超昂大戦 二次創作SS ありがとう、エスカ・ルビー! 星が導く四つの煌めき   作:環 藍河

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※原作第1部全般のネタバレが含まれます。
(ココから読む奇特な方のための但し書き…?)


2章 英雄譚は分岐フラグに紅い栞を

「はあっ、あっ、ふう…っ…」

(ヒビキちゃんの温もり…こんなに優しいんだ…)

静かな情熱に、背中を預けるアカリ。

そして今また、アカリを挟み込むように、胸元からアカリを見上げるような輝きが一つ。まるで向日葵を照らす真夏の陽射しのように、強く、神々しく、しかしどこか清々しく、愛嬌と童心を思い起こす。

「…わかりやすいなあ…」

「何よーっ、単純バカみたいにゆーなっ!」

「あははっ、やっぱりうららちゃんだぁ」

 

エスカ・トパーズこと、春雛うらら。

チームのムードメーカーにして、正義のヒーローを志す、どこまでも真っすぐなチームメイト。

 

「…私だって、悩めるヒーローなんだから…うりゃっ」

「きゃっ! な…何?」

不意にアカリの胸に顔をうずめるうらら。

「今でも夢に出て消えないんだから…ルビーのこの胸をブチ抜いて…サファイアも血祭りに…そんな未来を選んでたかもって…私の黒歴史。」

「あっ…!」

 

うららは偶然、生まれつき魔力が高かったらしい。天使長アズエルが放った魔力を手にし、神騎の力で自らの理想を体現したヒーロー・ウラジミールとなったうららは、幻魔の手にかかり暴走。破壊衝動の趣くまま、市中で暴虐を尽くすその拳は、臨場し鎮圧を図るルビーとサファイアに向けられる。

 

「ダイビートなんて…勝てないヒーローなんて…認めないっ!」

迸る魔力を奔放に乗せた拳が、重戦車の砲撃のようにルビーを襲う。

一度はかわし、二発目は蹴りと相殺。

吹き飛ばされながらも体勢を整えるルビー。

だが。

 

「あ…うぐっ、うああああっ!!」

体の真正面、交差した両腕で防いだ三発目は、ルビーのスタミナを根こそぎ奪う。一発目が広場に描いたクレーターが物語る、大ダメージ。

「ば…バカなの?! 避けなさいよ、弱いくせに…っ!」

苦悶の中、ルビーはその蛮勇の意味を答える。

「うららちゃん…私…弱くて、全然勝てない、カッコ悪いヒーローだよ…。でも…それでいい。」

「なっ…!」

「勝てなくても、這いつくばっても…それで護れる人がいるから…っ!」

「…、ああっ…!」

ルビーの頭越しに見える、避難を続ける市民。

うららは悟った。非力で無様なこの戦士が、身を挺して護ったものを。

そして見出した。いつも幻滅させられた、ぼろきれ同然のルビーの姿に、理想の英雄の姿を。

 

「私は…負けても、逃げないっ!」

 

「あんたのあの言葉が届かなければ、二人はあの場で惨殺死体、私は暴走魔力で丸焦げか、その前にエリス師匠たち、神騎の誅伐で首ちょんぱ…闇堕ちヒーローなんて、自分でやるもんじゃないわね」

「あ…あはは…私の心臓、無事でなにより…」

命があるって素晴らしい。

 

「でも…おかげで正しいフラグ、立てられた。」

 

「うららちゃん、思い描いて! 本当になりたかった、ヒーローの自分を!」

「あ…っ、うあっ、あああ〜っ!!」

改良型ADDDが、暴走するうららの魔力を封じ、代わるD2エネルギーが金色の戦士を生み出す。

 

セーラー服を基調としながら、レース調にカットされたレオタード、ティアラや肩当てやバックルの所々に刻まれるギリシャ彫刻にも似た意匠。フレアスカートは縁取りされた裏地が常に裾を飾り、レーススカートのような大人びた印象を残している。

神騎由来の神々しさをたたえる高貴な風体も、愛嬌溢れる小さな戦士が纏うと、どことなく背伸びしたいじらしさに取れる。

いつか、その姿に見合う至高の戦士になるんだ。…そんな決意すら見え隠れする戦闘服を身に纏い、

黄輝の超昂戦士、エスカ・トパーズは、こうして誕生した。

 

はーすっはすっはすっ。ぐりぐりぐりぐり。

うららは鼻を鳴らし、顔をルビーの胸の谷間にさらに深く沈める。

「あ…んっ、ちょっと、うららちゃ…ん、私、モフモフのハムちゃんじゃ、ないよぉ…んっ!?」

「いいのっ。今は。今日は私だって、この胸、護り通したんだから…ちょっとくらい貸しなさいっ」

最終決戦に一度敗れ、虫の息のルビーを救うため、自ら暴走寸前のレッドゾーンまで開放した魔力に再び身を焦がし、天空を駆けたトパーズは、果たして人類の大逆転を呼び込むキーパーソンとなった。

 

「…ありがと」

「…へっ? 護られたのは私で…お礼が逆じゃ…?」

「あんたを…エスカ・ルビーを救うためなら、私は魔力からも、強敵からも逃げない。今日は…心底そう思えて、体が勝手に動いた。多分」

あの日、ルビーに見た理想のヒーロー像。

そして今日、春雛うらら…エスカ・トパーズは、誰もが認める蛮勇のヒーローとなった。

その実現の後ろに、やはりルビーの存在があったことは、記憶に新しい。

 

「でも、こんなんじゃまだまだ。いーい? 私はもっと強くなる。エスカ・ルビーに並び立つ、最強ヒーローになってやる!」

「トパーズ…!」

「その時は最強決定戦、エスカ・ルビーVSエスカ・トパーズonMOVIEを絶対撮るんだから。挑戦者として、あんたの胸を借りるわよ!」

 

「…今、貸してるけど…?」

……

………!!

「…は、はあーっ!? バカなの? ルビーって、心底アルティメット、超絶バカなの?!」

〘胸を借りる〙格上相手に挑戦することの婉曲表現。決して、物理的にハグスペースとする意味にあらず。

「ヒーローのキメ台詞を台無しにした罪、万死に値する! 覚悟ーっ!!」

叫びと共に、金色の輝きがアカリの胸に溶ける。

「はううっ!? …あっ! ああっ! くふっ、あっ、あーーーっ!! ご、ゴメンなさいーーーっ!」

トパーズの思いがルビーの胸中で暴れ、熱を更に帯びる。喧騒の一つ一つに、真っすぐなリスペクトを芯に据えて。




連夜の投稿におつきあいいただける読者の皆様に感謝です。
元気印のうららですが、チームメイトやオルバなどに向ける情の深さや、自律の心…ただ奔放なだけじゃないところが魅力だな、って思ってます。

さて、戦闘服にフィーチャーした記述を毎話つけております(フェティシズム?)が、デザインに込められた原画師さまのメッセージを環はちゃんと解釈できているものか…? 環は1を100に増幅するマネゴトでSS書いてますが、ゼロから1を生み出す人々ってホント凄いです。
いつも、眼でも楽しませていただいております。超昂大戦バンザイ!

では明晩は、エスカ・チーム最後のおひとりにご登場いただきます。皆様が良い夢を見られますように…!
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