遊んでたゲームキャラでオバロ似の世界へお出掛け中   作:アカヤシ

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第6話

「なるほど、確かにいますね」

 

ここから見える範囲で三人。各員が等間隔を保ちながら、ゆっくりとこちらに向かって歩んでくる。

 

手に武器は無く、重厚な装備もしてない。

 

もしかして容易く殺せると思われているのだろうか?それとも俺と同じで魔術で武器を作り出すタイプなのだろか?

 

何よりギタンが気になっているのは、三人の横に並ぶように浮かぶ光り輝く翼の生えた者。

 

「・・・あれは天使ですか?」

 

俺のやっていたゲームでは天使系のモンスターは存在しない。

 

ゲームの天使は神聖魔術を授ける神の御使い。人間界とは別次元・・・『天界』に住んでいる。

 

天界は肉体を持つ者は来入れない領域。

 

人間界と天界との間には、魔人や天使や霊体のような肉体を持たない者達だけが通る事のできる篩である次元の壁が存在している。

肉体のある生者(プレーヤー)は次元の壁に間引かれるため天界に行けないという設定である。

 

ストーリー二周目から肉体を持たない異業種でプレイできるが天界には行けない。

 

天使は神聖魔術を授ける神の御使い。

 

ゲームで、聖職者系の職業に就く為に天使と契約するのは必須条件。

 

しかし、天使はいつも声だけで姿がゲームで描かれる事はなかった。

 

因みにギタンの契約した天使の名は『ジリエル』。ゲーム内で最凶最悪の天使である。

 

契約するのに一番労力と時間が掛かる面倒な天使。効率や強さを重視するプレーヤーからは嫌われており、嫌われてすぎてかジリエルと契約しているプレーヤーはギタンを含めたったの『13人』しかいなかった。

 

※ゲーム全盛期でプレイヤー登録数50万人中13人。

 

「一体、彼等は何者ですか?どうやらカルネ村を襲った帝国騎士とは毛色が違うようですが・・・」

 

「ギタン殿に心当たりがない、狙いではないというなら、答えは一つ・・・俺だろう」

 

お前かい!てっきり帝国の連中が復讐しに来たかと思ったわ!

 

「戦士長という地位に就いている以上仕方がない事だが、本当に困ったものだ。さて、天使を召喚する魔法詠唱者(マジック・キャスター)がこれだけ揃えられるところをみると、相手はおそらくスレイン法国の者。それもこのような任務に従事する事を考えれば、答えは特殊工作部隊群・・・噂に聞く六色聖典。数にしても腕にしてもあちらの方が上だな」

 

天使を召喚?特殊工作部隊?六色聖典?

 

知ってる事がなに一つないんだが!!!

 

いや、大丈夫だよな?向こうが上と言ってはいるが、さすが王国最強と呼ばれている男。ギタンが見たところガゼフは非常に落ち着いている様子に見えた。

 

ガゼフさんマジカッけえ!

 

「貴族どもを動かし、武装をはぎ取ってまでとはご苦労なことだ。あの蛇のような男が宮廷にいた場合はもっと厄介なことになっただろうから、これぐらいで済んで幸運だったと判断するべきか。それにしても、まさかスレイン法国にまで狙われているとは思ってもいなかったぞ」

 

ガゼフは鼻で笑う。

 

どうやらあの天使はモンスター扱いようだな。召喚されたうんちゃら言ってたし。

 

俺のやっていたゲーム内で天使と相対する魔人がいた。

 

天界とは違い人間界にある魔人達の住まう『魔界』。

 

ゲームストーリーは主人公が暮らす大陸の外、大海の果ての魔界から侵略してきたラスボス『ギザルム・レーイル・ヴァルヘンヴァッハ』を倒すのが本筋。

 

魔人は、精神体だけでも生き人間に寄生し乗っとる事もできる種族。ゲーム主人公の住む国には、大昔にたった一体で滅亡寸前にまで追い込まれた伝説がある。ラスボスはその魔人を百体以上連れて魔界からやって来た。

 

魔人には『ランク』があり、『1級~10級』。

 

ストーリーのラスボスは、その魔人達より更に上の存在・・・魔界の王候貴族『魔族』である。

 

魔族にとって魔人は平民以下の存在であり、その強さは1級の魔人が100人束になっても手に負えないほどで、ゲーム内では『天変地異の大怪物』と呼ばれていた。

 

実はギタンの合成獣(キメラ)の心臓部分はラスボスの魔核を使っている。

 

しかし、ゲーム内の最強の敵はラスボスではない。

 

ゲーム発売日から6年と6ヶ月と6日目に配信されたDLC『魔王降臨』で追加されたボスが最強と呼ばれ、ギタンもクリアはしたが、種族と職業と装備は遊び無しの超本気で組まなければソロでは絶対に勝てないと思ったほどの強さだった。

 

今の種族が合成獣に職業が教皇のギタンでは、Lv.250でもワンパンされかねない強さだった。

 

あの天使の強さは、ギタンが見る限りでは魔人のランクで表すなら10級のクソ雑魚にしか見えない。ゲーム内で初めて戦った魔獣を操る魔人『パズズ』の階級は8級ですらゲームの一周目で、Lv.35くらいあれば楽々勝てるくらいの強さだった。

 

ゲームで集めた装備や道具や合成獣の肉体の予備パーツが消えてしまったのは・・・もう諦めるしかない。本当は発狂しそうだが無理矢理抑え込んでいるギタン。

 

あの天使がモンスター扱いなら予備パーツが取れるのでないだろうか?というよりアイツ等の装備が高そうだな。剥ぎ取って売っぱらえないだろうか?

 

「ギタン殿。良ければ雇われないか?報酬は望まれる額を約束しよう」

 

・・・口約束じゃなく契約書見せろ!正直王都から離れているとはいえカルネ村の貧乏具合から見ても国からの報酬なんて期待できない!それとも戦士長のポケットマネーで支払うの?装備をはぎ取られた?なら王都で良いヤツ買えよ!装備整えてから旅立てよ!

 

「お断りさせていただきましょう」

 

「そうか・・・王国の法を用いて、強制徴集というのはどうだ?」

 

そんな法あんの!他国の人間なんですけど!強制徴集ってどうなんの?金銭や物品を持ってかれるって事?いや、今の状況だと徴兵って事だよな・・・徴兵って報酬でんの?

 

両者は静かに睨み合い、最初に視線を動かしたのはガゼフだった。

 

「・・・怖いな。スレイン法国とやりあう前にコチラが全滅してしまいそうだ。いつまでもこうしても意味がない。ではギタン殿、お元気で。カルネ村を救ってくれた事を感謝する」

 

ガゼフはガントレットを外すと手を出し、ギタンの手を握る。ギタンの手を両手で握りしめ、心の底からの思いを吐露する。

 

「本当に、本当に感謝する。よくぞ無辜の民を暴虐の嵐から守ってくれた!そして、我が儘を言うようだが、重ねてもう一度だけ村の者達を守って欲しい。今この場には差し出せる物はないが、このストロノーフの願いを何とぞ・・・何とぞ聞き入れて欲しい」

 

「それは・・・」

 

「もし王都にこられることがあれば、お望みの物をお渡しすると約束しよう。ガゼフ・ストロノーフの名にかけて」

 

手を離してガゼフはギタンに跪いた。

 

凄いな・・・人の意志ってヤツは。俺はまだどこかゲーム感覚でいるけど・・・ガゼフは違う。

 

当たり前だが、ガゼフは本気で生きている。

 

死を覚悟して進む人の意志に・・・憧れを感じてしまう。戦争のない国で他国同士の戦争を他人事のように感じている平和ボケしている自分とは違う、強い意志に。

 

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