超昂大戦 二次創作SS ありがとう、エスカ・ルビー! 星が導く四つの煌めき   作:環 藍河

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※ネタバレは原作第1部ラストまでの内容です。ご注意ください(今さら?)


3章 魔法が解けても、その真っすぐな瞳に

「あっ…あふうっ…はああ…んっ」

(うららちゃんは…いつも元気をくれるなあ…)

その背中に蒼の勇気を、その胸に金色の元気を。

そしてルビーのADDDが、今また出力位相を変える。

 

冷静の蒼と情熱の紅を重ねた、紫の輝き。

猫のような気まぐれさをたたえる揺らぎと、ぶれない一筋の強さを併せ持つその光が、アカリに正対し、視線を捉えて放さない。

「…エリーちゃん?」

「はーい、大正解。」

エスカ・アメイズこと、雪城エリー。

若くして世界の数多の魔女を束ねる恋人は、時にアカリを翻弄し、しかし紆余曲折を経て、互いに信じ合える、エスカ・チームの頼れる戦友となった。

 

「…」

「…エリーちゃん? どうしたの?」

しばしの沈黙に当惑するアカリ。

「…あっ、ゴメンゴメン。…あのね、アカリってこんな瞳をしてたんだなーって、つい見入っちゃってた」

「…えっ、うええええっ?!」

「やだぁ、へんな声。うららみたい」

赤面するアカリを、いつもの軽口であしらうエリー。

だが、一瞬の決意に続き。

「…大事な人をじっと見つめるの、生まれて初めてなんだ、私。」

「あっ…!」

 

「エキドナ! 私の全部、食べさせてあげる!」

最終決戦の只中、アメイズは自らが纏う母なる淫蛇・エキドナに、その魔眼を贄と捧げる。

功徳のひと咬みは乾坤一擲の大博打、瀕死のルビーに落とされんとする刃を阻んだのだが…

代償は、エリーの魔女たる源。

 

もう、見据える相手を淫らに蕩かすこともない。

喪失感と引き換えの、ささやかな普通。

「目と目で通じ合えるって、こんなにステキなことだったんだ…ふふっ。」

エリーは胸を熱くし、ずっと求めていたアカリの眼差しを堪能していた。

 

「エリーちゃん、ゴメンね、私のために…」

「ぜーんぜんオッケー。だって私、とっくにアカリから、もっと凄いもの、もらっちゃってるんだもの。」

「えっ…?」

 

かつて殲忍カゲリに潜入され、破壊工作を許したダイビート本部。だが、真っ先に疑われたのは、トキサダに接近するも旗色をはっきりさせないエリーたち。尋問のため隔離軟禁を指示するトキサダに、アカリは釈放を直談判する。

「アカリちゃんが? …へえ…。」

園崎アカリは、貸しを作るメリットや損得勘定で動く子ではない。

『あ、あなただって、長官に近づいて、あんな…あんな迫って、戦士のやることじゃ、ないじゃない!』

ましてや、トキサダに色目を使い蟲惑するエリーに、アカリは色をなし、ついぞ衝突したばかり。

 

この乱入騒動は、むしろアカリにとっては、エリー排除の絶好機。それなのに釈放嘆願とは…?

占い師でもあるエリーにさえ、その行動原理はわからなかった。

 

一方。

その後、ADDDを装着し、エスカ・アメイズとしてチームの一員となったエリー。

しかし、自らの真の正体は明かせなかった。それは何ら一枚岩たりえない魔女の同胞たちの運命を、見切り発車で航路不明の船に乗せるに等しい行為だから。

ルビー、サファイア、トパーズ…。

日々を重ね、共闘を繰り返すたび、日に日に大切になっていく三人。

なのに、自分からは、何も返せない。

自らの背信行為に自己嫌悪し、煩悶するエリー。

 

そんなある日。

「エリーちゃんの大事なもの、護りたい人たち。私も長官も絶対に護るよ。だから、信じて。」

 

ADDDの強化テストに志願し、失敗してダメージを負い、救護室送りになったエリー。

見舞いに訪れたアカリが、エリーに告げる。

「…あらぁ? 嬉しいけど、そんな約束して大丈夫? 長官くんが言ったの?」

「あ…長官とはまだ話してないけど…でも、何となくわかったんだ。エリーちゃんがいつも一生懸命なのは、護りたい大事な人がいるからだって。そんなエリーちゃんが支える人たちなら、きっと素敵な人たちだろうなあ。…長官もきっと、同じ気持ちだと思う。」

確かにトキサダはアカリの見舞いに先がけ、エリーに無条件協力を約束していたが、この約束は、アカリの独断。

 

…そうだ。

ダイビートの深部を探り、あわよくばトキサダを篭絡しようと迫るのも。

エスカ・アメイズとして戦い、敵も味方も噛み分け、真の敵の影を追うのも。

力の暴走に身悶えながら、さらなる力を求めるのも。

世界中に散らばる、生まれながらに持った力ゆえに、同じ苦しみに耐えてきた、箱船の仲間たちのため。その導きに高貴なる者の責務、ノーブレス・オブリージュを果たすため。そして、今は亡き父と母のため。

 

この子は、ずっと私を見てくれていた。

私の隠し飼いの仔猫を見つけてしまい、事情も聞かずに、抱きしめてくれた。

 

エリーは今にも泣き崩れそうな心を悟られないよう、一つ呼吸を整え、そして強がった。

「…んもぅ、そうそう人を信じてばかりじゃ、いつか騙されて傷つくのはアカリちゃんだぞ。」

 

ああ。嘘だと、言いたい。

現に今、人を信じたい自分に正直になれなくて、傷ついているのは自分じゃないか。

 

どうしてこの子は、自分を偽る相手を、無担保でこんなにも深く信じ、私の核心を突いてくるんだろう。

 

「でも、ありがとー。いつかみんな、アカリちゃんに紹介できたらいいなー。」

「うん! 待ってる!」

「あっ、ち、な、み、にー。男もイケメンからセレブまで勢ぞろいだけど、紹介するだけムダかな? アカリちゃんは長官くん一択だもんねー?」

「ふえっ?! …も、もーっ! そこで何で長官が出てくるのー!」

 

その後、アルダークの殲滅と共に暴かれた、真の敵の存在。これを受け、魔女は一致団結し、ダイビートと共闘することを決議。

「ニルさんも、ルカさんもプカルルさんもキレーさんも…みんなみんな、やっぱり素敵な魔女さんたちだね。」

「うーん…傲岸不遜の皇帝に、凶科学者1号2号に、腐女子だよ…? その4人だと、ウチの超キワモノワースト4なんだけどなあ…。」

「ええっ!? そうなの?」

「でも、アカリのお気に召して光栄です。魔女を代表して御礼申し上げるね、うふふっ」

晴れて雪城エリーは、エスカ・チームの真の仲間となった。

 

「フラックス・プロージョン・ビート・チェンジ!」

前後とも左右にW字に鋭く伸びるバイオレットのカラーと、大胆に露出したトルソー、ルビーやサファイアと同じプリーツスカートは、溌溂とした少女のエネルギーを印象づける。反面、長く伸びるスリーブと胸から上の露出は、ローブデコルテのように淑女のミステリアスを共存させる。紫水晶を大きく取り込んだ髪留めと、ウィップ尖端のハートのチャームは淫蛇のシンボル。ガーターで留める脚部のタイツは、そのままブーツとして纏い手のフットワークを弾ませる。

 

「奔る紫光は蕩ける迷夢。紫幻の超昂戦士・エスカ・アメイズ。悪の現場に参上よっ!」

 

「誰と手を繋いでも、最後は私、必ずどこかで目を反らしてた。アカリが初めて、そんな私を見つめてくれた。大丈夫だよって、視界に飛び込んでくれた。」

「エリーちゃん…」

「だから、今日は感謝祭。私がいーっぱい、アカリのこと見つめ返してあげちゃう。」

「あっ…待って、ホントに魔力、ゼロなの、これ…ふあっ、ひゃあああああっ!!」

エリーの輝きに釘付けとなったアカリは、瞼と胸を更に熱くする。かつて眼光の底にたたえた妖蛇の淫毒は無くとも、エリーの真心に激しく打たれ、アカリは昂りに包まれた。

 




こんばんは。今夜もありがとうございます。環です。
おしゃまでツンデレのエリー、ともすれば冷たく、また現実主義を見せることが多い子ですが、そこは振り幅のデカさ、もしかしたらエスカ・チーム内で一番情け深くてロマンチストなのかも…!
(環のSS処女作がアメイズ準主役なので、いじって掘り下げるうちに情が移った部分があります~!!)

さあ、エスカ・チーム3人からのルビー胴上げわっしょいが、一巡り完了いたしました。
明晩、もう一人のエスカさんが登場。レジェンドファンの読み手にご納得いただけますよう、最後の文章ひと練りを頑張っております。また、お待ちしております…。
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