだけ言って、俺の口元から手を離した。
コノショーセツハフテイキデス
はいどうも、村上さんです。
いやぁ…もう、ね。こわい、ね。ふとですよ?ふと、アクションの勉強でもしようと友人宅にラノベを借りに行ったんです。それで、ね?1冊だけ借りたんですよ、まだ目通してなかった作品の物を、タイトルは言いませんが。
それがもう、ハマって…ね?DVD借りちゃって…ね?後はお察しですよはい。今後気を付けます。
でもそれだけ勉強してこれかよってのは本当にごめんなさい、村上さんは現在この程度で精一杯です。まあ次回もがんばって書きますよ、何かにはまらなければ…ね。